陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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悪夢 ―――ア・ショート・レスト

推奨BGM:Bottomless Pit


 三回戦は沼地がステージだったが、楽しむ余裕がなかったので、対戦相手には申し訳ないがサクっと試合を終わらせた。一瞬で片が付き、敵を沈めて再び会場に戻ってくる。やはり相当なハイペースで俺が倒しているのか会場に戻ってくるとほんの少数しか会場にはいない。そこにはミハエル達の姿も、ナハト達の姿も、ラフィン・コフィンの姿もない。が。俺よりも早く試合を終わらせている人はまばらにいる。これで三回戦目が終了した。三回戦まで来るとBoB本戦の出場は確定らしく、やっとひと段落と言う感じがする。四回戦は予選の最終試合でもあり、話を聞けばどうやら勝敗は全く関係ないらしい。故にそこまで気負う必要はないが、負けるという事に関してはやはりどこか忌避感がある。そりゃあ、自分も男だ。だが、それでも今は”今の勝ち負け”を考えるべき時ではなく、”最後の勝利”だけを念頭に入れて行動すべきなのだ。そうと考えたら四回戦は始まった直後に自分の頭を打ち抜いて、早期に終わらせるって手もある。そうすれば四回戦から本戦までの時間を稼げ―――

 ―――いや、駄目だろそれは。

 たとえどんな状況であっても自殺だけは狙ってはいけない。それだけはやってはいけない。それが遊びでも、死んで先へ進むなんて発想を持ってはいけないんだ。それは必死に生きる人間に対しての冒涜だ。そして、SAOで必死に戦い続けて来た俺がとっていい手段では決してない。……どうやらPohと会ったり、ジューダスを前にしたりで精神的に疲れてしまっているようだ。まあ、こんな状況になっても精神力が削れないような豪胆な精神力の持ち主にはなりたくない。俺はあくまでも人間で、人間のままでいたい―――と、願うのは無謀なのか。リアルの方でも謎の怪力が発揮されたりで、正直人間を順調にやめている気がしてならない。


 明広もラインハルトも何時か仮想は流出するとしか言わないし。あの二人、仲が良すぎるだろ。昔はもっといがみ合って、直ぐにでも戦い始めそうな雰囲気だったのに、何であんな風になってしまったのだろうか……あの二人が組んで何かを実行すると毎回悲鳴しか起きない。ハロウィンのホーンテッド・シュピーネ・ハウス然り、春の花見イベント然り、そして夏の海開きイベント然り、だ。海と言ったらジョーズって発想はどこから出てきたんだ。何十年も前の映画を急に持ち出されても通じる相手なんてほぼいないぞ。

 いや、俺は知っているんだが。

 まあ、あの二人がALOのGMとしてゲーム全体を面白い方向へと引っ張っているのは認める。というより認めざるを得ない。ラインハルトの才能には隙がなく、経営やエンターテインメントの才能まで完備されていたらしい。超羨ましい。そしてそのラインハルトについていける明広も化け物だ。ALO事件以来どうやら化け物っぷりに拍車がかかっている。アレ、既に人間を超越しているのではないだろうか。偶に、ラインハルトと同じような気配をあの首フェチからは感じる。というか、あんな酷い首フェチでどうやってあんな可愛い嫁を手に入れたんだ。

 明広が美少女を嫁に出来たって事実が何よりもショックだ。結婚式の招待状が届いた時は五回ぐらい目を疑った。やっぱりALOで、そしてSAOで見たあの女性、マルグリットと結婚するという話だったが―――アレ、どこで引っ掛けて来たんだ。いや、ほんと。出会いとか絶対に教えてくれないし。

 でもマリィもなんか首フェチっぽい気配がするし、多分首フェチどうしで通じ合うところがあったのだろう。仲良きことは良きかな良きかな。俺だけはそんな異常なフェチに目覚めたくない。とは言えヤンデレ属性の恋人がいる時点で俺も少なからず外れていると思う。と言うか、

 やっぱヤンデレだよな。

 改めて自分の好きなジャンルを少しだけ確認し直し、気合が入る。

 実に悲しい事実だが、男とは非常に簡単な生き物で、どんな状況でも好きなジャンルを少し考えるだけで結構気合が湧いてくる。同人誌とか同人ゲームとかすっごい卑怯だと思う。秋葉原へ行くと知らないうちにサイフが軽くなって、荷物だけが増えている。しかし妹が家にいると、地味にそういうものの隠し場所に困るからあまり増やせない。

