陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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悪魔に涙はない ―――ジュデッカ

推奨BGM:Fallen Angels


 涙を流していた。目の端からそれが零れる事を止められない。自分の至らなさが招いた結果だ。馬鹿だ。馬鹿で臆病で、阿呆だ。自分が覚悟を決められなかっただけにこんな結果となってしまった。だから恥ずかしいなどとは思えない。右目から流れ出す赤い涙は純粋な罰だ。戒めだ。失われたものは戻ってこない。だからあの馬鹿は戻ってこない。

「―――!!」

 雄たけびを上げながら刃根を連続で振るう。背から生える十数の刃は振る荒れるのと同時に分裂するように数を増やし、数百を超える斬撃を生み出しながら颶風となって敵を、ナハトを切り裂こうと迫る。羽の全てに込められている消滅の力は触れるだけで問答無用で同格以上の存在を滅ぼす。が、それもナハトには意味のない話だ。同じ属性、似たような能力を前に、腐滅の炎と消滅の光は食い合って消える。結果、残るのは丸裸にされた刃根とナハトの得物だけだ。

 故にナハトが操る蛇鎖と大口径の銃、そして逆手剣が刃根とぶつかり合う。刃根の一枚一枚が山を割りそして海を割るのには十分すぎる威力を持った刃だ。だがそれはナハトの得物と打ち合う度に破砕され、砕け散った破片が四散する。が、破壊をされても勢いは止まらず、残り数百の刃が一斉に襲い掛かる。

 同時に四方から異形の軍団が襲い掛かる。先頭に立つのは巨大な龍の姿だ。その全身は軍団としての力を受け、大きく力を増している。四散する刃根に紛れ込むように大きく咢を広げて食いつこうとする体は真っ二つに両断され、そして一気に崩壊する。その切断面には無価値の炎が灯されており、切断面から一瞬にして塵へと姿を変化させる。同じように襲い掛かる無数の異形達も、その全てが同じような末路を迎える。

「―――無駄死にだな」


 ナハトがそういうのと同時に刃根による攻撃は収まり、一瞬で接近し、両手の刃を振るう。片方が銃とぶつかり合い、そしてもう一つが逆手剣とぶつかり合う。そうやって得物と得物は衝突しあい、停滞が生まれる。能力はその性質が似すぎて話にならない。筋力も拮抗している。この状況を動かす事が出来るのは技術、あるいは地力が勝っている方だ。だが、それを含めてナハトとの力比べは拮抗し、一ミリたりとも動く気配を見せない。故に、

「―――オーバー・アシスト」

 ナハトに停滞が叩き込まれる。数千尾、数万倍での停滞を叩き込まれたナハトの動きは一時的にだが、鈍る。ほんの一時的。刹那とも言える一瞬だ。だがそれは拮抗状態を崩すには十分すぎる刹那だ。ナハトの両腕を弾き、両腕を広げさせる。そのまま背中の刃根で首を刎ね飛ばす―――。

「あの命の意味を理解していないわけでもないだろう。それともその状態で勝てるとでも思ったのか? 甘いぞ。思い出せ、俺達の役割りを」

「忘れられるはずがないだろ―――」

 刃根は鎖とぶつかり合い砕け散る。そうやって何百、何千、何万という刃根が砕けてきた。何千という異形の軍団が燃え散った。ナハトとの戦いとはすなわち隙を海だし、どちらが上手くそこへ攻撃を届かせるかという探り合いに他ならない。派手な動きも搖動の一環でしかなく、互いに狙う一撃は全て必殺に他ならない。だが拮抗していた状況も次第にナハトへと傾く。友が死んだ状況で平静を保っていられる存在などいない。あぁ、解っている。

 自分の本当の役割りを。

 永遠の刹那の残滓を手にして、真実の断片を手にした。それは全てではない。全てではないが、あらゆる憶測を生み出すに十分すぎた。ッして真実とは常に美しいわけではない真実とは大概の場合において残酷すぎるものだ。故に踏み出せない。踏み出してはいけない。人類が、いや、俺という存在が登っていいのはここまでだ。これから先は地獄しか存在しない。故に本気を出せるわけもなく、このレベルでの全力を持って戦う以外に方法はない。

 しかし、ナハトのそれは通じない。役割を果たせという。

 神とは全能だ。

 しかし、神という存在決して”そんなもの”ではないのだ。神とは全能であり王である。しかしその実、神という存在はただ”垂れ流すだけ”の凶悪な存在であり、その願いを持って画布をひたすら一色に染め上げる究極のワガママでしかない。流出とはすなわち今の宇宙の終焉でありながら時代の創世。新世界誕生の儀式。一度始まってしまえば本人の意思なんて関係ない。古い秩序は全て刷新され新たな秩序が世界を包み、それが常識として、それが正しい世界の法則として固定されてしまう。駄目だ。それだけは許してはいけない。

 俺も、ハイドリヒも、絶対に流出してはならない。

 刹那とはそれについては完全に同意できる。俺っ他意は邪悪だ。邪悪すぎるんだ。この刹那を愛しすぎているから。人という存在を愛しすぎているから。だから俺達は決して良い世界を生み出す事が出来ない。流出して■へと至ってしまえばそれですべてが終わってしまう。それだけは回避しなくてはならない。絶対に、俺の天だけはありえない。

