陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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冬の日常 ―――マッドネス・フェアリーズ

推奨BGM:Mein Kampf
*1推奨BGM:Dies irae ”Mephistopheles”


 途中で食事休憩などを挟んだが、イザークそしてアンナとのアルン巡りは気づけば夜にまで及んでいた。ここまで長くアルンに留まる予定もなかったが、やはりALOの街は現実の近代都市並にデカイ。隅から隅までを探検するつもりでいるとそれなりに時間がかかって、今の様な状況に陥る可能性が高い。まあ、今回は一日中遊ぶ予定だったのでもうこれでいいんではないかと思っている。夕食もリアルで食べ終わってきたし。今日だけはALO内クロックが現実のそれと連動されている。その理由はシンプルで、

 クリスマスイベントだ。

 今のALOはホワイトクリスマスを演出するために雪が降っている。そして空が暗くなったところで、クリスマスツリー風にデコレーションされていた世界樹がライトアップされ、ALOがいつもとはまた違う形で幻想的な雰囲気を放っている。この演出の為に今日だけはゲームクロックを合わせているらしい。GMも中々面白い事をすると思うが、この発想が本当にあの二人から生まれたかどうかは怪しい。おそらく謎の第三のGMか、マルグリットの発想としか思えない。あの男二人には絶対に無理だ。発案したと言っても絶対信じない。絶対にだ。


 ともあれ、夜のアルンは昼のアルンとはまた別の世界に見えてくる。ライティングとデコレーションによって違う風に見える街はやはりクリスマスと言う事もあって、カップルかゲーム内で結婚を済ませたプレイヤー達が仲良く歩く姿が良く見える。ただ、少々仲良すぎるカップもいて、

「うわわうわぁ」

 アンナが目を背けた光景はディープキスを道のど真ん中でやっているカップルだった。見せつける様なキスは少々幼い精神を持つ僕らには非常に目に毒なものがある。というよりも、アルン全体が大体こんな感じだから困る。フリーズして、頭から湯気を立てているアンナの手を引っ張り、大通りから外れる。

「アンナさん、固まっちゃいましたね……」

「うん……」

「……あ、わ、あわわ、あわっわわわわ……」

 駄目だ。これ以上教育上宜しくないものを見せたら更に愉快な事になりそう。少々惹かれる反面、やっぱりそれは可哀想だと言う意見が自分の中では勝利した。やったね、アンナちゃん。

「じゃあ……はじまりの町にいかない?」

「はじまりの町ですか?」

「うん。コアなゲーマーしか使ってないからこういう心配はないよ」

 はじまりの町―――つまりはアインクラッド第一層、第一の街。多くの人間がSAOを思い出すという理由で寄り付かない町となってしまった。が、それでもコアなゲーマーはSAOを忘れられない、という理由で住み込んでもいる。結局のところそういう人間がコアなゲーマーなんだろうと思う。世界樹程ではないが、はじまりの町にもデコレーションされた巨大な樹がある。SAOが始まった場所を見ながら回るのも悪くはないはずだ。

 イザークがアンナを見て、

「ユグドラシルシティでしたっけ、あっちは……」

「あっちはアルンと似た様な状態だと思うよ」

 そこで二人そろって視線をアンナへと向ける。

「き、きききき、キス」

「あ、うん。そうですね。無理ですね」

「だよね」

 どこからどう見てもアンナが耐えられるとは思えない。イザークと話し合い、イザークが納得したのでアンナの手を引いて転移門広場へと戻る。向かう途中、また人目をはばからずにいちゃいちゃするカップルが見えたが、イザークは見ても平気な様子だが、アンナはこれ以上オーバーヒートさせたくないので目を塞いで転移門までやってくる。転移門をくぐったところで、アルンの様な桃色空間はなくなる。

「全く、ALOは自由度高すぎるよ!」

「何に対して怒ってるんですか……?」

 普段から保護者である二人の桃色空間で結構見慣れているから自分はいいが、ああにも堂々とイチャつかれるとやっぱりどうなんだ、と思うところはある。まあ、恋愛なんて個人の自由だし、倫理設定解除コードなんてものもあるんだし、本当に色々と―――。

