陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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魔法少女リリカルなのはStrikerS ~不良騎士道~ 第2話 不良騎士本局に行く

「―――すいません、聖王教会のウィルフレッド・カーストですが、本日は八神はやて三等陸佐へのアポイトメントをとっているから取り次いで貰えると助かるんだが」

「はい。少々お待ちください」

 管理局本局の入り口受付にサングラスをかけて着崩したスーツ姿の男が受付に寄りかかるように存在する。きっちりと制服を着こなす集団の中で一人だけだらしのないその格好をする男は人一倍浮いて見えるが、誰もが余裕のあるわけではなく慢性的な人材不足に悩まされている時空管理局では誰もかれもが忙しく歩き回っている。その中でも受付は比較的に平和な方だろう。受付嬢がウィンドウを開いてすぐさま連絡を取ると確認が完了したのかすぐさま来ると伝えた。


「あと数分ほどで到着します」

「そうか、助かったぜ。いい女ってのは仕事も出来るもんなんだな」

「いえ、これぐらい誰にだって出来ますよ」

 ウィルフレッドの言葉にクスリと笑った受付嬢のリアクションにウィルフレッドは内心ガッツポーズを取る。これは反応がいいと。もう少し体を受付に寄りかからせながら緑色のセミロング、メガネをかけた女性に話しかける。その口調を少し砕けさせ、馴れ馴れしくも不快感を与えない言葉にして行く。

「いやいや、それは"出来る"側の人間の言葉だ。魔力の運用一つについてだって訓練しなきゃ出来ないもんだ。それに管理局は魔力保有者には甘いけど、それでも試験とかは結構厳しいはずだ。だからちゃんと仕事の出来る管理局員ってのはしっかり勉強して、自分の面倒を見ることの出来るやつだ。そうじゃなきゃ入局出来ないもんな。だからつまり」

「つまり?」

「貴女がいい女だって事だよ」

「何ですかそれ、全く話が繋がってないじゃないですか」

 そうは言うが受付嬢は控えめに笑っている中々の好感触だ、とウィルフレッドは思う。最近は武等派脳筋シスターや金髪隠れ巨乳系シスターに押さえ込まれて自由な行動が出来なかったが今日は違う。立派に仕事をしているのだ。立派な仕事の帰りに一人引っ掛けても問題ないだろう。そう、仕事に対する正当な報酬だ。

「―――いやいや、何いきなり管理局に来て何いきなりナンパしてるんですか……」

「ふふふ、その方が案内ですので、それでは良い一日を」

 受付嬢が頭を下げて職務に戻る。既に話せる雰囲気ではなくなってしまったことにウィルフレッドは頭をかきながら背後を振り返る。背後を振り返った先には管理局の整備員用の服に身を包んだ短い茶髪の男がいた。整った容姿だと言えるその男だが呆れ顔が浮かんでいる。ウィルフレッドに顔を向けると呆れ顔を拭い、笑顔を浮かべる。

「元気そうだな、ウィル」

「お前も元気そうだなヴァイス」

 ヴァイス・グランセニック。ウィルフレッドの旧友の一人で元武装隊の隊員。とある事故をきっかけに除隊して資格まで放棄してしまったが、その代わりに元々趣味だったバイクやヘリ、そちらのトランスポーターや整備の方に移った経歴を持つ男だ。

「ポンポコにもう引き抜かれたのかお前?」

「いきなり三等陸佐が来たから最初は何かと思ったよ。いきなりこっちの名前を出さずに連絡ぐらい入れてもいいだろう?」

「めんごめんご」

「うわぁ、こいつ絶対に反省してねぇ……」

「くだらないこと言ってないでお前は仕事しろ。馬車馬の如くな。俺はその間聖王教会でニートしてるか街でナンパしてるから」

「すいません殴っていいですか」

「俺は一向に構わん!」

「いいのかよ!」

 そこでヴァイス、ウィルフレッド共に沈黙し、動きを止める。そのまま沈黙を数秒続け、爆笑する。距離をつめて互いに手を叩き合うとそのままヴァイスの先導の下、管理局の奥へと向かう。

