陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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DAY23

 ガレットとビスコッティの間の戦争はガレットのか快進撃により突き進んだ。戦争は一に目から既に何日も経過しており、ビスコッティの首都周辺を残すのみとしていた。

 ビスコッティの最終防衛ライン、アスレッチクで有名なフィールドを超えた陣地近くでは壮絶な戦闘が繰り広げられていた。突如ガレットによって始まった侵略戦争は戦争興業の皮を被って行われ、十数日書けてゆっくりと行われた侵攻は完全に防衛に回ったビスコッティをじわじわと侵食し、その領土を確実に奪っていた。認識している国民は少ないかもしれ愛が、ビスコッティはガレットに飲まれかけていた。そして、今、ガレットの最前線、ビスコッティの最終防衛ラインでは三人が全力で武を披露していた。

 まず防御を優先に戦っているのがビスコッティ騎士団、その領主であるミルヒオーレの直属親衛隊の隊長―――エクレール・マルティノッジ。そして、エクレールに防御を任せ、全力で剣を振るうのがビスコッティ騎士団の騎士団長、ビスコッティの騎士団における最高建暦者―――ロラン・マルティノッジ。兄妹にしか成しえない絶妙のコンビネーションを披露しながらも、一人でその二人に相対しているのは一人の女性だ。それも戦闘服とは到底思えない服装―――メイド服に身を包む女性が一人でそんな二人の相手をしていた。圧倒、とまではいかないが油断した隙に一気に持って逝かれるという確実な革新が両陣には存在し、半端な実力者は近づけない戦場になっていた。

 この場所、この瞬間だけはビスコッティに戦争をスポーツとして楽しむ余裕もなく、そして戦っている女―――サイアスの表情にも余裕はなかった。


「―――」

 短い息とともに繰り出される拳の連撃をエクレールは二刀の短剣で受け止め、いなし、そして受け流す。一撃食らうごとに短剣に罅が入り、崩壊に一歩ずつ近づく。とはいえ、一発で完全に砕けない事が今、サイアスの状況が良くない事を示している。この侍女は、メイド服を着ているだけでその中身は武闘派であるレオンミシェリの親衛隊、その副隊長だ。実力で言えば間違いなくガレットの三本指に入る存在。過去の戦績を見るだけでもその凄まじさは伝わってくる。

 立った戦場の全て不敗。

 その全てを大将を討つ事によって終わらせてきた。

 そして今回のガレットによるビスコッティへの侵略―――それでもひたすら大将首を討ちに最前線を駆け抜け、何百、何千もの兵を連日、昼夜問わず撃破し続けた女は連日、休むことなく常に最前線で戦い続けて来たために、莫大な負荷を体にかけている。そのため、本来は必殺のはずの拳も明らかに年下のエクレールを葬るだけの威力を持たず、ロランの猛烈な連撃を受け流す技のキレも精彩も欠いていた。

 それでも、

「エクレール!」

「解っている!」

 精彩を欠いていると言っても、それでもその拳はまともに受ければ必殺される事実に変わりはない。そして現状、サイアスの存在を抑え込めるのはこの二人しかいない。エクレールも短剣に罅が入り、砕けそうになる度にそれを捨て、直ぐ背後にある陣地から投げ込まれる短剣を受けとり再び攻撃を受け流すだけに全神経を集中する。陣地の正面で状況は確実に戦線は膠着していた。アナスンサーの実況にも熱が入り、そして観客達もこの先どうなるのかその事実に白熱していた。

 唯一、前線で戦っているサイアス、そしてマルティノッジ兄妹だけがその白熱から一線を引いていた。

「フッ!」

「シッ!」

「首を貰う」

 サイアスにも、言葉を取り繕うだけの余裕が大分なくなっていた。幾ら超人的な戦闘能力を持っているとはいえ、その大半が技術と経験からくるものであり、休みもせずに連日戦場の最前線を駆け抜ければ、如何にサイアスと言えど体に限界は来る。精神はどれだけ我慢できても肉体はそうではない。肉体だけは、この世界の許容範囲内なのだから。

「少し辛いなら下がってもいいんじゃないかなっ!」

 盾を捨てたロランの剣術はもはや攻撃しか念頭に置かず、確実にサイアスを落とせる軌道を狙い、必殺の剣を叩き込む。それを経験からくるほぼ確実な予測からサイアスは斬撃をギリギリのところで受け流しながら、全力の一撃によって生まれた隙に首を狩る手刀を叩き込む。しかし、ロランが攻撃を放った瞬間にはエクレールが防御に割り込む。必殺の際にサイアスが首に攻撃を叩き込むのは有名すぎる話だ。そして、サイアスがこの場で狙う攻撃は全て必殺。故に高速の攻防とはいえ、エクレールはギリギリで兄への攻撃を受け流し続けることに成功していた。

