陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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辺境 ―――ナイト・ナイト

推奨BGM:Nacht der langen Messer


 ユージオと一日の伐採作業を終わらせて帰路につく。今日一日でユージオからは色々と貴重な事を知る事が出来た。情報としては非常に有益だったと言える。禁忌目録、ユージオの過去、アリスという少女の話、青薔薇の剣、そして逃れる事の出来ない天職。この世界、そしてユージオを理解する上では必須とも言えるべき情報が自分の中では汲み上げられていた。

 無言のまま、ギガスシダーからの帰り道を歩く。空は既に暗い。

 俺の予測が正しければ―――ユージオが言っていた禁忌目録とは一種のシステム的なルールだと思う。そして、それによって課せられている天職という、労働をしなくてはいけないルール。これがユージオをこの地に縛っている。間違いなくユージオはこの地から解き放たれたいと思っている。だが、天職がある以上それは不可能だし、ユージオにはそれを主張するだけの強い意志が存在しない。何故か解らないが、俺にはユージオならそれだけの意志を持つことができると確信している。そしてそれを生み出すための切っ掛けも必要だと考えている。

 あとは……そうだ。情報だ。正樹がシステムコンソールや周辺に関する情報を色々と集めてくれているはずだ。それと俺の集めた情報を合わせ、そこから判断を進めよう。幸い、本当に厳しくなったら心意を使えば如何様にもなる―――まあ、ヒースクリフに聞かれれば激しく怒られそうなことだが。


 だが手段を選べる立場ではないと言う事も十分理解している。だがまだ余裕はある。そう、余裕は。余裕とは大事な要素だと思っている。それが桐ヶ谷和人の”らしさ”に直結するのと同時に、余裕というファクターは人間の心に対してある種のリラクゼーション効果を与えてくれる。それは緊急時において判断を緊張と焦りのせいでミスらないって効果がある―――と信じている。まあ、信じているだけなのだが。ただ自分らしさを失うのはどこへ行っても嫌だ、とは思っている。どこまでいっても自分らしく。自分らしくいれば、どこかで判断を間違えても悔やまずにはいられる。それが自分らしさというものだと思っている。

 ともあれ、

「なあ、ユージオ」

「なんだいキリト」

「俺は、お前を絶対にこの村から連れ出してやる」

「ははは……ありがとう、でもそれは無理だよ。僕にも、君にだって。確かに≪龍骨の斧≫をあんなに軽々と振るう人は初めて見たよ。だけど見たでしょ? キリトでさえたったあれしか伐れないんだ―――僕は一生ここからは動けないよ」

 ユージオの声は諦めのそれだった。完全に仕方がないと状況を受け入れ、そして考える事を止めている。システムの一ピースとしての存在を認め、そこに組み込まれている自分に疑問を欠片も持っていない。なんて情けない。

「いいか、ユージオ」

 ユージオの前に出て、立つ。ユージオも俺も歩くのを止め、

「俺って言う男はな、たぶん……いや、ものすっごく諦めが悪い不良なんだ。やるって決めたらやる。成すって言ったら成す! それが俺、キリトである事の証明なんだ。だからユージオ……俺はお前の夢を絶対に叶えてやる。気合と根性であのふざけた木をへし折って、お前と、正樹と一緒に行くんだよ」

 ユージオは困った様子を浮かべ、どこへ、と聞いてくる。

「決まってんだろ。整合騎士ってのは中央にいるんだろ? じゃあ乗り込むんだよ―――中央へ」


                           ◆


 広場へとやってくるとそこには地図を片手に持っている正樹の姿があった。どうやら俺達の事をそこで待っていたらしい。そこで合流すると、ユージオが片手を揚げる。

「じゃあ、僕はこれで帰るよ。……また明日ね」

「あぁ、また明日」

「パンありがとうな」

「とんでもない。何時もお金が余ってたからどう処分するか困ってたんだよ……木を伐ってるだけの人生だし、ね」

 そう言ってユージオは自分の家へと去って行った。朝とは少々違う感じのユージオに正樹は少し驚いてから、そして小さく何かを呟いている。聞こえはしないが、その様子から正樹も中々有益な情報を得たように思える。となると、

