陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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あの人にあの人をぶちこんでみた

 名前繋がりという非常にくだらない繋がりですけど、そんなわけでポツっと誰かが零したネタを即興で書いてみました。プロット練ってないので色々とアレな部分はありますが、リハビリ用なのであしからず。


 人生ってのはとことんくだらねぇ。

 縁側で”オヤジ”の横に座りながらそんな事を思う。本来ならここでタバコの一本でも吸いたい所だが、そんな事もこんな若い体ではどだい無理な話だ。タバコを一本でも吸ってみろ。ゲンコクがとんでくるだけだ。

 浴衣に身を包んだオヤジは手にうちわを握り、軽く自分自身に風を送っている。だがその姿は酷く漬かれている様に見えるのは何も間違っていない。実際、この男は疲れている。生きる事に、そして人生に。もうどうしようもなく、疲れてしまっている。

 ”あの連中”程ではないが、それでもこの男の目も―――。

 だがそれも昔。あの火災の中で俺を拾った事で俺は命を救われ、そしてオヤジも自分のアイデンティティーを見つけ出す事に成功した。人間というのは非常に面倒な生き物で、衣食住よりも最初にメンタル的な部分で満たされていないとまともに生きる事の出来ない欠陥生物だ。

 このオヤジは、その欠陥を何とか埋める事が出来た。だからこそ、寸での所で自身を保って、今、終わりを迎えようとしている。

「あぁ、タバコが欲しいなぁ」

「君にはまだ早いよシロウ」

「その言葉にゃあ聞き飽きたんだよ」

 結局のところ口にするだけで全く手を出さない辺り、俺も相当律儀なもんだと思っている。まあ、それも仕方がないか。俺は今、非常に嬉しい。いや、嬉しいが正しい言葉なのかどうかわからない。だが確実に”勝利した”という実感が体を駆け巡っている。あのくそったれな現実に打ち勝ったと、そういう実感が存在する。

「で、よお、オヤジ。もうダメなのか」

 横でうちわを扇いでいた腕の動きが止まる。

「解るのかい?」

「結構露骨だからな」

「これでも結構上手く隠せてたつもりなんだけど―――」

「あーダメダメ。超下手。むしろ何でそれで隠せてるの? ってぐらいへたくそ。お前無理に笑おうとして笑顔引きつってるんじゃねぇかよ。そりゃあガキにだって解るわ」

「僕としては君の減らず口を直せなかった事が一番の後悔だよ」

 男が―――衛宮切嗣が諦めたような、呆れたような溜息を吐く。それに対して俺は短く笑う。今更な話だ。お前がどうこう言われてもどうにもならない様に、俺も何かを言われて今更変わるような生き物ではない。俺も、お前も、どちらも正しく人格破綻者で求道者だ。

「死ぬまで馬鹿なやつがどうにかなるかよ」

「ははは……それもそうだね」

 そう言って、切嗣は再びうちわを握る手を動かす。その動きは先ほどよりも格段に弱くなっている。もう、切嗣の体に命が残されていないことは明白だった。

「んで」

「うん?」

「遺言ならきいてやるぞ」

「うーん」

 俺の言葉に切嗣は困ったような様子を浮かべ、そして苦笑する。

「特に言い残す事はない、かな。僕が教える事なんてほとんどなかったし」

 遠くを見ながら、衛宮切嗣は語りかけてくる。

「起きたら元気だし。銃を知らない内に握ってるし。タバコを吸おうとするし。お酒を飲もうとするし。同年代との友達は作ろうとしないでヤクザの事務所へ行くし―――ほんと、本当に君には苦労させられたよ」

「悪くなかったろ」

「あぁ、悪くなかったよ……」

 切嗣のうちわを握る手が弱くなる。もはや腕は動かされていなかった。その姿を横目で確認すると、正面だけを見る様にする。この男も、真直ぐと自分の終わる瞬間を見てもらいたいとは思わないだろう。だから、前を見る。この男には大きな借りがある。

「なあ、士郎」

「んだよ」

 一瞬戸惑ってから、切嗣は口にする。

「僕は……正義の味方になりたかったんだよ」

 正義の味方なんてテレビだけの存在だ。現実的に言って、全てを救える存在なんてありはしない。不可能なのだ。そしてこの男、衛宮切嗣は目指してしまった。憧れてしまった。なろうとしてしまった。そして、その結末の果てが―――この”ザマ”なのだ。戦えない、救えない、腕を伸ばせない。

 だけど、

「いいんじゃねぇか。少なくとも、お前は俺の正義の味方だったぜ」

 その言葉に―――

「―――あぁ、安心したよ」

 衛宮切嗣は笑みを浮かべ、

「あとはよろしく頼む……―――」

「おう」

 うちわが、静かに指の間から抜けて地面に落ちた。それを眺める事無く空を見上げる。この瞬間だけはタバコを吸いたくなる気分を押し込めながら、再び小さく”おう”、とつぶやく。

「あん時俺達は勝った。確実に勝っただけどこうやってまた俺が”俺”でいる事にゃあ意味があんだろ女神さんよ。おぉ、任せな。俺は天才だからな、何だってやってみせらぁ。俺達は何時だってそうやってふざけながら真面目に生きてきたんだ」

 そうだよな、

「蓮」

 あぁ、そうだ。

「この衛宮士郎に―――」

 そして、

「遊佐司狼に任せな、親父」

 遊佐司狼、衛宮士郎としての生を得る。
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| 短編 | 20:24 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

やべぇ見てぇ、続きが"超"見てぇ。
この場合アーチャとか他の鯖どうなんだろ?
登場人物たちとの関係とかすげぇ気になる。

| 日の丸 | 2013/02/02 21:31 | URL |

ガンナーなアーチャーが降臨するわけですねわかります。
にじふぁんの時のクロスネタを思い出します。

| 椎茸 | 2013/02/02 21:53 | URL |

以前にじふぁんの活動報告で零していた士郎の司狼化ですか。
断頭とのクロスが最早懐かしく思えます…。

| reficul | 2013/02/02 21:57 | URL |

うぉおお!!続きが気になるこの展開!!

| ガリバー | 2013/02/02 23:43 | URL |

なんてこったいw

| アル | 2013/02/03 12:43 | URL |

うっはぁw これはものすごく見たいです! 難しいかもだけど短編ででもいいから続きを見てみたいっす!!

| ossann | 2013/02/06 17:38 | URL | ≫ EDIT















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