陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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Night, Knight and Light

「んで、どうなんよ」

 横に座る、麻帆良の表向きの最強戦力に向かって臆する事もなく絡む。つまり、高畑・T・タカミチに絡む。

「どう、って?」

「おいおい、しらばっくれんなよ。どう? つったら今超話題になってるハイパー天才少年の話しかないだろ。今アッチ関係のんいんげんが頭揃えて話すと言ったらそれについてしかないだろ。という俺、お前がそこまで察しが悪いとは思わなかったぞ」

 そう言いつつ焼き鳥に被りつく。塩のきいた焼き鳥が焼酎に合う。これの味を理解できないやつはガキだ、というのが持論であり、教わった無駄知識の一つでもある。だがこうやって少し歳を取って、色々手を出せる様な年齢になってみると、やはり俺は不良彩度の人間らしい。タバコと酒なしじゃ生きられないからだ堕。まあ、だからといってなしじゃあ生きられない、というレベルにジャンキーというわけではないが。

 横で焼酎のコップを持つ友人の玖錠正太郎が嫌そうな顔をする。


「お前、俺といるときはいいけどその芸風引きずったままあまり他の奴の相手をするなよ?」

「なんだよ、嫉妬かよ正ちゃん」

「ちげぇよ。テメェの相手をできるのが俺だけって事だよ、ばぁーか」

 ほのかに頬が赤い事を考えれば麻帆良へ来てからの付き合いである我が友人はしっかりと酔ってらっしゃるようだ。この中に酒豪はいないのだから飲むペースを落とすべきなのかもしれないが、そんな気はしない。横に座る親友の肩を組んで、タカミチへと視線を向ける。

「どうよ、俺達こんなにも愛しい合っているんだぜ」

「消えろホモ」

「君たちは本当に仲がいいね……」

「一緒に就職するぐらいにはな!」

 気分が結構いい事もあって、笑い声を上げる。まあ、タカミチもそこまで困った顔をしてないし、元学生だった俺らとこうやって一緒に酒を飲む様な年齢になったなぁ、と少ししんみりしているだけなのかもしれない。個人的にそこらへんしんみりせずに受け入れ、そして楽しんだ方が人生は得だと思っているが、考えなんてものは十人十色だ。それこそ数えきれない程の思想がある。それに巻き込むのは迷惑ってやつだ。

 まあ、そんな事を言っている間はどちらかというと寂しい求道タイプなのかもしれない。

 まあ、話が大きくそれてしまった。

「そ・ん・な・こ・と・よ・りぃ! おいおい、話から逃げないでくれよ、高畑セ・ン・セ!」

「少し控えめに言うけど今の君相当気持ちの悪い言い方だったよ?」

「知ってる」

 知っててワザとやってるんだよ。挑発は挑発で立派な戦術の一つだ。話術としても大事な要素の一つだ。まあ、今のは別に話術でもなんでもなく、ただたんに酔った勢いで言っているだけなのだが。こういう席では真面目に話すなど馬鹿馬鹿しい。全て酔った勢いにして空回りしつつ笑って馬鹿を話せばいいのだ。

「で、ネギ少年とはどんな少年だったんだ? ホモ? バイ? ロリコン? やっぱり変態?」

「確かにナギさんが凄まじいレベルで人間を止めていた事は認めよう。だからといってネギ君があんな年齢から凄まじい変態である事の証拠にはならない」

 タカミチのその言葉を聞いて、夜空を見上げ、それから今度は正太郎を見る。

「なあ、どう?」

「俺からすると女子高の先生ってだけで結構キテると思う。ショタ属性なんか食われてナンボだぞ」

「それ以上いけない」

 タカミチがストップに入る。まあ、常識的に考えてタカミチが普通に十歳の少年を教師として認めるわけはないし、ついでに言えばそれを安心してみているわけでもない。それ位常識を持って考えれば解る事だ。ネギはネギ・スプリングフィールドであって、ナギ・スプリングフィールドではない。本人が違う人物である以上本人になる事は不可能であって、そして常識的に考えてそれは誰もが知っている事実だ。

