陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~不良騎士道~ 第4話 不良騎士運転をする

『―――そうなのね』

「あぁ、だから大丈夫だって言ったろ。あの玩具じゃ俺には攻撃を中てられないって。それ以前にあの程度じゃ攻撃を中てても傷一つ付かないから問題ないだろ。騎士団の中で一番"死に難い"のは俺だって知ってるだろ」

『それでも丸一日連絡もなかったら心配してしまうじゃない』

「こっちから報告書は出したぞ」

『直接声をだして伝えればいいじゃない』

「あーあーあー! 解った解った、俺が悪かったって」

『解ったのならよろしい』


 朝、教会の前に停めてある車の前に寄りかかるようにホロウィンドウを出現させ、それに話しかけるウィルフレッドの姿がる。ウィルフレッドの服装は変わらない。着崩したスーツとサングラスに咥えタバコ。どこからどう見ても聖職者には見えないその姿で、ウィルフレッドはホロウィンドウの向こう側の相手、カリム・グラシアと話し合っていた。その目的はもちろんこれから出立する事、昨夜のガジェットとの戦闘の事、そして軽い顔見せだがカリムの方は昨夜、すぐに顔を見せてくれなかったことが不満なのか若干怒りの表情が伺える。少し満足げな表情を浮かべるカリムに対して若干困ったような表情を浮かべながらウィルフレッドが顎を掻く。一日の泊まりで来たとはいえ、必要最低限の装備でしか来なかったのでもちろん髭剃りなんて上等なものは持ってきてはいない。カミソリで髯を剃るのもなんだか面倒なので剃らないでおいたら少し生えている。これは教会に帰ったら剃るべきか、と思うがその前に機動六課の事を思い出す。

「確か機動六課は発足してからもう四日だったか」

『そうね。私はここから動けないから』

「解ってる。代わりに見てくるさ」

『うん。ウィル』

「何だよ」

『無事に帰ってきてね』

「馬ぁ鹿。俺が爺以外に怪我させられた事があるか」

『そういう意味じゃないわよ』

「解ってらお嬢。俺の居場所はそこだからな、ぱっぱと終わらせてグータラさせてもらうさ」

『あら駄目よ。今日も見習いの相手をしてもらわないと』

「勘弁してくれよ、あいつら俺が相手になると必要以上にハッスルしだすんだよ。俺になんかの恨みでもあるのかよ……」

『慕われてるだけじゃない。ほら、もう少し頑張りなさい。ふふふ』

 怒りの様子をもう見せてないカリムとの間に穏やかな空気が流れ始めた所で協会の扉が開く。そこから先導するように呆れ顔のザフィーラと、頭を抱えるシャマルとヴィータが出てくる。その様子からして二人が二日酔いに悩まされているのは物凄く解り易かった。その光景にウィルフレッドが苦笑し、

「じゃ、俺は」

『解った。じゃあね』

 軽く別れの挨拶を継げてホロウィンドウを閉じると新たに現れた三人へと顔を向ける。

「おいおい、お前らそれで大丈夫かよ」

「痛ぇ……」

「うぅ……クラールヴィントで……」

「か、回復魔法では二日酔いは治らんぞ……」

 シャマルもヴィータも明らかにグロッキーでとてもだが仕事が出来るような状態じゃない。唯一ペースを守って飲んでいたザフィーラだけが無事なようだが、四人のうち半分もダウンしているとか正直な所、話にもならないだろう。このまま機動六課へ戻ったとしてもおそらくこの二人は叱られる所だろうが―――

「―――ほれ、さっさと乗れ。俺が運転するから」

「いきなり声をだすなぁ……」

「い、痛ぁーい……」

「さっさと乗らないと胸を揉むぞ」

 不良騎士は意外と言うより姿どおりに外道だった。


                   ◆


 ベルカ自治領とミッドチルダを結ぶ高速道路を赤い車が走る。タイヤがなく、道路から十数センチ浮遊しているその赤い車は種別的に言えばオープンカーの類に入るだろう。一個人が所有する車としては十分すぎるほどに高価な物だ。科学によって強い風が顔に当たらないように風が減衰されているためにオープンでも心地よい程度に風を感じられるその車の中、運転席にはウィルフレッドが、助手席にシャマル、後ろのザフィーラに倒れこむようにヴィータが座っている。

 ある程度風に当たり良くなったとはいえ、それでも二人の様子は未だに二日酔いのそれで、もう少し素早く移動をしたいが吐かれても困ると、車はそれなりの速度でしか出せずにいた。

「気持ち悪ぅ……」

「おい、吐くなよ」

「吐かねぇよ……吐かねぇけど……頭痛ぇ……」

 ヴィータは飲みなれてないのか乗車したときからしきりに気持ちの悪さと頭の痛みを訴えている。枕代わりにされているザフィーラはもはや慣れたのか何も言わずに目を閉じている。

「シャマルちゃんはどうだ?」

「あ、私は二日酔いに対する魔法をダウンロードしたから、少しはマシに」

「あぁ、そういえばネットで探せばそういう魔法もダウンロードできるんだっけ。んー、基本的に魔法使わない俺には無縁の話だなぁ。使うとしても術は自分で組まないと満足できねぇし」