「お前も全く変わらないなぁ、……ツッコミが」

「いや、お前のいい加減さも全く変わりがなくて安心したよ」

 ヴァイスとウィルフレッドの間には懐かしむような空気が流れていた。実際、二人がこうやって会うのは数ヶ月ぶりの出来事となる。昔、まだヴァイスが武装隊であった頃であればもっと交流があったのだが、本局勤めの整備員になってからは基本的に合う回数が減ってきて今に至る。受付の存在するエントランスホールから真っ直ぐ奥に歩くと突き当りにはエレベーターが存在する。学力と魔力がふんだんに使用されているその装置に前にホロウィンドウが出現し、ヴァイスが素早く行き先を入力するとエレベーターの扉が開きそれに乗り込む。

「お前、今は整備員の真似事とヘリのパイロットやってるんだったな」

「元々趣味だったからな。楽しく仕事できるのならそれが理想だろ」

「ま、大半の人間はそう思うだろうな。俺はヒモになりたい」

「相変わらず屑思考は直らないんだな……」

 おいおい、とウィルフレッドがエレベーター内で大きく腕を広げる。

「人間誰だって楽して生きたいはずだぜ?」

 チーン、と音を立ててエレベーターが開く。開いた扉の向こうにはエレベーターに乗り込もうとする局員が何人か見えたが、ウィルフレッドの腕を大きく広げるポーズを見て動きが固まり、そのまま扉が閉まる。再び動き出したエレベーターの中で硬直したままのウィルフレッドとヴァイスが汗を流す。

「……見られたな」

「あぁ見られたな」

「……変なヤツを見る目で見られたな」

「あぁ、見られたな」

「お前も一緒だったな」

「……あぁ、一緒だったな」

 そこから目的地まで二人は終始無言で過ごした。


                   ◆


 コンコンと、音を立てて扉をノックする。

「ヴァイス・グランセニック陸曹、ウィルフレッド・カースト"少将"をお連れしました」

 ヴァイスがノックしてから数秒後、ドアの向こう側から返事が返ってくる。

「入りぃや」

「んじゃ、俺はここまでだから」

「おう、また今度メールでも送るから合コンでもしようぜ」

「もちろん」

 手を叩き合いヴァイスが行ったことを確認すると扉の前に立つ。ロックの解除された自動ドアがウィルフレッドの存在を感知し横にスライドして侵入を許す。その先にあったのは少し広めの執務室だった。とはいえ、デスクや床に色んな書類や書物が置かれており少し手狭には感じる。棚等がいっぱいいっぱいのところを見るとだらしないのではなく純粋に場所が足りないだけなのだろう。

 そんな執務室の中には二つの姿がある。

 ひとつは茶髪ショートの少女、八神はやて。デスクの裏に座り書類に埋もれる姿は今日も忙しそうだ。否、実際に部隊設立というのは"名目上"の事を考えるとかなり難しい事だから今も大変なのだろう。そんなデスクの一角に銀髪、快活そうな顔をする"人形ほどの大きさ"の少女がいる。此方もはやてと同じ管理局の制服に身を包む女だった。

「よぉ、ポンポコ。来てやったぜ」

「オノレは開口一番にそれかいな」

 そう言われたウィルフレッドが一瞬悩むような表情を浮かべると真剣な表情を浮かべ、敬礼するかのように背筋を伸ばし立つ。

「八神はやて三等陸佐殿、ウィルフレッド・カースト只今参上いたしました。本日ははやて三等陸佐殿のご希望をかなえるべく尽力したいと思います」

「やーめーてー! ジンマシン! ジンマシンが出るぅー!」

 うがぁ、と意味不明な雄たけびを上げながらはやてが頭を抑える様をウィルフレッドがくつくつと笑い声を漏らしながら楽しむ。その姿勢は再び若干猫背の、前に少し傾くような格好に戻っている。

「もう、ウィルさんは相変わらずはやてちゃんに意地悪ですー」

「仕方がねえよ。このポンポコ弄っててリアクションが楽しすぎるわ」

「なのはやフェイト、シグナムにすらナンパしたのに何で私だけ仲間はずれなんねん!」

「オメーがポンポコだからさ」

「がぁー! ポンポコポンポコポンポコ言うのやめい!」

「解ったよポンポコ」

「絶対解って言うとるよろ!?」

「ポンポコり~ん」

「殴りたい、こいつを徹底的に殴り倒したい……!」

「ククク」

 性格が悪いとしか言いようのないこの弄り方もはやてにだけ対してのみなのだが、このオーバーなリアクションが気に入ってウィルフレッドは続けているに過ぎない。そう、つまりははやては自らどツボにはまっているのだ。もしここで諦めたりしていればウィルフレッドもそこまで弄らなかっただろう。

