陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~不良騎士道~ 第11話 不良騎士ホテルで頑張る

 右の腕に巻かれている腕時計に視線を降ろす。その時間は九時半を過ぎ、もう少しで十時に届こうとしている。ホテル・アグスタの男子トイレ、洗面所の鏡に映っている自分の顔を確認する。多少キツク見える目は丸いレンズの安っぽいサングラスによって隠されている。普段は申し訳程度に纏められている赤い髪はちゃんと根元で、尻尾を作るように揃えられている。スーツにも皺はない。襟もネクタイもちゃんとしている。


「これなら問題ないな」

 ウィルフレッドが自身の服装に特に問題がないことを確認し、豪華な洗面所から出ると腕を組みながらクゥーニャが待っていた。

「終わりか?」

「おう、いい男は身だしなみに気をつけないとな。どんなレディーに誘われるか解ったもんじゃないからな」

「誰がそれを言うか。普段からのだらしのない格好は一体なんだ」

 ウィルフレッドがチ、チ、チ、と指を振ってポーズを作る。若干挑発的な笑みがその顔には浮かんでいる。

「世の中の女子は"ワイルド系"と"クール系"の二種類に惹かれるパターンが多いんだよ。基本的に俺はワイルド系。
で、今日の俺はちょっとしたクール系ってやつだ」

「どっちにしろお前と結婚するのは私だ。誰も寄せ付けんぞ」

「そうなるよなぁ……俺、理想は聖王様かカリムなんだけど」

「諦めろ。私は良物件だぞ」 

 肩を揺らし、ワザとらしく溜息を吐き出しながらクゥーニャの横に並ぶと、並んで歩き始める。トイレの位置自体は目的からはそう遠くはない。実際、トイレから出た時点で目的の二人は見えている。そんなに速度を出さずに廊下をあるけば一番近くの曲がり角で立つ二つの姿が見える。

 即ち、ユーノ・スクライアとヴェロッサ・アコース。

 ヴェロッサの姿は数時間前にあったときと差ほど変化はないが、ユーノとは数日振りだ。ウィルフレッドの視界に映るユーノの姿は居酒屋で一緒に飲んだときよりもよりフォーマルな服装となっており、若干の緊張がその表情に……見れなかった。流石に幼い頃から考古学者として発表したり無限書庫に出入りする高官と会っているのだろう。人生経験だけは豊富だ。

「よ、数日振りだなユーノ」

「数日振りだねウィル。えーと、横にいるのは?」

 クゥーニャと会うのが初めてなのかユーノが見下ろすようにクゥーニャに視線を向けると、肘まですっぽりと隠す白い手袋に包まれた右手を前に出す。

「騎士のクゥーニャ・ストレガだ。本日はウィルのオマケで来た様なものだ。短い間かもしれないがよろしく頼む」

「あぁ、"あの"ストレガさんですか。話はウィルから良く聞いています。今日はお忙しい中来てくださって本当にありがとうございます」

 クゥーニャと握手しながらそう言うユーノに、クゥーニャはニヤリとした笑みを浮かべる。

「気にする必要はないぞ。私の本命はウィルだからな。本当にウィルに付いて来ただけなのだ。それ以外の目的はどうだっていい。あとクゥーニャで十分だ。敬語とかも気にする必要はない。お前からは邪な感じがせん」

「あ、あははは……本当にウィルの言ったような人だね」

 ウィルフレッドが肩を揺らしながら諦めたような表情を作る。

「コイツ若干ストーカー入ってるからな。人格破綻者、もしくは変態しかいない騎士団の中でも立派に変態やってるやつだよ。こいつは」

「君もその一人だって事を忘れちゃダメだよ」

「うるせぇっ」

 緩みきった空気の中、誰かが後ろを通る気配がする。ウィルフレッドが視線だけでそれを追うと、軽い口笛を吹く。通り過ぎたのはドレス姿の金髪の女性で、中々の美貌の持ち主。すぐさま声をかけようと思い動き出そうとし―――止まる。

「ウィル、ナンパしないのかい?」

「というよりも私がさせるわけないだろう」

「……危ねぇ、危ねぇ、もう直ぐで露出狂に話しかけるところだった」

「とりあえず誰の事かは解ったけどせめて名前で呼んであげようよ。ね?」

 ウィルフレッドの言葉に呆れながらもユーノはそうか、と呟き金髪の女性、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンが去って行った方向へと視線を向ける。