「いや、止めておこう。うん」

 これ以上はドツボにはまりそうな気がする。

「それじゃあとりあえず歩こうか!」

「そうですね。アンナさん? アンナさーん」

 顔の前で手をひらひらさせて、やっとアンナが意識を取り戻す。今日のアンナも実に小動物染みていて可愛い。すこしぽかーん、とした表情を浮かべるが、体を揺らして意識を取り戻す。そして再び三人でお店めぐりでもしようかと思ったところで、

 ―――やけにはじまりの町、特に広場方面がにぎわっている様に見えた。

「アレ、おかしいなあ。アルンやユグドラに比べてこっちは人が少ないはずなんだけどなぁ……」

 イザークとアンナを連れて広場の方へと行くと、広場に異様にプレイヤーが集まっているのが見える。少なくとも数千人以上は居る様に見える。そこで何かあったのかなぁ、と。そんな事を思い出そうとして、公式告知に書かれてた内容を思い出す。

「どうしたんですか?」

「……いや……うん……来ちゃったか……いや、今日クリスマスイベントで―――」

 その名称を口にしようとしたところで、はじまりの町、その広場の中央に二つの人影が現れる。地上にではなく、空にだ。はじまりの町中央の大樹の上空に浮かぶ二つの姿はGM用の豪華なローブを来ている。ラインハルトが白をベースにしたのを、そして……明広が赤をベースにしたのを。

「見たくなかった……!」

「と、父さん……!」

「あ、ハイドリヒ卿とアキヒロさん」

 アンナがのんきにクリスマスツリーの上空に立つ二人の姿に手を振っている。それに気が付いたのか、GM姿の二人が軽く手を振りかえしている。今、人込みに紛れる様に立っているのに、何故あの二人はこうも簡単に僕たちの事を見つけられるのだろうか。……凄まじい視力だ。ともかく、

「い、イザーク、今すぐここから逃げよう。嫌な予感しかしないよ」

「賛成します。全力で賛成します。見てください、父の笑顔を」

 視線を虚空に立つ二人に向ける。明広は普通だが、ラインハルトは何かものすごく楽しそうな笑みを浮かべている。もはや嫌な予感しかしないというレベルではない。今すぐここから逃げろと全細胞と直感が告げている。呑気に手を振っているアンナの手を引いて今すぐ離れようとするが、

「―――フローエ・ヴァイナハテン。諸君、今宵は良く来てくれた」

 *1

 遅かった。後ろからもどんどんプレイヤーが現れ、広場を満たす。羽を出せば空を飛べるかもしれないが、嫌に注目を浴びてしまう。それにイザークは飛ぶことに慣れていない。飛んで逃げる事はできないし、人が多すぎて歩くこともままならない。詰んだ。どうしようもなく詰んだ。僕とイザークで絶望した表情を浮かべる中、ラインハルトは楽しそうに演説を始める。

「今夜はクリスマス。キリストの生誕の日ではあるが、別に私も卿らもキリスト教というわけではあるまい? 真に信心深い者であるのならば今更このような場所へ来ることはなかろう」

「ま、日本のクリスマスってのは宗教的なアレではなく皆でワイワイ遊ぶパーティーって感じが完全に定着してるからな」

「然り、故にこそ今日は良く来てくれた。卿らに共に時間を過ごす友がいるかいないのかは今、さほど重要ではない。問題なのは―――このクリスマスが一部では性夜と呼ばれている事だ」

「おぉっと、アンナは耳を塞ごうね」

「父さん! なにを言ってるの!?」

 何やら周りでプレイヤー達が拳を強く握っているが、ラインハルトの発言がおかしい方向へ流れている気がする。現に明広は今の発言にポカーンとした表情を浮かべている。

「良いか? 元々はキリストの生誕を祝う筈であったこの日は企業による戦略やイメージの定着化によって性夜等という不名誉な名を得てしまった。別に私は愛が悪いのだとは言わん。が、それにも分別というものはあろう。それに敬うべきものをこういう形で穢すのは実に良くない」

