陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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悪魔に涙はない ―――マリオネッタ

推奨BGM:Dumme Marionette
*1推奨BGM:Ewige Wiederkunft


「デジャヴるんだよ……!」

「あぁ、そうかい!」

 響くのは銃声。吹き荒れるのは魔弾。そこは到底人間が生き残る事が出来る様な戦場ではなかった。弾丸という弾丸が嵐の様に吹き荒れてその範囲内に入り込んだすべてを撃ち抜き、溶かし、そして殺す死の暴風域となっている。隙間という隙間が計算によって全てが埋められ、そしてカバーされているこの戦場では奇妙な出来事が発生している。それは司狼の存在だ。戦う度に司狼の動きは小さく、だが早くなっている。それは一種の適応臣下に近く、そしてジューダスとの戦闘で乳母役学習してると言っても過言ではない事だ。弾幕と弾幕の間の隙間を生み出し、そこに体を通しながら確実に致命の一撃を回避する。だからと言って全くの無傷ではない。司狼の体は度重なるジューダスの魔弾の回避によって少しずつだが傷つき、そして血を流している。

 それが千単位を超え、万単位の弾丸へと到達すると司狼の体お真っ赤に染め上げる。

 そう、赤だ。司狼の全身はジューダスとの戦いで真っ赤に染まっている。その姿はどう見ても大量出血で死亡寸前の姿だ。しかし常に現れるとも解らないデジャヴ―――いや、既知感の瞬間を司狼は掴みとり、”無敵”モードでジューダスの攻撃を全て紙一重で回避していた。紙一重で回避しながら反撃に弾丸を撃ち込んでいた。その姿はどこからどう見ても無様で、そして勝機の見えない姿だ。それだけではなく勝利の可能性、生存の可能性すら見えない。ジューダスと司狼の力の差は歴然であり、そして司狼は既知感が消えた瞬間に死ぬのが普通なのだろう。

 だが、それを発生しない。


 司狼の既知感が消える。既知感とは常に発生するものではない。それは発作の様に、何かをトリダーにして発生する現象だ。そしてまた急に消える。便利なようで吐き気しかしない最悪の現象はしかし生存には必須のものだ。そしてそれが消えた事は死しか意味をしない。司狼の既知感が消えるのと同時にその動きは前ほどの精彩を欠く。そして囲むように跳弾するジューダスの魔弾が襲い掛かる。しかしそれは一つも司狼には届かない。

 大地から現れるのは異形の姿だ。

 岩でできたモンスターとも言える者の素がtダ。それは茅場晶彦が率いる異形の軍団の一部に過ぎず、直接明広が指揮を執っているものに他ならない。司狼へと着弾する魔弾は司狼へと命中せずに、代わりに異形の姿がそれを受け切る。司狼が受ければひとたまりもない。

「余計な事しやがってアホが!」

「心配されてるんだからこのまま帰ればいいのに」

「馬鹿野郎」

 そんな事が出るわけがないだろう。

 司狼は歯が砕けるぐらいに強く歯を噛みしめていた。この状況は不本意だった。自分の相棒というべき存在に一方的に守られている。あぁ、そんなの自分らしくない。守る必要はない。手を出す必要はない。これで殺されれば本望だ。俺は勝てない相手に突っ込んで負けたんだ。それは俺の責任であってお前の責任じゃない。だから俺を見捨てろ。そう叫びたい。が、言葉は出ない。この防御行為が相棒の勝手な行動でありそして手の届く範囲であれば身内を問答無用で救いたがるのは一種の病気、いや、狂信の様なものだ。あの男は人という存在を愛している。特に身内という存在を深く愛している。その居場所を守りたいと思っている。誰一人欠けてはならない。だから誰も失わせない。自分の力で届く範囲は傷一つ付けさせない。現実的に言って不可能な話だ。だが失わないだけならこうやって何とかなる。

 今、自分が足を引っ張っているのが何よりも腹立たしい。違うだろう。

 あぁ、違うだろう。これが対等? 笑わせんなよ。

 これじゃあただのおんぶにだっこだ。こんなんで買っても意味ない。そう。俺は特別な能力なんかいらない。異形の軍団も、魔弾も、特別な名応力なんて一つも欲しちゃあいない。こんなバカみたいにふざけたものは何もいらない。

