陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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犯罪者の宴 ―――デス・バイ・フィーリング

推奨BGM:Deus Vult
*1推奨BGM:Krieg


 胸の内を満たしているのは怒りだ。

 そう、怒り。

 理不尽に対する絶対的怒りだ。許さない。許せない。自分が守ろうとしている日常を、笑顔を、自分が愛する者お片っ端から壊そうとするこの男は生かしておけない。そう、生きていてはいけないのだ。ここまでの劇場を感じたのは初めてかもしれない。あのオベイロン相手でさえ怒りはあったが、憐みをも感じていた。そう、俺はオベイロンの末路に対して憐みを感じていた。だが今、俺が相対するラフィン・コフィンの、終わらない悪夢に関してはそんな憐みは存在しない。どうしてこいつらを憐れむことができようか。オベイロンは一種の”被害者”に感じれたが―――これは違う。こいつらは望んで手に死、そして強くなった。悪夢は夢での狩人から現実世界での狩人となった。こいつらの存在は許せない

 絶対に生かしておけない。

 出て行け。

 俺の日常から。

 出て行かないのなら―――

「殺してやる!」


 P90を向けて引き金を引く。心は激情に駆られながらも頭は冷静で状況を分析し続けている。どんな状況でも感情を滾らせてはいても頭を冷静に、それは何事でも大事な事だと習った。故に弾道予測線は一本の線となったザザに向かう。しかしザザは黒星を構え、

「嬉しいぞ、キリト」

 P90の弾丸を黒星の弾丸で素早く打ち落としてゆく。体を素早く動かしながら回避運動に入るザザはP90の弾丸を最低限の動きで回避しつつ黒星で弾丸を落としてゆく。段数で言えばこっちが圧倒的に上だが、銃の運用では相手が上だ。相手の弾丸がなくなる前に此方の弾丸が底をつく。高速で接近をするも、ザザもほぼ同等の速度で避けているため、距離は中々埋まらない。弾丸を再装填する余裕はない。P90を投げ捨てるのと同時に新たな銃を、奪った銃を抜く。そしてザザが黒星とL115A、スナイパーライフルの銃口を此方に向ける。その構えは熟練されたものの動きだと一瞬で理解する。アインクラッドやアルヴヘイムが俺のホームフィールドであるように、クリミナル・パーティー主催者側のこの男のホームグラウンド、最も力を発揮できる場所はこの荒野の世界なのだ。

「イッツ・ショータイム―――」

 銃口が光弾丸が放たれる。弾道予測線は出現するがそれが一本の線となって伸びている。その事はもうよそうでッ着ていたし、予想するまでもなく俺を狙っているのが解った。狙っているのは頭、首、心臓。全て急所だ。ザザは本気で俺を殺しにかかっている。故に、

「生温いんだよ!」

 戦意を受けて気持ちが高揚し、言葉遣いが荒々しくなる。未だ抜かない刃が自己を主張するように体の内側で脈動するのを感じる。だがそれに振り回されるわけにはいかない。極めて冷静に精神状態を抑え込み、そして光剣の抜き打ちで弾丸を一閃の下に切り払う。だが切り払ったところで次の弾丸が来る。三点バーストだ。三連続で弾丸を相手は撃ち込んできていた。だがやはり、

 温い。

 既にALOにまつわる事件でバルカン砲の様な高速連射を俺は体験している。そう、あの杭の嵐に比べればこの銃撃は幼稚すぎる。弾丸と弾丸の間に存在する隙間が大きい。暴風からは程遠い。体を動かせば自然な動きで弾丸と弾丸の間をすり抜ける。その後に待つ弾丸は切り払い、更に体勢を低くして一気にザザへと向かって疾走する。右手に光剣を手の中で構える。一撃必殺、単発重攻撃の奥義の構え。

「ヴォーパル・ストライク―――!」

 命を奪う一撃を放つ。

 容赦はない。こいつらは死ぬべき存在なのだ。生かしておいてもこれ以上世界には害しか残さない。世界を守る等という傲慢な事は言わないが、それでも俺の日常を邪魔するのなら容赦なく殺す。明確な殺意と必殺の意志を込めて放った必殺の一撃はしかし、

「お前は、あの時よりも、明確に強くなっている」

 ザザは避けた。

 L115Aを光剣の横に掠らせるようにして必殺の突きを逸らし、黒星を首筋に突き付ける。容赦なく惹かれる黒星の引き金に対して、全力で首を、上半身を動かしてその車線から体を退ける。そのまま体を半回転させるようにして、回転を咥えた斬撃をザザの脇へと繰り出す。それをザザは神輿、後ろへとステップを踏むように下がる。二丁の銃は構えたまま、ザザは距離を生む。が、それは初期の位置を考えればかなり短く、そして近い。L115Aを振るい、撃つには近すぎる。この距離であれば得物をを片方止められる。