 この世界の天に誰よりもふさわしいのは―――。

「だから無駄死にだと言っているんだ」

 ナハトの攻撃が死で同様し、乱れた呼吸の合間を縫って攻撃を叩き込む。わずかな斬撃だがそれは積もれば山すら崩す亀裂となる。既にそれが数十となって叩き込まれている。目の前との存在は拮抗しているために状況が動かない。動けないのだ。

 なのに、

「―――ケララー・ケマドー・ヴァタヴォー・ハマイム・ベキルボー・ヴェハシェメン・ベアツモタヴ

されば6足6節6羽の眷属、海の砂より多く天の星すら暴食する悪なる虫ども」

 それは来た。”門”を開き、アスト同様枷を外し、十全以上の力を持って到着した。その男は相対した者の命が潰えた事から完全にフリーとなっていた。忘れるわけがないが、考えたくもなかった事態だ。銃を握ってい多片腕は完全に異形の砲塔へと姿を変えている。肩甲骨からは悪魔の様な醜い翼が伸び、そしてその声はかすれて人の物とは思えない声で喋る。全身から登りたつ気配からは人間の気配を欠片とも感じさせない。

「汝が王たる我が呼びかけに応じ此処に集え

そして全ての血と虐の許に、神の名までも我が思いのままとならん。喰らい、貪り、埋め尽くせ

来たれゴグマゴォオグッ!」


 声とともに放たれたのは収束された砲撃。完全に解放されたシン、そして門を通しての供給はジューダスという存在は一歩上の存在へ―――求道の流出へと至らせる。ベルゼバブという一つの完全な悪魔として存在を完成させる、魔格を与える事となる。そして、悪魔の砲から放たれるのは毒気、妖気、瘴気、怨恨、ありとあらゆる有害な物質を、霊的な物質から実在する物質の中で悪意のあるものを凝縮した呪詛だ。砲に呪詛と共にベルゼバブの象徴とも言える虫たちが込められ、それが迷うことなく放たれる。

「迷ってると死ぬぜ」

 迷うことなく異形の軍団が身を挺して防御に入る。だがそれも呪詛の砲に触れた瞬間、文字通り虫に”食われ”存在が消え去る。ありとあらゆる存在を杭散らし、世界を呪詛で汚染しながら貫く閃光は一直線で迫ってくる。

「ォオオ―――」

 返答の代わりに刃根が幾重にも重なり防御を生み出す。停滞の海に突き刺さる方が停滞を食い散らしながら刃根を砕き、直進する。体を加速させ、砲から体を回避させる。一瞬で空を埋め尽くす呪詛の砲は脅威だ。

 故に刃根を振るい、ジューダスへと向けて死の風を振るう。刃が振るわれるのと同時にそれが次元を切り裂き、切り裂かれた空間を元に戻そうと縮小を開始する。その際に近くにあるものは全てのみ込まれ―――消滅する。

 だが、

「―――主に大いなる祈祷を捧ぐ」


 それにナハトが割り込む。

アクセス――我がシン

アッシャー・イェツラー・ブリアー・アティルト

エルアティ・ティエイプ・アジア・ハイン・テウ・ミノセル・アカドン

ヴァイヴァー・エイエ・エクセ・エルアー・ハイヴァー・カヴァフォット―――開けジュデッカ」


 吹き上がるのは黒い炎。無価値の炎の壁だ。その高さは数千メートルにも上る炎の壁。それは一瞬で切り裂かれた次元を焼き殺し、攻撃自体を初めからなかった事とする。空間は焼け死に、そして消滅の力は以前よりもます。

「消えろ……!」

 覇道の領域を広げてジューダスとナハトを強く飲み込む。だが飲み込まれたジューダスはその皮膚を消滅するのと同時に再生を繰り返し死には至らない。そしてナハトの場合は魔格―――ベリアルへと枷を外し至った事でその消滅の炎は覇道の消滅を凌駕する強度を得る。求道の流出。

 ナハトも、ジューダスも、アストも。

 彼らが立っているのはその領域だ。流出。人間とは根本的に生物として立っている次元どころか世界が違う。常識という言葉が通じない。彼ら自体が一つの宇宙であり、そしてこの世で最も完成された存在だ。独自の方に独自の完成度。一人で完全に終わっているため、他の何にも染められない。もっとも自立した存在。それは強度だけで言えば覇道の神には勝っている。

 覇道の創造では到底かなわない相手だ。

 それでも、

「―――負ける気はないながな」

 茅場晶彦の静かな言葉と共に異形の軍団は数が膨れ上がり、その指揮のもと二体へと向かって攻撃に出る。攻撃の一撃で消滅するような軍隊だが、それは無限に生み出せるために数は無限に等しい。だがその速度を超えて二柱の悪魔は全てを殲滅する。消滅も、軍団も、停滞も、魔術も、剣術も通じなく、状況は一気に劣性へと追い込まれるが、

「貴様も男なら血反吐はいて結果を出してみろ」

「うるせぇ馬鹿野郎テメェに言われなくても解ってんだよ」

「―――そうか。だが悩んでるとお前以外が死んでいくぞ?」


                           ◆


 立ち会上がった。両手には剣がある。俺は断っている。だから戦える。

 あぁ、戦えるさ。

「あまり舐めてくれるなよ……!」

 二刀を構えPohとザザを見据える。もう勝てないとか力が足りないとか、そんなのどうでもいい。今、何となく狂信って言葉の意味が理解できた。状況がどうとか江とかじゃなくて、常時ブチ切れているような状態だ。あぁ、こうなったからこそ理解できた。ありがとうシノン。お前のおかげで今のこの状況ができた。ありがとう司狼。お前のおかげで気づいた。