 あぁ、それを全部押し付ける事の出来る友人の家があるのは何て幸せな事なのだろう。

 ありがとうレコン。

 感謝するよレコン。

 全部預かってくれて、ありがとうレコン。

 バレたら一生直葉が君と話してくれないだろうけど、欲望に素直な君は素晴らしかったよ。

 やっぱり俺達男は単純だ。

 と、そこまで馬鹿な思考をしたところで精神的な余裕がいくらか戻ってくる。そう、少し重く考えすぎだ。もうちょい軽くやるのがキリトのスタイルだ。どんな状況でも挑発的で、軽いステップで相手を翻弄して、それで痛い一撃を言葉としてぶち込む。状況は深刻なのかもしれないが、絶対に負けるわけではない。ミハエルと司狼もなし崩し的にだが引き込んでしまったし、状況的には三つ巴だ。ラフィン・コフィン、そしてあのナハト達三人、上手くあの二組をぶつけ合って、漁夫の利を狙って行動すれば勝てない事はないだろう。あのアストとか呼ばれた少女の言動から察するに、俺以外の目的があってここへ来ているようだったし。その目的は解らないが、純粋に大会を楽しみに来たというわけではないだろう。予測ではミハエル、もしくは死銃事件ぐらいが今のこの大会で特筆すべき点なのだが……。

「あれ」

 そこで気づいた。

「……なんでミハエルは大会に参加してるんだ」

 そうだ。聞き忘れていたが、何故ミハエルは大会に参加しているのだろうか。よく考えればミハエルと司狼がGGOにハマって遊ぶのは何となく理解出来るが、それがBoBに参加する理由にはならない。司狼はまだ参加しそうだが、ミハエルは完全に場違いだろう。大会に参加して無駄に高い能力を他人に露呈する意味がない。

「―――足りないなぁ?」

 まだ足りない情報がある。自分が知らない事実がある。何か、抜けている情報があってそれはおそらく、味方の内ではミハエルだけが知っている。ミハエルが帰ってくればそれを聞くのも悪くはない。が、

 さて、

 そこでどうしたものか、と言おうとしたところで、

「バッ!」

「うぉっ!?」

 背中への軽い衝撃と耳元での大声に驚き、前方へと向かって軽く跳び上がる。熟考に入っていたせいでまともに機能してなかった気配探知能力は、誰かに驚かされた事によってようやく機能を果たし、背後に誰かがいる事を伝えてくる。警戒と共に振り向くと、

「やぁ、少年。元気だったかしら」

「あ」

 振り返った先にいたのは武器屋で見た女だった。たしか名前は―――

「イナンナ、イナンナよ」

「あ、うん。キリトだ、よろしく。……って少年?」

 そこでビシ、っと音が出そうなサムズアップをイナンナが見せてくる。

「なんか総督府の入り口で楽しそうにしてたから、スキル使って盗み聞きしてたわ。そしたら案の定面白い事になってて笑わせてもらったわよ」

「おい。おい!」

 そりゃあ人がいるところであんなことをやってた俺が悪いんだろうが―――それにしてもそれを盗み聞きするのは正直どうなんだろうか。ミハエルに関する考察を邪魔された感じもするが、相手は完全な一般人だ。此方が命を賭けて戦う状況にある事を、察して欲しいというのも無理な話だ。

 というか、

「なにをしているの」

 顔を覗き込まれ、ボディチェックみたいに体に触れられてチェックされている。これがもう少しいやらしい感じだったら確実に犯罪者コードに引っかかっている。手に入れる力加減を理解している様子だった、地味にやっかいだ。

「え? 本当に男かどうか確かめているのよ。胸がないし本当なのね……可愛ければ男でもいいってオッサンに売れそう」

「おいばかやめろ」

「同人誌のネタになりそうな―――」

「おいマジでやめろ。それ以上いけない」

 この女、武器屋の時はそんなに印象が強くなかったが、口を開けばヤバそうな事をどんどん吐き出す危険人物だった。今までの死と隣り合わせの緊張感とは別に、目の前の女の口から飛び出す言葉に対して戦慄と緊張感を感じる。このままこの女を放置したら確実にヤバイ事になる―――主に俺の正気が。リアルでSAN値を削られる思いとはこのことだろうか。俺がネタにされている同人誌とか絶対に読みたくな―――

