陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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DAY14

 ―――パスティヤージュ公国とはビスコッティの西にある国であり、ガレットと隣接している国の一つである。リスの様な雰囲気の人種が多く、運動能力はガレットと比べると低い。そのため、戦興業はそこまで盛んではない。しかしパスティヤージュは他の国と比べて少しだけ、毛色が違う国でもある。山岳地帯に位置し、そして運動能力が低いため別の方向性に発展したのだ。輝力の独自の運用法である”晶術”を開発したほか、大型の鳥であるブランシールを飼育し、ガレットがセルクルに騎乗するように、パスティヤージュはこの鳥に乗って戦う。そのためパスティヤージュの主戦力は空軍となり、運動能力の低さを制空権の確保しての空からの一方的な攻撃で完全に補っている。

 つまり兵士レベルでの戦いにおいてはパスティヤージュは他国を圧倒できるだけの戦闘力を持っているのだ。それが千規模や万規模となると中々たまったものではない。とは言えパスティヤージュもそんなに大きな国ではなく、精々数千用意するのが限界だ。そう考えるとまだまだ救いはある。

『―――さあ、始まりましたパスティヤージュ公国対ガレット獅子団領、春の新人戦! パスティヤージュもガレットも季節は春! 育ってきた新人たちがついに上へ、騎士となる季節がやってまいりました! 本日解説をさせていただく新人のフランボワーズ・シャルレーです! 未熟者ですが本日はよろしくお願いします!』

 ……閣下が言った事が実現したなぁ。


 王族なのだから当たり前なのだが、本当に言った事が実現するとは。だが流石に俺とビオレの顔見せのためだけに戦争をするわけにもいかず、上の方で名目を春の新人戦と変えていた。まあ、妥当な所だと判断している。もし本当に俺とビオレの顔見せのためだけに戦争をやるという事になっていたら、ガレット領主の精神を疑っている所だ。お前そんなんでいいのかよ、と。

 ともあれ、服装は大きく変わっている。

 従騎士の服装でも騎士の服装でもない。黒の、親衛隊、隊長クラスにのみ与えられる上等な服装に身を包んでいる。両腕にはガントレット、ミニスカートで露出している足は膝の下までがレガースに包まれている。この四肢こそが俺の武器である。自分の装備を確認しながらガレット獅子団領の陣地から、空に浮かぶスクリーンを見る。

『本日の解説にはガレット獅子団領より我らがレオンミシェリ・ガレット・デ・ロワ様に、そしてパスティヤージュ公国より』

『お初にお目にかかる方には、初めまして、パスティヤージュ晶術騎士団のリーシャ・アンローペです』

『うむ、よろしく頼むぞ』

 スクリーンにはパスティヤージュの騎士団の人間と、そして我らがレオンミシェリ閣下が映っていた。放送席に移る前に、ビオレと共にレオンミシェリ閣下の化粧を担当したので、ああやって映っている姿で何かおかしい所がないか少し心配だ。これで恥をかいたとしても責任は俺達ではなく、レオンミシェリ閣下が被ろうとするだろう。それこそ許せない。

『さあ、今回珍しくもガレットとパスティヤージュの間で開かれた戦争ですが―――今回はどういうつもりで始めたのでしょうか?』

 アナウンサーがレオンミシェリ閣下の方へと顔を向け、

『うむ。このたびようやくワシも親衛隊を持つ事となってな。武功の一つや二つでもなければ箔がつかん。故に今回はワシの可愛い部下に花を持たせるために始めた戦いじゃ』

「閣下ぁ! 閣下ぁー! それいっちゃ駄目です! 言っちゃ駄目な類の話です!!」

 が、此処から声が届くわけもなく、冷や汗を流すアナウンサーと、

『それはつまり我らパスティヤージュ空騎士団が、そして晶術騎士団がただの手柄になるという意味ですか?』

 レオンミシェリの言葉は確実に挑発だった。挑発的過ぎて、露骨すぎて―――可愛いものだった。それを相手方も理解してるし、レオンミシェリが心の底から勝利を疑っていない事も解る。故にそれがリーシャの回答だった。そしてその間に座らされているシャルレーは背中に汗をかいている事だろう。

『―――然り! ワシのビオレとサイアスが負けるわけなかろう! 今夜は我が方の勝利を祝って酒宴をする予定じゃ!』

 笑い声を上げて余裕を見せるレオンミシェリ閣下のその姿には一切の迷いも不安もなく、此方に対して完全な信頼を置いている。つまりは、此方の勝利に対して疑うことはないという事だ。

「負けられないわね」

 何時の間にか横に立っていたビオレがそんな言葉を漏らす。その言葉に頷き、そして決意する。何があっても勝利しなくてはならない。この幼い主は全ての信頼を我ら二人に注いでいる。ならば彼女に仕える臣下として、そして同時に彼女の生活を支える侍女として、彼女の信頼に全力で答え、それを完璧にこなす事が―――当然の義務だろう。

『さあ、色々と盛り上がってきた春の新人戦! 此度は少々変則的なルールで行われます! まず参加できるのは過去三年間で騎士か、正式な兵士へと昇格を果たせたものだけとなっております。ベテランからの助言もサポートもなし、両国の未来を窺える一戦となっております。尚、ガレット側の総大将はレオンミシェリ姫の親衛隊隊長、ビオレ・アマレット氏を、そしてパスティヤージュ側の総大将は晶術騎士団の若きホープ、キャラウェイ・リスレ氏となっております』

 ビオレに対してスポットライトが当てられ、スクリーンに姿が映る。横に居る自分も映っているため、笑顔と共に手を振る。遠くで声援と歓声の爆発が聞こえる。

 うん。負けられない。

 絶対に負ける事は出来ない。

「ビオレ」

「指揮は任せて。サイアスは―――」

「解っている」

 パスティヤージュ戦で出せるガレットの人員は全部で千五百、それに対してパスティヤージュは千百だ。パスティヤージュの数はこっちに劣るが―――問題は晶術騎士団だ。空を飛び同時に晶術を操る彼らは、ガレットの地を走るだけの兵士や騎士では対応できない。

 彼らを止める事が勝利の鍵だ。

 だが、そんな生温い事をガレットの騎士は、いや、レオンミシェリの親衛隊は言わない。

「―――最速で大将首を取る」

「うん。やっぱりそれが一番ね」

 春の新人戦と銘打たれた一戦が、此処に幕を開ける。
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| 短編 | 20:44 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

やっぱり首なんですねw
TSサイアスとかマジやばい
気付いたらすごい更新されてて、とても嬉しいのですが、

執筆に一日潰してませんか(笑)

| 通行人D | 2012/10/09 21:46 | URL |

そうか、首は首でも大将首ならこの世界でも狩れる…っ!

| 雑食性 | 2012/10/09 22:07 | URL |

「---最速で、置いて行かせる(キリッ」

| Falandia | 2012/10/14 17:03 | URL |















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