 つまるところ、俺は、

「負けたくないんだよぉ―――!!」

 負けたくない。どんな理不尽にも負けたくない。髪だとか悪魔だとか犯罪者だとか殺人鬼とかふざけるな。俺の人生は俺のもので、俺はは俺らしく皆と笑って生きていきたいのにお前ら全員それを邪魔しやがって。いいぜ、来るなら来いよ。全員纏めてかかってこいよ。

 ただ俺は負けない。絶対に負けない。どんなに斬られて撃たれて倒れてもまた立ち上がる。どんな負け方をしようが俺は再び立ち上がる。

 気持ちだけでならだれにも負けない。

 純粋な闘志だけは、絶対に負けない。

 この気持ちに偽りはない。

 ―――俺は、負けても何度でも立ち上がる。今までだってずっとそうしてきた。

 泣き寝入り何てふざけんじゃねぇよ。

 なあ、そうだろ。

「明広! 何時まで引っ込んでよ馬鹿野郎ォ―――!!」

 今なら見える。空で繰り広げられる馬鹿の様な戦いを。まるで世界の終わりの様で、どこかで何かを恐れているアイツがいる。無駄にかっこつけやがって。あぁ、でも男なら無駄にかっこつける生き物だよな。

「Poh,ザザァ―――!」

「キリト!?」

 シノンを置いて一気に前に出る。体を駆け巡る激情のままに体を前に突き出す。Pohとザザへと正面から向ってゆく。気配だけで二人が笑っているのが解る。だがもういい。考えるのは面倒だ。この感情は決して間違っている物ではない。だから、

「八つ当たりに付き合えよ!」

「Cmon」

 敵が正面から切りかかってくる。必殺を狙った攻撃だ。その全てを無視して二刀の攻撃を敵に叩き込む。Pohとザザの体に攻撃が叩き込まれるのと同時にエストックが心臓を貫通し、そしてメイトチョッパーが肩から腰にかけてまで深い斬撃を生み出す。衝撃を受けてPoとザザ、両名が体を吹き飛ばす。そして、

「キリト―――!!」

 シノンの悲鳴が響く。どう見ても俺の一撃は致命傷だ。

 だが―――

「良く見てろ」

「傷が……?」

 傷がふさがっている。最初にPohに切られた傷はもうすでに塞がっており、いましがたできた傷ももうほとんどがふさがっている。これが渇望というやつの生み出す結果だろう。よく解らない。が、負けない。負けたくない。何度戦って負けようとも絶対に立ち上がる。それだけの力を得たという結果は理解できる。そして、それだけ理解で消えてれば十分だ。

「行くぞォ―――!!」

 既に体にできた傷はふさがっている。敵を見る限り先ほどの攻撃で受けた傷はほとんどない。それだけに相手は存在が強固だ。だが知った事ではない。

 ムカつくんだよ。うるさいんだよ。いい加減消えろよ。

 ―――俺の平穏にお前らはいらないんだよ。

 叫び声をあげながら一気に接近する。もはやPohとザザの攻撃など気にしない。再生するのならそれでいい。俺は、ただ、情熱のままに、攻撃を全力で目の前の敵にぶち込む。それだけだ。もうそれしかできないしそれしかしない。というかそれだけでいい。

 考えるのが億劫だ。

 とりあえず、

「少しはダチを信用してもいいんじゃないのか!?」

 誰へ、と明言する必要はない。この言葉は届いているだろう。だからそれ以上の言葉はなく、心意で全身を輝かせ、必殺の一撃を十数に叩き込む。命中する攻撃はPohとザザの体に傷を刻み込む。が、カウンターとして食らわせる一撃は肉を抉り、骨を砕く。だが闘志は萎えない。逆に闘志が燃え上がる。再生する速度が加速する。この程度で俺は折れない。


 負けない。

 この戦いが完全に俺の再生能力に頼ったところで、状況が劣性には変わりない。

「調子が出てきたな」

「お前を、絶対に、殺しきる」

 ザザとPohの動きは加速し、威力を増す。そして刃は少しずつ手ごたえを減らしてくる。加速すればするほど俺への被弾は増える。このまま続けてても俺がいつか削り殺されるのは目に見えている。

 が、

 ―――信じている。

 ともに叩き続けて来た友が、起死回生の”何か”を握っている事を確信として、信じている。


                           ◆


「ォオオオ―――!!」

「―――」

 叫びを上げながら終焉を振るう。当たりさえすれば神にさえ引導を渡す事の出来る拳は圧倒的脅威だ。それは相手が、アストが完全な状態になったとはいえ変わらない。無拍子の拳、全ての攻撃を把握する超認識、そしてほぼ予知にも近い超直感。それを持ってジリ貧になりながらも拳を振るい続ける。全身はニグレドの名に似合わず赤で染まっている。返り血などではなく自身の血だ。

「その武勇を純粋に称賛しましょう」

「いらん」

 空間を切り裂き、距離を無視して絶命させるバラキエルの爪を装着したアストの猛攻を紙一重、株を半ばまで断たれ、胸に大きな穴を開けながらも応戦する。動きに濁りの一切は存在しない。この程度で動きが鈍る事などあり得ない。そう、まだだ。まだこの程度では倒れない。この程度の傷では、