 ―――ああ。ふざけんじゃねぇよ。神様だ、すげぇ力だ、見ろよ俺は強ぇんだ。クソ言ってんじゃねぇよ。いらねぇ。んなもんはいらねぇ。このデジャヴも。こんなクソ野郎も。全部いらねぇんだよ。

 欲しいのは結局のところ、平穏なのだ。既知の先が未知で、そこに再び身内と楽しくやれる毎日がアレヴ場それでいい。今、こうやって刺激的に生きるのが楽しいと否定する事は出来ない。これは間違いなく俺の一部だと司狼は断言できる。だが結局それも―――全ての先、あの馬鹿な日々を取り戻すためだ。香純と、玲愛と、明広と、司狼と、正樹と、教会で、馬鹿をやったり、学校で馬鹿をやったり、あんな風にくだらない事でぐだぐだやってる日々を取り戻す。それが全てだ。

「……俺よ」

 司狼は動きを止める。その姿を見てジューダスも動きを止める。ここで攻撃するのが一番正しい選択なのだろうが、圧倒的強者であるジューダスはその心配をする必要がない。

「実の所、あの馬鹿はさ、香純とくっつくとでも思ってたんだわ。いやぁ、まさかのダークホースだったわ。流石の俺でも予想できなかったわ。マリィちゃんいい子だよな。香純と違ってどならないし。何か健気に頑張るし。馬鹿じゃないし。アレなら仕方ねぇわ。多分あの馬鹿一生処女やる様なハメになったと思うけど、まあ運がないと思って吉良目てほしいわな」

 司狼の到達に喋りだす意味不明な言葉にジューダスは眉をわずかに動かすが、銃を向けたまま、

「で?」

「いや、人生予想外の事が多いって話だよ。結局のところ俺達が予想できる範囲がでの要因があるから全てを見通す事はできねぇっつー話だ。お前ら三人この島でドンパチやってるけど俺にはサッパリなーんも見えねぇわ。ま、この戦い自体が目的っぽい事があるけどよ―――」

 司狼がタバコを取り出し、それを口に咥えて火をつける。戦闘前に吸っていたタバコは弾丸の一撃を受けて消し飛んでいる。このタバコも同じような運命をたどる事だろう。

「で、何だい? 俺は神父でもなければここは懺悔する場所でもないよ。適当に時間を稼いでもなににもならない事は君が一番よく知ってるんじゃない?」

「つか時間稼いでたら俺が死ぬだけだろ」

 司狼は苦笑しながら出血している体を両手を広げて表現する。そう、大量出血だ。現実を侵食する仮想の理は今、現実の司狼を殺している。少しずつ命を奪っているジューダスの魔弾は治療無くしては生存の可能性はない。出血から司狼の両腕は力なく垂れている様に下がっている。

 ―――司狼の目に火が灯る。

 司狼が強くジューダスを睨む。その目の中の灯は消えていない。これから最大の反撃を繰り出すと司狼は語っている。そしてそれに偽りはない。司狼は今、この戦場で、最大最悪の攻撃をぶちかます準備ができていた。

「いいか、次の一撃で俺はお前ら全員に勝利する」

「へぇ」

 ジューダスがその言葉に笑みを浮かべる。ジューダスにとって目の前の男は面白くも若干不完全燃焼な存在だった。彼ではジューダスの本気を引き出せないとはいえ、それでも売ってくる奇策、策略、戦術、それはどれもトップレベルでのものだった。それだけでは純粋な力には対抗できないが―――それでも素晴らしい奮戦を司狼は見せてくれた。故にジューダスは司狼の言葉を疑わずに、返事と共に軽く口笛を吹く。あぁ、そりゃあいい、と。純粋に、ジューダスは司狼の発言を疑わず、そして次の行動に期待した。心意という能力は自分たちに劣るが―――まだ見ぬ可能性を秘めている。それを見せてくれるかもしれない。