 ……。

 ……そういえば、前、明広に既に俺をネタにされた本が発売されているって聞いたっけ。

 あ、ヤバイ。

 決勝戦以前に心が折れそうだ。両膝と両手を床につき、軽く懇願する。

「お願いします、それ以上は勘弁してください」

「じゃあ死後の魂の権利を私に譲渡―――」

「貴様は一体何を腐ったことを抜かしているのだ」

 新たな声の主はイナンナの相棒の赤い服の男だった。やっぱりセンスが悪い。正直もう少しコーディネートには気を使った方がいいと思うのだか、俺も人のことをとやかく言えるようなファッションセンスではないからそこらへんは黙っておく。ただ、ユイに黒円卓よりもセンスがないと言われた時に、本気で落ち込んだ経歴を持つ俺に恐れるものはない。

 イナンナは舌を突出し、可愛らしいポーズをとって、

「交流?」

「そこでなぜ疑問系だ。……はぁ……私は何故……」

「いいじゃないカ―――君、人生余裕は必要よ。どんなに思い詰めて考えたところで答えの一つで状況が一気に好転する事も悪化する事もある。人生に、未来に予想をつけられる人間なんてそれこそ占い師か預言者でもなきゃ無理よ」

 すいません、知り合いに占い師がいます。しかも最悪な類の。

「だから無駄に思い詰めるよりは笑って殴るべきよ」

「いやまて、最後のは一体何なんだ」

「え、いや、だから笑って殴るべきだって。人生楽しんだもの勝ちだし」

「なるほど。よく解らん」

 俺もよく解らない。

 が、

「ありがとう。……俺を励ましてくれているって事でいいんだよな?」

「……」

 イナンナは目を背けて答えない。そのことに猛烈に不安を覚えるが、数秒してから再び無理やり作った感じの笑みを浮かべながら口を開く。

「う、うん、た、多分そうじゃないかなぁー?」

「おい、俺の目を見ろよ」

「はい、見た」

 そして目を逸らした。

 ……もう、なんか……どうでもいいや。

 目の前の女とのやり取りに若干疲れを感じていると、徐々に人が増えるのを感じる。時間的に周りの試合が終わる時間だ。となると人がまた一気に増えて、今のような馬鹿なやり取りもできない。周りを見渡し、軽く敵の姿を捜し、そして再び視線を前に戻すと、

「あれ」

 そこにはイナンナの姿も男の姿もなかった。やっぱり男の方に連れ戻されたのだろうか。そう言えば勝ち残ったのかどうか聞くのを忘れていた。まぁ、それも試合を終わらせれば自然と解ってくる。スクリーンで見た限りだと戦闘力は高いが、少し無謀な戦い方だった。アクション映画風と言うか、そんな感じのスタイルだった。アレでは現実的な戦闘、狩りをするように戦うプレイヤー相手には勝てないと思う。ともあれ、答えは次の試合を終わらせれば解る。そして、

 次の試合が終われば―――本戦だ。

 だが、

「その時はその時、だな」

 心が少しだけ、楽になっていた。
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| 断頭の剣鬼 | 10:11 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

悪夢 ―――ア・ショート・レスト 誤字・脱字報告

1.敵を沈めて海上に
言葉的に、海中での戦闘になるかと…。…会場ですよね?

2.ハrウィンのホンテッド・シュピーネ・ハウス然り
脱字です。roのoが抜けてます。

3. でもマリィも軟化首フェチっぽい気配
何かが軟らかくなってます…

4.しかし妹がいえんいいると地味に
誤字…かな?妹が家に居ると。

5.もうちょい軽いにやるのがキリトの
もうちょい軽くやるの間違いですか?

6.何とか理解で射るが、
誤字ですね。理解出来るが。

7.大会に三アkして無駄に
誤字と脱字です。解読出来ませんでした。

8.スキル使ってs¥盗み聞きしてたわ
誤字脱字だと思います。\が解らない。

9.ミハエルに関する公安を邪魔された
考案の打ち間違いですか?

10.ユイに黒円卓なっかでセンスがない
黒円卓内で・黒円卓の中で。ですか?

| 式神 | 2012/10/17 12:23 | URL |















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