陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~不良騎士道~ 第9話 不良騎士愚痴る

「酒ぇ……」

「う、ウィル……おーい、大丈夫かーい?」

「酒を出せば勝手に蘇るだろう」

「はは、それもそうだね。どうする?」

「初めは生ビールでいいだろ? すいません生ビールジョッキで、えぇ、はい、あ、ツマミはどうする?」

「あー、まずは軽く摘める物でいいんじゃないかな」

「俺も何でもいい」

「クロノに任せるよ」


「酒ぇ……」

「んじゃあ軟骨とか適当に頼んでおくな」

「酒ぇ……」

「……本当にウィルは大丈夫なのか?」

「こいつ、同僚が帰ってきてほぼ二十四時間監視されてワイン以外は酒を飲ませてもらえなかったそうだぞ。今日は可哀想に思ったカリムの協力で来られたとか」

「アル中に何て事を……」

「いや、ウィル君はアル中じゃないでしょ? アルコールを愛してはいるみたいだけど」

「違いってあるのか?」

「多分本人には」

「酒ぇ……」

「駄目だ。燃料注ぐまではこいつ絶対起きないだろ」

「さっきも言ったが酒を出せば勝手に蘇るだろう」

「じゃ、放置するか」

「そうだな」

「それがいいね」

「俺が言うのもあれだけど容赦ないよな」

「まぁ」

「今日ばかりは階級とか立場とかを抜きにした付き合いだからね」

「こういう日もある」

「お、きたきた」

「酒! 酒の匂い! くんくん! くんくんくん! これは生身ビール中ジョッキの匂い! メーカーはハリスか!」

「凄い鼻だなぁ、おい! 匂いだけでメーカーまで当てやがった」

「これが禁酒の力か……」

「絶対見習いたくない力の一つだよね」

「お前ら! 酒! お酒様寄越せ! ハリー! ハリー! ハリー!」

「これで騎士か……」

「世も末だよなぁ」

「そんな事を言ってないでお酒を回してあげようよ。ほら、……皆受け取った?

「うん」

「おう」

「貰ったよ」

「貰ったぞ」

「きたきた」

「それでは―――」

            「「「「「「乾杯!!」」」」」」


                   ◆


 場所はミッドチルダの東区、その一角にミッドチルダでは中々見ることのない内装をした店がある。概観からしてあまりパっとしない店ではあるが、その店内にその日、何人かの男の姿が見えた。ウィルフレッド・カースト、ヴァイス・グランセニック、クロノ・ハラオウン、ザフィーラ、ユーノ・スクライア、そしてヴェロッサ・アコーズ。普段は絶対見ることも集まることもない面子がその一箇所に集まり、ジョッキを片手にぶつけ合い、そして料理を口にしていた。その中には聖王教会の上位役職者、管理局の上位局員、無限書庫の司書長等と、地位の高い人間から普通の局員などが混じっていた。だがそんな事実に一切物怖じする事無く無礼講と、誰もが笑いあっていた。

「これこれこれ! この味だ! ワインなんて認めない! アレは水だ!」

「まるで水を得た魚のようだね」

 ジョッキの中いっぱいに注がれた生ビールをウィルフレッドが一気に飲み干す。地球と言う世界の日本という国、そこの"居酒屋"と言うスタイルを真似て作られたこの店は輸入の関係もあり、若干高級店となっている。しかし高給取り数名が集まっている上に密かな"地球"ブームとなっている今、それを気にする人間は居ない。一気に飲み干した生ビールを木のテーブルに叩きつけながら店員へ向けてウィルフレッドが叫ぶ。