「俺はそれが、たまらなく嬉しい。お前はあの時、俺を倒して、俺は黒鉄宮の、軍の牢屋に入れられた。俺はお前を呪った。俺は俺を呪った。俺は弱い。弱いから負けた。だから俺は鍛えた。レベルも装備も変わらない。だがひたすら鍛えた。お前お殺したくてただ鍛えた」

 スナイパーライフルをしまうと、ザザは腰に下げていた獲物を―――エストックを取り出した。この世界には近接武器の類まで存在しているようだ。それを取り出したザザは片手にエストック、もう片手に黒星というスタイルで正対する。奇しくもそれは俺と全く同じ戦闘スタイルになっている。銃と剣による二刀流。

「繰り返した。俺にできたのは月、だからそれだけを、ひたすら毎日、お前を殺す事を願って、ひたすら続けた。一日なん何回やったか、俺は覚えていない。ただ牢屋の中で、ひたすらずっと、俺はエストックの基本から、全てを繰り返した。覚えているエストックの、ソードスキルを、ただひたすら、反復し続けた―――お前を殺す為だけに」

 エストックを握ったザザの姿は今まで異常に殺意に満ち溢れていた。先ほどまでスナイパーを握っていた時とはまた別人の様になっていた。ザザも明確な殺意を持って正対していた。奴が牢屋の中で何をしていたかは、その事実は純粋な驚愕として此方には映る。だが、努力で言うのなら俺も負ける事はない。俺も戦ってきた。勝てない相手に、どうしようもない状況に、ひたすら抗い戦い続けて来た。この結果だけは俺のもので、お前の努力を額する気はないが―――負ける気はしない。

「シッ―――」

*1

 ザザが突きを繰り出す。あっさりと音速を超える突きは今までの銃撃戦の数倍の速さで行われた。端t系に行って、美しい。その月は一種の芸術の領域にまで昇華されていた。突き。ただの突き。されど―――攻撃の基礎に通ずる動き。この一撃からはザザの血のにじむような苦労と執念、そして殺意の全てを感じられる純粋な一撃として感じられる。極限にまで身を削り習得した突きの極意はあまりにも隙がなさ過ぎて、放った瞬間には既にザザのペースとなっている。速度で言えばあの戦いよりも遅いが、速度に関係なくこの突きは脅威だ。

 だから弾いた。

 防御を最優先した。放たれた突きは技術にのみよって恐ろしい程の精密性と連携性を得ていた。弾かれた時点で既に二撃目を放っていた。動きから次の動きまでの連携が恐ろしく取れている。それを崩すためにも、放つのはハンドガンによる三点バースト。見様見真似で習得した基本技術をザザへと向けて放ちながら、僅かな時間を生もうとする。

 が、

「温いのは、どっちだ」

 ザザが黒星の弾丸で此方の弾丸を弾き、突きを繰り出す。バックステップで距離を生もうにも、ザザがステップと突きを伸ばす事によって此方を再び射程にとらえ、防戦一方へと追い込んで行く。

 驚異的であり、そして認めざるを得ない。ザザは強い。この領域にまで鍛錬を続けるのは並大抵の狂気では足りない。脅迫概念ではだめだ。それは狂気にも似た信仰と、そして絶対的に譲れない信念でしかのみなしえない偉業だった。ザザと言う男が”こう”なる前から一種の逸脱野に違いなかった。システムからではなく、精神的な逸脱者だ。ザザはこの領域へと至る為に人間としての精神部分を捨て去っているに違いない。それが惜しく感じれるのと同時に凄まじいとも感じる。だが、

「俺も負けられないものがあるんだよ……!」

 アルヴヘイムでは、アスナが待っているんだ。

 彼女の顔を思い出すだけで五体に力がみなぎる。最近はアスナの良心に挨拶したりと中々に充実した生活だと思っている。娘はいるし、友人もいる。クラインは社会人で忙しそうだし、エギルの店は相変わらず客がいない。だがそれを含めて楽しい現実だ。充実した現実だ。ふざけたGMのイベントも苦笑いしそうだが、それも楽しい日々だ。

「テメェなんかに一つでも壊させてやるかよ……!」

「やってみろ」

 それ以上ザザは語らず、エストックが殺意の色を纏う。強烈で凶悪で醜悪な殺意がエストックを纏い、ザザを暴風の様に包む。あのエストックこそが殺意の源であるかのように感じられ、そしてザザはそれを繰り出した。放たれるのは超音速の突き。乗せられているのは殺意の暴風。距離の制約を無視した突きは一瞬で俺の喉元に届き、

 弾いた。

 光剣とハンドガンで何とか弾く。ほんの刹那の差だが、殺意の槍は突き刺さらずに避けられた。しかし、その暴風は逸れるのと同時に爆発するように拡散する。

 そして、

 心を殺意が握りしめる。

「ハ、カッ!?」

 心臓の動きを止める様に殺意が体にしみこむ。いや、もぐりこんでくる。この殺意は猛毒だ。一瞬で切欠きで来た。これが死銃の正体だ。死銃がやっていたのは銃を通して殺意を叩きつける事だったのだ。今、俺に起きているのはショック死、心臓麻痺にも似た現象。これが死銃の致死の一撃の正体だ。それを理解するのと同時に、戦意を滾らせ、それを体から発する。

