陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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プロローグ ―――スターティング・ザ・アドベンチャー

推奨BGM:Burlesque


「……どうしよう」

「えぇ……」

「どうしようか……」

 世界樹の頂上、ユグドラシルシティ。現アルヴヘイムの首都であるその町の宿、その部屋の一つには数人の男女が集まっていた。種族も年齢もばらばら。だがその場に集まっている人間には一つの共通点があった。

 ―――全員、何らかの理由で残りの命が少なかったことだ。

 そう、スリーピング・ナイツとはそういう集まりだったのだ。自分の姉を筆頭に、病院に入院していたり、自宅から動けない、いわゆる余命を待ってたりする人間の集まりなのだ。様々なVRゲームを巡り、自分が生きた証を残すのを一番の目的として、それにふさわしい世界を探して皆で何個もの世界を巡った。そうやってたどり着いたのがALOだった。だがスリーピング・ナイツはここで、一つの大きな問題にぶち当たる。


 治療。

 ユウキを含めた全員が治ってしまった。奇跡とも言える。ほぼ全員が同じタイミングで、ほぼ完全に治療されていた。もはや医学ではなく何らかのオカルトを信じるべき結果だった。信じられないが、この場にいる全員が連絡を取り合って、完治の報告を行っていた。だからスリーピング・ナイツの存在意義は失われてしまった。これから先は普通の人間として、普通のプレイヤーとして生きる事が出来るのだ―――生き急ぐように生きた証を立てる必要もない。故にスリーピング・ナイツという集団はここで解散の危機を迎えていた。とはいえ、解散をしたいわけでもない。このスリーピング・ナイツはユウキの姉、前リーダーからユウキへと託された集団でもある。存在意義がなくなったからぽい、というのは違うと判断している。

 だからこその沈黙であり、そして困惑である。

「ねえ、ユウキはどうしたいんだ?」

 スリーピング・ナイツに参加する一人が声をかけてくる。彼も何年間も闘病生活を続け、回復は絶望的などと言われていた人物の一人だが、今では走るぐらいに回復したという話だ。

 ―――凄いなぁ。

 起こされた奇跡を見せつけられるとそう思う。しかし、同時にこれは人生への干渉だとも思う。それは人間としてやっていい事なのだろうか。確かに干渉した結果、相手も本人も喜んでいる。だが勝手にやって勝手に救った事で、そこに意味はあるのだろうか。契約した張本人―――つまり自分にも原因の一端はある。が、こうやってこの結果を考えずに生み出してしまった手前、少し考えさせられるものがある。

 はたして、人の人生に干渉をしていいものなのだろうか。

 それはもちろん自分視点の話ではなく、”彼”の視点からの話になる。いや、責任を彼に押し付けるのは間違っている。アレは間違いなく選択肢であり、決断だった。この結果は僕が手を取ったからこそ起きているもので、あそこで誘惑を振り切って手を振り払っていれば、今頃いつも通りのスリーピング・ナイツの活動を続けていたのだろう。少しだけ、過ぎたる力は常に最良の結果を生まない、という言葉の意味が理解できたかもしれない。

 それにしては少々高い授業料だったかもしれないが。

 ともあれ、選択を選んだ張本人としては―――決断しなくてはいけない。

「……続けようよ、スリーピング・ナイツ。僕たちが生きているって証を立てようよ」

 うん、だって。

「僕たちは死に向かって生きているわけじゃないんだから。僕たちは生きていて、死ぬから頑張っているんじゃなくて―――生きているから頑張るんでしょ? だから理由がなくなったって言うのはおかしいよ。僕たちは生きているから頑張るんだ」

 そして頑張った結果死んでしまうのなら、それはもう仕方がない。僕たちは精一杯生きて頑張ったのだから、それはもう諦めるしかないんだ。あ、なんとなくわかった。

 あの時、

 僕はあの手を握るべきじゃなかったんだ。

「……今更気づいても遅いか」

 本当に悪魔の誘惑というか、悪魔の微笑みだったのかもしれない。あの手を握った瞬間、少しだけ失望されたのかもしれない。だが”かもしれない”という事ばかりで話を進めるわけにもいかない。結局”かもしれない”はIFで備えること以外にできる事はない。そして過ぎ去った事に後悔してても反省は出来ても取り戻す事は出来ない。だから今は、

「前進しようよ。僕たちは生きているんだから。今を精一杯楽しもうよ」

 だって、

 ―――たぶん。僕は死ぬから。

 何となくだが言葉のニュアンスからそれが対価だと察すことができた。本当にいやらしい取引だったと思う。太く短く生きるか、捕捉長く生きるかの違いだ。本当に何となくだけど、何時かある日、ぼくは命を失うんだと解る。ほとんど確信にも似た様な憶測だけど、これは確かに感じられる気配だ。死神を、今まで以上に身近に感じる。