「熱燗よろしく!」

「早ッ」

「もういいから放っておけよ」

 早速一杯目を飲み干し、次のを頼んだウィルフレッドを横目で見、笑いながらグラスを傾ける。

「で、今日は皆どれぐらいいられる? 僕は明日は仕事だから十一時だけど」

「今日から俺ここに住むわぁ……」

「家でエイミィが待ってるから九時ぐらいかな」

「俺はすることがないから何時でもいいぞ」

「嫁持ちはいいなぁ……明日は仕事があるから十一時かな」

「僕もウィルみたいにサボりの多い仕事だからね。基本何時までもいられるよ」

 そこで店員が頼まれた酒とつまみを運んでくる。テーブルいっぱいに料理が置かれ、酒を片手にそれを皆で摘み始める。つまみと酒を飲み食いしながらウィルフレッドはこの世の幸福を味わっていた。

「うわ、凄い幸せそうだね」

「そりゃそうだ。ウチのワンコが四六時中張り付いているせいで俺、酒もナンパもギャンブルも出来ないんだぜ……? おい、解るかこの悲しみ。俺の人生の七割は酒、ギャンブル、あとナンパでできてんだ。美しい女性は愛でるべき物だと俺の脳内聖王様が言ってんだ。だから美女、美少女を愛でたり楽しくお話しするのは俺の使命だ! そう、神殿騎士第二位の真の使命とは美少女目録の作成……!」

「うん。一応僕も信徒だから言うけどさ―――黙らないと殴るよ?」

 片手で拳を握りながら脅迫してくるヴェロッサにウィルフレッドが両手を挙げる。

「勘弁してくれよ。お前ん所に預けた一番高い酒以外は全滅してんだ。これぐらいの妄言は許してくれよ。本屋へ行ったら聖書を進めるし、酒を買いに行こうとしたら付いて来てデートだといいやがるし、街へナンパに出かけたら布教を始めやがる。今まではいいんだ……今までは。だけどな、年末だぞ……? 今まで最長で一ヶ月程度だったのによ、急に年末とか……そりゃあねぇよ……」

 ユーノが苦笑しながらテーブルに突っ伏す大男の姿を見る。外見上間違われやすいが、実際はまだ二十一、ユーノと二年ほどしか年齢が違わず、まだ十分若い。最年長はもはや年齢が特定不可能であるザフィーラだが、それを抜けば妻子持ちのクロノが二十五と最年長だ。であるのに、この情けない姿を見せている男は体の大きさから色々と年齢を勘違いされやすい。本人がそれを狙っている、という所も若干見受けられるが。