 論ずるに足らない。

「どーせメガロメセンブリアの方からの圧力だろ」

「元老院は何時も黒く手本当に困るよ。クルトがもう少し頑張ってくれればいいんだけどなぁ……」

 そう言って手で顔を覆うタカミチの姿はどこからどう見ても年相応のくたびれたオッサンだった。

「僕も何もネギ君には全く期待していないわけじゃないよ? 確かにネギ君とナギさんを重ねてるところはある。そこには非常に申し訳なく思ってるし、駄目な事だと解っている。でもネギ君はね? ナギさんとは違って頭は出来ているし、勉強できているし、あの年で教師としての修行を選ばされるだけの才能はあるんだ。ほんと、なんでナギさんからあんないい子が産まれたか僕は解らないよ……」

 駄目だ、タカミチの言葉がぼろぼろだ。これはかなり重症なのかもしれない。無言で正太郎がコップに酒を注ぎ、それをテーブルの上でスライドしてタカミチの前へと渡してくる。

「女顔の癖にやるじゃねぇか」

「お前基本的に喧嘩売ってるだろ」

 何故解った。

 と、まあ、そこでタカミチの姿を見る。冗談抜きにこの男は頑張っていると思う。魔法を使うことができないという体質を持っているのに、それを乗り越える為にひたすら体を鍛え、あこがれの英雄に届く様に実力を今でも磨き続けている。エヴァンジェリンもタカミチを一種の天才だと認めていた事を話していた気がする。そうそう、そういえばそうだ。エヴァンジェリンが誰かを褒める事など珍しいから覚えていた。

 まあ、とにかくタカミチは年齢以上の苦労をしている。どう見ても三十代後半にしか見えないこの男は”地球”の数えで言えばまだ三十になったばかりのはずだ。それなのに若干老けて見える、というより加齢しているのは確実に”どこか”で力を求めた結果なのだろう。世の中は常に求めるものに対して薄情であるような気がする。

 それでも……。

「救いがある分まだまだマシなんだろうな」

「おい、どうしたんだよ空なんか見上げて」

「いや……」

 素晴らしい治世だ。俺でも解る。母の様に全てを抱きしめてくれているわけではないが、感覚的に”いる”事は解っている。この世界の仕組みは教えてもらている。自分の手が届く領域ではないし、一生届く場所でもないだろうが、その仕組みだけは教わっている。両親の後継者なのだ。思うところはないわけではない。が、

 何時かあって感謝の言葉だけでも伝えたいとは思う。

「あん? んだよ」

「正ちゃんはいいなぁ、って思っただけ」

「あぁ?」

 まあ、それは無理だろうと思うから、麻帆良に来て以来の友人の世話焼き、焼かれながらそこらへんの気持ちは整理する。まあ、死んだら自分も閻魔様の裁判にかけられるのだ。その頃には閻魔様がストライキを起こしていない事を祈ろう。何でも閻魔様がソロで一番仕事しているのが今代の座という場所らしいし。

「う、飲みすぎたか……?」

「テメェ飲みすぎなんだよ。少し水でも飲んで落ち着きやがれ。おい、オッサン! 水!」

「やだ、正ちゃんマジ正妻」

「黙って水飲めよ」

 焼き鳥屋台の店主から水を渡され、それを一気に飲む。やはり調子に乗って少々飲みすぎた感じがある。水を飲むと少し頭が冷えるのを感じる。だが酒によって頭が熱を持つあの感じ、正直な話嫌いではない。酔っていると楽しかった昔を思い出せる。いや、今も十分たのしい。だが俺の至高の時間というのは何時も過去に存在し、現代はその絶頂期の後の緩やかな減退期でしかないのだ。たのしいには楽しい、が、

