陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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証明の証明 ―――ショート・コンタクト

推奨BGM:Mein Kampf


 ユウキという少女は何というか……凄い不思議な少女だった。ものすごくバイタリティにあふれ、前向きで、そしていて人を引き付ける何らかの魅力を持っていた。だがユウキの笑顔の裏には何か使命感か、焦りの様なものを感じていた。アインクラッドの攻略はただ攻略しているからしているのではなく、そこには何かを成し遂げなくてはいけない理由が存在しているような気がした。それがあの短い会話では何なのかは解らなかった。ただ、私はあの日、ユウキのギルド―――スリーピング・ナイツに加入する事を了承した。それを了承した理由の一つは、私に断る理由がなかったから。確かにアインクラッドには怖い思い出があるが、それは乗り越えてきた。キリト君と共に。そしてもう一つは、

 奇妙な使命感だった。

 何故か、私はこれに参加しないといけない。そんな感じの使命感が私にはあった。それは妙な、と付け加えても良かったな。何故だか解らない、という言葉を多用してもいいほどに私には理解不能な事態だった。だがその感覚はあったのだ。何か、何かをしなくてはならないと。ユウキを見た瞬間から、絶剣を知った時からその感覚に思い、悩まされてきた。確実にキリト君が負けたと聞いた時に初めて知ったのに、何故か妙に胸に残る懐かしさを彼女の存在には感じた。そう、絶剣の話を聞いた時に私は間違いなくまた逢いたいと感じた。


 既知感、なのかなぁ。

 ベッドに背中を預けながらそんな事を考える。

 アミュスフィアを頭に装着はしていない。昼食を食べ終わったばかりにこうやって倒れるのは行儀が悪いのは解っているが、こうしたい気分なのだ。というかこうでもしてないと落ち着かない。何時からだろうか、母との不和がここまで酷いものになったのは。今では顔を合わせるたびに無視するか互いに睨み合っているか、もしくは喧嘩してるか……結構疲れる。何故母は認めてくれないのだろうか。

 ……色々と面倒だ。

 近くのテーブルの上の置いてある携帯電話を見る。それに手を伸ばしてアドレスリストを確認すればキリト―――桐ヶ谷和人の名前が載っている。元気を補給するためにもこのまま電話する事も悪くはない……悪くはないが、そうやって頼ってしまうのはなんだか甘えすぎている気もする。そう、私は決しておんぶでだっこの重い女になりたいわけではない。頼る女じゃなくて、頼って頼られる、対等な女で居たいのだ。前を歩くのでも後ろを歩くのでもなく、横を歩けるような人でありたい。それだけが願いなのだ。だから、ここで電話するのはやめておこう。一緒にいるときは精一杯甘えるが、こういう時位―――いや、家での問題ぐらい自分一人で何とかしなくてはならない。いや、なんとかする。たぶん、きっと、どうにかなる。

 だって、家族なんだし、このままじゃあまりにも寂しい。

「ふぅ……どうしよっかな」

 このままベッドの上に倒れている訳にもいかない。こうやって無為に過ごしている間にも時間とは経過している。何もしないまま時間を浪費することはあまり褒められる行動ではないし、そろそろ動いた方がいい。だからやっぱり、横に置いておいたアミュスフィアを手に取り、頭に装着する。夕食の時間はしっかりと把握している。今度は昼食の時の様に呼びかけに答えずにコードを引っこ抜かれるなんてオチは絶対にありえない。ちゃんとタイマーを時間にセットし、そしてアミュスフィアを起動させる。一瞬の意識の空白、浮かんでくる色とイメージ、キャラクターの選択、

 そして私は再びアルヴヘイムの大地に立っている。場所は昨日コードが抜かれた位置、つまりはスリーピング・ナイツが借りていた宿の部屋だ。だがそこにはスリーピング・ナイツの姿はない。……まあ、常識的に考えて彼らが何時も拠点にいるわけではない。おそらく何らかの行動を開始しているのだろう。どうするべきか、そう悩んだところで、システムフォルダにメールが届いているのが解った。

「アレ? フレンド登録しなきゃ……」

 確かメール機能は使えないはずだ。なのにメールボックスの中にはユウキからのメールが届いていた。しかもフレンドを見れば何時の間にかフレンド登録されている。……何時の間に。フレンドは了承がなければできないはずだが、何かしらの裏技でもあるのだろうか。あとで明広にバグ報告でもしておいた方がいいのかもしれない。いや、カーディナルに報告した方が早いかもしれない。なんだかんだ言ってこのゲームで一番の人気はスレにのみ降臨するカーディナルで、一番働いているのもカーディナルだ。明広とラインハルト?

 あの二人は駄目だ。

 イベントで基本的にヒャッハーしてるだけだ。プレイヤーと混ざって遊んでいる辺り、GMとかの垣根を越えていて親しみやすいとは思うが、アレは社会人としてはどうなのだろうか。GM業の他にもどっかの企業の会社員として真面目に働いているってそう言えばキリト君が言っていた。もしかしてただのヒャッハーじゃない?