「そうだそうだ!」

「カップル死ね!」

「爆発しろやぁー!」

 さっそくGMとプレイヤーの間で話がかみ合わなくなった。それにしてもプレイヤーの暴徒化が早すぎる。まるで最初から暴徒化する準備が完了していたかのように、プレイヤーは一言目からカップル反対等と意味不明な事を叫び始めている。

 これ、事前にリハーサルでもしてたのではないだろうか。

 そしてよくよく聞けば、
 
 ラインハルトも結構適当に喋っている。

 何この茶番。

「おい、ラインハルト。お前は一体何を言ってるんだ」

 流石の明広も不振に思ったのか、ラインハルトの肩に手をかけ、おい、と言葉をかける。しかし、

「私は言おう! 愛するなら壊せと!」

 ラインハルトが明広を殴った。

「えぇ―――!?」

「父さん―――!!」

「ハイドリヒ卿は今日も元気ですね」

 アンナだけがまるで慣れた様子の様に受け止めた。ラインハルトの拳を受けた明広は目に見えない速さではじまりの町の建物に衝突し、それを砕きながらアインクラッドの端から落ち、地面へと向かって落ちてゆく。確実に筋力がカンストしているという領域ではない。

「聞け! 今の劣等は今夜仕事が終わったら家に帰り妻とイチャイチャしようなどと考えていた唾棄すべき敵だ! 卿らよ! 真の愛とはなんだ!」

「破壊! 破壊こそが愛! 愛するなら壊せ!」

「良く言ったぞ我が愛児らよ! それでこそ我が世界の民よ! なら今こそ言おう! ―――真に愛するなら壊せ! これは主命である! 今こそ愛を性行のみと思っている猿に真の愛を身を持って教えてやるがいい!」

「ォオオオ―――!!」

 そして非リア充の心に嫉妬の炎が燃え上がった。見ていて激しく目を背けたくなる、そんな光景だった。正直一分でも見たくない、というよりこの場にいたくない状況だった。周りでは声の限り壊せ壊せ叫んでいるプレイヤー達が羽を広げ、ALO中の幸せを破壊しようと出撃している。

 GM本人が荒す様な行為をしていいのだろうか。

「ラインハルト―――!!」

 次に吹き飛んだのはラインハルトだった。何時の間にか復活していた明広がラインハルトを拳で殴り、はじまりの町の大地に体を叩きつける。その衝撃で大規模なクレーターが生まれ、広場に集まっていたプレイヤー達が風圧によって吹き飛ぶ。凄まじい風の奔流が襲い掛かってくるが、

「大丈夫?」

「う、うん」

「ありがとうございます」

 アンナが肩を押さえてくれているおかけで僕もイザークも飛ばされなかった。ただこの状況でリア充殲滅軍が大打撃を受けたのは事実だ。多くが地に倒れ、カップルに対しての呪いと恨みの言葉を口にしている。

「キリトめぇ……キリトめぇ……!」

「許さん……ハーレム男めぇ……!」

「あの男ゆるさねぇ……!」

「俺達のアイドルを! もう! 奪うなぁ!」

「動け! 動けよ! たかがGMによる攻撃だろうがぁ!」

 なにやらキリトなる人物への嫉妬率が異常に高いが、彼は何らかのプレイボーイなのだろうか。ともあれ、空に浮かび上がる明広がなにやら怒りのj表情を浮かべている。

「お前公式の企画で何をやらかしてんだよ!」

 明広がそう叫んだ瞬間、一閃の黄金が素早くクレーターから飛び出し、明広の足を掴むとそれをクレーターへと投げ飛ばす。アインクラッド自体が揺れる様な衝撃と共に、ラインハルトが両手を広げて叫ぶ。

「今こそ好機! 行くがいい!」

「俺一生GMについていくよ!」

 こいつらは馬鹿ばかりか。

「糞、行かせるか……リア充の刹那をやらせるかよ……!」

 クレーターから明広が飛び出し、何かを投擲する。それは精確にプレイヤー達を打ち抜き、彼らのライフを一撃でゼロにしている。だがそれが決まったのも最初の数発だけだ。直ぐに反応したラインハルトが明広の前へ迎撃に出る。両手の指を絡め、手の平を力比べする様にラインハルトと明広が押し合う。

