陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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銃と弾丸 ―――マーチング・ビギン

推奨BGM:Bottomless Pit


 シノンに紹介された店でクレジットのほとんどを使い切り、装備の購入とアイテムの用意を済ませる。結局は光剣、P90、武器はその二つだけで残りはグレネードやら弾薬やら、そいて防具となってアレだけあったお金は全部消えた。アインクラッドでの冒険でお金は儚いものだと理解しているが、やはり持っていた金が少なくなって、インベントリに表示される金額が減っているのは寂しい。それでも、全く期待していなかった装備の用意が完了しただけ状況はいいのかもしれない。あのゲームに金をつぎ込んでくれたプレイヤーたち全員に感謝。おかげで俺の装備は整った。

 武器屋を抜けるといよいよというべきか、シノンが一直線に総督府へと向かってくれる。歩きながら見るグロッケンの様子はやはり荒廃し、そして錆びた、世紀末のイメージが強い。銃とか光剣にあこがれる部分はあるが、この世界に長くとどまろうとは思えない。GGOはシステムからして昔のALOの様な、PKを前提にゲームを進める感じが強く、SAOでひたすらPKという行為から逃げていた者からすればある種の吐き気を覚える環境だ。ALOではそれを感じ取る余裕はなかったが、洋ゲーのPKへの執着というのは個人的には嫌いだ。


 ともあれ、そんな事を考えつつもシノンに釣られて見えるのは、巨大な宇宙船の先端を地面から生やした、そんな形をした建物だった。しっかりと加工されているようで入り口はスライドドアとなっており、先ほど見た武器屋とは天と地ほどの差の綺麗さ、損耗のなさだった。止まることなくそのまま総督府の中に入ると、ガラスのスライドドアが開き、割と清潔に保たれた建物の中に進入する。

 予想通りというべきか、そこには多くのプレイヤーにあふれ、同時に熱気にもあふれていた。

 人込みに対して一切興味を持たないシノンは他人を無視し、そのまま俺を端末の前まで運ぶ。

「ちょっと待ってて……」

 そう言ってシノンが端末を操作し始める。その作業を数秒見つめ、

「よし。私の登録も終わった。ここに日本語で指示が書いてあるから、それに従ってキャラクターIDを登録するだけでいいから」

「えーと」

 シノンが退き、操作できるようになった端末を覗き込む。端末には個人ID照合と表示されている。ここに指をつけて、指紋照合をしろと出ているが、おそらくこれがシノンの言っている事だろう。指を押し付け、端末に俺のIDを記憶させる。終わったところで端末に情報が浮かび上がってくる。これは―――

「―――私と一緒のGブロックね。多分時間的にも私達が登録組ラストよ。おめでとう、キリト。これで貴女も見事BoB参加者よ」

 そういうシノンに対して、手を伸ばす。

「ありがとうシノン。シノンのおかげで迷わずにここまで来れたよ」

「いいわよ。それよりもこれからはGブロックで私と戦う事になるんだから―――決勝以外で当たったとしても恨まないでよね」

 伸ばした手を握り、シノンと握手を交わす。と、そこでシノンがホロウィンドウを操作し、そして一枚のカードを取り出す。

「これ、私のフレンドカードよ」

 ……Oh……。

 近いうちにこんな展開が来るのではと思っていたが、此処で来たか。この先もまだ仲良くしたいとは思っていたが、どうやらシノンとの和気藹々とした時間も限界に達しつつあるようだ。現実とはどこまで行っても残酷だなぁ、と少しおかしなことを考えつつフレンドカードを受けとり、

 そして、

「―――これが”俺”のフレンドカード」

「うん。……―――え?」

 オレノフレンドカードを受け取ってシノンの表情が、動きがフリーズする。完全に予想外だったのだろう、シノンにとっては。今まで完全に女だと思っていた相手が実は男だったという事実は。驚愕の表情を浮かべ此方を見るシノンに対し、片手を持ち上げ、