 この状況は妙な均衡を持って保たれていた。

 それでも―――サイアスが劣性である事実には変わらない。

 ビスコッティの騎士兄妹が二人で戦うことによって消耗を抑えている事実に対して、サイアスは一人だけで戦っていた。動きを最小限に抑え、攻撃頻度も当てられそうなのをしか繰り出さないとしても―――それでも消耗は一人で戦っている方が圧倒的に苦しい。十日以上におよび戦争行為はサイアスを輝力の寝れない状態に追い込んでいた。それでもまだ、立っている辺りガ凄まじいと評価できる。その気迫、何をそこまで突き動かすのか、ロランは断片的にだが感じ取っていた。

 ―――忠誠、いや、愛。

 それは家族愛に似たものだと愛情だとロランは思っている。彼らもビスコッティ―――いや、ミルヒオーレの為なら同様の事が出来ると信じている。そして、今、この危機の中、ミルヒオーレに悲しい顔をさせないためにも、

 この兄妹は加速的に力を増していた。

「ッ!」

 息を吐く回数すらも減らし繰り返される攻防は触れられない、混ざれない。膠着した戦闘。これでサイアスが落ちれば点数がビスコッティに入り勝利できる。が、ここでマルティノッジの兄妹がどちらかでも墜ちれば雪崩式にもう片方も落ち、ビスコッティが終わる。どちらも、主に忠誠を掲げ、勝利を誓っている手前、敗北を許されない状況だ。それでも最後の一押しがどちらにも足りない。

 そんな状況の中、

 ―――追い風が来た。

 その気配にサイアスが耳を反応にピクッ、と動かし、瞬間叩き込まれたロランの一撃に大きくバックステップを取る様に動いた。メイド服には一切の汚れがなく、顔には疲労の様子など鋼の精神で一部の揺らぎも見せない。しかし、その瞬間、状況が自分にとって悪化したとサイアスはサトリ、

 笑みを浮かべた。

「とうっ!」

 そう言ってビスコッティの陣地から飛び出したのは赤と白の影だった。空中で回転しながら、アクロバットを披露する姿は若い、金髪の少年だ。そう、青年ですらない。まだまだ頼りのない年齢だ。風に揺れる金髪は異国の血を混ぜている事を示し―――裸の耳はその少年が何よりもこの世界の住人ではない事を認識させる。少年の存在に誰もが目を奪われ、やはりサイアスは笑みを浮かべた―――懐かしさに。どうしようもない、その懐かしさに。

 エクレールとロランの前に着地した少年は空から落ちてきたロッドを回転させ、そしてそれで見事なポーズを決める。人間―――いや、地球人にしては異常とも言える身体能力は彼がこの世界に招かれたゲストであり、同時に状況の救世主であることも示していた。

「ビスコッティの勇者! シンク・イズミ、ただいま……参上!」

 ポージングと共に起きる爆発を過剰演出だとはだれも思わない。ビスコッティは彼の登場を待ちわびていて、そして、

 ―――あぁ、やっぱり来たな。

 この登場を一部のガレットの人間は予期していた。

                           ◆

 勇者と名乗った少年の姿を見て、年齢は大体十三、十四、それぐらいかと判断する。見た瞬間地球人だと解った。十中八九ミルヒオーレが最終手段―――勇者召喚を行い、この少年をフロニャルドへと導いたのだろう。最初から見えていた話だ。戦争で負ける事は見えていて、そしてピンチになったら助けが欲しい。ならどうするか。

 古来よりその方法は決まっていて―――。

 エクレールとシンクが何やら話し合っている様子を見て、

「……これも、全て計算の内か、レオンミシェリ閣下」

 誰にも聞こえない様に自分にだけ呟く。戦争中に部下を動かして情報を集めさせた結果、少しだけだがレオンミシェリの狙っている事が見えてきた気がする―――この勇者召喚をする状況に追い込んだのも確実にその一環だろう。