「そろそろ教会に戻ろうか? ご飯に遅れたらセルカに怒られるぞ」

「そりゃ怖いね」

 教会で世話を焼いてくる年下の少女の怒りが怖いので、無駄話をせずにさっさと教会に戻る。広間から教会はそう遠くない。おそらく村自体がそう大きくないからだろう。ギガスシダー側の出口から村の入り口までが見える。流石中世ファンタジーの田舎、というべきなのだろうか。とりあえず教会へと早足で正樹と向かい、教会に到着した時には、入り口にセルカが立っていた。

「遅い!」

 一言そう言って、怒りを示すと教会の中へと戻って行く。確かに暗いが、そこまで遅くない……等と本来なら文句を言うところだが、正樹に視線を送ると、肩を揺らされて仕方がないアピールをする。

 あぁ、そうだな。

「微笑ましいよな……」

「うん……」

 年下の子が必死にお姉さんアピール……ありだと思う。


                           ◆


 驚く事にこの教会には風呂も存在していた。もちろん毎日入れるわけではないが、それでm入れるのと入れないのでは全く違う。中々広い浴槽は一人ではなく、一度に五人ぐらいまでなら入れそうな広さを持っている。

「この教会、見ればわかるけど孤児院としても機能しているらしいよ。前の話だけ疫病で大人が結構死んで、子供だけ残ったのを引きとったんだってさ。一人一人一々射れるのは面倒だし、全員一気に入れられるように風呂は広いんだろ」

「へぇ」

 そんな知識を披露してくる正樹は既に湯船につかっている。自分も体を軽く洗ってから、手ぬぐいを頭に乗せて風呂に入る。やはり風呂に入るのと入らないのでは全然違う。昨夜は……ぐっすり眠ったが、今夜も十分にぐっすりと眠れそうだ。と、横で肩まで湯船につかっている正樹の姿を見る。

「……なんだよ」

「いや」

 こう、じっくりと見る機会がなかったから解らなかったけど、

「意外と筋肉ついてるんだな」

 そう言われて正樹が腕を持ち上げる。かなり、ではなく控えめだが筋肉がついてるのは見える。何気に腹筋割れているし。それに比べて、自分の体を見る。SAO事件で筋肉が落ちたのをジョギングや直葉との剣道で何とか取り戻したが、腹筋割れてないし、腕細いし。筋肉ついてないし。なんというか、羨ましい。

「いや、何年も愚兄とカオスな先輩に拉致され続けたり雑用押し付けられたりされてたりすると自然とこうなるんだよ。キリトも気を付けるといいよ。クリスマスになったら”よっしゃ、クリスマスツリー調達しようぜ!”とか言ってノコギリ手渡されるから」

「……マジ?」

「マジマジ。夜通しで木を伐ってたから―――森林伐採に関しては自信があるよ」

 なんて嫌な自信なのだろうか。しかし森林伐採のプロを自称するのであれば是非とも明日、ギガスシダーを伐り倒す手伝いをしてもらいたい所だ。そしてその自信をへし折ってやりたい。

「キリトもそのうち、筋肉つくよ。嫌でも」

「最後の一言が余計だよなぁ……」

「知らないのか? ―――大魔王からは逃げられない」

「自分の兄を大魔王扱いってなんだよ」

 まあ、それに関しては全面的に同意だが。と、雑談が終わったところで、俺も肩まで湯船に体沈める。こうやってゆっくり湯船につかっていると、改めて自分がVR世界にいる事が信じられなくなる。だが現実だ。これは現実だ。ラースでアルバイトをしていたからこそ分かる、これは間違いなく再現世界で―――もう一つの現実で。ユージオにも、動物にも、全ての人にもフラクトライトが存在している。バイトの時はこんな風に接触していなかったから、世界が違う風に感じられる。

 なんというか―――無情だ。

 この世界はボタン一つで消える事が出来るのだ。全てが人口フラクトライトを元に作り上げられた人間たち、擬似人間達。全てgア管理され、監視され、そして簡単にリセットされてしまう世界。悪戯でも、事故でも、些細な理由で消えてしまうことのできる世界。それは何というか、非常に無情で、そして悲しい事だ。

 今日、接してきた人たちは確かに生きているのに。

「キリト、マサキ、そこにいるの?」

 と、無言で湯船に浸かっている俺達に対して、脱衣所の方から声がする。声の主は間違いなくセルカの声だが……女子がここまで来て恥ずかしくないのだろうか。

「誰もー」

「いないぞー」

 返事の定番とも言えるネタをやるが、どうやらセルカはそれがお気に召さなかったようだ。

「いるんじゃない。くだらない事をしないでよ。それよりも貴方達最後なんだからしっかり水を抜いてから栓をしてね。そうじゃないと穴を通してネズミがやってくるから。あとしっかり体を拭いて、頭を乾かしなさいよ」