「あ、シャマルずりーぞ、私にもアイタタタタ……」

「車が動いている間に後ろ向くのは危険だからごめんね。でも、挑発に乗って飲んだヴィータちゃんも悪いってことでここは一つ」

「黙って薬飲んどけ。ほれ」

 ウィルフレッドが片手でハンドルを操作しながら懐から取り出した薬の箱を後ろの席のヴィータへ投げる。受け取ったヴィータがそれの説明を読むと箱を開けて口の中に入れ、飲み込む。

「悪ぃ……寝る……」

「あと三十分ほどでつくからそう長くは眠れないぞ」

「寝るぅ……」

 と、言葉を残してヴィータが目を閉じる。どうやら本当に二日酔いに対する耐性が低いようで治す為に寝ることを選択した様子だった。シャマルが小さく笑い声を零すと再び車内を沈黙が包む。

「何か曲でもかけるか?」

「ヴィータちゃんの邪魔にならない?」

「その程度じゃ起きないだろ」

 と、車の備え付けのラジオを回して行く。チャンネルをかえるごとに通販やエンターテイメント、様々な番組の声や音を鳴らしてゆく中でやっと目当てのチャンネルを見つけウィルフレッドが指の動きを止める。車のスピーカーからミッドチルダでは聞かないような音楽が聞こえてくる。種別的に言えばロックで、少し重いノリのいい曲だ。

「あら、これって地球の曲じゃないかしら」

 聞いた事があるのかシャマルがスピーカーから流れる曲に少し驚きを見せる。

「何て言ったって"エースオブエース"様の出身地だからな。地球って言えばちょっとしたブームだよ。しってるだろ? ミッドチルダにある地球料理の店や文明品を売ってる店。一番人気なのは曲とかだけどな。こういうロックなのは嫌いじゃないし」

「意外なところで影響与えてるのねなのはちゃん……」

「有名人のファッションがボーダーラインになるのはよくある事だろ。ただ、まあ、なのはちゃんやフェイトちゃん、ポンポコもそうだが自分達が有名人っていう自覚が少ないからなぁ」

 その意識はどうにかした方がいい、と言葉を終えると無言だったザフィーラが口を開く。

「お前はどうなんだ」

「ん?」

「お前も神殿騎士団なのだろう。なら有名人としてもう少し行動を控えることは考えられないのか」

「俺は雲の如く自由に生きるって決めたから」

「ウィルの場合は自由というよりは勝手気ままよね」

「シャマルちゃん意外とずぶりと行くな」

 ミッドの共通語以外の言語でロックバンドのボーカリストが歌を歌っている。こういう曲は言葉を翻訳したりすると一気につまらなくなるから、言葉が理解できなくとも雰囲気を楽しむ物だとウィルフレッドは思っている。故に頬に当たる緩い風を感じながらも周りの風景を見る。ベルカ自治領からでて既にミッド近郊に入ったので景色は自然の残された光景からビルの多い景色へと変わってきている。しばらく無言でハンドルを握りながら音楽に耳を傾ける。しばらく会話のないドライブが続いてから、ザフィーラが口を開く。

「そういえば」

「ん?」

「ウィルフレッド。お前、魔法を使わないな」

「うん? まぁな。魔法なんか使ってたら騎士団に入れなかったし」

「入れない?」

「ぶっちゃけるとさ、神殿騎士団の上位ナンバーの連中なんて全員キチガイかイロモノ集団だぜ?」

「……イロモノ?」

 ウィルフレッドが声を上げて笑う。

「いいか? 普通のヤツが神殿騎士団に所属できるわけがないんだ。普通なヤツだったらどこにだっている。俺も、カリムも、基本的に一芸特化だろ? 上位ナンバーに近づけば近づくほどそういう連中が増えるんだよ。そうだな、ここに第六位のアホの事を話そうか。俺が知る限り第六位は誰よりも聖王教会の教義に従って生きている男だ。清廉潔白、聖人といった言葉はアイツの為にあるんだろうな」

 シャマルが少し困った顔をする。

「えーと、それに何か問題が?」

「そんな第六位クンですが、実は超女好きです」

「え」

「でも聖王教会の教義に逆らいたくない第六位は絶対それを表に出したくないし、知られたくもない。だから基本的に目隠しで女を見れないようにするんだが、そんな生活を続けている間に心眼っぽい何かを開眼して目隠しつけてても見えるようになっちゃってんの」

「……」

「……」

 ザフィーラ、シャマル共に言葉が何もいえなかった。言葉を選ぼうとするが、どこからどう見てもその第六位と呼ばれる人物がかなり"アレ"な人間である事に変わりはない。

「だからと言って決して弱いわけじゃないぜ? 魔力保有量は大体A+ぐらいだったかなぁ、目を閉じてても誰がどこでどんな行動をするか風の動きや僅かな骨や皮膚、筋肉の音に人の温度。そんなので超反応しちまうから大抵の攻撃は予備動作に入った瞬間に超反応しちまうし、杖術の達人でそれだけでもかなりアホみたいに強い。ま、これで上位ナンバーとしてはまともな方だ」