「そういえば今日は機動六課が来てたんだっけね」

「俺としてはなるべく会いたくない。戦闘狂に露出狂に砲撃中毒。今日はフルメンバーなんだろ? 誰がこんな見えすぎた地雷を踏みにいくものか……俺だってナンパする相手を選ぶさ!」

「君、なのは達にだけは凄い辛辣だよね……何か恨みでもあるの?」

「ある!」

 即答していた。両腕を組むと偉そうに胸を張り、

「一時期カリムに頼まれて一緒に行動してたけど、周りの局員の目が嫉妬ってレベルじゃねーぞ! あの殺意の視線はもう浴びたくない」

「あぁ……そうだね……」

「有名人だもんね、なのは達は」

「お気楽に適当にがモットーが俺なのになんで四六時中常に奇襲を警戒しなきゃいけねぇんだよ。襲ってこないのは解ってたけど、肩を組んだだけでデバイスに手を伸ばしてたぞ」

「いや、それ確実に挑発してただろ」

「まぁ、確かに楽しんでたけどさ。スキンシップとか」

「普通に通常営業ではないか。ふんっ」

 過去の所業に呆れたのかクゥーニャが軽く脛に蹴りを食らわすが、ウィルフレッドは笑顔を浮かべたままだ。ユーノもヴェロッサもどちらも呆れた様な表情を浮かべ、そしてそこでヴェロッサが腕時計に視線を移す。

「ユーノ先生、そろそろ時間だよ」

「え、もうそんな時間? 時が経つのは早いなあ。それじゃ、ウィルもクゥーニャもヴェロッサも今日はよろしくね」

 そう告げ、ユーノは奥へと歩き出す。ユーノが向かう先は真っ直ぐ、オークション会場であるイベントホールの裏手、待機部屋だ。 オークションが開始されて直ぐにユーノの出番が来るわけではないが、それでも待機してもらうのが警備上都合がいい。ユーノが去っていったところで残されたのはホテルのロビーにいた三人となった。去って行ったユーノの背中から視線を剥がし、ヴェロッサがウィルフレッドとクゥーニャを見る。

「で、何か収穫はあったかい?」

 聞いてくるヴェロッサに対してウィルフレッドが無言でポケットの中に手を入れ、そこから小さい何かを取り出す。ヴェロッサがそれを見て少し呆れた様な表情を浮かべる。ウィルフレッドの手いっぱいに乗っているのは小型の機械だ。

「それ、盗聴器だよね? 良くそんなに集まったね」

 盗聴器。普通ホテルに設置されるような物ではない。魔法至上主義の現代社会としては見ることはめっきりなくなったが、それでもその価値を解る人間は使う。実際魔力とは万能の物質であり、盗聴器の役割を果たすことが可能だろう―――ただし盗聴されているという事がバレるリスクと引き換えに。魔力の逆探知、発見、それ自体はそう難しい事ではない。普通に歩いていても魔力を感じ取ることは可能だ。

 だからこその機械だ。

 仕掛ける、という点では大変だろうが魔法が発達してしまった現代、盗聴器への警戒は大きく下がってしまっている。そのため一度仕掛けれれば中々見つけられないと言う事態が発生する。電波の逆探知といった技術もかなり発達はしている。一度盗聴器の類を見つければそこから逆探知し、その大元が何処か見つけ出すことも可能だろう。だが態々盗聴器を設置することを選ぶほどの人間が逆探知される愚を犯すことはほぼ無い。

「こういうやり口の方は慣れてるからな。幸いウチのワンコはこういう除去にはうってつけだからな」

 クゥーニャが胸を張る。

「もっと褒めてもいいぞ」

「調子にのんな」

 そのまま盗聴器を握りつぶす。軽い金属がひしゃげ、破壊される。粉々となったそれをウィルフレッドが床に捨てる。

「うーん、何か嫌な予感がしてきたね」

「ロッサ、今日のオークションって確かロストロギアが出るんだよな? 出品リストは?」

「ちょっと待ってくれ」

 ヴェロッサが懐から携帯端末を取り出すとそれを操作しだす。ウィルフレッドも自身の携帯端末を取り出し、ヴェロッサが送信したデータを受け取る。ヴェロッサから受け取ったオークションの出品リストを確認する。そのほとんどが暴走などの危険性のないロストロギアで、美術的価値の高い品物ばかりだ。既にユーノのコメントと鑑定結果が記載されている辺り、これは関係者専用のデータなのだろう。

