陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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DAY25

 ジェノワーズは埋まった。

 と、言うのは冗談で、

 ―――ミルヒオーレ姫の誘拐はガウル殿下によるものだった。ジェノワーズに命令をし、そして勇者がまだこの世界のルールに無知であることを利用し、開戦を上手く勇者シンク・イズミに承諾させた。見事というほかにない。ジェノワーズというガウルが一番に信頼を置く少数精鋭の親衛隊にミルヒオーレを拉致させ、そしてそれをシンク・イズミにのみ見せる。自身の周りに勇者の行動や言動をも利用した、素晴らしい作戦だ。

 いったい誰からそれを教わったと言いたいが、それは確実に俺と言うだろうから問い詰めるのはやめた。ガウルの気持ちもわからなくはないし、主の間違いを諌めるのも従僕の役目だが、基本的にガウルの行動に間違いはない。咎める事など一つも存在しない―――まあ、そこには心情的な意味で偏見が入るだろうが、それを間違いだとは思わない。偏見からこそ生まれるものもあり、知りたい事がある。故に、咎めなどしない。


 しかし実際問題として、

「此度は突然の宣戦布告、そして誘拐、誠に申し訳ありません」

「いえ、お気になさらないでください」

 ―――誰かが頭を下げる必要がある。それもそれなりに高い地位にあって、頭を下げても良い人物が。……という理屈はさておき、ここは前々から面識のある自分が、頭を下げるのが筋だろう。だからこうやって頭を下げるも、気質の穏やかなミルヒオーレ姫は直ぐに頭を上げてほしいと、そう言ってくる。

「お許しいただきありがとうございます。ジェノワーズはもちろんの事、ガウル殿下も責任を取らせて庭に埋めますので―――」

「いえ、別に庭には埋めなくて良いんですよ? サイアスさんがそういうと本当にやりそうですし」

 ジェノワーズとゴドウィンには既に実行しているとか口が裂けても言えない。ノリに乗ってガウルと一緒に笑いながらやったとか絶対言えない。

 ともあれ、自分の服装に少し前までのだらしなさがない事を確認しつつ、目の前の少女を観察する。髪も服装もピンクの少女は若いながらもビスコッティの領主を務める姫だ。レオンミシェリとは対照的に静かで穏やかな少女で、基本的に戦争は好まない。とは言え、ガレットとの交流を昔から続けているため戦争をしないイコール弱いというわけではなく、防衛戦での能力はかなり高い。特に騎士団長のロランは”鉄壁”の名がつくほどの防御力を誇り、それを抜くことは至難の業だと認識されている。

 話が少しずれた。

 ともあれ、ビスコッティとガレットの付き合いは長い。レオンミシェリとミルヒオーレの関係は姉妹のそれに近く、ミルヒオーレはレオンミシェリの領主代行としての腕前を純粋に尊敬していた。それだけに目の前の少女には、ガレットによる侵略を目的とした戦争は絶望として映っただろう。何よりも知った相手だからこそ強大さが理解できてしまうのだ。

「……本当に申し訳ありません、ミルヒオーレ姫」

「サイアスさん……」

 改めて頭を下げる。

「この一戦が終わり次第、全力でビスコッティの方にお返しいたします。ですので、戦が終わるまでの短い間だけ、少々窮屈かもしれませんが、お待ち頂ければと思います」

「サイアスさん」

 そこに、ミルヒオーレ姫が割り込む。少しだけ強気の彼女に対して驚く。いつもならもう少し大人しいものだが……。

 少し躊躇するような仕草を見せ、

「レオ様は―――」

「―――存じ上げません」

 ミルヒオーレの言葉に割り込む。部屋の壁にはミルヒオーレとレオンミシェリが楽しそうに微笑んでいる絵が飾られている。そんな状況へと今持っていくのは難しい話だろう。ミルヒオーレの言葉も最後まで言わせてあげたいところだが、

「失礼ながら、それは一介の従僕に問う事ではなく、ご自身がレオンミシェリ閣下へと直接尋ねるべき事かと思われます。私の様な下っ端に聞いても解決にはなりませんよ」

「……そうですね」

 と、そこで外の叫び声と爆発の音が聞こえてくる。戦争が始まったのだ。ミルヒオーレが途端に心配そうな表情を浮かべる。部屋の中を軽く見回すと中にはテレビが置かれている。小型液晶の新型―――ミルヒオーレの為に運ばれたものだ。

 ジェノワーズの部屋から。

「少し、気分転換に戦の様子を見てみましょうか?」

 テレビのスイッチを入れて画面を映す。フランボワーズのうるさい実況と共に画面にはエクレールとシンクの姿が映っている。ここ、ミオン砦に進入したのはいいが、中庭に待機していた数百の兵士達に囲まれ、全方位からの攻撃に苦戦の色を見せていた。いや、押し込まれていると言ってもいい。その姿を見てやはりミルヒオーレは辛そうな表情をしている。

「戦争はお好きではないのですよね?」

 その言葉にミルヒオーレはゆっくりとだが頷く。

「……はい。お祭りの様に楽しくやっているのはいいですが、今の様に苦しそうな姿を見ていると……」

「―――ですが、苦しまぬば何も覚えません」

「サイアスさん?」

 少々失礼かもしれないが、これは言う必要があるかもしれない。筋違いかもしれないが―――

「僭越ながら、従僕、それもガレットの者であることを承知の上で少し、ミルヒオーレ様に申し上げたい事が御座います」

「お気になさらずどうぞ」

「では―――」

 一拍置き、

「―――意志だけでは、力は宿りません」

 現実とは厳しい。意志だけでは力は宿らない。力をつけるべく努力し、振るう事に対してしかるべき意志が必要なのだ。故に、

「ミルヒオーレ姫、貴女はジェノワーズ”程度”に誘拐されるほどに弱く、そしてレオンミシェリ閣下に言葉を届けられない程度に脆弱なのです。戦場にでず、戦わず、遠くから叫ぼうともそれは剣戟の音にかき消されてしまいます。どんなに美しい声音を誇っていようとも、それでは届きません」

