陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~不良騎士道~ 第5話 不良騎士仕事をしない


「ポンポンポンポコーポンポコリーン」

「よっしゃ、戦争や戦争。戦争始めよか? オドレの頭カチ割ったる」

「主従そろって同じリアクションかよ。あ、悪いちょっとつまんなくなってきた帰ろうかな……いや、"ニキータ"でポーカーして帰るか」

「目の前でリアクションの駄目だしされた挙句ギャンブルの話に入りやがったでこいつ……ホンマに騎士なんかなぁ」


 場所は移り機動六課に与えられたビル、その中の一角に存在する八神はやての執務室に二つの姿がある。部隊のトップである八神はやて、そして視察と言う名目で訪れているウィルフレッドの姿だ。先ほどまでいたヴィータも新人の訓練を見ないといけないらしく、必要な報告とデータの受け渡しを行ってから忙しく去ってしまった。

「とはいえ、私も結構忙しいんよ」

「そうなのか?」

 場所を選ばずタバコを咥えながら部屋の中を見渡すと本局で見るよりも整頓された部屋の様子が窺える。はやての姿も薄く化粧がされていて若干気合が入っている事が解る。

「今からプレゼンか?」

「設立したのはえんけど、レリックの説明せなあかんからな」

「建前と本音の使い分けって面倒だなぁ」

「おい、こら、元々はそっちから提案のやったろうが」

 その言葉にウィルフレッドがタバコを指で掴み、口をタコの様にすぼめ、口をパクパクさせながら人の神経を逆なでするような声をだす。

「あぁ? なんですかぁ? 私達はぁ、はやてさぁんの夢にぃすこぉーし手を貸しただけですよぉー? はやてさぁん、の夢を、我々は応援してまぁすよぉ? そこにちょびぃーっと、わぁーれわれの思惑が混じってるだけでぇ」

「ヤバイ、その喋り方激しくウザイわぁ……殴ってもええ?」

 青筋を浮かべながら見えるようにはやてが拳を作る。

「殴ってもいいけど俺反射的にカウンターぶち込むよ。クセだし」

「何で屑みたいなヤツばっかりが理不尽に強いんや! クソ、何て世の中や! あとそのドヤ顔やめい!」

「お前と友人達もその強い変態に分類されるのを忘れんなよ。あと誰が屑だ。せめてちゃんと塵屑だって言えよ」

「こやつめっさ自覚しとる……!」

「酒とギャンブルに金を使いきる様な男が塵屑の以外何でもないだろ、常識的に考えてさ。社会の屑だよ」

 更にはやてによるツッコミやらリアクションが入ろうとした所で、ドアに二度、控えめなノックが鳴る。

「はやて、入るよ?」

 扉が横にスライドするのと同時に新たな人影がはやての執務室に侵入する。此方もはやてと同じ、管理局の制服に身を包んだ女性だ。ただこちらははやてよりも背が高く、腰にまで届く長い金髪を有している。体のスタイルもモデルのそれと言われても十分納得できるものを持った女だ。

「あれ、ウィルさん?」

「や、握手の変わりに胸か尻を選んで欲しい」

「あった瞬間にセクハラ発言するってことは元気ですね」

「うわぁ、フェイトちゃんは慣れとるんやな……」

「この手の会話してくる人は管理局にもいるから」

「……あれ? 私だけ? そういう話ないの」

 ウィルフレッドとフェイトの視線がはやてに集中し、ウィルフレッドは可哀想なものを見るような目をはやてに向け、その後フェイトの全身をしっかり見てから、再び可哀想なものを見る目をはやてに向ける。

「うん、まぁ、頑張れよはやて……」

「おい、こっちの目を見いや。一度本気で話あわんとあかんなあ」

「それよりほれ、お前らこれからプレゼンだろ、さっさと行け」

「ええんか? 誰かに案内させへんでも」

「マップは持ってんだから問題はねぇよ。許可だけ出してお前らは自分の仕事してろ」

 そっか、とはやてが言うと素早く許可をデバイスを通して出し、そのままフェイトと一緒に部屋を出て行く。ウィルフレッドもそのまま執務室に残っているわけには行かないのですぐに部屋を出る。廊下を歩きエレベーターホールへと向かって行くはやてとフェイトの後姿を曲がるまで見る。

「んー、フェイトは相変わらずエロイケツしてんなぁ……あのワガママボディで男の話を一切聞かないから不安だ。クロ助が不安に思うのも仕方がないよな……フェイトレズ説とか否定し難いし。っと、俺には関係のない話か」

 廊下を曲がり見えなくなったフェイトとはやてから目を離すとガラス張りの壁から外の様子を見る。直ぐ近くに時空管理局本局の他にも訓練用の施設や忙しく出入りをする人や車の姿が見える。このまま暇そうに風景を眺めているのも悪くはないが、それだけで終わらせてきたら確実にカリムの雷が落ちるので最低限の仕事は果たそうと考え、自分一人で行ける場所を脳内でリストアップして行く。管制室は色々と複雑そうで頭を使いそうなのでパス。格納庫へ行けばヴァイスがいそうなのでまずそれが候補一。昼飯はまだ食べてないし食堂が候補そのニ。確か医務室でシャマルが待機しているのでそれが候補三、と頭の中でリストを作ってから考える。