「本当にここまで色々と助かったよ。ありがとうシノン、助かったよ」

「え、う、嘘よ! だって、……え? ……!!」

 だが状況を飲み込めた瞬間、シノンが怒りの表情を浮かべ、背中を向ける。一瞬で此方へと向けてくるのは敵意と拒絶の意志だ。背中を向けたまま、

「今から私たちは敵よ―――絶対にぶっ潰すから覚悟してて」

 小さな少女の体躯から発せられる鬼気にも似た脅迫的なプレッシャーは正直驚くが、

「あ、待ってよ」

「来ないで!」

 それは逆に興味をそそる。この少女が何故ここまで追い込められたようなリアクションをするのか、何故王も”敵を作りたがる”のかが、少しだけ興味をそそる。普通ならネカマだとか、そんな言葉を使った馬鹿にし、だまされた事位狩りは見せるがここまでストレートに敵意を見せる事は滅多にない。だがこの少女、シノンは何よりも強い敵を求め、ワザととがっている様にしか見えない。いうなればガラスの刃だ。とがっているし、よく切れる。だがその代りに脆く、あっさりと折れてしまう。そんなイメージをシノンに抱いた。

「騙したのは謝るけど―――」

「こっちに来ないで」

「いや、行き先一緒だから」

「……」

 ホロウィンドウが総督府内では浮かんでおり、BoBの会場は総督府の地下にある事をホロウィンドウ型の看板で知らせている。そしてシノンが出場者である以上、彼女は会場へと向かわないといけない。この二つを合わせれば彼女が会場へと向かっているには明白であり、彼女を追えば会場へと辿り着けるのは簡単だった。そして正論によって論破されたシノンは何も言えず、壁に会ったボタンを押してエレベーターを呼び、それに乗り込む。

 続いて、自分もそれい乗り込む。

 エレベーターの中で無言の時間が過ぎてゆく。シノンは此方に視線を向けようとせず、ひたすら敵意と拒絶の意志を体から放っている。そして俺はそんな気配を感じつつも、今話しかけても関係の修復は難しいとみて黙っている。故に狭い鉄の箱の中で特に会話する事もなく、エレベーターの階表示がどんどん変わる様子を見る。最初は地上の一階だったのがどんどん地下に降りて行くのを見るのは少しだけ心が躍るところもある。

 ALOやSAOとは完全に違う。中世ファンタジーではなく、此処は銃と硝煙の世紀末ガンアクションなのだ。ともすれば経験できる事は今までとは全然違う。街を歩いている間も現実では違法改造と言われて逮捕されそうなバイクが置いてあったりモヒカンファッションの人たちも見れた。事前に調べた情報では酒類とタバコに結構力を入れているという話も聞いていたし、やはり未知に出会うと胸が弾む。こうやって、発見する事全てが新しい問いう状況は実に喜ばしい事態だ、

 ……既知感から脱却させてもらわ垢ったら、こんな風に味わうこともなかっただろう。

 ―――そういえば。

 アスナにはメールだけで伝えて出てきたが、

 今頃ALOはどうなっているのだろう。


                           ◆


「アスナ」

「どうしたのマリィちゃん?」

「私の、嘘はいけないと思うの」

「うん、そうね」

「だから言うけどね、キリト、ガンゲイル・オンラインってゲームに行ったのはラフコフと勝負を決める為らしいよ?」

「……………………えっ」


                           ◆


 なんか致命的にやらかした気がする。

 なんか俺に絶対立ってはならぬ旗が立ってしまったような気がする。

 ―――もしかしなくても、相談相手間違えた?

 そう考える時点でもう九割方結論は出ているのだあ、そんな事はない、という約一割方の希望に望みを託したい。ちなみに九割が現実的観測で、残り一割が根拠のない希望的観測というより希望そのもの。妄想とも言う。解っているのだが希望だけは捨てたくない気持ちが常にある。誰だっていい方を常に思っておきたいものなんだ。

 と、そこでエレベーターが最下層に到着し、動きを止める。エレベーターの扉が開き、シノンが下りようと動きを始める。だがその前に一旦足を止め、

「ここにいれば出番の時に勝手に戦場へ転送してくるから、此処から出なければちゃんと参加できるはずよ」

 と、そこでこっちに振り返り、

「アンタは絶対私が殺す。だからそれまで負けちゃ駄目よ」

 そう言い手、シノンは溢れかえる人込みの中に紛れて消えた。その姿を軽く目で追い、見えなくなったところで自分もエレベーターから降りて、軽く頭を掻く。世の中、上手くいくときと上手くいかないときがある。今の状況は上手くいっているのか、もしくはそうではないのか、トントン拍子で上手く判断がつかない。

