陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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証明の証明 ―――フォー・マイ・ショウ

推奨BGM:Bottomless Pit
*1推奨BGM:Krieg


 二日程ユウキと行動を共にして、改めてユウキが一種のカリスマを保持する人物だと理解した。

 カリスマと言えば自分の中で一番最初に思いつく人物はあの黄金の獣に他ならない。戦闘、真剣な時はどこまでも苛烈で、強烈で、そして魂を掴んで放さないカリスマの保持者。ラインハルトを思い出させる。だがユウキの持っているカリスマはラインハルトのそれとはまた違うタイプだ。どちらかと言えば―――そう、キリト君の様なタイプのカリスマだ。ラインハルトがその存在で周りを引きつけ、魂を放さない黄金の輝きだとすれば、キリト君やユウキは何気なく見せる笑顔や、行動で道を示すリーダー的なカリスマだ。自分が前に出て、まずは道を示す。その背中で後ろから続く者たちの道しるべになる。そうやって見るものを魅了する、刹那の光ともいうタイプのカリスマだ。それはラインハルトの様な”王”タイプのカリスマとはまた違う。

 その決定的な違いはやはり、存在としての在り方だろう。

 ……ここまで長く話を続けた理由は一つで、


 ユウキという少女のバイタリティというか、その行動力を少々侮っていたフシが私にはあった。言い訳にはしない。だが、彼女からはキリト君と似た様な感じを受けた。つまりその瞬間に精一杯頑張ろうとする姿勢だ。その姿があまりにも必死で、何かせっぱつまったものを感じる。だが同時にその姿が微笑ましく感じる。

「アスナさんもアレ、そう思うッスよね?」

 六十五層の迷宮区を歩きながら横を歩いていたスリーピング・ナイツのメンバーの一人に話しかけられる。プーカの青年で、戦闘中のバフとデバフに特化している人物だ。スリーピング・ナイツは一人一人が無駄のないキャラメイクをしていて、誰もがそのビルドに対して不平不満を出さず、楽しんでいる。たぶん、自分が来る前からこんな風に楽しくやっていたのだろう。血盟騎士団並にガチで当たっているのに楽しそうなギルドに少々嫉妬を覚える。

「えーと」

「いやいや、ウチのボス可愛いでしょ?」

「あぁ、うん。それは確かに」

「あの小さい背中を見ていると守りたくなるんスよねぇ……お姉さん死んでしまってからずっと落ち込んでいて、それで何かできないかと俺達で考えたりもしたんすけど、まぁ、結局誰も声かけられなくて、ズルズル時間だけすぎちゃって、本当に情けないなぁ……そう思ってた頃にウチらのボスが復活しまして。そんでウチら、今度こそボスの為に全力で頑張ろう、っと……今のはオフレコで」

 両手の指でハサミを模して、それでチョキンチョキンとテープを切るようなジェスチャーを取る。しかし今の話を聞くには―――姉が死んでいるという事になる。

「お姉さんが……」

「驚くほど似てない姉妹ッスよ。まあアホみたいに仲が良かったッスけど。アスナさん、似てないけど雰囲気的に似てるッスから懐かれてるかもしれませんねぇ」

「私が?」

 なんか、此処まで来て色々と初耳な事ばかりだ。今から六十五層の攻略だというのに、少し脅かし過ぎではないだろうか。

 だけど、まあ、

「やる気出てきた」

「お? 頼みますよ? 頼りにしてるんッスから」

「任せて任せて。こう見えても私結構凄いから。昔は鬼の副団長って言われてモンスターを血祭りにあげてたから。ほら、通り名がバーサークヒーラーだし」

「信用をぶち抜いて恐怖ゲージが溜まったッス」

 こんな可憐な乙女に対して恐怖ゲージとは何て非道な男なのだろうか。これはこの件が終わったら色々と叩き込まなければならない。肉体的に。物理的に。

 と、そんなこんなで歩いていると何時の間にか迷宮区の最奥にまで到着する。巨大な扉の前で一旦動きを止める。ユウキが扉の前で立っているので、自分もそこまで歩き、ユウキの横まで移動する。ちょっと顔を覗き込み、

「緊張してる?」

「……ちょっとだけ。僕にリーダーなんて似合わないから、こうやってボス攻略の時はいつもドキドキしてる。今回はアスナがいるおかげで少しだけ楽」

 どの口でリーダーが苦手だとか言っているのだろう。ここにいる集団は確実にユウキ一人に魅せられて今、集結している。ユウキなしに存続する事が出来ないのがスリーピング・ナイツなのだ。だから似合わないなんて言葉はない。

