陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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DAY15

 セルクルに乗り、兵士の一団を率いる。親衛隊といっても創設されたばかりの少数精鋭で―――実質の所、俺とビオレの二人しかまだ存在していない。故に後ろに率いるセルクルに乗る一団は親衛隊の団員ではない。と言えども、自分の目で見て選んだ選りすぐりの選抜チーム。つまりこの三年間の中でも特に優秀な人員たちだ。その中にはもちろんバナードの姿もある。出世街道を順調に駆け上がっている彼は直ぐに親衛隊の自分を超えてもっと上、おそらく軍事関係の統括を受け持つくらいにはなるだろうが、

 今、この瞬間は信用のできる部下だ。

 セルクルによって高速で駆け抜ける平原、その先、頭上に飛行する一団が見えてくる。確認する必要もなく、それはパスティヤージュの晶術騎士団、その先行部隊だ。


『さあ、間もなくガレット獅子団とパスティヤージュの晶術騎士団、その先行部隊がぶつかりますが、この構成はどうなのでしょうか? ガレット側が主力を投入しているようにも見えますが―――』

 アナウンサーの言葉は正しい。ビオレを抜いた主力が今、前線に立っている。なぜならそれは、

『―――止める為でしょう』

 リーシャがアナウンサーの疑問に答える。

『実際問題パスティヤージュの誇る晶術騎士団、というよりも航空戦力はガレットと言えども特記戦力を使用しなければ止める事が難しい相手だと客観的に見ても解ります。ここでガレットが消極的な行動に出ればそのまま消耗を強いられて終わるだけです。だからここは選択肢として間違ってはいません。しかし』

 空に浮かぶパスティヤージュの晶術騎士団が一瞬だけだが光るのが見えた。

「バナード!」

「防御展開!」

 即座に紋章を使用できる騎士が紋章によるバリアを展開し、空から降り注ぐ晶術による爆撃を防御する。しかし爆撃は爆撃で、確実な損耗を此方に与える。レオンミシェリの様な膨大な潜在能力の持ち主であれば意にも介さない攻撃だろうが、此方はせいぜい”優秀”で終わる人員なのだ。相手の絶対的優位は崩しにくい。

『―――空から攻撃を続け、このまま釘付けにすればパスティヤージュの勝利です!』

『―――それはどうかのう?』

「紋章砲―――放て!」

 晶術の攻撃の合間にバナードの号令により空に向かって紋章砲が放たれる。青天の空を輝力の砲撃が貫き十数の空騎士が飲み込まれ、けものだまとなって降り注ぐ。けものだまとなった彼はフロニャ力の加護によって最大限に守られる。もうこれ以上傷つくことは絶対にありえない。

 同時に、

『おぉっと、これは!?』

 別の部隊が動き出していた。紋章術を使えるものを守る様に盾を持った兵士で守備を固めさせ、そしてパスティヤージュの晶術騎士団が広がれない様に、包囲網を狭める様に紋章砲を放ちパスティヤージュの爆撃を封じてゆく。

『最初に出した特記戦力部隊は囮じゃ。ビオレが言っておったぞ、―――美味い餌ほどよくかかると』

 そう、此方への攻撃が成功した時点で前へ出てきている。―――それが命取りだ。パスティヤージュの空騎士は確かに怖い。が、それは完全な制空権を得ている時の話だ。晶術を縦横無尽な飛行で使用する、そんな状況こそが一番の恐ろしい状況で―――故にガレットの紋章砲による包囲作戦と制圧射撃で飛行できる面積を抑える。そして、

「弓兵―――」

 ビオレの声が戦場に轟く。

「―――放て!」

 空に向けて一斉に矢が放たれる。輝力を込めるだけであれば訓練しだいで誰にだってできる。故に輝力を込められた矢は早く、輝きながら空を駆ける。そして空で固まって飛ぶ空騎士に突き刺さる。輝力を惜しまない作戦によって次々とブランシールと空騎士達がけものだまの姿となって空から降り注ぐ。雨のように降り注ぐけものだま達は楽しそうな声をにゃあにゃあ響かせながら落ちてくる。実際、けものだまになった瞬間戦争を忘れ、落ちる感覚を楽しんでいるのだろう。微笑ましい事だ。