 だからと言って諦めないし絶望もしない。

 やる事は変わらない。

「僕は僕と皆の名前をこの世界に刻んで残したいと思う。もう姉ちゃんもいなくなったけど、姉ちゃんの分も頑張っていきたいと思うんだ。だから、まだスリーピング・ナイツ続けない?」

 その言葉に一瞬全員が黙り、声が現れてくる。

「……俺は問題ない。こんなことでスリーピング・ナイツを解散したくない」

「僕も」

「私も」

「こんな所で終わらせるのはあまりにもったいないよ」

「と、言うわけらしいわよリーダー」

 皆から帰ってきた回答は好意的なものだった。誰もがスリーピング・ナイツを解散させたくなかった。このまま、この集団で楽しく続けたかったのだ。最初から離れる理由なんてなかった。なら、話を続けよう。

「んじゃあさ、どうやって名前を残す?」

 スリーピング・ナイツの活動を続けるとなると、やはり名を残すという事の一点になる。となると何か大きなことを成し遂げなくてはいけない。

「はい!」

 仲間が一人手をあげる。

「はい、発言ドーゾ」

「っぷく……」

 茶番に誰かが笑う気がするが、それはスルーする。

「スリーピング・ナイツ自体が戦闘力の高いギルドだからGvGのランキングの一位、最強ギルドを目指したいと思う」

「おぉー」

「意外とまともだった」

「お前らは普段俺をどんな目で見てるんだよ」

 GvG―――つまりギルド・バーサス・ギルドの省略、ギルド対抗戦の事だ。二つのギルドが特設フィールドの上で戦い合い、そして互いを倒して点数を競うのだ。フィールド内で敵を倒せば点数が加算され、そして死んでもまたフィールドの自陣で蘇る事が出来るのだ。そうやって時間内にできるだけ敵を倒し、最後に点数の多かった方が勝利、というのがALOでのGvGだ。

「それには問題があるわ」

 ウンディーネ、シウネーが発言する。

「まず第一にスリーピング・ナイツはギルドとして小規模な事、次に資金が豊富ではない事、三つ目に装備も古代級を全員が装備してないという事。GvGで上位に食い込むのなら必然的に資金、人数、装備を揃える必要が出てくるわ。だとしたらスリーピングナイツは戦闘力と適正はあっても、ギルドとしての規模が小さすぎて話にならないわ」

「そっか、ボツかぁ……」

 サラマンダーの彼が落ち込み、

「だけど大会という発想は悪くないかも……。大会やイベント系だったら上位に残るだけで名前が残る事になるし。他に何か大会系のイベントってあった? 皆で出来るの」

「ちょっと待ってて」

 ホロウィンドウを浮かべ、その中の様子を窺い公式のアナウンスを見る。公式のサイトのほうでALO内でやる大会やイベントの告知は行われている。日常的な事から季節限定の事まで、多くのイベントがスケジューリングされているそれを確認する。

「えーと、料理大会があるね」

「パス、料理スキルは誰も育ててない」

「少し前にパンに挑戦したらモンスターが出来上がったよね」

「何時から料理スキルは錬金術スキルになったんだろう」

 それを聞かないでほしい。バグではなく仕様なのだから怖い。

「他には何かある? ほら、全員で参加できるタイプの」

「うーん、年末って事もあってイベントはだいぶなくなっているね。現在開いてるのって料理大会ぐらいだし……あ」

「うん? どうしたの?」

「いや、うん……」

 公式のイベントリストを見たら何故か妙に恐れを抱くタイトルが見えてきた。グループ参加が許可されているという時点で不審に思えてくる名前のイベントだ。ホロウィンドウを仲間に見せながらクリスマスに発生する公式イベントの名前をあげる。

「―――怒りのクリスマス」

 そのタイトルに全員黙った。公式の説明によるとアルヴヘイムに怒りのクリスマスが訪れ、全てを焼き払うと書いてあるが、全てを焼き払うとはなんだろうか。というか何故”怒り”のクリスマスなのだろうか。それ以上は説明文も存在しないし、グループ参加可能という時点で嫌な予感しかしない。というかこれ絶対ダメでしょ。何がダメだか解らないがこれは絶対にいけない。行ってはいけない。行ったら最後何か凄いうねりに巻き込まれて流されてしまう気がする。

 なんというか、

 カオスという名のうねりに。

 うん。参加は駄目だね。

「怒りのクリスマスはスルーの方向で」

「異議なし」

 全員が声を揃えて意義なしと答えてくれた。もはや公式で用意された地雷にしか見えない。有名なゲームレビューサイトではALOを運営とゲームマスターがおちゃめでアットホームな感じだと評価していたが、絶対にそれは違う。ハロウィンイベントに参加したのでGMがイベントに関して”だけ”はガチで本気だと言うのは解ってる。このクリスマスイベントもハロウィンの時同様、絶対に本気でプレイヤーの心を折に来るに違いない。

 ……もう運営の事は忘れよう。それがベストだ。怒りのクリスマス何てどうせ参加できないんだ。きっとクリスマスは普通にあの家で、パーティーでも開いて過ごすんだ。そうだ、そうに違いない。でも自称神様がキリストの生誕を祝うのは何かがおかしい気がする……。いや、場合によってはおかしくない……のか……?