「それは……ご愁傷様。もう禁酒しちゃえば」

「やめて!」

 ウィルフレッドの必死な声に笑いが巻き起こる。恨めしそうな顔をウィルフレッドがユーノへと向ける。

「いいよなぁユーノは。成功してるし」

「お前も成功しているだろうが」

 さっきからザフィーラのツッコミが妙に鋭い気もしなくはないが、ウィルフレッドはそれを無視する。

「ユーノぉ……お前、どうなんだよ」

「どうって……何が?」

 ニヤニヤ笑みを浮かべながらウィルフレッドが右手小指を持ち上げて見せる。古い表現だがその意味を知るユーノが軽く苦笑する。

「君も僕となのはが、とか言うの?」

「え、何その反応」

 今度はクロノが苦笑する番だった。

「君はアレだけ濃密な時間を過ごしていたのに今となっては若干疎遠になりつつあるからね……。なのはもワーカーホリックだし」

「ワーカーホリックか……救いようが無いね」

「ワーカーホリックとは……可哀想なやつめ」

「うん。管理局と聖王教会のサボリ魔は少し静かにしようね。君達は理由さえあれば仕事を放り出すか逃げるかのどちらかなんだからね?」

「いやいやいや、俺達は働くときは働いてるさ。な、ロッサ」

 そうだ、とヴェロッサが頷く。

「僕達はちゃんと働いているさ。ただ効率的に仕事する為に休みは必須だろ? つまりはそういうことだよ」

「何が効率的に仕事する為の休みだ。お前らは基本的に休んでしかいないだろう。どこの女子も嘆いているぞ。お前らがもう少し真面目だったら信用できて優良物件だと」

「なんでそんな事をザッフィーが知ってんだよ……」

 そういわれ、ザフィーラがてに持っている串焼きを一旦皿の上に置き、俯く。これは何かあったな、と全員の視線がザフィーラに集中する。

「俺は……守護獣だ」

 守護獣。それはベルカの言い方であり管理局、ミッド風で言えば使い魔だ。使い魔とは動物に対して魔力を込めて作成する人造魔導師の様な存在で、ベースとなった動物の姿と人間の姿へと変身出来る能力を持つ。基本的に助手を必要とする人間が生み出し、魔力を糧に生きているので主たる人物から供給が途絶えれば死んでしまう。近年では使い魔を作成し、そして気に入らないという理由で捨ててしまう事件なども発生しているのが困りどころなのだが、

「俺は……守護獣だ」

「うん。それは知ってるよ」

「決して……愛玩動物ではない!」

 一気にビールを飲み干してテーブルに叩きつける姿を見て大体事情を把握した。使い魔はミッドではそれなりにメジャーな存在ではある。メイドとして、執事として生み出す人もいる。だが、人間並みの知能を持つ愛玩動物として見る人も確かにいるのだ。

「ザッフィー、お前人型になってるか?」

「いや、こういう日以外は基本的に主に負担をかけないために狼の姿だ」

 それが原因だよ……とは誰も決して口にしない。

「あぁ、だけど」

「何だ?」

 ヴァイスが口を開く。

「たぶん……人型にならないし殆ど喋らないから守護獣って事自体忘れられてるんじゃ?」

 その言葉にザフィーラが一気に黙る。

「俺は……もう少し自己主張したほうがいいのだろうか」

「もう少しっつーか……」

「もう既に影が薄いと言うか……」

「そうか……そうか……影が……薄いか……」

 ザフィーラがどんよりとした空気をかもし出しながら店員に熱燗を頼む。おそらく機動六課へ帰ってから自分の影の薄さを克服する何かしらのアクションを取り始めるだろう。とりあえずその結果が楽しみだと思いつつも各々が料理と酒を楽しむ。


                   ◆


「いや、マジ、本当にどうでもいいことだけどさ、バリアジャケットの変身シーンってエロイよね。露出狂のケがあるのじゃねぇかとマジで疑うけどさ。何かこう、体のラインが見えてさ、デバイスによる発光処理で見えないけどラインしか見えないのがまた……っこう、解るだろ!?」

「あ、解る解る。俺思わず凝視しちゃうもん」

「君達は欲望に素直だなぁ……まぁ、見るけどね」

「欲望に素直だね。うん。見るけどさ」

 午後から開始した男達の集いも段々と時間が過ぎるにつれ、その内容等を過激化させている。最初は妻への罪悪感があったのか控えめなクロノも、酒が十分に入ったのか結構本音で話す様になり、ユーノも口が最初と比べて大分軽くなっている。ザフィーラに関しては最初の方から脱空気を図ろうと計画を真剣に練っている。元々酒の強い聖王教会出身組と、そしてヴァイスは比較的にまだ頭を保ったまま酒を飲み続けていた。