「―――ま、上手く進んでいる時はノリに乗っかるのが処世術ってやつだぜ」

 自分も人込みに紛れて進もうと思ったところで、背後から声がする。しかし聞いたことのある声だ。声の主が誰なのかを確信しつつ振り返ると、ALOでも、現実でも変わらない姿の男が口にタバコを咥えてそこにいた。

「ノリにのれねぇやつはあんま好かれないぜ? 突っ張るのも悪くねぇけどよ、偶には合わせるのもいいぜ」

「どの口でそれを言うんだよ……」

 この男ほど協調性という言葉からかけ離れている生き物は知らない。なのにお前がそんな事を言うのかよ。

「司狼」

「よぉキリッキリちゃん。今度は女装趣味にでも目覚めたか? 似合ってるぜ」

「全ては、メルクリウスの、仕業なんだ!」

 とりあえず黒円卓同様、責任押し付けるときはメルクリウス一択となっている。あの男の嫌われっぷりは異常だが、毎回あんな風に言葉を置いていくのだったら嫌われていても仕方のない話だとは思う。というか、

「俺、何時ものアバターとは全く違うんだけど、なんでそんなにあっさりと見抜いたんだよ」

 一応パッと見では気が付かないぐらいにこのアバターは美少女仕様となっている。この声さえどうにかすれば完全に少女として通る。いや、シノンをあそこまで騙せている事を考えればもう十分なレベルなのかもしれない。なのに司狼は迷うことなく俺がキリトだと見抜いた。

「勘」

「すげぇ。相変わらず意味不明な根拠でどうやってそこまで自信を持てるか知りたいよ」

「おいおい、あんまし褒めんなよ。思わず決勝で本気出しちまうだろうが」

 身体能力だけだったらこっちの方が格段に上のはずなのに、本気出されたと言われた瞬間勝てない気がするから怖い。この男の恐怖は何をしでかすか解らない、という一点に存在する。先の行動の読めなさ、行動の奇抜さに目が奪われ、司狼の真の目的という部分がみえづらくなる。厄介な話だが、明広の話しではたしか最近はGGOにハマってたのだったか。だとしたら純粋に大会に参加に来たのだろうか。

「お前もアレか、死銃がこれに参加したと思って来たクチだろ」

「司狼ってマジでエスパーか何かかじゃないのか」

 何でこうも全部解るのだろうかこの男は。明広が友人の中で一番の頭脳派だとか言ってた事が真実に見えてくる。こんな頭の悪い姿をしているのに一番のインテリ派だとか軽く死ねる。主に俺の学生としての矜持が。

「ま、今回のBoBは色々とおもしれぇ奴が参加してっから、暇があるんだったらゆっくりと見て回っとくといいぜ。案外面白い出会いがあるかもな」

 こっちを確認するだけして司狼がどこかへと去って行く。相変わらず勝手に好きな事をやって勝手に消えるやつだ。須郷との勝負も最後は任せっぱなしだったし、なんだかんだ言って世話になっている気がする。

『―――五分後にバレット・オブバレッツ予選第一試合を開始します』

 そんな音声が会場に響く。

 ともあれ今は雑念を振り払い、勝利する事だ。考えるのは勝手からでも遅くない。まずは、

 ―――自分を餌に、死銃を釣り出す。
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| 断頭の剣鬼 | 09:06 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

これでザザさん原作verだったら力関係が笑えるなぁw
ところで狼司、ランダム生成でいつもの姿って何かしたな?

| 羽屯十一 | 2012/10/11 11:31 | URL |

さてさて、今回はどれだけ世紀末なことになるのか……。
前回はアストたんだったり甕星が流出だったりしたけど、さてはて。

| 空 | 2012/10/11 13:27 | URL |

>とりあえず黒円卓同様、背菌押し付けるときはメルクリウス一択
背菌押し付ける→責任を押し付ける
>この声さえどうにかすれば完全に焦女として通る
焦女→少女
>先の行動の嫁名さ、
嫁名さ→読めなさ
>だとしたらs純粋に
sが余計
>ともあれm今は
mが余計

| 翡翠 | 2012/12/06 21:29 | URL | ≫ EDIT















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