「俺は倒れん」

「でしょうね」

 アストの動きが更に加速する。既に互いに動きは光速を数桁超越している。もはやソニックブームすら動きによってかき消される超高速の戦闘の中で互いに狙うのは一撃必殺の攻撃のみ。その前に出される細かい動きなど囮にも小細工にもならない。

「ォ―――」

 終焉の拳がバラキエルと接触を果たす。故に終幕を引かれバラキエルは滅び去る。

 しかし、

 バラキエルが消え去るのと同時に再び詠唱が高速で紡がれる。

「ATEH MALKUTH VE-GEBURAH VE-GEDULAH LE-OLAM AMEN

BEFORE ME FLAMES THE PENTAGRAM BEHIND ME SHINES THE SIX-RAYED SATER 
我が前に五芒星は燃え上がり、我が後ろに六芒星が輝きたり―――

ATEM MALKTH VE-GEBURAH VE-GEDULAH LE-OLAM

されば神意をもって此処に主の聖印を顕現せしめん―――

アクセス

モード”エノク”より、サハリエル実行―――」


 もはや完全な力を解放したアストに止められぬものなど損z内しない。サハリエルはミハエルを強固に拘束し、その離脱を防ごうとする。がその術式が拳に触れる。純粋な腕力でしか破れないはずの術はたったそれだけで崩壊する。だが刹那とはいえ、光速の動きが停止したのは事実だ。それはアストにとって格好の詠唱を唱える隙となる。

「モード“シェムハザ”―――因子変更―――

モード“エノク”より、アルマロス―――実行」


「……ッ!」

 腕がはじけ飛ぶ。左腕がその根元から破裂するように吹き飛び、のk理の体が破裂思想と肥大化を開始する。残った右腕で自らの内側に存在する術式を終焉させ、再び全速力で瞬の存在しない拳を叩きつける。拳が一本だけになったとはいえ、死んだわけではない。そして死んでいないのであれば、

 戦うには十分すぎる。

 腕がないのであれば蹴ろ。

 足がないのであれば噛め。

 歯が折れたのであれば視線で殺せ。

 生きているのであれば取れる手段は十分に多すぎる。

「何を恐れている」

 アストにではなく、戦友へと向かって言葉を放つ。

「信じているのであれば恐れる事もなかろう。そうだろう。あの時、俺もお前も後を信じて疑わなかった。だからこそ刹那を駆け抜けた。あの戦場を。あの地獄の様な日々を。貴様も少しは信じてみろ。失敗したのなら後の連中がどうにかするだろう」

 俺はお前を信じている。

 故に。

 迫るアストのバラキエルの爪を回避せず、残った右腕一本でアストに殴りかかる。

「―――さらばだカメラード。一足先にヴァルハラで待とう」

 血が舞う。


                           ◆


 その瞬間、何かが切れたのが気配で察せる。溜りに溜まった何かが赤い涙として流、頬を伝って地へと落ちる。その間にも振るわれる刃が乱雑ながら精確に一撃必殺を狙って振るわれる死の刃に他ならない。それでもそこには怒りと憤りが多分に含まれている。抑えきれぬ感情は口から漏れ出して咆哮として轟く。必殺の刃はしかしナハトの逆手剣によって受け止められ、カウンターで繰り出された蹴りが体を一気に吹き飛ばす。追撃するように放たれた砲撃が数千にも、数万にも分かれて逃げ場泣く襲い掛かってくる。

 羽根を広げ、溢れ出す覇道の光が暴食の魔弾を食らい尽くす。が、それを狙っていたかのように無価値の炎、その火柱がまっすぐに体に叩き込まれる。衝撃に吹き飛ばされながら立て直そうとするも、その先で暴食の閃光が体を飲み込む。ボール遊びをするかのように面白い程に体を拭き跳び、そして遊ばれるように再び吹き飛ばされる。その間に抵抗を試みるも、それは通じない。魂だけが至っていても問題の解決にはならない。同じ領域の存在でなくては打倒をすることは不可能だ。

 もう既に二人、失われてしまった。

 それでも拒むのは、

 ―――怖い。

 恐怖。理解しているための恐怖。全てを知っているわけではない。断片から繋ぎ合せて生み出した真実からではある程度の事しかわからない。断片から得られたのは流出の真実。部分的な記憶、そして魔術。その程度の事だ。その程度の事しかわからないのだ。だからこそ怖い。

 ここで流出してしまったら地獄しか生まれない。

 こんなものを流出してはいけない。これが世界を覆えば世界は停滞する事も衰退する事も反映する事も出来ない。どこへも行けない。文字通り地獄が生まれてしまう。まるで凍りついた世界。宇宙という画布をフレームで飾って見続ける世界。そんな世界があっていいはずがない。命が生まれも死にもしない世界等―――邪悪の言葉に尽きる。

 だから流出してはいけない。ここに来たのは全てに決着をつけるためだ。今の俺ならできると侮った。侮ってしまった。そのためのこの結果だ。阿呆か。馬鹿か。最初から一人じゃ何もできないってのに。結局は踊らされているだけなんだろう。あの黒幕に。だが、その意味を理解している。それに乗るのは癪だし、許す事なぞ永劫ありえない。