 どれが一番自分の欲望を満たすのか。

「んー、シャマルちゃんとは別れたばかりだし、昼にはまだ早い。格納庫へ向かってみるか」

 とりあえず格納庫へと向かう事を決めたウィルフレッドが歩き出す。


                   ◆


「そんな訳でシャマルちゃん、―――分かってても君と会うという行動はとても抗いがたい事だったんだ」

「あらあら、ウィルは相変わらず欲望に素直ね」

 結局、珍しく仕事をするつもりで来たが、最後の最後でウィルフレッドは女医と医務室でお茶をすると言う選択肢に負けた。既にウィルフレッドの脳内の天秤ではこの時間の重要性があとでカリムに怒られ説教される恐れを超えている。医務室の備え付けのコーヒーメイカーで淹れてもらったコーヒーを少し口に運び、インスタントのチープな味を楽しむ。

「結局シャマルちゃん、ここにいるのはいいけど暇なんじゃないの?」

「そうでもないわよ? 訓練終わったらここに体に余計なダメージが入ってないか確かめる為に新人さん達が来るし」

「それ以外は?」

 うーん、と首を傾げながら可愛らしく人差し指を口に当ててからシャマルが喋る。

「勉強かしら」

「勉強?」

「私、基本的にヴォルケンの中でもサポート要員で回復魔法とか結界魔法の使い手なんだけど、管理局で戦闘員として扱うには無理があるからね。暇な時間があれば色々と勉強してるのよ。医学とかだけじゃなくて政治とか何かはやてちゃんを助けられそうな知識を結構ランダムに」

「へぇ、シャマルちゃんは真面目さんだね。いやぁ、本当に惚れちゃいそうだよ。こう、誰かの為に頑張る人って輝いて見えるよね」

「もう、褒めたって何も出ませんよ」

「いやいや、別に何かが欲しいわけじゃないさ。純粋にシャマルちゃんの事は尊敬するぜ。ほら、ウチの変態騎士団の連中はどいつもこいつも全部教会のために動いていてくれるけど、基本的に個人プレーな連中だからさ、こうやって誰かの為、と思って頑張る人は俺好きだぜ」

 コーヒーに口をつけ、それを飲むとシャマルが少し好奇心を持って話しかけてくるのが見える。コーヒーを飲みながらも携帯端末を取り出し、片手でそれを操作してから、ポケットの中へと仕舞う。

「そう言えば」

「ん?」

「ウィル、そう言えば気になってたんだけど、神殿騎士団の話を車の中でしてくれたじゃない」

 少し前、ドライブ中に話した事についてだろう。

「アレについてもう少しお話できない? どんな人がいるとか普段は何をしてるとか」

「構わないけど、シャマルちゃん一応ベルカの騎士だからそっち方面知らない?」

 聞いてくる時点で答えは分かっているが、ウィルフレッドからすればこれは軽い確認に過ぎない。予想通りシャマルの頭が横に振られる。

「一応そこそこは知ってるけど現体制でどんな人が所属してるとかは良く知らないわ。問題だったら教えなくてもいいんだけど……」

 いや、とシャマルの言葉を止める。ウィルフレッドにとって騎士団の話をするのは別に問題でもなんでもない。そう、ウィルフレッドにとってはだ。問題は聞き手側にある。少し目線を上に逸らし、意を決してシャマルの方へ視線を向ける。

「むしろシャマルちゃんの方は大丈夫? 超かっこいい神殿騎士団に対するイメージたぶんぶっ壊れるけど」

 シャマルはウィンクしてから返答する。

「あら、大丈夫よ。ウィルみたいないい人がいるのならそう悪くはない場所でしょ」

「やべぇ、シャマルちゃん天使すぎてマジで惚れちゃいそう。んじゃ……まずは神殿騎士団の事自体から話し始めるか」

 マグカップの中のコーヒーを飲み干すとそれを金属製のワークデスクの上に置き、足を組む。体の右半身をデスクに寄りかからせるようにしてシャマルのほうを向くと頭の仲の情報を整理し、話し始める。

「まず最初に神殿騎士団ってのは基本的に二十人前後まで所属しているんだ。時代によって所属人数は変動するけど大体は二十前後な。一部の例外を抜けばそのほとんどが実力主義。六番から上を"上位ナンバー"って区分けされていて本格的な人外魔境はそこから開始する、と言っても十位辺りから十分に変態はいるが。ともあれ、一般的には"超"がつくエリート集団って認識かな?」

 うん、とシャマルが頷く。

「私が知っている神殿騎士団は聖王教会所属の"ベルカの騎士"の中でも特に実力、知力、そして実績を持つ優秀な人員が集まる騎士団で聖王教会の切り札。聖王教会に対する火の粉を振り払い有事の際には一番槍を担う凄腕の集団って話しだけど」