「……よし! そんじゃ皆! バフいこっか!」

「おう!」

 ユウキがバフ開始の命令を出すと同時にメイジ班が詠唱に入る。SAOと違い、ALOにはバフとデバフがある。魔法の概念がなかったSAOでは料理を食べる事でステータスに補正などを与えていたが、そこらへんを考えるとALOは少々楽な所があるかもなぁ、と思うところはある。

 と、

「―――」

 詠唱が完了し、バフを受けつつもある方向を見る。そこには確実に何も存在しない。だが、バフを受ける瞬間に何らかの違和感を感じた。それは小さな違和感だが……そう、キリトなら間違いなく”おかしい”と断言する様な違和感だ。つまり恋人の言葉を信じるのであれば、これは何かある。

 レイピアを抜く。

「ストップ」

 突入の合図を出そうとしたユウキを片手で止めて、レイピアを迷宮区の端の方へ向ける。

「そこ、隠れてないで出てきなさい」

 レイピアを向けた先から返答は帰ってこない。だから今度はレイピアにシステムエフェクトの光を乗せ、範囲攻撃型のソードスキルを起動させる。

「出てこないのなら攻撃するわ」

「あ、アスナさん?」

 周りがちょっと驚いている中、迷宮区の壁の一角が消えて、その名から人の姿が三つほど現れる。全員両手を上げている。

「待て待て、降参だ降参。此方に交戦の意志はない」

 服装が黒い。そして黒とは隠密向けの服装だ。相手の種族もインプで統一されており、スカウトやハイディングに優れている種族だ。明らかに隠れていて、姿を現す気はない……というか暗殺向けの装備と種族だった。そんなものが迷宮区の最奥にいるなんてことは絶対的にありえない。

「目的は」

「こっちは待ち合わせしてただけだよ。フレがここに来るからな。……解った。ここは一回下がろう。それでいいだろ?」

「早く行かないと撃つわよ」

「おぉ、怖い怖い」

 少々煽るような口調でインプの一団は下がっていった。だが今のインプの服装、そして白々しい態度。何となく昔のSAOを思い出した。隠密スキルで情報収集はどのギルドもやっていた事だ。と言う事になると、

「ユウキ」

「うん?」

「ここずっと、ボスに負けた後は別のギルドにボスを横取りされてたでしょ?」

 ユウキが驚いた様子を浮かべる。

「え、何で解ったの?」

「貴方達カモられてるわよ。多分今のバフの最中に―――」

 視線を素早く動かすもはや直感の全てを信じて、システム的にはグレーゾーンに存在する気配を感じ取る。キリトの言葉が正しいのであれば直感も心意の一部―――感じ取れると信じれば感じ取れるはずだ。だからそこにはいると信じて、違和感に向かってレイピアを突きだす。

 突きだされたレイピアには黒い単眼の蝙蝠が突き刺さっていた。

「ステルス値の高い使い魔で監視されていたわね。多分バフしてるときに使い魔をつけられていたわ。これでボス部屋に突入したら―――」

「―――こっちが集めた情報が全部漏れていたわけだ。うわ、なんというか……汚いなあ」

「まあ、情報がライフラインであることに間違いはないわよね。やり方は汚いけど否定はできないわ」

 血盟騎士団も決して百パーセントクリーンな組織というわけではないあの汚物、クラディール同様、卑劣な手段を使うプレイヤーはいただろうし、情報収集の為にスパイ行為をやっていた事もあるかもしれない。だから一概に否定はできない。まあ、自分はあまり好まないから関わろうとはしなかった。生き死にのかかっていないALOではそこまでしてボスを殺そうとしたり、独占するも意味ないんだけどなぁ、とつぶやき、

「早く攻略しよう。今の人たちは確実に応援を呼びに行ったわ」

 その言葉にユウキが力強く頷く。走って帰ったと言う事は転移方法がないということだ。ここから脱出するのに十分、編成してくるのに十分、と予想しておく。戻ってくるのに十分かかるとして、此方に許された時間は三十分。

