陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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悪魔に涙はない ―――ストレングス

推奨BGM:Thrud Walkure


 ザザが吹き飛ぶ。

 Pohの首に一撃が直撃する。

 が、それでは落ちない。

「カ」

「Ha! Thats more like it!」(そう、そうこなくちゃあな!)

 ザザのガスマスクに亀裂が入るが砕けはしない。体力もわずかにしか減らない。そしてPohも斬首の剣を首で受け止めている。そう、首を刎ね飛ばすはずの剣を首という急所で受け止めているのだ。ありえない現象の前にキリトの思考が一瞬だけ停止する。その状況にザザとPoh替わり声をあげる。

「なんだ、この程度で終わりか英雄さんよぉ」

 Pohが首筋にあてがわれた刃に触れ、それを強く握る。それを握った瞬間、キリトの全身―――いや、体の芯が悲鳴を上げる。傷ついてはいけないところが締め上げられ、破壊されようとしている。それを体現するために体は傷を生んでいる。魂が、今、Pohの手によって強く砕かれようと握りしめられている。

「なんだ、お前まさか勘違いしていないか」

「ぁ……?」

「―――お前が使ってるソイツは魂を込めて使うもんだぞ? ―――お前が使ってるって事はお前がアイツから寝取ったんだよ」

「その表現はなんだよ……!」


 だがそれでキリトの疑問は氷解した。そして同時に、武器が破壊されれば自分もヤバイと、その事実を把握した。故にキリトがとった行動は最短最速で武器をPohから解放する事。即ち、武器を消す事。キリトが武器を消した瞬間Pohの腕の拘束が消え、キリトの体から痛みが消える。だがその瞬間を狙っていたようにL115Aの弾丸と黒星の弾丸が襲い掛かってくる。砕けたガスマスクの向こう側から見える狂気を飲み込むザザの瞳が真直ぐとこっちを見ている。

 弾丸に向けて光剣を放つ。

「どこまで行けるか見せてみろ」

 光剣がメイトチョッパーと衝突し、火花を散らす。一瞬で光の刃を半ばまで断ったメイトチョッパーを目視し、キリトの目が金色に―――心意の色で輝く。瞬間的に光剣は光の量を増やし、メイトチョッパーに抗う。が、それもわずかな動きだけだ。光剣は黒星の弾丸を受けただけで、L115Aの弾丸は邪魔される事無く脳を狙って来る。

「おおおおぉぉぉ―――!」

 叫びながらキリトが回避の動きを見せる。しかしそれすらメイトチョッパーによって抑え込まれてしまう。弾道はどう見ても回避不能。それは衝突する直前で、

 弾かれる。

 見えない弾丸に。横から。突然に弾かれる。

 それはまさに―――幻影の弾丸(ファントム・バレット)としか呼びようのない銃撃だった。それを成すことのできる人物は一人しかいない。そしてその人物は―――


                           ◆


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

 荒い息を吐き出す。今まで以上に心臓がバクバクしているのが解る。デタラメだ。デタラメすぎる。それが解っていても成功させなくてはいけない。何だあの鬼畜ブラックは一発でしかも実践で成功させろとか絶対頭がおかしい。

 ―――罵ってた。

 絶対に頭おかしい。

 女装ブラックめ。

「はぁ、ふぅ……はぁ……!」

 深く息を吸い込んで肺に酸素を送り込む。予想以上に攻撃の反動はでかい。死銃に叩き込むはずだった二発目の弾丸は思わずキリトを救うためにはなったのだが、それは吉として結果を生んだようだ。ヘカートの断層から薬莢を輩出し、弾丸を込める。バクバク存在を主張する心臓は決して緊張感からそうなっているわけではなく、これは心意等というふざけたシステムから得たものだ。そう、心意。キリトに言われ、使った。できた。