 ともあれ、ユウキから送られてきたメールを確認する。その中には急に消えてしまった事への心配と、そしてギルドへの勧誘を行った事が書かれていた。メールを読みながらもギルドウィンドウを確認すると、確かにそこにはユウキに送られてきたギルドの勧誘が存在していた。迷わず承諾を押し、ユウキのギルドに参加する。

「あ、意外とレベルが高い」

 ユウキのギルド、スリーピング・ナイツのギルドレベルが予想外に高かった。ギルドバフも取得できるものは全て取得している、結構凄い。ギルドバフは永久的に状態異常耐性や属性耐性がつくので非常に優秀だ。ただそれを一つ習得するのに百万必要だったり、バフのレベルを上げるのに数千万必要だったりと、機能は凄まじいがかなりお金がかかる。それを全て最高レベルでこのギルドは取得していた。普通に考えて凄まじい程の攻略への意欲だ。大手のギルドだったらこれぐらいやっているだろうが、この規模のギルドでここまでバフを取得しているギルドも中々珍しい。改めて昨日言っていた事が本当だったんだと、それを実感させられる。

 と、再びメールが送られてくる。

「んー、少し迷惑をかけちゃったかな」

 その内容はボスの攻略に向けて全員が情報収集と装備の調達に出ているという内容で、アスナには六十五層のボスの内容を覚えているのであれば、それを纏めてほしいと書かれていた。本当にまともすぎる内容で驚いた。破天荒な行動からもうちょっとエキセントリック―――キリト君みたいな若干猪突猛進タイプかと思っていたが、この子は頭を使うタイプの様だ。

 キリト君少しは学習しないかなぁ……。

 最近、キリト君が暴走する事の楽しみを覚えてしまったらしい。エクスキャリバークエストの時も、キリト君、ボスに向かって特攻してとび蹴りとか食らわせていた辺り、そろそろ本格的に思考回路がヤバくなっているのかもしれない。いや、むしろ閣下とか呼ばれて天狗になっている妖怪と組んで馬鹿やっているのがいけないのかもしれない。というか確実にアレか金ぴか馬鹿二号が原因だろう。あの三人組妙に仲がいいし。少し前にユグドラシルシティからチキンレースとか言って翅なしで飛び降りて、地面に激突して死んだときは何をやっているのか理解できなかったが、

 とりあえずキリト君はキリト君で可愛いので全て許される。

 だがあの二人は駄目だ。いい加減大人の態度を覚えろ。心は常に十代とか三十代の男が言っていいようなセリフではない。

「……考えるのはやめよっと。あの二人の馬鹿には終わりないし」

 マリィちゃんはアレで苦労してないのだろうかと一緒に囚われの姫様をやっていた仲間としては非常に心配なところだが、一足先にリアル結婚されて抜け駆けされた気分なので心配する必要はないと自己解決しておく。別に悔しいわけじゃない。……本当だ。

「ま、まあ、まずは纏めちゃおうか」

 メールを起動させながらユウキへの返信をタイプし始める。六十五層の攻略は……もう数年前の出来事で、色褪せているように思えたが、予想外に強くイメージは残っているようだった。ランベントライトを握り、閃光の名のままに戦っていた姿を思い出す。あの頃はキリトとは疎遠になっていたなぁ、等と想いながらも姿とパターンを思い出す。確か六十五層のボスは双頭の巨人だったはずだ。武器に巨大な斧を持っていて、とにかく攻撃力が強かった。

「あー、そういえばそんな感じだったわね」

 こうやって口に出すと少しずつイメージが鮮明になってくる。とにかく攻撃力が高かったのだ。動きはそこまで早くないが、タンクプレイヤーが攻撃を防御してもライフが一気にレッドまで落ちたのだった。それを見て焦って、前線が崩壊し続けたのを血盟騎士団のタンクを前に出して押しとどめて、で、えーと。

「そうだ、最終的にタンクを使わないで戦うようにしたんだ」

 それが最終的な戦闘方法だった。食らって死にかけるのなら避ければいい。前線で戦えるプレイヤーは一気にVIT振りのプレイヤーからAGIを多く振っているプレイヤーへと変更された。そうやって前線でAGI壁をしているプレイヤーが攻撃しながら撹乱し、隙を見てタンクのプレイヤーも攻撃に加わる。攻撃パターンは踏みつけ、斧での薙ぎ払い、パンチ、咆哮……も攻撃だったのだろうか? 一応行動をなるべく多く書いておいた方がいいだろう。何せ、何気ない挙動の一つが攻略につながるかもしれない。

「さて、他には何があったかなぁ……あ、リズに装備を頼まなきゃ」

 アインクラッドの攻略なんて二十二層を解放する所までしかやっていない。しかもあの時はあの家を購入するために必死で、色々自重を投げ捨てていた気がする。具体的に言うと知り合いの中で一番強いメンバーだけを呼んでパーティーを組むとか。

 もしかして、あんまり人の事大人げないとか言えない……?

 その考えを振り払いながら、メールの入力に戻る。


                           ◆


 ―――その頃、

 某サイトの某掲示板は荒れに荒れ狂っていた。




二回連続で起伏のない展開が続いたのでてんぞーは耐え切れなくなった。
故に次回はカオス。超カオス。
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| 断頭の剣鬼 | 13:41 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

全裸土下座で期待してヒャーハー

| 名状し難きナニカ | 2012/12/08 15:04 | URL |

掲示板キタ――!?

| 烏 | 2012/12/08 15:33 | URL | ≫ EDIT

よっしゃっ!
期待を込めて土下座待機してます!

| | 2012/12/08 16:21 | URL | ≫ EDIT

掲示板ktkr!!

| とっつき | 2012/12/08 19:31 | URL |

掲示板だ、ヒャッハーーーーーーーーーーッ!!

全裸土下座待機しときますw

| 尚識 | 2012/12/08 22:52 | URL | ≫ EDIT

初コメよろしくおねがいしますー

カデ子さん出現に期待じゃああああ

| 赤い人 | 2012/12/09 03:06 | URL |

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このコメントは管理者の承認待ちです

| | 2013/11/27 19:53 | |















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