 所謂芸人気質が悪いのだ。

 そんな緩い空気の中で、体の小さい銀髪の女性がてを大きく振って二人の注意を一身に引き受けようとする。

「あのぉ、そろそろいいですか? ウィルフレッド少将」

 少将。そう、つまりこの男ウィルフレッド・カーストの階級。聖王教会で騎士として在籍するだけならば別に階級などは必要ないし貰う事もないが、神殿騎士となれば話は別である。特権階級とも言える神殿騎士の位となれば自由行動や発言力の為に管理局にも名前をおくことがある。あくまでも名前だけだが、ウィルフレッドやカリムの様に有事の際の為、聖王教会が管理局に介入できるようある程度の階級を有している。現在ミッドチルダにいるのはウィルフレッドとカリムだけだが、共にその階級は少将と、中々の発言力を有している。

「少将はやめろリィンちゃん。階級とか俺はあんまし気にしないから」

「うーん、それでも少将はお客様ですからー」

「意外と固いんだなぁ……ま、いいか」

 ウィルフレッドの声が真剣さを帯びる。ニヤニヤと軽薄そうな笑みは変わらないが、これから真剣な話をするという意思ははやてと銀髪の人形の様な少女、リィンフォースに伝わる。

「ウィルフレッド・カースト少将、聖王教会より動く事のできないカリム・グラシア少将の名代として参上した。それでは少し他人には話せないようないやらしい話をお兄さんとしようか?」

「いいないいな、私も好きやで、いやらしい話」

「なんだか二人とも凄い悪い顔をしてるんです……」


                   ◆


 改めて用意された椅子に座りながら、ウィルフレッドはポケットから携帯端末を取り出し捜査を始める。慣れているのかその操作に淀みはなく必要な情報を素早くホロウィンドウとして表示に行く。一気に十を超えるホロウィンドウが出現し、ユニゾンデバイスという生体型のデバイスに属されるリィンフォースがそれらのデータを記憶して行く。

「ま、とりあえず触りから始めるけど聖王教会の方はこれに関わってるのは一部だってのは知ってるな?」

「カリムん所の予言は秘匿されているんやっけ」

「悪用しようとする馬鹿が出ないようにな。と、まぁ、そんな訳で予言の稀少技能が存在する事自体を知るやつは少ない。少なくとも最低で大司教クラスか神殿騎士関係者じゃなければ知らない事だ。ま、管理局では一定以上の権限があれば直ぐに解る事だけどな。反対者は目に見える分にはゼロ。神殿騎士団は基本どうだっていいと思ってるし、騎士長は後押ししてくれた。こっちの方に問題はない」

「それは良かった。そっちで躓いたら正直こっちでは何も出来んからな」

「ま、聖王教会は比較的統率されていると思うよ。一部腐った連中がいるけどな」

 携帯端末を操作し、それに顔を向けていたウィルフレッドが顔を持ち上げると手をホロウィンドウに伸ばす。何個か情報を掴んでそれを整理すると重要性の高い物をはやての前に出す。

「それは?」

「難色を示してる連中」

「ほほう、私らの敵っちゅうことやなぁ」

「はやてちゃんが凄く悪い顔を……!」

「ま、部隊新設の理由が"最悪の事態が起こった場合に対応する"なんだから嫌な顔をする連中が多いのも仕方がないっちゃあ仕方がない。それに企画の時点で関わっている人間がクロノ、リンディ、そしてウチのカリム。全部身内の上に聖王教会の横槍まで入ってくる状態だ。管理局としてはこれ以上聖王教会が管理局での地位獲得を防ぎたいしこんな怪しい名目での部隊設立を防ぎたいだろうよ」

「うわぁ、解ってたけど聞きたくない事をズバズバと……」

 ウィルフレッドは苦笑する。

「聞け。俺が"陸"でも"海"でもどっちの人間だろうがどこからどう見ても聖王教会に介入の機会を与えているようなもんだ」

 そのために"不良"のウィルフレッドが来ているのだ。聖王教会でも屈指のぐーたらの女好き。正確破綻者として有名なウィルフレッド・カーストが真面目に仕事をするわけがない。来ているのもまたナンパのためか遊びに来たか、大抵の人間はそんな意識を持っているためウィルフレッドが騎士団所属とはいえ重要には思わない。

