陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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DAY17

 訓練が終わり、ようやく解放された従騎士達が逃げる様に中庭から退散する。疲れた様子で、ふらふらになりながら夕日を浴びて城の中へと戻って行く姿は見ていて中々に気持ちがいい。どうも最近新人育成でサドっけが出始めているようだ。このままサディストのイケない扉を―――開けるわけもなく、これは胸の中にしまっておこう。

「あーあ」

 中庭の土が若干荒れている。おそらく別の訓練中に派手に暴れた結果、土を抉ったりしてしまったのだろう。本来なら従騎士にこれを直させるのだが、今日は十分に頑張ったし、それぐらいは許してやることとする。

「ナインテイルズ」

 紋章が背後に現れ、それが割れる。同時に尻尾が一一本からその数を増やし、九本の尾に姿を変える。形も長さも変幻自在の九本の尻尾は攻撃にも防御にも使えるが―――地味に整地にも使える。本来は無手で戦う時、背後からの攻撃に対する防御の為に編み出した技で、相性の良さそうなノワールに教えるつもりだ。だが覚えてからははたきを持たせたり塵取りを持たせたりと、日常生活でもかなり便利に使えると知ってからはもっぱら生活支援用の技となってしまった。

 尻尾の先を刃上にしながら、その平で抉れてしまった土を整え、叩き、平たく整地する。九本の尾でやれば時間はそうかからない。二分もすれば朝のような状態に土地は戻る。それを見て、軽く頷く。同時に技を解除し、尻尾を元の一本に戻す。尻尾の先を確認すれば少しだけ、土で汚れている。

 ……これは、入る前にしっかり洗わなきゃなぁ。


 伸ばし続けて来た髪はしっかり手入れを欠かさないし、尻尾も耳もずっと手入れしているし、胸も形を崩さない様にこまめに測って下着のサイズを合わせているし、こうなると本当に女の子してるな、と思う。そこに忌避感も違和感もない。ただ結婚とか性交とかは考えられないだけで、それ以外に関してはもう完全に受け入れて、それを自然だと認識している。

「さて、他にはもうないかしら」

 こうやって、女口調で話すのもだいぶ慣れた。レオンミシェリ閣下の親衛隊副隊長として、常に恥のない行動を心掛けてきた。そのため人のいる前では常に姿勢を、マナーを、そして誇りを気にして生きてきた。絶対に、レオンミシェリ閣下の姿に傷をつけない様に、従者として、臣下として、そして侍女として完璧であるように―――仕事の時は常にそれを心掛けた結果、こういう風に自分は落ち着いた。

「ま、これも人生よね」

 そんな事を言いながら他にも従騎士達が残した不備がないか確かめる。木刀はしっかりと元の場所へと戻して行っているようだし、どこにも問題はなさそうだ。これでようやく一息つける、そう思った矢先に、

「あれ?」

 声がした。聞いたことのある声にそちらの方を向くと、よく知る人物がそこにはいた。即座に背筋を正し、臣下の礼を取る。

「こんにちわ、ガウル殿下」

 齢八歳のガウル・ガレット・デ・ロワだった。姉のレオンミシェリ閣下と同じく銀髪、そして黄色の瞳は狼を思わせる。将来育てばかなりの確率でイケメンに育つ―――幼き頃のバナードと同じ可能性を感じさせる少年だ。考えによってはジェノワーズはある種のハーレム的なものなのかもしれない。まあ、それも少女たちの了承を得られればの話だが。

 ともあれ、

「ガウル殿下、何かお探しでしょうか? 私で良ければ今手が空いたところですのでお手伝いしますが」

 臣下の礼から復帰し、背筋を伸ばした状態でガウルを迎える。そこに軽い笑みを入れる事を忘れない。しかしガウル殿下はそこで少し困った様に視線を逸らす。

「あ、いや、うん、あのさ……」

「ガウル殿下?」

 殿下の様子がおかしい。何か人に言えない様な困ったことでもあるのだろうか? さて、ガウル殿下もこれでもうすでに八歳、となると色々と考え始める年齢でもあるはずだ。フロニャルドの人間は割と早熟だし、恋の悩みの一つや二つがあるかもしれない。それに―――私生活は割とフランクだという事も既に割れている。

「なにか、相談事ですか殿下? 任せてください、このサイアスさん、こう見えても結構人生経験豊富でして、悩み事があるのであればビオレの様な鋼鉄の処女よりは役に立つと思いますよ。えぇ、あの鋼鉄の処女よりは」

 本人が聴いたらもちろん烈火の如く怒りながら否定してくる事だが、此処にビオレはいないし親友という事でこの件に関しては不問としてもらおう。それに今ので、

「っぷく」

「ふふ」

「……あ」

「いえ、それでいいのですよ、殿下」

 殿下が笑ってくれた。それだけでネタを出した意味があった。

「殿下は笑っていてください、それが私達や民たちの原動力となりますから」

 何か今すっごいいい事言った、とか言いたいが状況とガウル殿下の存在がそれを絶対に許さない。ともあれ、うん、そのように笑みを浮かべてくれるだけでも報酬としては十分すぎるのだ。もはや金や名誉よりも、こうやって王族に仕える事こそが一番の報酬なのだ、俺達にとっては。

「というわけでして、何の用で御座いましょうか、ガウル殿下?」

「あー、そのー……。えーとだな」

 再び内容を切り出そうとした瞬間、もじもじと困り始めるガウル殿下。少しだけだが、頬が紅潮しているようにも見える。もしかして熱病か―――なんてことはないだろう。アレはいわゆる恥ずかしがっての紅潮だ。何か、相談したい事があるに違いない―――それも恋愛関係で。

 新鮮なネタキタァ―――!

 ガレット王城のメイドは基本的に―――恋バナ、大好きです。

「あ、のな? その……」

 さあ、さあ、

「その、実はさ……なんというか……」

 ハリー! ハリー! ハリー!

「んとな、俺―――、いや、やっぱりなんでも―――」

「―――戯けがあ―――!!」

「ぬがぁっ!?」

 いきなり現れたレオンミシェリ閣下にガウルが蹴り飛ばされ、その姿をけものだまに変える。その様子を呆然と見ながら、レオンミシェリに軽く礼を取る。

「こんにちわ、レオンミシェリ閣下。あのぉ……?」

「このヘタレには気にするな。こいつが阿呆なだけだ。故に気にするな。ワシの命令だ。気にするな。あ、あと今夜はたまには一緒に風呂に入りたい気分だ。夜の予定を開けてくれると助かる」

「了解しました」

 けものだまになったガウル殿下を運んでゆくレオンミシェリ閣下。嵐の様にやっていきて、嵐のように去って行った。

 が、しかし、

「―――また荒れた……」

 今のキックで盛大に土地が荒れた。部屋へと戻る前に、再び整地作業を開始する。
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| 短編 | 00:20 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

アスアスが普通に女子をしてるだと!
Σーoー)

| 名状し難きナニカ | 2012/10/10 00:27 | URL |

ナインテイルズ開発の真実(笑)

| 雑食性 | 2012/10/11 20:31 | URL |















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