 正樹と共にセルカの言葉に対して和んだ様子を見せる。小さな子が必死に大きく見せようとしている姿は非常に微笑ましい。特に直葉なんてそんなタイプではなかったので、経験してみると中々いいものだ。

「俺、兄じゃなくて妹が欲しかった」

「首を欲しがる妹……」

「どう足掻いても親族は妖怪にならなきゃいけない運命なのか……?」

「ほ、ほら、マリィがいるじゃん」

「義姉だし。兄嫁だし。歌が物騒だし。まともなのって俺と両親だけ……?」

 それだけまともなのがいればいいんじゃないかな。寧ろ正樹が普通とカウントできるかがあやしい。

「……」

 と、そこでセルカが脱衣所から離れていない事に気配で気づく。正樹もそれに気づいたのか黙り、肩ごしに背後の扉へと視線を向けている。俺もそちらの方向へ視線を向け、黙る。そのまま数秒間、水の音しかしない時間が過ぎ、

「ねえ」

 と、セルカが話しかけてくる。

「ユージオ……どうだったの?」

 正樹が視線を向けてくる。その視線は俺に応えろって訴えかけている。それもそうだ。分担作業で正樹が地図を使って村や周辺を、そして俺がユージオから色々と、なんだか俺だけ一方的に楽をしている気分だ。おかしい。俺は森林伐採に挑戦してたのに。

「んー、笑顔が爽やかな好青年、って感じだぞ」

 率直な言葉を言ってみると、疑問が帰ってくる。

「笑顔? 本当に?」

「いや、まあ、結構笑ってるやつだぞ。……だよな?」

 そう答えると、セルカが黙りこみ、小さい声で答えてくる。

「昔は……そうだった。昔のユージオは何時もそうだった。良く笑っていたわ、アリス姉さんがいたころは」

 その言葉にピンとくる。まだ情報交換をしていない正樹は何の話だか理解できていないようだが、それも仕方がないだろう。話は世界観というよりはユージオやセルカの個人的な問題に関する話だ。

「アリス姉さんがいなくなってユージオは笑わなくなった。なんだかいつも、何かを我慢している様に堪えて……それで毎日、悪魔の木を伐るだけの人生に進んでるの」

 セルカは黙り、脱衣所の方で動く気配を感じられる。

「ごめんなさい。私らしくなかったわね。でも今でもおもうの。何で姉さんは整合騎士に連れていかれなきゃならなかったのか、何でこんなことになってしまったのか……」

「あ、それなら知ってるぞ。ユージオに教えてもらったし」

「本当!?」

 その瞬間、セルカが勢いよく扉をあけ放ち、浴室に入り込み―――動きを停止させる。もちろん風呂の中とはいえ、俺と正樹は全裸だ。見えないが、男だ。それも年上の。その事実に気が付いたセルカは瞬く間に顔を赤くし、俺と正樹は自分の体を抱く。

「……えっちっ」

「キャアアアアアアアア―――!!」

 悲鳴を上げながらセルカは飛び出し、教会の何処かへと去って行く。呆然とその姿を正樹と眺めながら、ふと思った事を呟く。

「つか俺達のサービスシーンとか激しく誰得」

「知るか。激しく知るか。それよりもこれふぉろーいれるのひょっとしなくてもキリトだぞ」

「あ、やっぱり……」

 まあ、やはり不幸中の幸いは―――こんな状況でも、不幸を分かち合ってくれる仲間がいる事なのだろう。たぶん俺一人でこの世界へやってきたら、余裕もなく終始真剣な表情を浮かべていたに違いない。最初から横にいてくれる正樹の存在はありがたいが、

 この状況、どうやって収集つけるか。




おくれてもうしわけありません。
もうすぐだいがくなのです。
かゆ……うま……。

 ところで何で断頭では男がデレたり男がサービスシーンばっかりするの?

 もっと可愛い子の可愛い所を見せろよ……。
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| 断頭の剣鬼 | 16:39 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

>つか俺達のサービスシーンとか激しく誰得

男の娘キリトならワンチャn(どこからともなく現れたウィンデーネの細剣使いに滅多刺しにされました

| 名状し難きナニカ | 2013/01/06 13:56 | URL |

義理の姪は首を捻切ってたな…

| Y | 2013/01/06 17:47 | URL | ≫ EDIT















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