陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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DAY21

 ビスコッティとの間で戦争が決定した。ビスコッティとは長年の友であり、隣国である。ガレット獅子団領が猫系が多いのに対し、ビスコッティは犬系の耳や尻尾が多い。ともかく、隣国であることもあり、ビスコッティとの付き合いは長い。そして長いと色々あったりもするが、基本的にガレットとビスコッティとの関係は良好だ。実際、何度もビスコッティには遊びに行っているし、向こうの領主であるミルヒオーレ姫と敬愛する我が主、レオンミシェリ閣下は姉妹の様な仲の良さをしている。だからビスコッティとの間に戦争が起きるのは珍しい話ではない。

 ―――レオンミシェリ閣下の口からその言葉が出るまでは。

「姉上! いったいどういう事だよ!」

 ガウルが怒鳴り散らしながらレオンミシェリの私室へと殴りこむ。その衝撃でドアは吹き飛び、後で修理する必要があると考えさせられる。まだガウルの御側役として働いている以上、そして腑に落ちない点があるために、ガウルの背後に付き従う様にレオンミシェリの部屋に進入する。部屋の中には腕を組んでガウルを迎えるレオンミシェリの姿、そしてルージュとビオレがいた。視線だけを送り、一体何事かアイコンタクトをしてみるが―――反応がない。


 意図的に無視された。

 ……ふむ?

「おい、答えろよ! 一体何のつもりなんだよ」

「ガウル、か」

「おい、呆けてねぇで答えろよ! 俺は姉上を尊敬してるし大事にも思ってる。だけどよ、さっき聞いた話だけは捨ておけねぇ! 納得の行く答えを貰おうか!」

 簡単に言って、ガウルはキレていた。少し前に、レオンミシェリによって話された戦争の最終目標、上位の役職に就く者にしか伝えられなかったその情報に対して憤慨していると言うのが正しい。ガウルはなぜそうなったのかを聞きたがっている。

「答えてくれ! 何で―――何でビスコッティの宝剣を求めるんだ! ビスコッティが消えるぞ!」

 宝剣とは国に存在する至宝の様なもので、国のシンボルとも取れるものだ。もちろんシンボルであるため、それが奪われれば国としてはもう意味を成さなくなってしまう。事実上、レオンミシェリはビスコッティを飲み込むと宣言したにも等しい事を言ったのだ。そしてレオンミシェリが放った言葉は―――覇気にあふれている。つまり、本気だった。その真意をガウルは問いただしていたが、その剣幕に対してレオンミシェリは、

「サイアス」

 此方に視線がむく。

「お主もそうか?」

 その問いに対して俺はノータイムで答える。

「私はレオンミシェリ閣下に忠誠を誓っていますので―――」

「サイアス!」

 ガウルが名前を叫び、

「しかし今回は少々腑に落ちない事があります」

 レオンミシェリのそばにいたからこそその違いに気づける。

「閣下―――何時から寝ていませんか?」

「……」

「サイアス?」

 あまりに自然なために見落としそうになったが―――良く見ればレオンミシェリの肌が少しだけ荒く、そして髪もわずかだがつやを落としている。それに加え、目の下にはうっすらとだが、クマができているのが見える。全て化粧などで隠しているつもりだろうが、化粧を担当した人間だからこそわかる。ルージュと、そしてビオレによって整えられた気配がそこにはある。

「……ガウルにお主を貸したのは失敗だったかもしれぬな」

「一応呼び戻して共犯にするという手段もありますが」

「……いや、それには及ばんじゃろう―――サイアス、お主に此度の戦争、”全て”の戦いにおいて最前線で戦い続けることを義務付ける。常に勝利し、宝剣をワシの下へと持って帰ってくるのじゃ」