「退けラインハルト!」

「私を倒してからにしてみせよ!」

「今日のお前は頭がおかしい! 変な電波受信してないか!?」

 それに関しては全力で同意するが、前々から企画されている事を考えるとこれが平常運転のように思える。

「笑止! 私は愛を破壊によって表現しようとしているだけだ!」

「ボケるにも時と場所を考えろぉ―――!!」

 ごもっとも。

 だがラインハルトは話を聞かないし、二人の実力は拮抗している。だからと言う風に、明広は叫んでいた。

「メルクリウス! 手伝ったらマリィからプレゼント渡させるぞ!」

 直後、空から流星が降り注いだ。空から降り注ぐ極大の流星がリア充撲滅に飛び立った醜い心の妖精たちを空で押しつぶし爆発させている。ラインハルトがここで抑え込まれている以上、これ以上ラインハルトが援護する事は出来ない

「裏切ったかカール!」

 おそらく第三のGMの仕業なのだろうが、裏切りって言葉が出ると言う事は元々協力者だったのだろうか。

 まあ、そんな事よりも今は、

「もうそろそろ帰ろうか」

「うん」

「そうですね」

 全員の意見が一致した。

 今日はもう帰って寝て忘れよう。

 これはきっと、悪い夢なんだ。そうに違いない。

 視界の先で昨日の様になぐり合っている二人の様子をなるべく無視しながら、ログアウトボタンを押す。

 普段は良運営なのに……。

 普段は……。
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| 断頭の剣鬼 | 11:25 | comments:11 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

怒りのクリスマス、轟沈!

ニートがアスアスの一言で、裏切ったー!

本家の怒りのクリスマスだと、ただの変態だったけど(笑)

| 名状し難いナニカ | 2012/11/30 11:41 | URL |

ああ、今こそ言おう。

混沌より溢れよ
Du sollst
怒りの日w
Dies irae(笑)

ニートの迷いのなさが最早宇宙法則領域(笑)
いや、女神のプレゼントだ無理もない(笑笑)

| 女神は至高、金髪少女は至宝 | 2012/11/30 12:42 | URL | ≫ EDIT

怒りのクリスマスきたぁああああああ!!!!!!

これでリア充にかつる!!

| 裸エプロン閣下 | 2012/11/30 16:36 | URL |

オノレ、ニート(−_−#)

| とっつき | 2012/11/30 17:51 | URL |

流石ニート、わかってるwww
だがリア充は破壊(キリッ

| 空 | 2012/11/30 18:41 | URL |

流石ニート、ブレないなぁ…。

そういえばはじまりの町に非リア充ばっかが集まったのは
イベントってだけじゃなくてラインハルトが事前に
そういう連絡をしてたからか?

| 烏 | 2012/11/30 20:51 | URL | ≫ EDIT

あわあわしているチワワイバーに萌えたZE…………

リア充なんか滅びればいいんだ!

黄金閣下、自分はドコまでもついて行きます!

| 尚識 | 2012/12/01 00:25 | URL | ≫ EDIT

掲示板の様子とか他のMMOの人の感想とかも
ちょっと見てみたいと思いました。
ハイドリヒ卿はいつもどうりですね。

| sane | 2012/12/01 03:46 | URL | ≫ EDIT

アンナ可愛いよアンナ…ハァハァ。
怒りのクリスマス最高だわ。
だが、推奨BGMでMephistophelesを確認した時ニート現ると予想したな。
黄金閣下がバカテスのFFF団に見える。

| nao | 2012/12/01 07:22 | URL | ≫ EDIT

うん、ニートはブレないなぁ・・・。
後日談が実に気になるところ。

いろいろ頭に浮かんだけど皆が代弁してくれてるので
別ベクトルで一つ。

始まりの街フルボッコで茅場涙目。

| 断章の接合者 | 2012/12/01 13:25 | URL | ≫ EDIT

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| | 2013/11/20 20:43 | |















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