『ふふん、あまりビオレの指揮を舐めてもらっては困るのう』

 得意げにビオレの指揮を誇るレオンミシェリだが、リーシャは冷静に応答する。

『―――パスティヤージュを舐めてもらっても困ります』

 そう言うのと同時に、

「なにをやっている!」

 空に叱咤の声が響く。

「良く見るんだ! 相手は紋章砲を使って追い込んでいるんだ! 晶術と違って消費の激しい紋章砲を連発している―――一撃は大きくても照準は荒い! ブランシールの機動力だったら余裕を持って避けられるはずだ! 訓練を思い出すんだ! こっちが翻弄されるのではなく、翻弄するんだ! 散開して狙わせるな! 相手が恐れるのは縦横無尽に飛ぶ我らだという事を忘れるな!」

 総大将のキャラウェイだった。自身もブランシールに乗り、晶術を放ちながら戦場に参戦する。途端、統制を失いかけていた晶術騎士団の若手たちが落ち着きを取り戻し、そして機動力を持って紋章砲のかき回しを始める。

「狙いは荒くて構わない! 弓兵が攻撃する隙を作るんだ!」

 バナードの怒声が響き、戦場の軌道修正を図る。しかし、

「晶術をバラ撒いて飛行するんだ!」

 爆撃の様に投下される晶術によって少しずつだがガレットが追い込まれ始める。

『す、凄まじい攻防だぁー! ガレットもパスティヤージュもどちらも新人とは思えない奮戦をしています! どちらも負けていないぞ!』

『それでも』

 レオンミシェリは勝利を疑わない。

『勝つのはワシじゃ。のう、ワシの勝利を見せてくれ。戦場に出てはいないがこれはワシの初陣でもあるのだよ』

 それに、

「―――了解しました、レオンミシェリ閣下」

 俺が答える。

『なっ!?』

 そして俺の声がする場所を確認し、リーシャ、そして実況のフランボワーズが驚愕の声を漏らす。

 俺は、空を駆けあがっている。

 正確に言えば、空へと打ち上げられた矢を足場に、空を駆けあがっている。既にその高度はブランシールが飛ぶ高さにまで到達しているが、穏行を使用して音も気配も殺して行動したため、この瞬間まで誰にも気づかれていない。素早く一番近くのブランシールへと飛び移るのと同時に穏行を解除する。

 同時に、存在が敵全体にバレる。

「遅い」

 手刀をブランシールの騎手に叩き込む。その一撃でけものだまになった騎手をブランシールから落とし、立ったままブランシールの手綱を握る。事前に調べておいた情報ではブランシールの操作はセルクルのそれと変わらないそうだ。

 なら、問題はない。

「―――任務了解、我が主に勝利を……!」

『な、なんと! 何時の間にかブランシールを奪い取ったぞ!?』

『今の何!?』

 ブランシールに自分の輝力を流し込み、動きを加速させる。その行く先は一つしかなく、

「キャラウェイ・リスレ様。当方サイアス・ノエルと申します。恨みはありませんが主より承った命を果たす為に―――」

 ブランシールの手綱を放し、ブランシールから飛ぶ。全力、可能な限りの加速を持って拳を構え、

「―――大将首を置いていって貰います」

「ック!」

 晶術によるバリアと拳がぶつかり合い、拳と体が弾かれる。弾かれる体が重力に従い落ちてゆく。だがそれに逆らうために体を回転させ、体の重心をズラす。その動きによって落下のコースは変わり、