「ハッ!」

 強烈な殺意は戦意に紛れ消え去る。心臓を掴んでいた殺意は消え去り、そして再び呼吸ができるようになる。それを持って死銃の奥義は超えられた。打ち破った。だが、

「これぐらいしてもらわぬば、困る」

 ザザはこれぐらい超えられて当然といった風に口を開いていた。確かに、コラ位は超えて当然なのかもしれない。この程度で躓いていたら一生勝てないだろう、本当の敵には。そう、俺にはまだ倒さなくてはいけない相手がいるのだ。ザザだけが相手ではない。

 故に銃を捨て、

 両手で光剣を握る。

「―――心意」

 口にシステムの名を出すのと同時に光剣の、刃の色が白のそれから黒のそれへと変化する。それが俺の色に侵食された証拠であり、同時にガンゲイル・オンラインもまた茅場晶彦によって生み出された子の世界だという事を表している。このシステムに気づけている人間はどれくらいいるのであろうか。いや、今はそれは関係ない。全身に戦意と、そして願いを込めて構える。

 ―――あの日常へ帰るんだ。

 ―――あの平な日々を俺は願っている。

 ―――俺は俺で、それ以上でもなんでもないから。

 ―――だから理不尽なルールは認めない。

 ―――俺は俺だ……!

 心意の覚醒を受けて刃はさらに輝く。必殺の状態へと持ち込んだ刃はザザ程度の相手だったら葬れるだけの威力を持つにいたる。周りを軽く見渡せばGGOのBoBの放送カメラが存在しない。バレれば即座に退場させられるだろう。だから、今、この瞬間に、

「消えろ、キリト」

「悪夢は寝ていろザザ」

 同時に駆けだす。ザザも俺もスタートの合図はいらない。走り出したその瞬間が始まりであり、そして同時に終わりでもある。踏込と同時に突きを繰り出すのがザザだ。その動きは初速で此方を超える。そう、元々突きという攻撃は初速の速さ、そして精密性に優れる動きだ。アスナのそれを見ていれば理解できる。だが同時に、横への攻撃が苦手という弱点がある。薙ぎ払いには適さない武器を使用しているからだ。故に、初期戦略として―――エストックを弾く事が重要となる。

 が、それを無視する。

 殺意の塊であるエストックを正面から光剣をぶつけ合う。放ったのはどちらも必殺の突き。突きと突きが正面からぶつかり合い、武器の動きが一瞬だけ止まる。だがほんの一瞬だ。

 次の瞬間、二つの武器が手元から離れ吹き飛ぶ。

 これが最善策だ。

 あのザザはあの突きを、エストックでの戦闘方法を弱点を克服し、更に昇華するレベルで習得している。勝利するには武器自体なくす方法が必要であった。故にこれが導き出した最善策であり、

「武器はどうした」

 ザザに黒星を向けられる。そう、ザザは武器を持っていて俺にはない。先ほど使っていたハンドガンは捨ててしまった。故に俺には武器による攻撃手段がない。

 ―――と、言う風に見えるだけで、

「真の凶器とは人間の愛/狂気さ!」

「なっ―――」

 ザザの突きだされた黒星を握るッ右腕、ギリスーツの袖をつかむ。緩いが、それでもしっかりとした動きだ。アインクラッドで覚えた体術に、アルヴヘイムの黒円卓から最近軽く自慢げに教わった技術、それを合わせてやることは、

 組技だ。

 引っ張ったザザの腕を鵜sリオへと回し、空いている右腕をザザの首に回す。左腕はザザの利き腕を捻る上げる様にして、ザザの動きを阻害し、ひねりながら背後へと回り込み、首に回した腕に力を込める。迷い等ない。この一撃で、

 ザザの首を折る。

 本気の心意を体にたぎらせて駆ける首おりは確実にリアルのザザをも殺すだろうが、そこに一切の躊躇はなく、

 そして―――

「―――Your backs full and open」
     (背中ががら空きだぞ)

「―――がっ?」

 背中に熱を感じる。ザザを拘束する腕から力が抜ける。今、此処でザザに確実な死を与えるべきなのに、その腕には力が入らない。力を込めようとして、力が抜ける。その矛盾の中でザザが手の拘束から抜け出し、距離を生みながら背後へと振り返る。

「―――ボス」

「いい盛り上げだ、ザザ」

 声を聴くだけで誰かわかる。

「Poh……!」

 腹を見れば、そこにはあった。

 Pohの得物、

 メイトチョッパーが俺の体を貫通するように存在していた。
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| 断頭の剣鬼 | 11:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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