陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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DAY27

 レオンミシェリの介入によってミオン砦の攻防は終わった。何とも不完全燃焼な結果だったが、それでもそれは妥当な判断だった。何よりも兵を動かしたのがガウル殿下だという事が最大の理由だった。今回の戦、その現場責任者がバナードであり、最高責任者はレオンミシェリであるというのに、それを無視して兵を動かしたのがガウル。バナードは地位的にはガウルの下にあり、たとえ今回の戦争興業を仕切っていても逆らえない―――もとより逆らうつもりさえなかった。バナード自身もガウルの行動には少々頭を痛めている所があった。だからこそ、レオンミシェリ本人が出てくるしかなかった。

 故に、この夜の戦闘はレオンミシェリの一喝で幕を引いた。

 当然の烈火の如く、怒りを見せてレオンミシェリはガウルを叱り、戦場を散らせて、そしてミルヒオーレを返した。勇者がコンサートに間に合わせ、ガレットはテレビの中継からその光景を見て、その日は完全に終了した。コンサートの後片付けはビスコッティの担当のため、次の日は完全に休みとなる。

 これで明日は完全な休みになる―――とはいかない。


 戦争が終われば被害報告や書類仕事が残っている。上に立つ人間は下に立つ人間以上に睡眠時間を削られる事を義務付けられている。録音機に録音されたミルヒオーレの歌をバックグラウンドミュージックに、テーブルの上に乗っている書類一枚一枚に目を通す。けがの報告はありえないので見るのは楽だ。基本的には本日の収益、損害報告、そして始末書が届けられている。このうち、自分の仕事となるのはバナードへと送るべきものとそうでないものの選別。大半はバナード行きとなるが、一部はジェノワーズとガウルの分担となっている。彼らが目を通す前に、一度ここで洗い流すのは業務外なのだが―――まあ、ご奉仕の精神と言うべきか、そんな感じの事から生まれた軽いチェック的行動なのだ。

 だがそれも終わった。目の前にあった書類は全て綺麗に右と左に分けられている。ペーパーワークが必要なのはどの世界でも変わらないな、等と今更思いながら椅子の背もたれに体を預け、体を思いっきり伸ばす。体が伸ばされるのと同時に体の節々が軽く痛む様な感じがする。今日は少々無理をしすぎたのかもしれない。四時間だけ眠ったが、そのあと全力でダルキアン卿と戦った事で休憩が台無しだ。

「明日はゆっくりするかなあー」

 明日は久しぶりにスケジュールがない日だ。仕事のない一日とはまた珍しい。空いた時間にジェノワーズに鍛えるのも悪くないかもしれない。砦から離れられない事を考えるとひたすらだらだら過ごす日も悪くはない。最近はずっと前線に出ずっぱりだったのだ。

「ジェノワーズにマッサージさせるのも悪くないかもなぁ……」

 今頃あの三人娘は悪寒を感じてたりするのだろうか。ノワールが意外と上手で気持ちがいいんだよなぁ、これも先輩としての特権だと思う。ともあれ、今夜の仕事は終わった。時計を見て時間を確認すれば既に時刻は十二時を過ぎている。ミオン砦の戦闘が七時ごろの出来事だとすると、既に終わってから四時間ほど経過している。たった一時間の戦争ながら、かなり疲れたと体で実感している。

 まだ二十五なのに、もうきついとか……。

 アインクラッド時代はもっと頑張れていた等と、昔のことを引き合いに出して自分をなんとか鼓舞する。

 と、此処までだ。

 椅子から立ち上がって体を捻る。軽く体を動かし椅子に座って、少し硬くなっていた筋肉をほぐす。そのままメイド服の首元、タイを緩め、解く。腰の裏のリボンも解く。それでようやく緩まってくるメイド服の胸元のボタンを開けて、メイド服を脱ぐ。ようやく体をビシ、っと整えるあの締め付けられた感じから解放される。あの服のおかげでスタイルが良く見えるのはいいが、少しキツ過ぎではないかと思う。が、それでも着慣れたものだ。この数年は親衛隊の服よりもこっちを着ている。まあ、それもガウルが成長するまで―――その兆しも、もう見えている。自分がガウルを補佐する時間も少ないだろう。