「あ」

「い」

「いや、確かにそういうのはやるけどさ、そうじゃなくて今思い出した。何故ウチの妹には男が寄り付かないんだ! あんな良い子で辛い過去を経験したのに……!」

「涙拭けよクロノお兄ちゃん」

「妹が露出狂だって事実を認めろよ」

 数杯目のジョッキを飲み干しながらクロノが立ち上がり叫ぶ。

「いいや諦めないね! 露出狂でも受け止められる人がどこかにいる! その可能性を僕は絶対に諦めない!」

「ここにいるぞ―――!」

「ウィル、お前は絶対に駄目だ」

「一瞬で素面に戻るなよ。そんだけ俺が信用ならないのかよ」

「もちろん」

 クロノはそれを真顔で言い切り、そこまで信用がないのかとウィルフレッドは倒れこむ。それを見ていたユーノは苦笑し、そういえば、と言葉を漏らす。

「なのは達の浮いた話しって聞かないよね」

「機動六課の修羅共か? ダメダメ、あいつらの結婚相手は仕事だからな!」

「それどころかはやて、フェイト、なのはに関してはレズ疑惑まで持ち上がってるんだよな」

「え、そうなの?」

「あ、それ結構ガチっぽい話なんだよな。俺、結構な頻度であの三人が同じ部屋に泊まってるのを見るし」

 くだらない話や結構下世話な話が酒の勢いからか増えていた。若干ダウンに入っているザフィーラは別として、
ユーノやクロノでさえこういう話を楽しんでいるように見えるのは結構レアな光景だ。

「百合百合六課」

「何だそれ」

 とか言いつつもテンションに任せて爆笑する。これを本人たちが聞けばおそらくこの場にいる全員がただで済むことはないだろう。

「まぁ、実際そういう類の話は聞かないよなぁ、超勿体無い」

「フェイト……フェイトから露出狂のケがなくなりさえすれば……」

「脱げば脱ぐほど早くなるって相手からしたらご褒美とトラウマの同時到着だよな。あと俺数年前になのは達を見たときさ、"こいつら数年後でもああいうデザインのバリアジャケット着てるのかなって思ってさ。今改めて見直してるけど……なんか……こう……いや、シグナムとヴィータはまだマシなほうなんじゃね?」

「おい、馬鹿! 管理局のタブーの一つに触れるな!」

「これ以上は激しく危ない気がするからウィル、黙ろうか」

「うん。俺もなんか悪寒を感じ始めたから黙るわ」

 更に酒の追加を注文しながら串焼きを口に運ぶと、そうだ、とヴェロッサが体を前に乗り出す。

「ウィル、今週末は暇かい?」

「今週末? 今週末どころか毎日暇だよ! クゥめぇ……俺の生きがいを!」

「いや、恨み言はいいからさ、暇だったらちょっとしたバイトをしないかい? 少しお金に余裕のある美女と出会う機会のあるバイトなんだけど―――」

「乗った。雇って下さいロッサ様」

「うんじゃあ今週末、ホテル・アグスタのロビーに七時に来てくれ」

 そこでユーノがあれ、と首を傾げる。

「あれ、ロッサの言っていた優秀な護衛って」

「もちろんウィルだよ。ミッドから離れないのであれば基本的に自由行動だし、安くて強い。サボリ癖を抜いたら護衛としては最高の人材だよ」

「サボリ魔には言われたくねぇよ……と、ユーノ関係の何かか?」

「うん」

 ユーノが頷くと頭をかきながら言う。

「ホテル・アグスタでオークションがあるんだけど、そこで出される品の鑑定を頼まれているんだ。一応警備とかも来るらしいけど、護衛として数人連れてきたほうがいいって言われてるからロッサに頼んだんだけど……」

「生憎僕は直接的な戦闘は得意じゃないからね。ここは脳筋族に頑張ってもらわないと楽ができないから」

「表に出ろロッサ。ナンパする時は頭を使ってる」

「仕事でも使えよ」

 苦笑するウィルフレッドにヴェロッサが本当にいいのか再度確認してくる。それに問題ない、と答えた所でウィルフレッドは自身の器が空になっている事に気づく。

「まだ夜は長ぇぜ。さぁ、次だ次! ラム酒はねぇのか ラム酒は!」

「居酒屋にそんな物あるかよ」

 呆れつつツッコミを入れるヴァイスだが、素早く店員に酒のリストを確認し、オーダーをする。日ごろの鬱憤を、思ったことを、愚痴を言い合う夜はまだまだ続く。
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| 不良騎士道 | 11:08 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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