 出来ちゃった。

 しかも二発。これで自分も間違いなくキチガイ入りだ。まあ、それ自体はどうでもいい。死銃をどうにかしなきゃいけないのは完全に同意できる。いや、死銃だけじゃないあのもう一人の仮面の男、Pohも倒して黙らせないと駄目だ。正直キリトは良く二対一で生きていると思う。強さとか、そんな言葉とはまた次元の違う存在だ。純粋に強いのではなく、”折れない”と言った方が正しいのかもしれない。心意を使用する上で膨大な精神力と集中力を擁するのにキリトも相手も顔色一つ変えずに使用し続けている。一度使う度に荒い息を吐いている私ではだめだ。絶対に勝てない。

 あの三人はコストを無視できるほどに心が強い。

 いや、頭がおかしいんだ。

 絶対にどっか頭がおかしい。狙撃したのに敵は二人とももうこっちに視線を向けている。少なくとも距離は五キロはあるのに。それなのに私の事を見ている。そう、視線を感じるのだ。そして殺気も確実に私は捉えられている。攻撃しようと思えばできるのだろう。たぶん。なんとなくだがキリトの言っていた規格外の意味が解ってきた。そしてBoBに参加し事の意味も理解できた。

 ―――見せつけられる黒星の重心は私の精神をかき乱す。

 それ、無理やり押さえつける。

「いい加減にしろよ私……!」

 トラウマがどうした。

 自分の心を叱咤激励し、そして落ち着かせる。今は戦闘だ。戦闘中だ。トラウマなどに構っている暇などない。

 ―――昔、銃を握った。生きる為に必死で。そして殺した。郵便局で、相手を殺した。今の状況と全く同じだ。私はまた銃を握って、生き残るために引き金を引こうとしている。そう、同じ状況だ。だから、今度は迷わない。あの時の様に間違えて引き金を引いた―――そんな言い訳もトラウマも残さない。ここは私の戦場だ。そう。”私”の戦争だ。私が銃を握って引き金を引く、私の戦争だ。

 ―――私の意志で殺すんだ。

 引き金に指を賭け、固有を殺し、心臓の動きを問えメテ、精神を集中する。イメージするのは理想の姿。狙撃という行為の極致。銃声も弾丸も聞こえないし見えない。存在するんは着弾だけ。距離も速度も無視した絶対必中の弾丸。

「死ね―――!」

 明確に殺意を口にした弾丸を放つ。全身を疲労が襲うが、それを振り払って放たれた弾丸は過程を無視してザザのL115Aに衝突する。こんな距離からでも聞こえる破砕音とともに砕け散る銃の姿は儚く見える。いや、こんな距離から音が聞こえるのはおかしい。スコープ越しに見えるのはまだいいが、武器破壊のサウンドが聞こえるのは現象としておかしい。

「ははっ……私もどっかおかしいって事なのかな」

 キリトと出会って、今までの価値観、自分の存在、それが一気に破壊された気分だ。

 だが、まあ。

 それも悪くはない。


                           ◆


「ォオ―――!!」

「ハァ!」

 メイトチョッパーと羅刹が正面からぶつかり合う。光剣は砕け散ってもう使えない。故に二刀流ではなく片手剣のスタイルで戦闘を行っている。片手エストックを握り、もう片手に銃を握ったザザ、そしてメイトチョッパー一本のPoh相手に少しずつ押し込まれているのは理解している。が、それでも心の想いでは負けてない。いや、負けられない。

 弾丸が唐突にザザの首に突き刺さる。その衝撃で一瞬だけ、ほんの数ミリだけザザが仰け反る。だがそれは明確な隙だ。瞬間的に片手剣を両手で握り、強撃をメイトチョッパーに叩き込む。瞬間的に攻撃の空白地帯を生み出し、

「はあ―――!」

「舐めるな!」

 蹴りを蹴りで迎撃される。ぶつかり合った足を軸に体を持ち上げてもう片方の足で回転蹴りを繰り出す。それがザザの首に叩き込まれる。

「がっ」

「ってぁあああ―――!!」

 ザザを蹴りぬきながら振るわれてくるメイトチョッパーに対応する。回転する体に合わせて振るわれる刃に対して、更に体を加速させ、もう一回転する。そのまま踵落としをPohの頭上へと叩き込む。敏感に察知したPohがそれを片腕で防ぐ。それはメイトチョッパーにのない腕だ。故にまだPohは攻撃の機会を失っていない。そのままメイトチョッパーにを体に叩き込もうとして―――

