陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

プロローグ ―――スタート・ザ・ワールド

推奨BGM:Mein Kampf
*2推奨BGM:Unus Mundus


 悔恨とは人生の友であり、決して切れぬ因果でもある。

 人生という旅路を行く者よ、その生には抗えぬ感情が付きまとうだろう。

 それらは全て愚かであれ、人生を美しく彩る絵具である。

 人とはだれもが画家である。

 故に旅人よ、筆を手に好きな色を塗ると良い。


                           ◆


 まず最初に感じたのは暖かさだった。たぶん、これは日差しの暖かさなんだと思う。目を開けないでもそれを理解できる。体を照らす様な太陽の光だ。そして、そこに軽い違和感を感じるが―――それをとりあえずは放置し、目を開ける。そうやって視線に入り込んだのは、

 緑だった。

 流石にそれには驚いた。ちょっと驚きつつ、体を持ち上げると、自分がなだらかな丘の上に倒れていた事に気づく。少し離れた場所には森が見える。とてっもだが現代的な風景ではない。自分が住んでいる周りではこんな風景、公園でも見ない。どこからどう見てもゲーム内の風景だ。

 ……もしかしてALO内で寝ちゃった?

 そんな事を思い、システムウィンドウを召喚しようと腕を持ち上げたところで、自分の服装に気づく。リアルの自分の服装ではなく、そしてALOのキリトが着ている服装でもない。VRゲーム初期装備の服装の様な、コットン系列の服装だった。上下ともにかなり地味な色だ。純な黒だったらもう少しマシなんだろうと自分のファッションセンスを持って判断するが、ALOでも黒とか純白は結構染色を繰り返さないか、染色作業に慣れてないと苦労する色だ。そう簡単に欲しい色は出ないだろうなどと無駄な思考を巡らせつつ、

 ここがALOではない事に気づく。

 左手でも右手でもシステムウィンドウが出現しない。が、焦る必要はない。

「おーい! ラインハルトー! 比嘉さーん! 菊岡この野郎! ログアウトしてくれよー!」

 さっきから体に感じる感覚がリアル過ぎる。となれば、この状況を生み出せる存在を俺は一つしか知らない。即ちSTL。ソウルトランスレーションテクノロジーを持って生み出された最新型VRギアだ。確かにALO等の既存のVRMMOでも日差しの強さ、草の匂い、感触、等を再現できるが、現実と遜色のないレベルまでn再現性は未だこの世にはない―――STLを除いて。STLだけが現実と変わる事のないリアリティを提供する事の出来るVRギアだ。だが俺からすればあの機械はおかしい。明らかにVRという範疇から逸脱している気がするのだ。もっと別の役割り、そう、たとえば魂を何かに繋げる、送る、そんな感じがあの機会には存在する様な気がする―――、

「んっ―――」

 と、そこで初めて自分以外の誰かがいる事に気づく。後ろを振り返り、視線を落とせば自分と似た様な服装、ただし色違いのそれを着ている青年の姿が―――最上正樹の姿があった。人間って倒れているとこんなポーズになるんだなぁ、と妙な関心抱きつつその存在に違和感を抱く。

「待て」

 何故正樹がいる。

 ラースでのアルバイトには関係のない人物のはずだ。

 それは俺に知らないところで働いていたら、というのであれば崩れる前提なのだが、正樹がここにいるのはおかしい。兄とのかかわりはあっても黒円卓やラースとのかかわりは薄い人物のはずだ。まあ、憶測していたところで仕方がない。とりあえず、何をする前にもこうやって誰かが一緒にいる事は心強い。

「おい、大丈夫か?」

「ん……」

 大地に倒れる正樹の体を軽く揺すると、地面に倒れていた青年が目を覚ます。戸惑ったような様子で立ち上がりつつ、その目は周りを見ている―――素早く今の状況を飲み込んでいるようだ。そして、立ち上がったところで困った様子を浮かべる。まあ、確かにそれ以外に浮かべる表情もないだろう。

「なにこれ」

「俺が知りたい」

 最上正樹の疑問はそれで終わった。

「いやいやいや、それで終わる訳ないでしょ。どうせキリトの事なんだから色々と把握してるんでしょ? ―――波乱万丈な人生過ごしてるんだし」

 お前の人生もそれなりに凄いぞ、と言い返したい所だがそれはそれで不毛すぎる争いなので我慢し、飲み込む。腕を組んでどうやって正樹に伝えようかと一瞬考えるが、言葉を選んでも事実は変わらない事に気づく。

「―――さて」

 とりあえず、まずは正樹とSTL、そしてラースに関する情報を共有する事から始めるとする。


                           ◆


 丘の上、正樹と共に草の大地の上に座り込みながら、情報を整理する。こういうのが正樹は得意なのか、素早く情報を飲み込んでいた。

「情報を纏めるけど、まず一。兄や黒円卓の皆はラースっていう会社で働いてた。二。キリトもそこでアルバイトをしていた。三。ラースでは数世代先を行ったVRギアであるSTLなる物を開発してた。四。その中の世界にここは非常に似ている。……ここまではいい?」

「あぁ、大丈夫。俺バーサーカー勢じゃないから」

「すっごい安心できるよね、その発言。兄さんとか基本的にバーサーカー勢だし。一番の頭脳派が遊佐先輩って時点で色々終わってたし」

 それを聞いた時の衝撃は今でも忘れられない。俺の戦友のチンピラがあんなに賢いはずがない。

 ともあれ、ここで幾つかの疑問点が生まれる。いや、一つの大きな疑問点に集約されるのだ。

「これらを全てひっくるめて、一番の問題は”何故ここにいるか”って事だよね。他にもどうやって、とかいろいろあると思うけどこれが解決すれば他のも見えてくると思う。……キリト、最後覚えている事って何?」