「どう、気になるものはあった?」

「んー、気になるのはあんましないな。どいつもこいつも魔力反応の低いもんなんだろ? お、ヴェロッサ」

「何か興味が湧くものでも見つかった?」

「この"魅惑のビスチェ"ってカリムに着せたら似合わねぇか!?」

「真剣に仕事しろ貴様!」

 クゥーニャの強い蹴りが脛に直撃するが、ウィルフレッドは堪えた様子すら見せない。ククク、と軽い笑い声をかみ殺しながら携帯端末の電源を切る。そして真顔をヴェロッサへ向け、

「駄目だ、解んねぇ。謎解きとかは基本的にセルマの仕事だから俺じゃ無理だ。ほら、俺って基本的に脳筋族じゃねぇか。ナンパする時以外は」

「それは凄く都合のいい脳筋だね」

「だろ? ともあれ、このオークション。どうやらただで終わりそうにはないぜ。うわぁ、めんどくせぇ。なぁ、今から帰っちゃ駄目? どう考えてもこれ襲撃の下準備だよな。セルマに"ネトゲ"ってもんに誘われてるからちょっと参加したいんだけど」

「私の男なら少しは気合を見せてみろ」

「俺もザッフィーみたいに女性になでなでされる愛玩動物ライフを過ごしてぇよぉ……」

「すっごい切実な声だけど今日ザフィーラ来てるからね? 聞かれたら確実に噛まれるだけでは終わらないからね? ……ともあれ」

 ヴェロッサが真剣な表情を取る。

「どうする?」

 ウィルフレッドも会話が真面目な部類に入ったことを察し、軽く姿勢を正す。

「ま、会場内の事は気にしなくていいだろ。なのは、フェイト、はやて。三人揃っただけでも会場の警備は異常な程に強固だ。アグスタ外周は森林地帯が多くて伏兵するには丁度いいけど、機動六課全員で来てるんだろ? 会場内とアグスタ外周は全く問題ないだろうよ」

「じゃあ出番はないのか?」

「いや、俺だったらアグスタに直接乗り込む」

「可能なのか?」

「可能だな」

 ウィルフレッドがタバコを吸おうと思って懐に手を伸ばそうとした所で、現在位置がホテルの内部だということを思い出し、諦める。あとで喫煙室かどっかタバコを吸う事の出来る場所へ行こうと誓い、言葉を続ける。

「召喚術だ」

「召喚術? てっきり転送魔法かと思ったけど」

「お前、高級ホテルは基本的に転送魔法が出来ないようにできてんのは知ってんだろ? だから召喚術だよ。結構マイナーな魔法で使い手も多いとは言えない。だけどありゃあ契約さえしてれば自由に召喚、逆召喚を可能にするんだよ。ちょっと骨だが小隊の人間全員に契約するとするだろ? あとは召喚術で直接全員目的地にぶち込めばいい。ほら、転送魔法なしで奇襲成功。俺だったら召喚術師を数人集めて質量兵器持たせてそうするね。一番楽だ」

 何より、とウィルフレッドが言葉を付け加える。

「なのは達は甘い。ドレス着てて解ったがありゃあ暗殺とか奇襲とかそんなの気にしてないだろ。バリアジャケットの展開中に頭にズドーン。これで命は終わるってのに着飾るかねぇ、普通。俺はとても怖くてできねぇよ」

 その言葉にヴェロッサは苦笑する。その言葉を放ったウィルフレッドもクゥーニャもとてもだがバリアジャケットを展開しているようには見えない。だけどそれは間違いだ。バリアジャケットを展開していないように見えて実は既に展開しているのだ。

「君達は"常に"展開しているものね」

「うむ。常在戦場の心得だ。常識だな」

「いや、常識じゃないよ。君たちの常識が本当に常識だったらミッドは今頃崩壊しているよ」

「ま、そりゃどうだっていい事だ。とりあえずロッサにはユーノの周りを頼む」

「解った。君達は?」

「俺とクゥはアグスタの怪しい場所をうろついてる。外に関しては六課を利用させてもらおう」

「うわ。あくどいなあ……けど解った。そうするよ。まあ、僕はそんなに強くないから戦いになったら時間稼いでさっさとはやて達にパスするけどね」

 そう言って苦笑するヴェロッサ、彼に向かって新たな声がその場に加わる。

「―――私に何をパスするって?」

 声のした方向へ一斉に顔が向く。そちらからやって来るのはドレス姿の茶髪の女。特徴としては脇に魔導書を抱えていることだろう。普段は見れない化粧された姿を見て、ウィルフレッドが呟く。