「だから、まあ、"海"も"陸"も"前科持ち"を信用しないし理解しようとも思わない」

「ウィルフレッド少将!」

「いや、ええんやリィン。ウィルさんは事実言うとるだけやから」

「そうだ。言わせたいやつには言わせておいて後で権力ゲットした後クビにしてやれ」

「わぁ、過激思想です」

「無能が職を失う、世の常識だろ?」

「ならまずウィルさんから職失わあかんな。仕事せんし」

「そうしたらカリムのヒモに俺はなる」

 はやてが顔を両手で覆う。

「何でこんなダメ人間が騎士なんてやってけるんや……」

 落ち込むはやての姿をウィルフレッドが笑い飛ばしながらも話を続ける為に端末を操作する。そこに映し出されるのは新たな顔だった。

「とりあえず一番反対してくれてんのはレジアス・ゲイズ中将だな」

「地上本部のトップやねぇ……。あんまこの人好きになれんわ。質量兵器の使用を推し進めようとしたり教会やウチらの邪魔するんもん」

「そう言ってやんなさんな。レジアスのオッサンもレジアスのオッサンで色々大変なんだよ。基本的に"陸"は本局と比べると予算とか回される人員も少なくてな、地上の犯罪率が少なくて治安が維持されてんのは大体このオッサンのカリスマによるもんだ。レジアスのオッサンが消えれば確実に地上はすんげぇ事になるぞ」

 はやてはウィルフレッドの擁護するような言葉が意外だったのか目を丸くしている。いったん言葉を止めたウィルフレッドが少し声を落とす。

「まあ、ぶっちゃけると今の管理局は悪循環に飲まれてるよな。古代ベルカの時代に質量兵器でやんちゃしすぎて世界がぶっ飛んだのは誰だって知っている過去だ。だからそれを恐れて封印するのも解る。だけどな、その考えが今の魔導師優遇の社会と雇用年齢の下限を下げる事となっているんだよ。異常だぜ。九歳のガキを戦場に送り出して犯罪者と戦わせるのは。洗脳と言い換えたっていいぜ。アイツは悪い。これは正しい。俺達が正義。悪いやつは裁かなくてはならない。そんな考えをガキの頃から戦場に送り出されながら言われ続けてみろ。ほら、魔導兵器の完成だ……ってこりゃあ言いすぎだな。とりあえず今の魔導師優遇の風潮っつーか社会、結局は"魔法は誰にでも使えるクリーンなエネルギーです!"、なぁーんて事を抜かすから始まってんだよ。結果管理局って言う大組織は発展できたが慢性的な人員不足に悩まされている。特に犯罪者や治安を維持するための武装局員は魔導技能補修者がいたとしても訓練する機関が入るからすぐさま使えるわけじゃねぇ。しかも魔法は使い続ければ精神が疲労するしリンカーコアは……あー……悪い、脱線した」

 少しばつの悪い表情をウィルフレッドが浮かべる。それをはやては少し驚いたような表情で見るが直ぐに顔を元の状態へ引き戻す。

「あ、いや、うん。ウィルさんの貴重な一面が見れたと思うておくよ」

「あ、ちなみに今のオフレコな。聖王教会の人間がレジアスの考えに賛同してるとか言われたら俺の首跳ぶから。いや、まぁ、決して全部に賛同してるわけじゃないけどさ、個人的にはもうちょい"陸"の方も見て欲しいって感じだな。とりあえず当面の敵はレジアス・ゲイズ中将だって話だ」

「うん。それは理解してる。もちろんウィルさんやカリムも手伝うてくれるんやろ?」

「あぁ、そりゃあもちろん。管理局が滅んだら俺の超ステキ食っちゃ寝ライフが満喫出来ないだろうが」

「この人結局は自分が楽することしか考えておらへんわ……!」

「本当に最低の屑ですね!」

 いい笑顔で言い切ったリィンフォースの言葉に流石のウィルフレッドも顔が引きつる。が、そのまま端末の操作を続けてデータをリィンフォースの方へと流しながらも立ち上がる。

「とりあえず支持者と反対者のリストだ。あと使えそうな人材も出しといた。ヴァイスみたいな俺個人の知り合いも何人か混ぜておいたから必要だったら使ってくれ。そんじゃ、次元世界の美女美少女が俺を待ってる気がするから」

「カリムに宜しく頼むで」

「あいよ」

 そう言ってウィルフレッドは部屋から退出する。

 これは、機動六課が設立する約半年前の出来事である。
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