「がっ」

「考え事をする暇があるのか?」

 ナハトの一撃を受けて吹き飛び、追撃にベルゼバブを食らいながらもまだ心は決まらない。優柔不断とも思われるかもしれないが、この世界は―――天はマリィに渡すべきものだ。ここでマリィもなしに流出をしてみろ。この先待ち受けているのは地獄だけだ。故に流出は出来ない。

「無責任な事を言いやがって―――!」

 あぁ、解っているさやるしかない事は。だけど怖いんだ。流出してしまえば直視せざるを得ない。俺自身の醜くさを。そうとなれば見られてしまう。彼女に。皆に。俺がどれだけ邪悪で醜いかを。世界をどうしてしまうかを。世界がどうなるかよりも―――彼女の笑顔がなくなる方が怖い。

 故に流出という選択肢は中々取れず―――攻撃を受けて体は吹き飛ぶ。

 既に全身はぼろぼろで、攻撃を受けてない個所など存在していない。服を赤く濡らして、無様な姿を晒している。これが無様以外の言葉で表現できるだろうか。

 あぁ、でも。

『―――おい、ケツぐれぇ持ってやるから。ビビってねぇで出来る事をやれよ 』

『――― 信じているのであれば恐れる事もなかろう』

 ―――そうなんだろうな。

 あぁ、そうなんだろう。

 未来を信じる。根拠のない自信だ。何となくこの先、何とかなる。そんな予感がする。そんなもの吐き気がするほどにきらいだが―――信じる。

 何を?

 マリィの未来をか? この場にいないのに? 愛しているし信じてるけどまだその時ではない。

 メルクリウスの策略をか? 冗談じゃない。誰がアイツを信じれるか。

 じゃあなんだ。

 話は簡単だ。

 俺が信じるのは―――俺を信じてくれる友だ。

推奨BGM:Walhall

「晶彦―――迷惑をかけたな」

「フッ、結果で見せろ」

 そう言って茅場晶彦の率いる異形の軍団が消え去る。同時にナハトとジューダスが散開する、そして―――その中心に一つの存在が現れる。

「アルファ、オメガ、エロイ、エロエ、エロイム、ザバホット、エリオン、サディ―――」


 紡がれるのは最強の”式”だ。始まった瞬間には消滅させる、彼女が保有する最強の式にして最強の兵器。ありとあらゆる生物を死滅させる最悪の術。

「汝が御名によって、我は稲妻となり天から堕落するサタンを見る。

汝こそが我らに、そして汝の足下、ありとあらゆる敵を叩き潰す力を与え給えらんかし。

いかなるものも、我を傷つけること能わず。

Gloria Patris et Fillii et Spiritus Sanctuary.

永遠の門を開けよ。アクセス、マスター。

”Y” ”H” ”V” ”H” ―――テトラグラマトン。

シン―――ペンタグラマトン。

永遠の王とは誰か。全能の神。神は栄光の王である。

モード“パラダイスロスト”より、ネツィヴ・メラー発動」


 そして、塩の光がアストより放たれる。発行した瞬間からふれた全てを塩に変える光は発生した瞬間には対処が不可能な死と滅びの閃光だ。罪を持った者にこそ最大最悪の威力を巻き起こす滅びの閃光は一瞬で俺へと到達し―――そして消え去る。体に触れることなく一瞬で光の全てが消え去る。先行などもはや最初から存在しなかったかのように。あっさりと消えてなくなる。最強の式があまりにもあっさりと消え去った事実にアストは一瞬だけ驚愕の表情を浮かべる。

「―――時間をかけたな、悪い―――これで終わりだ」

 一瞬でアストに接近し、両手を振るう。背中に刃根は存在せず、腕の中にある日本の処刑刃が全てだ。だがこの動きの速度は今までのそれと比べて遥かに超越するほどに早い。アストは半ば反応できずにいたが、刃が少し宇t黄刺さってようやく離脱の為の動きを開始する。

 回避した瞬間には首が半分着られ、アストの首から血が流れ出す。華奢で白い肌を鮮血が染め上げる。目の前の事態にナハトは笑みを浮かべる。

「―――あぁ、ようやくか。これで、ようやく―――」

 ナハトの言葉をかき消す様に叫びあげる。

      「さらば天主よ 終末の刻は来た 今こそ天使のラッパは吹かれるだろう」



                           ◆


 二刀を振るうスピードが疲労とダメージで落ちているのが理解する。もはやザザとPohの動きは精確に捉えられない。それでも心意で動きを補い、再生力で体を持たせ、信じて闘志を燃やす。攻撃を中てる回数も頻度も落ちていたも闘志は萎えてはいない。

「死ね」

 首にエストックが突き刺さり、そしてそれが抜ける。首から噴き出る血を無視してザザのガスマウsクに刃を突き刺す。その一撃でついにザザのマスクは壊れ、僅かに血を流すザザの顔が見えるはっきり言って、特に特徴もない普通の顔だった。つまらないと形容してもいい。あのマスクの下はこんな顔だったのかと、どこか失望すら感じる普通の顔だった。だがそれに気を取られてしまった。

「首を刎ねれば死ぬか試させてもらおう」

 いつの間にか背後へと回り込んでいたPohがエイトチョッパーを振るう。それが首へと向かって振るわれr。即座に避けよとするが、足が動かない。視線だけ下へと動かせばザザのエストックが足を貫通し、大地へと突き刺さっている。