「馬子にも衣装か」

「だから何でオドレはそんな言葉ばかり知っとんねん! しかもそれ超失礼や!」

「悪い。ポンポコにも衣装か」

「悪いと言いつつ悪いと思ってすらないやろ!?」

 八神はやて。なのはとフェイト、この二人に続く機動六課最強の人物がドレス姿でそこに現れていた。はやてがその場にいる三人を見渡すと軽い溜息を吐く。

「なんや、また何かやってるんか?」

「趣味と実益を兼ねたバイト。中々の美女がオークションに……」

「はいはいはいはい。駄目人間は黙ろうね。もう誰もここにいる理由を疑わんよ」

「俺の扱いがひでぇ。まるで俺が駄目人間のようじゃないか」

 心底呆れた目をウィルフレッドへと向ける。

「今駄目人間って明確に言ったはず何やけど?」

 その言葉を軽く聞き流しながらウィルフレッドは明後日の方向へ顔を向けていた。

「あぁ―――何て綺麗な天井なんだ」

「うん。ウィル? 流石にそれは無理があると思うんだ」

「この阿呆が。真面目にやらんか」

 ウィルフレッドが頬を掻きながらはやての方へと向き直る。やはりその呆れた視線はまだ向けられており、ウィルフレッドに対しての評価が改めて解る。

「ま、今回は許したる」

「チッ、ポンポコの分際で胸を張りやが……あ、ごめんな……その……」

「おい、人のどこを見て申し訳なさそうな顔をしてんねん。おい、ちょっとこっちの顔を見ろや。フェイトちゃんやなのはちゃんがおかしくて私は普通なんやって! 本当におかしいのはあの二人の成長だけなんやって!」

 その様子を眺めていたクゥーニャがはやての胸と自身の胸を見比べ、自身のを少し触れて持ち上げてから、再びはやての胸に視線を移し、

「―――フッ」

「おい、今このチビどこを見て笑いおった? おい、なんやその勝ち誇った―――胸を張るな! 私だって好きでこんな体型やないのに! なんやこの仕打ち! 何でこの人格破綻者共は出会うたびに人のコンプレックスとか平気な顔して突くどころか遊び始めるん!?」

「だって妙に冷めたフェイトや砲撃カウンターしてくるなのはよりはリアクションが面白いし」

「私は純粋に見下してるだけだ」

「おい、この外道騎士共オドレら本当に騎士か」

 笑顔のまま青筋が浮かび始めるはやてをヴェロッサが落ち着かせようとし、クゥーニャとウィルフレッドは知らん振りをする。数秒かけてはやてが落ち着いてきたところで時計に視線を落とす。

「ってやば、もう十時半やないの。私もういかんと」

「おう、頑張れポンポコ」

「胸がなくても生きていけるさ」

「待ってろよ、何時か絶対見返したるから。そんじゃロッサ、またな」

「あぁ、はやても仕事頑張ってくれ」

 はやてがドレスのスカートを少し持ち上げ駆け足で去って行き、その姿を三人で見送る。完全にはやてが廊下を曲がりいなくなったところでウィルフレッドがサングラスを取り、ポケットから布を取り出しそれでレンズを拭く。

「ま、これで十分に話をそらせただろ」

「そうだね。……とりあえずは僕ももうユーノの所に行くから」

「うむ、頑張るがよいヴェロッサ」

「あぁ、またね」

 ヴェロッサが背中を向け、ユーノが向かった方角へと歩いて行く。

「んじゃ、俺らもぼちぼち始めますか」

「うむ。どこまでも付いて行くぞウィル」

「いや、あのぉ……クゥーニャさん? 効率的に考えて団体行動より単独行動の方が効率的なんですが……」

 クゥーニャが両の腰に手を当て、胸を大きく張る。その雰囲気は物凄く偉そうだが、

「知ったことか」

 言ってる事はとても幼稚だった。

「だよなあ。……そんじゃ適当に歩き回りますか……」

「うむ、デートだな。終わったら部屋を借りてシッポリと行こう」

「それ、男のセリフだからね? 解ってるよね?」

 緩い雰囲気に包まれた中で、騎士二人のホテルアグスタオークションが開始される。
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