陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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DAY22

 ―――俺は忠誠に見返りを求めない。

 いや、既に対価は得ているのだ。ガレットの城で、レオンミシェリに仕える対価として俺は親衛隊の副隊長、彼女に仕える名誉、そして多めの給金を貰っている。一般的に言えば働く理由はそれで十分すぎるのかもしれない。しかし長年主に仕えていたり、ある種の信念を持った人間となると話は変わってくる。彼らは仕事位対して誇りを求めてくる。それは主の持つ矜持だったり、何にも負けぬ何かだったり、意図して与える事が出来るものではない。それは各々が勝手に見出して勝手に定めるものだ。他人が同行いて揺らぐわけでもない。それが揺らぐのは本人の変化、もしくは周囲の変化でのみだ。だがそうならない限り、こいつは硬く、そして砕く事の出来ないつながりだ。普通は、この二つに分かれる。俺は、そのどちらでもない。


 ―――俺は、忠誠/愛に見返りを求めない。

 それに初めて気づいたのはビオレとの交流だった。最初は普通の友人関係だった。初めは普通に接していた。助け合い、遊んで、高め合って、そして同じ道を進む仲間だと、そう思った。だがそこにある思いが生まれた。それは助け合うことへの忌避感のなさだった。前世の俺であれば助け合い何て以ての外、利用する事しか考えなかっただろう。だが、助け合うことに対する心地よさを俺は感じていた。

 ―――俺/私は、忠誠/愛に見返りを求めない。仕える事実だけで満ちているから。

 俺はそうやって、誰かの為になる事を、いや、誰かに対して愛情を向ける事を心地よく感じていた。母性かと思い、それを忠誠心としてレオンミシェリに向け、そしてそれを友情としてビオレに向けていた。俺はレオンミシェリに仕えるという事実だけで満たされ、幸福を感じていた。誰かに触れあえること、助け合えること、力になれるという事実が、何よりも幸福に感じられr、それで満ちていた。

 ―――私は、忠誠/愛に見返りを求めない。仕える事実/抱きしめるだけで満ちているから。

 そう、これは狂気だ。愛は狂気。こんな願い、俺は元々持っていなかった。ならばこれはどこから生まれたのだろう。素質か? それともここで生まれた? いや、これは最初から誰かが持っていた祈りで、純粋に清廉で、美しい。穢れる事のない清い祈りだ。この絵害は大事にしなくてはならないと魂と、そして全身がそっと伝える。だから俺は自分の願いを愛しく思い、そしてレオンミシェリやビオレから、何も見返りを求めない。

 ―――私は、愛に見返りを求めない。抱きしめるだけで満ちているから。

 そう、私は愛している。ガレットを、元は小さかった主を、友人を、今助ける若き領主の卵を。彼らの救いでありたい。そう、救いの手であり続けたいと願う。だが現実っとしてそれは無理だ。愛だけで全てが罷り通る世の中なんか存在しない。愛は偉大であり、狂気である。しかしそれでとおるほど世界は優しくない。だからこそ、力が求められる。

 聞こえる。

『―――の戦争ですが、なんとあの方が数年ぶりに戦場に立っております! さあ、括目せよ! 戦場で暴れまわったガレットの妖狐、サイアス・ノエルだぁ―――!!』

 声が聞こえるのと同時に今まで閉じていた目を開ける。視界いっぱいに広がるのはガレットの兵と、騎士と、そしてビスコッティの領土だ。これから、ガレットは非常に身勝手な理由でビスコッティを侵略する。愚かしい。実に愚かしいが、それを一切止める事はない。

 そう、

 私は―――。

 空を見れば空中スクリーンに自分の姿が映し出されている。嫌に余裕のない表情だ。あぁ、それは実にいけない。自然な笑みを浮かべる。そう、自然な。従者たる者、常に優雅で、瀟洒で、そして完璧であれ―――。基本的な心得だ。笑みを宇アkべ、軽く手を振る。

『今年で満二十五歳! その美貌は衰えず、しかしその腕前はどうだ!? もうすでに五年は戦場に出てはいないサイアスは新人育成に力を込めていたらしいが、解説のビオレさん、どうでしょうか?』

 そこでスクリーンは解説であるフランボワーズの横に座るビオレへと移る。少なくともスクリーンに映るビオレは普通に見える。今、ガレット城にいるレオンミシェリ閣下はなんて思っているのだろうか。あぁ、まぁ、それを考えていても仕方のない事だろう。

『そうですね―――』

 と、ビオレがスクリーン超しにこっちに視線を向け、

『―――最近ガウル殿下やジェノワーズ相手に新技の特訓してますし、衰えているどころかさらに磨きがかかっていると思いますよ』

『聞きましたかビスコッティのみなさん? 過去、彼女の参加した戦争を解説した者として言います―――今すぐ逃げてください。トラウマとか植えつける勢いで暴れますよ! 新人は絶対に前に出さない様に』

「フランボーワズ、後で話があるので本日の分が終わったらテント裏へ来るように。じっくり濡れるまで話し合いましょうか―――えぇ、血で濡れるまで」

『さ、ささ、ささ、さあ、始まりましたガレット対ビスコッティの戦争! ―――』

 誰もがこいつ逃げたな、と確信できたが、面白いのでそのまま流した。流石視聴率男というべきか、解説になれている。ネタに詰まる事もないし、事前に連有してきたように此方の言葉を利用してくる。

 が、

 さて、

「サイアス」

「ガウル殿下」

 現れたガウル殿下に礼をする。片手でそれをガウルが制するので、動きを止める。

「……姉上を止められなくて悪いな」

「いえ、心配しないでください。この程度の雑事で揺らぐ程度の忠誠心(いし)ではありません。それよりも久々の戦争で、こう、血が滾り始めてしょうがないというか……」

「あ、うん。それ以上言わなくていいよ。何となくこれからの惨状が目に見えてきたから」

 ガウルと共にビスコッティ陣地の方を見ながら、ガウルが呟く。

「―――もう、ヤケクソになって暴れようかなぁ……」

「その時は是非、私をお傍に」

「なあ、ノワ」

「しっ! 今いい雰囲気」

「うん。ビスコッティが炎に包まれるイメージが見えるわね」

 貴様らジェノワーズはいい加減俺を戦略兵器のように扱うのを止めないか。俺も一応分類上はお前らと同じ人類なんだ。

 少し離れた位置で馬鹿な話をしているジェノワーズを見るとなんだかほっとする。ともあれ、やる事は変わらない。全力で―――ビスコッティを侵略する。

 それだけだ。




忠誠値が異常だったのでそれはかと内理由をつけてみた。
さて、これで彼女がどうなったかはわかるかな?
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| 短編 | 23:52 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

あれ、でもこれって何時でも一緒だけど絶対に会えないわけだから、希望のようだけど絶望でもあるんじゃ・・・

| 若年法師 | 2012/10/11 01:31 | URL |

なるほど、黒の契約者みたいな展開だなこりゃ
嬉しいような、悲しいような・・

| モグラ | 2012/10/11 12:03 | URL | ≫ EDIT

アスアスがなんかマリィっぽく見えますね、
抱きしめるだけで満足って。
マリィの渇望って「抱きしめたい」だったはずだから。

| 人間(笑) | 2012/10/11 18:35 | URL |

これは混ざっている…のか?
これはこれで…

| 雑食性 | 2012/10/11 21:00 | URL |

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| | 2012/10/28 12:17 | |















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