 メイド服を脱ぎ、それを部屋の隅の洗濯籠に投げ入れる。手を後ろに回してブラジャーのホックをはずし、脱いで洗濯籠に投げいれる。パンティも洗濯籠に投げ入れる。それから必要な分の服を持ち込んでいるクローゼットを開き、寝間着を取り出す。そして取り出した肌触りのいい、柊の柄のパジャマに腕を通す。こんな所までパジャマを持ってきているのか、と言うやつもいるが、女子としてのごく基本的なおしゃれだ。見られているわけでもないが、下着やこういうパジャマでも見られて平気なようにしているのが従者の務め―――なんてことはなく、着替えた方が気持ちよく眠れるため、普通に着替えているだけなのだ。明日の朝は書類を運ぶだけで終わるので、それ以外は自由だ。少し遅めに起きても文句は言われないだろう。

 パジャマに着替えたところで、体をベッドの上に投げ出す。ここらはそれなりに温暖な気候となっているため、上に何もかけなくても十分眠れる。ベッドの上に倒れこみ、目を瞑ってそのまま眠ろうとして―――

 コンコン、とドアが叩かれる。

 折角眠ろうとしていたところを邪魔され、すこしだけむっとするが、この時間に自分の部屋を訪ねてくる人物は限られている。再びドアにノックの音が響く。

「はいはい、今開けるから待っててくれー」

 完全に仕事モードは切れており、プライベートの状態に入っている。そのままドアへと近づき、開けると、

「―――たまには一緒に眠らぬか?」

「……か、閣下……!」

 レオンミシェリ・ガレット・デ・ロワ、その人がドアの前にいた。

                           ◆

 ベッドの上、向かい合う様に倒れている。ダブルベッドでもキングサイズベッドでもない。一人用のベッドだ。二人が眠るには少々狭い感じもする。だから一緒に眠るには体を寄せ合うしかない。だから向き合い、体を寄せ合って眠る。正面にはレオンミシェリの顔があって、相手からすれば俺が直ぐ傍にいる。なんだかこの光景がものすごく懐かしく感じる。

「久しぶりじゃの、こうやって一緒に眠るのは」

「そうですね。こうやって一緒に寝るのは久しぶりです」

 レオンミシェリとの間には今、触れる事の出来ない壁がある。だが一時でもそれがなくなった様に会話できるのはいい事だ。あえて地雷に触れる必要はない。こうやって、今は微笑むことができればいい。

「そうだのう……」

「昔はお転婆だった閣下を寝かす為にビオレと二人で挟んで、手を握って寝てましたからね。……こんな風に」

 ベッドの上で、向かい合いながらレオンミシェリの手を取り、指を絡めるように握る、本当に懐かしい。こう見えてレオンミシェリはかなりの甘えん坊で、甘える相手を探していた。もちろんそれを見せる事はない。だけど年の功と言うやつか、それを見抜いてしまった。故に幼い頃はそんなレオンミシェリの飢えを満たす為にこうやって、逆側にビオレを置いてレオンミシェリが眠るまで面倒を見たものだ。

「ば、馬鹿者! ワシはもう十六だぞ!」

 頬を紅潮させながらそんな事を言うが、それを振りほどく様子はない。指を絡めたまま、向き合い、

「また嫌な夢でも見たのですか」

「……あぁ。凄く嫌な夢を見たんじゃよ。見た事を忘れたくなるぐらいに嫌な夢を……」

「そうでしたか」

 ……それがおそらく、レオンミシェリに許せる唯一の言葉だったのだろう。済まないも、ごめんも、ありがとうも、口から出ることはない。それを言うステージは通り過ぎているし、まだ到達していない。次にその言葉を聞く事となるのは終わった後の話だろう。自分ができるのはそんな主を支える事だけだ。

「愛は打ち勝つものですよ、閣下」

「またそれか」

「えぇ、またそれです」

「そうか。……ならワシも精一杯の愛を込めなくてはならんの」

「えぇ、愛は偉大ですからね」

 レオンミシェリと身を寄せ合い、笑みを浮かべ、

「おやすみなさい閣下。良い夢を」

「お休みサイアス、良い夢を」

 そう言って、目を閉じた。
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| 短編 | 01:00 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ダメだ……アスアスとレオ姫がニャンニャン百合ってる姿しか想像でき無い。

ついでにビオレさんが加われば迷わずにダイブしたい!!

| 名状し難きナニカ | 2012/10/16 11:18 | URL |

サイアスさんとレオ閣下が百合展開…!

| 雑食性 | 2012/10/16 20:23 | URL |

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| | 2012/10/28 12:37 | |















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