 やはり、逢いたい。

「次の休み……かな」

「あん?」

「いや、次の休みにまた新世界への入国許可を貰って、行こうかなぁ、と」

「お前、また行くのかよ……」

 そんな風に呆れた表情を浮かべて正太郎が言う。こいつは何を言ってるんだ。

「お前も来るんだよお前も」

「はあ!? 何でおれがテメェなんかと色もない旅に出なきゃいけねぇんだよ!」

「なにガチギレしてんだよお前! お前そんな事言いながら基本ツンデレだろ? 毎回ブツブツ文句いいながら一緒に俺の世界旅行に付き合ってくれてんじゃねぇか!」

「テメェ、それは言っちゃいけねェことだろうが! つか前回は遺跡の崩落に巻き込まれて死にかけたじゃねぇか! なにが”腐らせたらいけるんじゃね?”だよ! 遺跡が腐ったよ!」

 あぁ、アレか。そう言えば遺跡の謎解きが面倒になって壁を腐らせて穴を開けようなんてことをしたな。

 確か出力間違えた遺跡全体を腐らせたんだった。

 やっぱりイケメンじゃないと十全にアレは使えないのだろうか。

「どうでもいいけど、イケメンってだけで説得力ってがるよな」

「本当にどうでもいい話だな!」

 荒い息を吐き出しながら肩を上下する親友が溜息を吐きながら椅子に座る。まあ、これを見てればかなり付き合いのいい友人だという事が解る。俗に腐れ縁とも言える関係かもしれない。これでこいつが女顔じゃなくてリアルに女だったらフラグお一つや二つでも立つところなんだろうが……。

「はぁ……お前男止めて女になれよ。俺のフラグの一つでも寄越せ」

「お前酔ってるんだろうけど殴り殺すぞ」

「何でこんなにも俺もお前も女っけがないんだよ……」

「うるせぇ。俺はあるぞ」

 こいつは何を言ってるんだ。

「三か月以上持ったことはあるのか?」

「テメェこそどうなんだよ」

 俺も一ヶ月以上恋愛ごっこが長続きした事はないな。学生時代は結構そういう空気が流れる事もあって、告白したり、されたり、そんな事をしていたもんだが、卒業して社会人になった途端パタリとなくなってしまった。

「高畑先生は……あぁ、言わなくてもいっか」

「まて、それはどういう事だい……?」

 いや、だってさ。

「どこからどう見ても源先生を―――」

 それ以上の言葉をタカミチの笑顔、そして何よりもポケットに入っている手が止めている。というかタカミチもこれ結構酒が入っているだろう、と思う。この男、本来はここまで攻撃的ではないはずだ。やっぱり酒の魔力は恐ろしい。

「つか俺達に女ができないのはアレだ。学園にいる女が悪い」

「そうだな」

「君たちはなんて恐ろしい事を言うんだ」

 タカミチが怖いもの知らずを見る様な、そんな恐れた目を向けてくる。だが実際そうだ。

「刀子」

「必死過ぎ」

「ぶっ」

 俺が上げた名前に正太郎が感想を言い、そしてタカミチが感想に笑い声を漏らした。これは後で絶対に本人に言うべきなのだろう。

「シャークティ」

「潔癖すぎ」

「あぁ、それは納得できるなあ」

 俺達結構ダメだなぁ、と思いつつも次に移る。

「偶にしか来ないけどドネット」

「仕事に生きすぎ。瞬が過ぎてる感」

「うんうん」

 そこは頷いちゃ駄目だろ。じゃあ最後。

「最年長のエヴァ子さん」

「貧乳金髪ロリ。論外」

「君たちは怖いもの知らずだなぁ……」

 お前も否定しない辺り同罪だぞ?

 英雄の卵が赴任した夜、特に仕事もない、襲撃もない夜。

 こうやって馬鹿ができるのはやはり、嵐の前の静けさ、というやつなのだろう。
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