 だからこそ、次の司狼の行動が掌撃として映った。

 司狼が、

 自分の頭に銃を突きつけた。

*1

「……それは一体何の真似だい?」

「おいおい、わかんねぇのかよ。自殺だよ自殺。ちょっくら自分のドタマぶち抜くんだよ」

 なんでもないかのように司狼がそういう。自殺。射殺。自分の頭を打ち抜く。へらへら笑いながら、司狼が言葉を口にする。

「―――おい、何を怖がってんだよ」


                           ◆


 あの野郎、本気じゃねぇな。

 それは何となく解ってる。付き合いが長いから解る。あの馬鹿は今、何かを恐れている。そしてそのために今一歩を踏み出せていない。親友だから、ダチだから、自滅因子だからとか。そんな言葉はいらない。俺だからアイツを理解している。誰よりもアイツを理解している。あの野郎は何かを恐れて全力を出し切れていない。

 だが、まあ、そんなもんだろ。

 最初から何もかもぶっ壊れているのが人間じゃない。少しずつ壊れていくから人間なのだ。俺もアイツも最初はまだまともだった。こうなったのも結構最近の話しだ。

 だから、

「おい、ケツぐれぇ持ってやるから。ビビってねぇで出来る事をやれよ」

 笑みを浮かべ、引き金に指を賭ける。笑みを浮かべる。

 なんというか、長い付き合いだった。小学校か中学校か。正確な付き合いの初めは思い出せない。ただ何時の間にかアイツとつるんで、遊んで、そして大きくなったら既知感を脱却しようと必死に足掻いて、そうやっていつも二人でチームを組んでいた。色々馬鹿をやってきたが、どれもこれも既知感の範囲内だ。だからといって詰まらなかったというわけではない。全部楽しかった。台無しにされた感じはあったけど、どれもアイツの言葉で言えば”美しき刹那”っというやつだ。

 何時から詩人になりやがった。

 遅れた厨二病かよばぁか。

 あぁ、あの馬鹿野郎。

 引きこもりやがって。

 今からそっからお前を引きずり出してやる。何時だってそうだ。お前尾を引きずって前へ進めるのは俺の役目だ。役割だ。毎回そうやってもう少し、あと少しとその場でとどまっているお前のケツを蹴り上げて進めるのが俺だった。だから今回もそうだ。

 馬鹿野郎。

 いい加減慣れろってんだ。

「君は―――」

 目の前の逸脱者、超越者であるジューダスに向けて最大限にいやったらしい笑みを送る。残念だったな。本気の欠片も出せなくて。全力で戦えなくて。だが、あぁ、この勝負俺の勝ちだ。

「見てろよ―――最後に勝つのは俺達だ。あぁそうさ。明広! 勝てるよ、お前」

 その言葉を最後に、

 引き金を引いて自分の頭を吹き飛ばした。


                           ◆


 ―――瞬間、ISLラグナロクの空を咆哮が響いた悼むような、嘆くような、怒るような、そんな方向が空に響く。それは常人には知覚さえできない戦いの最中に発生した咆哮だ。それを上げる為に動きを止め、体には無数の傷が生まれる。それでもその咆哮は止められることなく響き―――

 ―――戦いの最終章が幕を開ける。




司狼の活躍が少ないように思えるけど、
ジューダスvs司狼は実力差がありすぎて描写に一番困ってたりしてました
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| 断頭の剣鬼 | 09:43 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

えーと、なんつーか。

正直、ミハエルと司狼の結末が急転直下過ぎる・・・。

| 断章の接合者 | 2012/10/31 10:24 | URL | ≫ EDIT

ヒロイン枠が多すぎる(笑)

女神「私が彼を抱きしめる。」
シロウ「私が彼を押し上げる!」
ミハエル「私が彼の敵を倒す!」
アキヒロ「私は自分が傷ついてでも大切な輝きを守りたい!」

……あれ?

| 若年法師 | 2012/10/31 13:30 | URL |

誤字がわざとやってるの?ってぐらい多いんですけど。

| 校正 | 2012/10/31 19:06 | URL | ≫ EDIT

訂正うぜえよ
毎日更新でグラズヘイム通ってんだから見逃せよ

| ぜんら | 2012/10/31 21:35 | URL |















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