「ん?」

 と、そこで思い出す。ここまで来たのなら何らかの記憶があるはずの事に。故に記憶を手繰り寄せる様に思い出そうとする。

「アスナやシノンと待ち合わせして……」

「それでGGO参加の約束をしたんだよな? ダイシー・カフェで」

「あぁ、そして電気式バイクを見る為にダイシー・カフェをでて―――」

「……それで……」

 そこで記憶は途切れている。それ以上の記憶を探ろうにも、それ以上記憶が出てくることはない。思い出せない訳ではないが、それ以上思い出そうとすると、まるで霞がかかる様に記憶を思い出す事を妨害される様な、そんな感じがする。これは―――STL使用時の記憶のブロックに似ている。あの技術では完全にシャットアウトする事は不可能らしい。……となるとここがSTL内であることは間違いがない。

 軽く手で草を抜き、土を持ち上げてみれば、土の感触を手に感じる事が出来る。爪の間に土が挟まっている。掬い上げた土からミミズの姿が見える。その様子は既存のVRMMOでは不可能な光景だ。なぜなら、そこまで高度な物理演算を、処理を、グラフィックw、何十戸というサーバーを繋げ、そして一斉に同じ人間に魅せるという方法は今の所不可能に近いからだ。だがSTLは違う。それを可能とする機械なので。脳の中、魂にあたるフラクトライトより情報を読み出し、世界を構築する。それが……STL……らしい。

 今となっては眉唾物の説明だ。

 いや、

 菊岡らが本当にそう思っているのかさえ怪しい。

 だが、しかし、

「こういう状況で正樹と一緒にいられるのは何というか……正直助かるな」

「何時も言ってる事だけど何で実名なの?」

「他の連中だったら考えもせずに前に進みそうな予感がするし、俺も……たぶん一人だったらそこまで深く考えずに進みそうだから、外付けのストッパーがいると本当に助かるよ」

「解せん」

 こうやってワザと空気を重くせず、明るくしてくれるところにも感謝している。まあ、此方からフったエタではあるし、少しお互いにわざとらしいかもしれないが、悲観しているよりはいい。ここに来た理由も記憶もない。状況は全く意味不明。あるのは勇気と友情と知恵。STL内だとは解るが、それ以外に位置情報はない。丘から見渡す限りは周りは森となっている。

「ま、こういう時は定番として川か水の流れを探せばいいのかな」

「水?」

「そ。水ってのは人間が生きる上では必要なものだからね。中世頃だったら井戸とかもあるけど、大体川の近くに集落をつくったり人の生活ってできるもんだからね? 川を追えば多分だけど集落を見つけられるんじゃないかな」

 最上正樹の最上家らしからぬ発言に大いに驚く。その様子に少しだけ正樹が頬を引きつらせる。

「な、なに……?」

「いや、やっぱり直感と気配だけで誰かを追う兄の方とはキャラが違うなあ、って」

「俺、そろそろキリトに対して礼儀の一切は要らないって事を学習しそうだよ」

 その方がいい。へんにかしこまってたり敬語だったりしている方がこっちは逆に辛いのだ。むしろ無礼な方がとっつきやすい。まあ、正樹に関してはもう今更って感じの話なのだが、イメチェンしてくれるのであればそれはそれで面白そうだ。

 ともあれ、

 正樹と共に水を求めて丘から降りる。見えるのは森ばかりだが、森に入ってまずは水の流れる音に注意する事から人探しは始まる。


                           ◆

*2


 紳士淑女の皆様ようこそこの粗末な舞台へ。

 私は役者としては二流であるが、脚本家としては中々の腕前として自負しておりました。しかし、否、されど。私は違った。私は脚本家としても二流であった様子だ。故に、

 これから始まる物語は我が生涯最高の傑作である事を約束しよう。

 役者が良ければ面白い―――なるほど、私も中々愚かしい。役者が一流であっても脚本家が二流であれば物語は破綻してしまう。

 故に―――私は私が送った首飾りが唯一無二であることを証明しよう。

 今宵お集まりいただいた紳士淑女の皆様、どうかこの歌劇をご観覧あれ。これよりは私の手を離れ自立した一人息子が血涙と狂気と共に生み出した最後の大舞台。そこに立つのはドン・キホーテ、そして誰よりも強く、血によって縛られた弟。天狗に敗れた敗残者も、天狗によって散った英霊達も全てこの地には揃っている。いやはや、私も私以外のものと脚本を描くのは実に久しぶりの事で中々心躍っているのだよ。

 あぁ、

 だからこそ。

 ―――最後の恐怖劇を始めようか。




今回は短くて申し訳ありません。次回はちゃんと元の長さに戻るはずです。
誤字修正も最近ちゃんとできてない(´・ω・`)
1月3日辺りから誤字直したりするお!

ともあれ、これにてプロローグは完了です。

色々抜けてる? かなり変わってる?

まあ、それも読み進めれば……ってやつで。
スポンサーサイト

| 断頭の剣鬼 | 14:17 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

更新お疲れ様です。

あのメルクリウスがこんな殊勝な言葉を口にするとは。

| 断章の接合者 | 2013/01/02 15:10 | URL |

今後の展開が楽しみ過ぎてマヨネーズ吐きそうです

| アル | 2013/01/16 21:05 | URL |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://tenzodogeza.blog.fc2.com/tb.php/307-ab42649b

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。