 だとしたら、

 ここで、俺の役目は。

「―――初めましてシンク・イズミ様」

 此方が声を出すのと同時にシンク、エクレール、そしてロランの顔が此方へと向く。

「当方ガレット獅子団領で、レオンミシェリ閣下の親衛隊副隊長をさせて頂いているサイアス・ノエルと申します。よろしくお願いします」

 そう言い、頭を下げる。敵とはいえ、相手は勇者だ。自分よりも地位としては上の国賓扱いの人間だ。

「あ、はい、シンク・イズミと申します! よろしくお願いします!」

 頭を下げて、此方に礼をしてくるシンクはいい少年だと思う。情熱的で、優しくて、そして―――

「では、首級とさせてもらいます」

「えっ?」

 ―――甘い。

 踏み込みと同時にシンク少年に向けてなけなしの輝力を込めた拳を振り上げる。

                           ◆

「この馬鹿っ!」

 エクレールがシンクを罵倒するのと同時にロランが両手剣を盾代わりに死、間に入り込む。同時にその背後に紋章が出現する。

「シンク君、これが紋章術だ、集中さえすれば簡単にできる!」

 紋章術を発動させたロランの前にバリアが発生し、

「陀羅尼孔雀王―――!」

 同時にバリアに拳が叩き込まれ、輝力と輝力が反発し、爆発する。その一撃でロランの両手剣は砕け、そしてサイアスの輝力が完全に底をつく。表情には一切の変化を見せないが、その動きは攻撃を放つ前と後では速度に大きな違いがある。

 それでも、

「たとえ奪ってでも勝利を手に入れる……!」

 鬼気迫った様子でサイアスは再び前進した。直線状にいたロランを数秒で突破し、一直線にシンクを目指す。だが、その瞬間には、

「―――出来た」

「あぁ、それでいい!」

「―――」

 ロランが稼いだ数秒の間にエクレールは紋章術の使い方をシンクに伝え、天性のセンスを持ってシンクはそれを成功させていた。両者共に紋章砲を構え、真正面から迫るサイアスに向ける。―――これがロラン一人、もしくはエクレール一人だったら威力不足だっただろうが、

「二人ならイケル!」

「合わせて……!」

 紋章砲を同時に放った。ロランの犠牲によって稼いだ数秒、その間に完成された紋章砲は避けるだけの力を失ったサイアスに直撃する。ty区劇と同時にサイアスを中心に紋章砲の爆発が発生し、その体を飲み込む。誰もがサイアスのけものだま姿を想像した瞬間、

「ッ―――!!」

 紋章砲の直撃を受け、発生する爆発を割いて、サイアスが足を前に踏み出す。

 髪は掌撃ではねっ返っていたが、

 まだ、前に踏み出すだけの力があった。エクレール、そしてシンクの全力の一撃を食らって建材のサイアスは足をもう一歩前へと踏み出そうとし、……動きを止めた。

「―――私の、敗北ですね」

 次の瞬間サイアスのメイド服が破れ、サイアスの下着姿が空中スクリーンに映される。素早く尻尾と両腕で恥ずかしい場所を隠し、顔を軽く赤く染めているが、服の消失は―――

『撃墜判定出ました!! 地獄の妖狐サイアス! こいつ実は鋼で出来ているのではないかと疑いましたが、ついに敗北ッ!! ビスコッティの勇者シンク・イズミ、そして親衛隊帳エクレール・マルティノッジによってついにサイアス破れたり―――!!! 将の撃破ボーナスによって得た点数でビスコッティ逆転!! ここに本日の決着はつきました! ビスコッティ、大、大、大逆転勝利―――!!!』

『サイアスとは後で反省会ですね』

 取得点数が一定の点を超えたため、ビスコッティが勝利した。そう、

 ―――異世界の勇者を呼び込んだビスコッティが、勝利した。

「あー、申し訳ませんレオンミシェリ閣下、サイアス、年下の若い子にひん剥かれてしまいました……あぁ、多分この後私押し倒されて青い空の下、皆の見ている中であんなことや、こんなことをされてしまうんですね……」

「ちょ、ちょっと待って! 待ってください! ない! そんな事絶対ない! ちょ、ちょっとんな目で見ないでよ!」

 歓声と爆笑の中で、ビスコッティは勝利を手にした。

 故に、

 戦争はまだ終わらない。




ロランは犠牲になったのだ……

勇者の出番の犠牲にな……

ロランェ……

お前はバナードと同じく、描写少ない組……

出番の少ないイケメン組……

需要が圧倒的に少ない組ェ……
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| 短編 | 21:40 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

なにっ!? アスアスにあんなことや、こんなことができるだって!?

ヤバい、シンク! 今すぐそのポジかわr―――

ふ。(首を落とされた人の図

| 名状し難きナニカ | 2012/10/11 23:30 | URL |

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| | 2012/10/28 12:24 | |















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