「あっ」

「失礼します」

 別のブランシールに着地する。手刀でこの騎手もけものだまに変えて落とすと、ブランシールを奪って再びキャラウェイを追う。

『な、なんだこりゃあ―――!? す、すごいぞガレットの新人! 曲芸じみた動きで次々とブラインシール奪って移動をしている! 空がパスティヤージュの独壇場である中、まさに孤軍奮闘―――いや、孤軍奮滅とも言えるべき活躍をしているぞ!』

『はーはっはっはっは!』

 あのアナウンサー、若干頭悪いのだろうか。いや、しかし閣下が嬉しそうで何よりだ。

 小さな主が存在を誇ってくれている。ならば―――

「―――大将首を置いていって貰いますよ」

「君、怖すぎですよ!」

 そんなこと知ったことではない。

 ブランシールを再び輝力で加速させる。同時にキャラウェイもブランシールを加速させ、横で並びながら背後を狙ったブランシールによるドッグファイトが始まった。セルクルを操る技術では負けないが、ブランシールによる操作は相手の方が圧倒的に長けている。ドッグファイトが続くのもほんの数秒、キャラウェイが此方のブランシールの背後に回り込む。

「よし―――」

「―――陀羅」

 が、キャラウェイが後ろへと回り込む瞬間にはブランシールから飛び降りている。拳には極限まで輝力を溜め込み、そこに覇気をも込めてある。食らえば必殺確実に拳はもはやタイミング的に避けることは叶わず、ブランシールから飛び降りた俺へと向かって進むしか選択肢が残っていない。

「オォ―――!」

「孔雀王―――!」

 ランスを構えたキャラウェイと、晶術、そして此方の拳がぶつかり合う。輝力と輝力がぶつかり合い、それが弾け合う。その結果攻撃地点を中心に爆発が発生し、俺とキャラウェイを飲み込む。それによって此方の服が部分的に消し飛び、キャラウェイの乗っていたブランシールが目を回しながらけものだまになって落ちる。晶術でのバリアを張っていたキャラウェイは比較的ダメージが浅い。

 故に、

「取った」

「なっ!?」

 両足でキャラウェイの首を挟み、落下しながら体を回転させ―――

「―――フランケンシュタイナーです!」

 キャラウェイを頭から大地に叩きつける。叩きつける瞬間にキャラウェイの体を蹴り自分だけ反動を消して逃れる。

 結果。

 首が地面に埋まったキャラウェイが次の瞬間に軽く爆発し、けものだまになる。

『終―――了―――!』

 戦闘が終わった。

『天晴であるぞ!』

『帰ったら説教ですね、これは』

『終了です! 決めはサイアス氏による超高高度からのフランケンシュタイナー! やや鬼畜過ぎて見るに堪えない落下でしたが、それでいいのかガレットの騎士! それでも勝利は勝利だぁ―――!! 勝者、ガレット獅子団領ォ―――!!』

 声援と歓声が再び爆発し、黄色い声に包まれる。同時に空に浮かぶ空中スクリーンに自分が映し出されているのを確認する。敗れている服装をなるべく整え、髪を整え、小さな主に胸を張れるような姿で、笑みを送る。

「―――皆様の応援の御蔭で、大将首ゲットです」

『ガレットの騎士は悪鬼羅刹の類か! むしろ妖狐か!?』

 どこからどう見ても可憐な少女だろ。失礼な。貴様はそんなに闇討ちされたいのか。

 ともあれ―――見事、主に勝利を捧げる事が出来た。

 今は、それが全てだ。
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| 短編 | 22:18 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

キャーーーーーッ!!
アスアスちゃん素敵~~~!!

アスアスちゃんのこれからの活躍を楽しみにしています!

| 尚識 | 2012/10/09 23:22 | URL | ≫ EDIT

どう考えても妖狐でしょウボァー!!

|    | 2012/10/09 23:26 | URL | ≫ EDIT

丁寧口調でフランケンシュタイナーとかなにそれこわい

| 雑食性 | 2012/10/11 20:22 | URL |















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