「糞―――」

「終わりだ」

 そしてメイトチョッパーが首に突き刺さる。

 ―――そしてその刃が首に触れるだけで動きが止まる。

「なっ―――」

 ザザの驚愕の表情が浮かぶ。そして同時に体から疲労、痛み、ダメージの全てが消え去った。戦う前の状態へと一瞬で肉体が引き戻された。こればかりは心意でも再生能力でもない。それに俺はこんな防御力を持たない。故に、答えは一つで、

「明広!」

 ヤツが何かをやったという結果だ。

 Pohが舌打ちをする。

「時間切れだ。逃げるぞザザ」

「ボス!」

「I'll alwys be strolling in your nightmare Kirito」
(俺は何時でも貴様の悪夢の中に潜んでいるぞキリト)

「待て、Poh! ザザ!」

 止める前にPohとザザが消え去る。おそらくログアウトだ。この現象の意味を理解し、そしてそれから逃れる為にログアウトしたのだろう。ザザとPohが消え去ったところでシンノンが駆け寄ってくる。

「キリト! 大丈夫?」

「あぁ、逃げられたけど俺は大丈夫だ―――」

 そして空を見上げる。そこでは戦っている四つの姿がある。三対一という明らかな劣勢だが、今はもう

「―――心配する必要はなさそうだ」

 顔が見える。

 それを見ればわかる。

 心配する必要なんてない。


                           ◆

                    推奨BGM:α Ewigkeit


 足りなかった最後のピースがはめられる。残っていた最終工程を進める事によって魂だけの神格はついに現実を侵食する理となってその身から世界へと向けて溢れ出す。

           「ヨハネの言葉を聞け ここに天地の戦争は始まる

      消え去れ秩序よ 奮い立て魔の軍勢よ ここに終末の刻は訪れたのだから

       七のラッパは吹かれ時は来た 天主より最後の審判が下される

             貴方がそれを罪だというのであれば私は拾おう

       貴方がそれを不要と切り捨てるのであれば私はその全てを抱き込もう

               響け怒りの咆哮 開戦を告げる異形の宴よ

           水底の宝石こそが美しいから 全てに輝きはあるから

          故に古き者に幕を引こう 新たな天に貴方は不要である

                  今こそ誰よりも謳い上げよう

            永遠の君よ 貴女が誰よりも永遠に相応しいから」

 祈りだ。

 それは誰よりも自分がふさわしくないと知っている祈り。それは未来を生み出せない。生み出すのは過去も今も見リアもない、ただただ生きているだけの世界で無意味で悪辣な世界。邪神の系譜は邪神の理しか生み出せない。そしてそれの究極系とは、やはり究極的に未来を崩壊させるしかできない。故にこの流出とは最悪でしかない。生み出せるものは皆無だ。破壊しか生み出せない完全消滅の願い。

 美しい。

 愛している。

 永遠であれ。

 ―――人間という種の輝きを愛している。その平穏を見守る事が何よりもうれしい。その一部でも感じられればそれだけで幸せでいられる。愛する者と一緒にいられればもう他には何もいらない。そんな思いから生み出されるのは害の完全排除、完全消滅。それが何か危険性をはらむものであればそれを概念だけではなく発生から消滅させる。

 故に、

                             「流出]
                          Atziluth


 輝きよ永遠であれ。

                  「新世界へと捧げる終末の刻」
                Nieum Welt zu Widmen Ende der Zeit


 そこには新たな神格が生まれた。それより溢れ出す理は一瞬でガンゲイルという一つの世界を埋め尽くし、そして溢れ出す。無限に溢れ出す覇王の神格の理は一つの世界では収まらない。隣の世界、そのまた隣、その隣、そうやってあらゆる世界に溢れ出し、一瞬で満たし広がり続ける。そして電子ネットワークを全て覇道で満たしてから、行き場を失った覇道の流出は、

 ―――現実へと溢れ出す。

 世界はそうやって満たされる。覇道を止められる存在は覇道以外には存在せず、そして止めるものがいない現状、邪神の理が現実を侵食した宇宙を満たす。無限が無限を埋め、

 この世界は死者のない世界となった。

 そこには病気などない。

 老いもない。

 誰も傷つけあわない・

 死は消え去った。

 誰も死ぬことはなく、そして真に触れある事などできない。飾られるだけの宇宙が一つ完成した。

 同時にミシリ、と宇宙そのものに亀裂が走る。それは耐え切れない世界が悲鳴を上げる音でもあり、そして同時に■への道が開こうと、世界に穴が生まれる音でもあった。だが穴は広がらない。それが生まれるにはせめぎあいが存在しない。古い秩序と新たな秩序がぶつかり合って初めて特異点への落下は開始される。

 故に、此処に染まらない三人が集結していた。

「これで、ようやく本来の役目が果たせるって訳か―――!」

 ジューダスのかすれ声からは詠唱の声は存在しない。だが召喚されるのは数千を超える餓鬼虫の大群だ。魂さえも食らい尽くす餓鬼虫の大群は一匹にでも噛みつかれれば後は残りすべてに食い殺されるだけの運命を持つ存在だ。故に、明広は呼びかける。