 ギリギリイケル。これで追加パターンがなければ間違いなくスリーピング・ナイツのみで勝てる筈だ。

「行くよ皆!」

 ユウキの声と共に扉が開く。その奥にいるのは六十五層のボス、≪The Demonic ogre≫、≪ザ・デモニック・オーガ≫。犠牲者を出す事はなかったが、それでも凶悪な性能を見せたボスだ。部屋に入るのと同時にボスを照らそうと部屋の灯りがつく。だがそれを待つまでもない、既にボスの初期位置も、行動パターンも、その全てを教えきっている。自分がヒールの詠唱と待機に入るのと同時に、ユウキが最速でオーガへと向って突貫する。既に長剣は抜かれており、

 迷うことなく登場と共に発生する威嚇モーションを潰す様にユウキの攻撃が双頭の鬼の左の顔面に直撃する。威嚇するためのモーションに入っていた鬼はその一撃を受けて顔をしかめるが、よろめきはしない。常時ヘヴィスタンダーも既に予測の範囲内だ。一撃を食らわせたところで、もう片方の顔が大きく口を開け、ユウキに向かって噛みついてくる。それをユウキは頭を足場にして跳躍することで回避し、

「―――≪ヴォーパル・ストライク≫ッ!」

 垂直に、頭上へソードスキルを叩き込み、反動で自分の体を吹き飛ばし距離を生む。着地と同時にオーガが足を持ち上げる。

「地震攻撃来るわよ!」

「了解!」

 合図と共にプレイヤーが全員飛び上がる。ダンジョン内と言う事で翅は使えない。が、それでも筋力ステータスを利用した跳躍ができる。オーガが踏み込むのと同時に床が震え、震動が走る。それに触れてしまえばダメージはないが、動きを数秒間封じ込められてしまう。食らってはいけない攻撃の一つだ。跳躍という簡単な攻略法でそれを回避し、そのままスリーピング・ナイツが展開する。

「ったぁ―――!」

 誰よりも先にオーガへと斬りこんだユウキは誰もまだ援護に到着していないというのに、たった一人で華麗な動きを披露し、全ての攻撃を回避しながらもカウンターを叩き込んでいる。驚異的なバトルセンス……いや、反射神経だ。注意深く見ればユウキが目で相手の動きを追っているのが解る。目で見て、相手の動きの始まりを認識して、そして攻撃や回避を合わせている。

「本当に似ているなぁ……」

 彼女の戦闘スタイルが、キリト君と被って見える。特に最近のキリト君はあの超人的な能力を剥奪されたとか嘆いていて、昔の様な人間から一歩踏み出したレベルにまで落ちているのでかなり落ち着いている。その為かキリト君とユウキのスタイルは被って見える。

 観察、把握、対策、強襲。このルーティーンでユウキ、そしてキリト君は戦っている。まるでキリト君を女の子にしたような存在だと思いながらも、

「うわっ、っと!」

 ユウキの体の横を巨大な斧が通り過ぎる。攻撃は命中しないが、カスリ判定で大量のライフポイントが削られる。即座に待機しておいたヒールを発動させてユウキのライフを回復させる。余計な思考をする暇など今はなかったのだ、今は。思考に割いていた脳のリソースを戦闘へと向ける。

 タイムリミットは三十分。

 別のギルドが”加勢”に来る前に、

「―――勝つ……!」
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| 断頭の剣鬼 | 13:08 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

キリキリ刀返上だけじゃなくてパワーダウンしたのか!?
キリキリの嫁も着々と人外化の道を歩んでいるし、まともなプレイヤーはどこ行ったwww

そして、三下っぽく去っていったハイエナ君たちには、変態達を引き連れた妖怪の百科夜行が待っているんだと期待してみる(笑) いや、変態の群でも大満足ですが(爆)

| 女神は至高、金髪少女は至宝 | 2012/12/10 17:44 | URL | ≫ EDIT

今見直して気づいたがツインオーガ出世しとるがなwww
25→65層へ

お父さんしてるアスアスとしては色々気になってしまうんだろうなww
なんせツインオーガつったら…なぁ

| 名無しの妖精 | 2012/12/10 23:20 | URL |

キリキリは本来あるべき姿に戻ったのか・・・・・・・
それよりもアスナさんがどんどん人外化していると思うのは俺の気のせいか?

| ガリバー | 2012/12/11 09:01 | URL |

超人的な能力を剥奪されても、いずれキリキリさんが自力で取得しそうだなぁwww

さて、訓練された変態な妖精達はまだだろうか?

| 尚識 | 2012/12/11 10:46 | URL | ≫ EDIT















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