 此方を見上げるミルヒオーレが視線を合わせてくる。その顔は答えを求めており、真摯に今の状況を、ビスコッティとガレットの状況をどうにかできないかと悩んでいる。そして現状に心を痛めている。

「では―――私に剣を取れと言うのですか」

 ミルヒオーレの言葉に笑みを浮かべ、そして体を部屋の窓の横へと向ける。そこからも暗い砦の様子が見える。しかし輝力の光が瞬き、輝いてたりと、少し普段よりも明るくなっている。が、それよりも問題なのは、予想されていない客の気配がこの砦にある事だ。ビスコッティの援軍だと理解するが。

「―――その方法をこれからお見せしましょう」

 窓を開けて、飛び出す。

 瞬間、砦にあった塔の一つが切断され、倒れ始める。それが味方に落ちれば大被害だ。

 故に、

「避難しなさい!」

「は、はい!」

 命令が聞こえるのと同時に、切られた塔の中にいた兵士たちが塔から飛び降り始める。それを片目で確認しつつ、腕の紋章に意志を通し、それを背後に出現させ―――

「―――陀羅尼孔雀王」

 塔を殴りつける。純粋に輝力を込めただけのシンプルな拳撃。しかし故に威力は高く、使いやすい。そんな奥義が塔に叩き込まれ、塔は一瞬で砕ける。味方へと落ちる筈だった巨大な石の塊はつぶてとなって降り注ぐ。その先の光景を見届けることなく、元々塔があった場所に降り立つ。

 ネクタイを緩め、胸元を軽く開ける。メイド服は体のスタイルをよく見せるために少々キツクできている。故に本気で動き回ろうと思うと少し服を緩める必要がある。

 塔のあった位置から砦の城壁に立つ存在を見下ろす。

 見えるのは武者の様な恰好をした女の姿だ。犬の耳と尻尾はビスコッティ所属であることを証明し、その体の中に凝縮されている百年をゆうに超える経験が、その存在が常識外の強者であることを物語っている。が、それは臆する理由にはならない。

「ブリオッシュ・ダルキアン卿。貴女の来訪は少々予定外です―――ですので、大人しくなって貰います」

 その言葉にダルキアンは笑みを浮かべる。

「数年ぶりにあったと思えば、どうやらあまり余裕が無い様で御座るが―――その状態で本当に拙者を抑え込めるとでも?」

 ダルキアン卿はこの世界における超越者であり、非常に迷惑な事だが戦闘狂でもある。良識と常識がある分まだ救いはあるが。拳を構え、返答の代わりに輝力を込める。同時に、

「ゴドウィン、援護をしてもらいます。アレは貴方一人ではキツイでしょう?」

「もとより殿下に勝利を命令されている。役目は果たさせてもらう」

 ゴドウィンが鉄球を持ち上げ、戦闘に備えて構える。その隙にエクレールとシンクが中庭を抜けて砦内へと入るが―――それも計画の内だ。ガウル殿下が良い時間を過ごせる事を祈りながら、ここらからは少しアドリブを入れて台本を進める事とする。

 さて、

「なら―――招かれざる客人を纏めて相手しましょうか」

 ”大陸最強”ブリオッシュ・ダルキアン。

 ガウル殿下の思惑を成功させるうえで、この女の計画を破綻させかねないイレギュラーだ。ゴドウィンもそれを理解しているし、計画を邪魔させる訳にはいかない。少々状況が面倒な事になっているが―――ミルヒオーレに対する実演としては申し分ない。

 近くに感じる隠れた気配はダルキアンの部下、ユキカゼのものだろう。昔あった時は幼い少女の姿だったが、アレを殴るとなると少し気が引ける。が、しかし、

「愛は全てに打ち勝つ故―――勝利をいただきます」

「―――参るで御座る」

 ダルキアンが城壁から飛び降りるのと同時に戦闘を開始する。

 ガウルも、シンクも、ミルヒオーレも、ここで何らかの答えを見つけられることを祈りながら。




なにやらユッキー、ここ数年まではロリだったらしいですぞ。
それがなんだか成長したい思い出おっぱいになったそーで。
おい、世の中の金髪ロリ。早く金髪巨乳になれよ。

ロリババァとかいいからさ、早く金髪巨乳に……。
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| 短編 | 18:56 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

>昔あった時は小さい少女の姿
あれっ、ユッキーは150年以上生きてるはずじゃなかったでしたっけ?

| hunting ground | 2012/10/14 19:12 | URL | ≫ EDIT

土地神なんで成長が遅いロリ狐だったけど姫様やエクレと遊んでいて、彼女達の成長に追いつくように意識的に成長した。とかなんとか

×気質の穏やかなミルヒオーレ姫は直ぐに頭を下げてほしいと、そう言ってくる。
○気質の穏やかなミルヒオーレ姫は直ぐに頭を上げてほしいと、そう言ってくる。

| | 2012/10/14 19:49 | URL |

確か2期で触れてましたね

| 雑食性 | 2012/10/14 20:07 | URL |

そうだったのか‥‥‥ちょっと反省してロリ狐を抱きしめながら「君を誰より愛している」っていってくるわ。

| hunting ground | 2012/10/16 00:04 | URL | ≫ EDIT

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| | 2012/10/28 12:29 | |















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