 ともあれ、

「え、えーと、他に何か案はない?」

「……アインクラッドの攻略なんてどうだろう?」

「アインクラッドの攻略?」

「というよりはボス討伐。アインクラッドの黒鉄宮には石碑があるよな? あそこにはアインクラッドのフロアボスを倒したパーティーのリーダーの名前が刻まれるんだけどアレ、少人数でクリアした場合、パーティメンバー全員の名前が石碑に刻まれて、ずっと残る事になってるんだ」

「え、それ本当?」

 確認するためにも聞いてみると、困った様子で頷いた。

「うん。GMが自分の知り合い少数を率いて第一層のボスを倒した時にパーティーメンバー全員の名前が彫られたから間違いないよ。僕が確かめたし」

「GMは一体何をしたいんだ」

「金ぴかの方のGMは結構フリーダムだからねー……」

 ALOには基本的に四人のゲームマスターがいる。一人はGMラインハルト。これが一番カオスな人間であり、多分一番手のつけようがない。二人目がGMサイアスで、これが二番目に手の付けようがない。三人目が一度も姿を現したことがない為、完全に情報がない。ただ他のGMからはニートと呼ばれて親しまれている事だけが情報として流出している。そして四人目が二人目、GMサイアスの妻でマルグリットと言うらしい。

 ……GMサイアスとGMマルグリットが激しく見覚えのある人物はなんでだろう。

 考えが逸れた。

「……うん。アインクラッドを僕らだけで攻略か」

 それは……非常にワクワクする。未知を既知に変える。踏破した事のない物を征服前進する。だが問題は、

「アインクラッドって結構難易度高いよね?」

「先にマップをこっちで埋める必要あるし、ボスもパーティーが組まれる前に攻略しなくちゃいけないね。装備もある程度整える必要が出えくるし……」

「あ、俺知り合いに鍛冶師がいるよ。鍛冶スキルカンストしたって言ってたし、材料もってけば安くしてくれると思う」

「じゃあ装備を整える班とマッピング班を作ろうか」

「なんだか攻略っする方向で話が進んでるけど―――」

「うん」

 そうだ、これでいい。こうやって前向きに進もう。

「―――僕たちが生きている証をALOに刻もうか?」

 スリーピング・ナイツの挑戦はここから始まった。




よーやくプロローグを終わらせました。
色々と質問はあったり、悩むところもありましょう。
だがそれも、マザーズロザリオが進めば疑問などは氷解するはずです。

馬鹿に見えて、悩んでいるようで、楽しくやっている刹那。
原作とは大いに外れたマザーズロザリオ、お楽しみください。

ところで俺のSAOが見つからないんだが。
誰か借りパクしてないかな。
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| 断頭の剣鬼 | 10:37 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

怒りのクリスマス来たり
何だろう凄く、デジャヴるんです
とりあえず骸骨集めてくる

| ぜんら | 2012/11/25 13:40 | URL |

怒りのクリスマスか……。
あれか、ハイドリヒ卿がカップルアバターを修羅(独り身)を率いて幻想(キャッキャウフフ)をぶち壊しに回ったりするとかそういうノリ? ていうかそうであれ、お願い。

| 裸エプロン閣下 | 2012/11/25 14:29 | URL |

怒りのクリスマスと言われるとまずリア充爆発イベントとか思うけど、GMがリア充だから…まさかの非リア充を爆発させるイベントとかじゃないよね?
まさか、そんなド鬼畜なことしたりは…。

| 樒 | 2012/11/25 15:46 | URL |

怒りのクリスマスと聞いて
これはwktkせざるをえない。

| 烏 | 2012/11/25 16:46 | URL | ≫ EDIT

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

| | 2012/11/25 17:20 | |

ストーリーに関わらない番外編とかifストーリー的な物でいいからやって貰いたい。切実にそう想うwww
>怒りのクリスマス

| 名無し求道神 | 2012/11/25 19:56 | URL | ≫ EDIT

>すべてを焼き尽くす。
つまりザミ姐さんの出番か……。

| 空 | 2012/11/25 20:05 | URL |

怒りのクリスマス・・・・・・もうそんな季節かぁ

| | 2012/11/26 03:14 | URL | ≫ EDIT















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