「それでまとも!?」

「近代の聖王教会は何かがおかしい」

「俺達は全員どっか一歩ブッ飛んでる連中なのさ。魔力を使わず魔導師を殴り倒す不良騎士、心眼使いの変態騎士、産まれてこの方負けなしで重度のロリコンの最強変態の騎士長、そして速度の限界を極めようとする狂信騎士。ほら、どこからどーみてもキチガイの変態集団だろ? お前らん所もそう変わりはしねぇよ。なのはちゃんはどう見ても砲撃中毒者でフェイトちゃんはスピードジャンキーか露出狂でポンポコは広域殲滅魔法マニア。ほら、強いやつにまともな頭のやつがいないってことが証明された。世の中面白おかしくできてるよなあ、おい」

 言い返そうと頑張るもシャマルもザフィーラも反論する言葉が見つからず、心の中で友人達に反論できない事を謝る。だがウィルフレッドは何かを思い出したのかクツクツと笑いを零す。

「大きく話が逸れちまったな。まぁ、魔法は基本的に使わないけどさ、たまーには使ってるぞ? ジャンプする時にとか」

「それぐらいか?」

「んー、あまり手の内を晒すような話はやめておきたいんだよなあ、死活問題だし。まぁ、既にばれてる事だと俺、砲撃適正、魔力集束適正、魔力操作適正がF-って風にレベルに低くてさ、適性あるのは回復とか身体強化とか転移ぐらいさ。だからなるべく魔法には頼らず技術と技と戦術に頼って生きてるわけよそんな俺からすればネットからダウンロードした魔法は狂気の沙汰だな……有用性は認めるけどさっと、支払いは俺がするな」

「あ、私が払ってもいいけど」

「いや、ここは俺にかっこつけさせろって」

 車の速度が落ち、今まで走っていたレーンとは違うレーンへと移りながらゲートを潜る。ゲートにはオートで高速道路の料金を払う機能が付いており、ドライバーの端末からオートで設定金額を抜くようになっている。そのままレーンを変えてからカーブを曲がるとミッド中央、管理局本部の方へと車を向ける。新設された機動六課の位置は本局の直ぐ横に位置する場所に存在する。

 機動六課まではもう、そう遠くない。


                   ◆


「機動六課とうちゃーく」

 機動六課の本拠地となるビルの前で車をウィルフレッドが停止させる。

「ヴィータちゃん? 大丈夫?」

 先に下りたシャマルがザフィーラの体毛に顔を埋めるヴィータを揺り動かすと顔を上げ、体を軽く動かしてから立ち上がる。そのまま車から降りて軽くストレッチし様子を確かめた後、

「っしゃ、完全復活ッ! お前、何時もアレ持ち歩いてるのかよ」

「俺は強いから問題ないけど、お前らみたいに飲みなれてないやつが飲みすぎた場合用に幾つか持ち歩いてるな。あとは何時どこでも大人の紳士タイムに入っても大丈夫な様に避妊薬も」

「何て物を持ち歩いてるんだよお前は!!!」

 笑い声を上げ、ウィルフレッドが降りるとザフィーラも車から飛び降りる。誰も乗せない車はそのままプログラムに従い勝手に車庫へと向かうため、心配をする必要はない。一時間のドライブから解放された喜びを体を伸ばす事で感じながらさて、と言葉をもらす。

「俺はとりあえずポンポコか」

 名目上カリムの名代としてウィルフレッドは行動している。そのため基本的にはまず責任者にあったり、動き回るには少将と言う肩書きを持っていても許可が必要だったりする。故にこの場合はまず最初に話をつけてあるはやての場所へ行って自由に見回る許可を貰うべきなのだろう。

「はやての所か? だったらあたしが連れてってやるよ。報告もあるし」

「おぉ、頼む」

「では俺は適当に隊舎にいる。用があればそっちへ来い」

「私は医務室にいるから怪我してなくてもいらっしゃいね」

 ザフィーラとシャマルが別方向へと去って行く。それを見ながらポケットから新たなタバコを取り出し、それを咥え火をつける。それをヴィータが嫌そうな顔で見るがウィルフレッドは一向に気にしない。

「俺は将来癌で死ぬ予定だから」

「んな事聞いてねえ! ったく、はやてはこっちだ。あたしも新人の教育とか色々とでしなきゃいけねーんだから。あんまし手をかけさせんなよ」

「あいよ。と、新人か。そうか、新人の育成かぁ……」

 機動六課の本部の前でヴィータとウィルフレッドが動きを止める。何処か遠くを見るようなウィルフレッドの視線に、ヴィータが質問をする。

「何か新人の育成に問題があんのか」

「いや、今日も教会に帰ったら若い連中の稽古をまたやらされるのかと思うと若干鬱になりそうでなぁ……」

「仕事しろよ!」

 引っ張るようにヴィータがウィルフレッドをビルの中へと連れ込んで行く。
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| 不良騎士道 | 00:56 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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