「姉上! おい、それはねぇだろ!」

 今、レオンミシェリがやったことは命令によって行動を封じた事だ。常に戦争に加担しなければいけないので情報収集などもできないし、同時にレオンミシェリのそばにいる事も出来ない。ガウルが前線に出る事は確定している。俺はそれを補佐し、そして同時に常に戦闘に参加し続けなければならない。それは主から従者への一方的な否定であり、裏切りにも等しい行為だ。

「あまりふざけてるとキレるぞ……!」

 答えを貰えないどころか目の前で従者を裏切る姉の姿を見て、ガウルの理性が限界に来ていた。このままでは何時爆発し、襲い掛かってもおかしくない。

 ―――姉弟で戦うのは、悲しい事だ。

「……ガウル殿下」

 なるべく優しく、声をかける。

「サイアス、お前は気にする―――」

「お気遣いありがとうございます―――しかし、私の主はレオンミシェリ閣下であり、主に対する忠誠は今まで微塵たりとも揺らいだことはありません。そして、これからも揺らぎません。レオンミシェリ閣下は私の思慮が届かない所にて何かを思っているのでしょう―――否定する必要はありません」

「そんな悲しそうな顔をしてのに、んな事聞けるかよ……!」

 確かに真実を教えられない事は悲しいが、それよりも、おそらく俺では何もできないからこそ伝えられないという事実に対して何よりもふがいなく感じる。

「……う、……っく! くそっ! バナードの所へ行くぞ!」

「ハッ」

 ガウルが現状、これ以上の情報をレオンミシェリから引き出す事は無理だと判断し、諦めて部屋からでる。自分もその背中を追い、部屋から出ようとし―――

「―――すまぬガウル、すまぬサイアス。全てはワシの責任だ……本当にすまぬ……」

 部屋を出る直前に独白にも似た、そんなレオンミシェリの声がした。だから、ギリギリ聞こえる程度の声で、

「謝らないで、いつも通り笑っていてください、閣下。笑ってさえいてくれれば、私たちは頑張れますから」

 貴女の笑顔があるからこそ、私たちは頑張れるのだから。

 ガウルの後を追う様に部屋から出て、廊下を歩く。

 ビスコッティとの戦争は止められないし、止まらない。もうすでに準備も完了し、あとはそれを行動に移すだけなのだから。そして、戦争で勝利し続ける事こそが、レオンミシェリ閣下の救いとなるならば、

「……私も、再び喝采を浴びる時かもしれませんね」

「悪ぃ……本当にすまねぇ……」

「はぁ……」

 廊下を歩きながら済まなそうに謝るガウル殿下の姿は、やはりレオンミシェリ閣下と似ている。やはり姉弟なのだ。この二人は。そしてだからこそ、レオンミシェリは無意味な戦いを仕掛けないと解る。ならば、

 長く離れていた戦場で、再び喝采を浴びよう。




原作1期は見忘れてたのですが、
ここが原作少し前の状況です。原作の始まりとなる戦争の始まりの話しですね。
すこし殺伐とした感じになってますねー。
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| 短編 | 21:38 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

DOGDAYSが半端じゃない勢いで更新されてる・・・
もうすぐ中間試験なのに、気がついたらチェックしてしまう自分

これは俺のせいじゃない!

| 通行人D | 2012/10/10 22:15 | URL |

誤字報告
>>「アネキ! いったいどういう事だよ!」
ガウルのレオンミシェリに対する呼称は『姉上』です。

>>「答えてくれ! 何で―――何でビスコッティの神器を求めるんだ! ビスコッティが消えるぞ!」
神器じゃなくて宝剣。棒とか斧とか銃とか箒とか、全然『剣』じゃないですけど…。

いよいよ原作開始。戦という名の姉妹喧嘩の始まりですか。また妖狐が首を求めてヒャッハーするのか…

| reficul | 2012/10/10 22:19 | URL |

いよいよ原作開始ですか…
大将首ヒャッハー再び…っ

| 雑食性 | 2012/10/11 20:54 | URL |















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