「レギオン」

「任せろ―――先ほどまでの様にはいかない」

 茅場晶彦が前に出る。流出によって一番最初に影響を受けたのはこの存在だろう。軍勢変生、その未完成なものが完成されたものへと変換されるのと同時に全ての能力が跳ね上がり、その創造は遥かにア高いレベルへと昇華される。故に繰り出す異形の軍勢も強化される。異形の一体が餓鬼虫にすら劣らぬ暴威の体現者となって正面から餓鬼虫の大群でぶつかり合い、食らい合い、消滅し合って、そして世界の穴を広げる。

「ゴグマゴォ―――グッ!!」

「我何処に居れど、聖なる天使に守護される者ゆえに 
quoniam angeli sancti custodiunt me ubicumeque sum

斑の衣を纏う者よ、AGLA―――来たれ太陽の統率者。

モード”パラダイスロスト”より、ウリエル実行―――」



 餓鬼虫、そして異形の軍勢を突き破って呪詛の砲撃が叩き込まれる。同時にアストが詠唱していたウリエル―――擬似太陽が頭上から落とす様に繰り出される。神格を傷つけるには十分すぎる破壊力の攻撃だ。少し前までは全力で避けていたのだろうが、もはやその必要はなくなっていた。相手を飛び越える様に次元の跳ね上がったこの状況で、

「待たせた礼だ―――しっかり受け止めてくれ」

 迫るウリエルとゴグマゴグの前に体は回避する事を選ばずにそのまま覇道の領域を強く発する事に向けられる。アストもジューダスもナハトも、この三人が覇道の影響を受けないのは、この三人が”悪魔”として完全な存在であり、求道の流出と同じ位階に立っている事が起因する。故に、決して覇道の理から逃れられているわけではない。

 覇道の風を受け、ゴグマゴグもウリエルもその存在が完全に消え去る。まるで初めからそんな存在はなかったかのように。

 それと同時に体は動いていた。

 光速という概念を超える理で動きながらジューダスへと接近し、

「ったく、待たせすぎなんだよ」

 ジューダスが苦笑と共にその首を斬首される。その体は一瞬で滅び、存在が消え去る前に刃がアストへと向かう。既に終焉を叩き込まれた彼女に勝機はない。それを悟ってかアストは視認できない速度で近づく存在に攻撃を向けず、両手を広げて、今までの無表情からはありえない表情を浮かべる。

「―――抱きしめて、くれますか?」

 そしてアストは斬首された。ジューダスとアストの首が跳ね飛ばされ、その体が消え去る。その中でもナハトは笑みを浮かべた表情は変えない。その表情はまるで悲願の達成をしたかのような、祝福するような表情だった。だがこの男こそが三人の中で真に最強の名を持つ存在。その実力は他の二人と比べてさらに高い所にある。

「ああ 正義と不法にどんな関わりがあるだろう
光と闇に何の繋がりがあるだろう
彼と我に如何なる調和が許されるのか
是総て否
無価値なり―

相容れず反発し侵し合い喰らい合う殺し合う以外に途などない
嗚呼汝
我が半身よ
泣けるものなら泣いてやりたい
愛があるなら愛してやりたい 」


 そして、ナハトから叩きつけられるのは殺意だった。純粋に殺意だった。殺意というものを隠さずに、それを極限域にまで―――兵器というレベルにまで深めた殺意だった。槍の様に切っ先を鋭くした殺意がナハトの全身から放たれる。

「されどまた 是も否―絶対の否定こそが我が本質である故に
この身に涙などなく
この魂に愛など無い
彼我の溝は絶望なれば 絶死をもって告げるまで

来たれ獣・我が爪牙よ―――」


 人間であれば睨まれただけで粉微塵と化す殺意の霊子兵器が振るわれる。ナハトの全力を前に空間が鎖、そして死に絶える。それでもそれは明広の体に届く前に、

「―――隋神像」
     カムナガラ

 何かが咆哮をあげる。それは巨大すぎて姿を捉える事が出来ない。だがその声には消滅の力が宿っている。ナハトのそれも凶悪であり、強力であることに疑いはない。だがそれ以上に覇道を形として”何か”の咆哮は強く、そして森羅万象の全てを消し飛ばすだけの威力を持っていた。その前には霊子兵器も意味をなさない。ただ咆哮にかき消され、

 世界の穴が広がる。

 ナハトが正面から無価値の炎を全身に纏い、ぶつかってくる。純粋な強度で言えばやはりナハトは高い。が、求道では絶対に覇道には勝てない理由が存在する。それは、抱え込む魂の規模の違いだ。求道が自己だけで完結している存在に対して、覇道の神は世界そのものを包む。無限に広がり続ける覇道の理は自分だけではなく自分以外の全ての魂を抱き込む。故に求道では強度は勝っていても魂の量では勝てない。絶対に勝利する事が出来ないのだ。

 だからこそ、

 ナハトの全力を正面から二刀の刃で受け止める。その衝撃だけで世界は歪み、砕け、弾け、

 そして―――落下が始まる。

 本来なら覇道のせめぎ合いでのみ発生する特異点への落下は■へと至る為の唯一の方法だ。だがナハトも、アストも、ジューダスも。全てはこの瞬間の為だけに生まれた。これを成すためだけに生まれた。故に、この事態を発生させるための機能を持っているし、それを成すための下準備もSAOではじまりの種をまき、ALOで世界に亀裂を生み、そしてこの世界で芽吹くことに成功した。