「まぁ、それは間違ってはいない。少なくともまともな"下位ナンバー"の連中と比較的まともな"中位ナンバー"の連中。こいつらはまだ人間性も戦い方も見せられるレベルだからシャマルちゃんが言ったとおりのやつらだ。
だけど"上位ナンバー"となると話はガラッと変わる。一人一人それぞれに教会より役目が課せられていて、それに沿った人物が何位かに選出されたり昇進したりする。だが、まあ、全員共通して異常な程の戦闘力を持っているということに変わりはない」

「じゃあウィルも何らかの役目を持っているの?」

 おう、と答えウィルは頭を縦に振る。

「俺の役目は聖王教会本部の守護だ。とま、そんな風に自分の役目を果たす為にぶらぶらしてるやつもいれば、役目を全うすることが出来ないから次元世界の果てまで布教に向かってるやつなんてのもいる。それに比べれば基本的にミッドか教会の周辺でぶらぶらしていればいい俺は楽な方だよ。どこからでも駆けつけられるように術式は転移系を最適化させてるし。えーと、"上位ナンバー"を抜いた中位や下位ナンバーの連中も基本的にどいつもこいつも似たり寄ったりだけど、基本的にはベルカ自治領の平和を守る為に自治領の守護についてるはずだ」

「あれ? でも昨日行った自治領に担当はいなかったわよ?」

「ミッド近郊の自治領は俺の担当。だから今はミッドに他の騎士はいないんだよ。基本的に死に難さは俺騎士団一だし。さて、こっからが嫌な話しになるけど、基本的にアップで映し出されているのは比較的にまともな連中で、俺達奇人変人は聖王教会のイメージが大きく揺らぐから基本的に裏方なんだな。俺達が表舞台に立つとしても最低でも俺や六位、四位みたいに人前に出せるレベルでの変態で、あとはばっさり発言をカットしたり姿だけ借りて一言も喋らせなかったりするな。まぁ夢を守るのって大事だよな? そんな訳でロリコン騎士長は一度素で捕まった事があるから二度とそういう系の話はないだろうし、三位は速さを求めるあまり誰もいない時間に到着して一人で終わらせて帰ったというアホを披露するし、五位に至っては論外。とりあえずはアイツについては言及避けておく。ともかくアイツら二度とミッドに帰ってくんな」

 そこで一端言葉を区切る。シャマルがコーヒーポットの中、まだ暖かい残ったコーヒーをマグカップに注ぐのでそれを感謝と共にウィルフレッドが受け取り、口を潤す。苦い液体を味わいつつも話を続けようとすると扉の外から歩く音が聞こえてくる。同時に人の声も一緒に揃って向かってくることを考えると、おそらくだが新人の初練習を終えて検査に来る、と言う所だろう。

「ふむ、もうちょっと教会の恥部を語ろうと思ったけど、どうやら邪魔しそうだね」

 ウィルフレッドがマグカップを再びデスクの上に戻すと窓を開ける。

「聞いて激しく後悔したからもういいわよ。それよりも会わないのの? なのはちゃん喜ぶと思うわよ。新しく入った新人達に挨拶するのも悪くないし」

 窓枠に片足を引っ掛けながらウィルフレッドが体を半分外に出し、片手を上げる。

「こんな所で遭遇してもつまらないだろ。もっと面白おかしい登場じゃなきゃ駄目だろ。あ、でもまたここへ来るのメンドイからもう会うことねーかも」

「こらこら」

「じゃあねー」

 一息で窓枠から飛ぶと、ウィルフレッドは三階という高さから地面に落ちて行った。
それをシャマルは見届けながら小さく呟く。

「相変わらず真面目か不真面目か判断の付かない人ね」

 あれでもう少し真面目であれば、迷わず良物件として保持しておくのも悪くはない……とシャマルは考えつつ、これからが自分の仕事だと、そう言い聞かせ思考を切り替える。


                   ◆


「さて、これだけありゃ十分か」

 シャマルと分かれてから約十分後。管理局本局から少し離れたミッドの路地裏、そこでウィルフレッドは体を大きく伸ばしたあとに携帯端末を取り出しそれを操作する。ホロウィンドウが出現し、その中には様々なデータがつめられているのが見える。それらは隊舎内の映像や新人の戦闘データから始まり、予算等に関してまでもがデータとして収められている。それらはもちろんウィルフレッドが情報提供を頼んで譲ってもらった物ではなく、勝手に持ち出した物に過ぎない。

「相変わらずセルマの野郎はいい仕事しやがる……後は送信して、ハイ終了っと」

 端末を操作しそのデータをウィルフレッドがいずこかへと送信する。勝手にデータを持ち出す行為は裏切りとしてしか取られない行動だが、その一切を気にする様子をウィルフレッドは浮かべない。まるでこのての作業は何度もやり、慣れた事であるかのような感じすら受ける。

「純粋に心配して話に乗ってくれたポンポコ達にゃあ悪いけど、俺とお嬢が一番得する形で踊ってもらうぜ、管理局」

誰にも聞こえないような小声で呟きながらウィルフレッドの姿は入り組んだミッドの街に消えて行く。
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| 不良騎士道 | 10:17 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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