「―――光素変換……!」

 瞬間的に体を光に書き換える。今はもうないダークリパルサーで出来た事を体に、魂に眠る記憶として呼び出して実行し、光となってPohの攻撃を回避して後ろへと回り込む。Pohはそれに反応できていない。背後へと回り込んだ状態でローキックをPohの膝の裏に繰り出す。一気にPohだ大地に膝をつく。Pohは言った。この刃はもう明広のじゃなくて俺のものだと。その知識はどこから来たか問わない。俺の魂で込められているから首を刎ねられなかったと。そういう事だ。魂のレベルで俺はあいつに劣っているのかもしれない。

 だったら俺らしくやるだけだ。

 心意の光が刃を包み、

「ヴォーパル・ストライク!」

 Pohの心臓を背後から貫き、貫通した。

 全力で叩き込まれた刃はPohの胸に穴を開け、そこから大量の血液を流す。

「ボス!」

 蹴りを首に食らったザザが即座に立ち上がり、此方に銃を連射してくる。バックステップで距離を取りながら剣を引き抜く。剣がPohの体から抜けるのと同時に更に血が流れる。どこからどう見ても致命傷―――いや、即死に近い一撃だ。今のでPohは確実に死んだ。

 ……人を殺したんだ。

 不思議と、その実感がわいてこない。よく考えれば人を殺すのはアインクラッド以来、初めてだ。なんだかんだ言ってラフィン・コフィンの壊滅事件以来は誰も殺してはいない。最終戦では明広生きていたし。茅場晶彦はゲームが終わった後自殺したと報道されている。そして≪ザ・シード≫をバラ撒いたことも知っている。ALOでも誰も殺してないし。

 今、此処で初めて人を殺した。

 しかしその実感―――

「―――なんだその生温い顔は。詰まらないぞ」

「なっ」

 即死の一撃を受けたPohが立ち上がっていた。その胸には剣で貫かれた傷が存在する。しかし死んではいない。その生気が全く抜け落ちていない。Pohは自分の存在を健在として証明していた。横に走ってきたザザの存在を止め、メイトチョッパーを握る手をだらりと下げる。

「人を殺す感触はどうだった。悪くはないだろう」

「ハッ、吐き気がするね」

「いいや違うな。お前は何も感じなかった。人を殺す事に何もな」

「……」

「キリト。お前は俺とよく似ている。俺が悪で。お前が善だ。ただそれだけで俺達は非常によく似ている。理解できるぞ。お前は強く願いすぎている。お前は日常を愛している。あの平和をどこまで愛している。だからお前はそれを脅かす者を許さない。お前はお前らしく射られるために邪魔な者の排除を辞さない。あぁ、よく似ている。笑えるほどに名。俺も俺の子音環境が好きだ。好きに振る舞えるこの力が好きだ。邪魔はさせない。そうだろ、キリト。お前は壊れている。俺も壊れている。邪魔なものは殺すしかない」

「黙れPoh。お前の戯言を聞いてやれる程俺は暇じゃないんだよ。これが終わったらバイト代が入るんだ。終わったらアスナの機嫌取りの為にデートに連れて行く約束があるんだよ。全部俺のオゴリでな」

「そうか」

 熱弁をしていた割にはPohあまりにもあっさりとそう返答を捨てきった。その殊に軽く違和感を感じつつ再び刃を構えようといsて、

「なら死ね」

 熱を感じた。

「ぁ……?」

 メイトチョッパーが体を左肩から右腰までを切り裂いていた。瞬間、Pohの顔面に弾丸が命中する。シノンの狙撃だ。だがそれでPohの仮面には傷がつかない。それだけだ。たったそれだけ。それだけなのに、

 俺は指一本動かすことなく大地に倒れた。
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| 断頭の剣鬼 | 10:25 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

キリキリの人外化フラグ成立www

| ポートラム | 2012/10/29 11:43 | URL | ≫ EDIT

いくらなんでも誤字が多すぎる。

| ㍑ | 2012/10/29 16:21 | URL | ≫ EDIT















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