 故にナハトに押される形で落下してゆく。

 下へ、下へ、無価値の炎を全力で吹き上げるナハトが上から抑え込んでくる。

 特異点へと落下しながら段々と覇道の流出は収まって行く。そして無価値の炎も消えて行き、世界はひたすららかkを続ける。その時間はそう長くはない。だが刹那でさえ無限に感じるこの瞬間、時間の概念自体は消失されており、特異点の落下に今も後も前も存在しない。

 そして、

 無価値の炎が消える。

 覇道の流出が消える。

 瞬間、刃が振るわれ。

「ま、悪くはなかった」

 ナハトが斬首される。

 相手が消え、力も特異点の落下によって一時的に収まった。そうやって落下を続け―――到着する。

 ジュデッカと呼ばれる場所へ。

 マルクトと呼ばれる場所へ。

 王冠とも言われた場所へ。

 ビフレストの先へと。

 そここそが■であり神々が世界を掌握し見据える場所。

 過去の戦いにより大いに破損しているそれは正常に動かない。だがそこへと到達した。今■へと座り込んでいるのは遠い日の残響。残滓だ。

 そして―――

                 「―――座へようこそ我が息子よ」





名前:新世界へと捧げる終末の刻(Nieum Welt zu Widmen Ende der Zeit)
位階:流出
発現:覇道
人物:最上明広
原典:新約聖書
渇望:「愛する者を守りたい」「輝きよ永遠であれ」
能力:
 明広の渇望が流出位階へと至った結果の流出である。簡単に言えば邪悪の一言に極まりない。この領域にいたって事で明広は自分が”人間の輝きを愛する”という事実に理解を示し、そしてその輝きを守る事お自らの務めとしている。その最上位に立つ存在を黄昏とし、それ以外の人類も守護すべき範疇に入る。害のある可能性の存在をその発生から消滅させ、生まれた事実自体を消去し、ただただ守るだけである。それが酷く防御的な流出に見えるが、その実は消滅しかできないため超攻撃的な、破壊しか生み出せない悲しい流出である。
 もちろん死者を蘇らす事などできない。明広が行っているレギオン化はあくまでも魂を消滅の鎧で保護し、死という結果を消滅させることで存在を維持しているだけに過ぎない。故にひとたびその鎧が剥がれれば否定され、消滅させられていた死が戻り、再び死ぬこととなる。
 この理が流出した場合生まれるのは地獄の様な世界であり、端的に言えばそこに人間の意志など一切存在しない。老いもなく、病魔もない。人間は互いに傷つけ合う事などできない。故に、子供を産む行為もできない。死ぬ事も生まれる事もない。そこに未来は存在しない停滞のように見えるが、実際は停滞どころの事態ではなく、人類はありえもしない終焉を求めて廃人になる以外救いがない世界。永遠の輝きを求めた結果、輝きを失う結果しか生み出せない流出。

詠唱:さらば天主よ 終末の刻は来た 今こそ天使のラッパは吹かれるだろう
ヨハネの言葉を聞け ここに天地の戦争は始まる
消え去れ秩序よ 奮い立て魔の軍勢よ ここに終末の刻は訪れたのだから
七のラッパは吹かれ時は来た 天主より最後の審判が下される
貴方がそれを罪だというのであれば私は拾おう
貴方がそれを不要と切り捨てるのであれば私はその全てを抱き込もう
響け怒りの咆哮 開戦を告げる異形の宴よ
水底の宝石こそが美しいから 全てに輝きはあるから
故に古き者に幕を引こう 新たな天に貴方は不要である
今こそ誰よりも謳い上げよう
永遠の君よ 貴女が誰よりも永遠に相応しいから
流出
新世界へと捧げる終末の刻
Nieum Welt zu Widmen Ende der Zeit


名前:???
位階:創造?
発現:求道
人物:桐ヶ谷和人
原典:無し
渇望:「負けたくない」「何度でも立ち上がって見せる」
能力:
 桐ヶ谷和人が発現して見せた突発的な創造。それが創造なのか、心意なのか、それは怪しい所だが、聖遺物を変化させるだけの力はある発現であったため、創造として記載する。その能力はシンプルに傷の治癒。桐ヶ谷和人の闘志、渇望の強さに比例するように再生能力、その速度と効力は上昇する。シンプルに見えるが、超人的な能力と戦闘センスと合わせ、大体の相手には隙のない戦いを見せる事が出来る。唯一の弱点としては完全に渇望任せの再生力なので、同じ出力を出せないところにある。
詠唱:無し




余談:今回結構自重しました
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| 断頭の剣鬼 | 15:48 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

いつぞやもいったきはするが、はたして自重とはなんだったのか……

| サツキ | 2012/11/02 17:27 | URL |

自重とは何だったのか……。でもまあ、面白いしいいよね。
しかしまあ、完全に邪神だな。

| 空 | 2012/11/02 17:45 | URL |

これで自重となると、自重しなかった場合が気になるw

| tk | 2012/11/02 18:05 | URL |

自重って言葉を辞書で調べてみろ・・おもしろかったけど
気になるのはスレの妖精たちとシノンの反応だな
前作ではシノンはサイアスの戦いを見てなかったわけだし
一般的反応?が気になるところ

| モグラ | 2012/11/02 19:26 | URL | ≫ EDIT

自重なんて飾りですww
しかし輝きを求めた結果どんどんと汚れていくとは……なんとも最悪な結果となってしまったな……

| 裸エプロン閣下 | 2012/11/02 19:47 | URL |















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