陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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DAY9

「ん……」

 意識が一気に覚醒する。前世からのクセか、起きるときは一気に覚醒し、寝るときは一気に意識を落とす。最初は苦労するものだが、慣れてしまえばこれほど楽なものはないと思う。唯一の弱点としてはベッドの中で眠気を楽しみ続ける事が出来ないという点だが、その点に関してはそこまで未練はないので問題はない。

 だから覚醒させた意識を持って体を起こす。

「ふぁー……」

 軽く欠伸を漏らし、それで眠気を完全に体から追い出し、立ち上がる。寝間着として着ているのは普通のパジャマだ。東洋街から離れて暮らしているうちに東洋文化は最低限しか残らず、完全に王都の西洋文化に染まり切っている。昔なら寝巻用の着物があったのだが―――もう小さくなったそれを着るわけもなく、新しく購入した物が今の寝間着となっている。


 隣のベッドを確認すれば未だに同居人が眠っている。同居人というか、従騎士の間は個人の部屋が許されず、相部屋となっているために一つの空間を二人で共有しなくてはならない。先任の従騎士によればこれによって協調性のテストを行っているらしいのだが、

 この温厚なフロニャ人溢れるフロニャルドで争い事などめったに起きない。

 ずっと昔に魔王と名乗る存在が現れたらしいが、それ以来は基本的に争い事はないフロニャルドだ。協調性のテストも形ばかりで、これを受けて落ちた人物は今のところ一人もいない。

 そんな事もあって俺と同居人の関係は良好、週末には一緒に買い物をしたりする程度には仲がいい。今のパジャマもファッションセンスゼロな自分に変わって選んでくれたものだったりする。

 まずは起きてから洗面所へと向かう。ここら辺、水道などはかなり整備がいいらしく、日本環境と比べてほぼ違いがないぐらいにいい。蛇口をひねって普通に出てくる水で顔を洗い、そして歯ブラシで歯を磨く。歯ブラシの毛先がばらけてきてそろそろ歯ブラシも買い替え時かと思いながらも歯を磨く。そして終わる頃になって、

「おはよう」

「おはようございます……」

 同居人、ビオレが目を覚ます。彼女と同室だったのは良かった。おそらく仲が良かったのを見て同室にしてくれたのだと思う。誰と一緒でもそれなりに上手く行けた気もするが、仲良くなった相手を無碍にする理由にはならない。

 起きたばかりのビオレは俺と違い、即座に眠気を振り払う事はない。というかできない。パッ、と起きるのはやはりそう簡単な事ではなく、髪と同じ、菫色のパジャマ姿で眠そうに眼をこする。

「洗面所開けたぞ」

「はい……」

 従騎士として城で暮らし始めてから既に五年が経過している。五年も経ち、歳も十となれば色々と成長してくる所がある。それでもこうやって目を擦る少女の姿は中々に可愛いものがある。とはいえ、何時までもそれを引っ張ってもらうと迷惑だ。

「さて、と」

 パジャマの上と下を脱ぐ。全裸になりながら少しだけ胸に触れる。まだ幼いのでほとんどないのだが―――最近少しずつ畝が大きくなっている気がする。まだ全然考えた事がなかったが、ブラとか必要になるのだろうか。まぁ、それも成長するにつれて分かる事だ。今は考える必要もない。

 備え付けのクローゼットを開けて、そこから自分とビオレの下着、ついでに制服も取り出す。ビオレの分を彼女のベッドの上に乗せ、自分のはその場で着替える。着物を着ていたころはもっと安物を穿いていたものだが、こっちへ来てからは下着にも気をつけろと言われて少し高い物へと変えたが、妙に肌触りがいい。男物とは違うなぁ、等と感想を抱き着替えを終える。ベッドサイドテーブルから愛用のブラシを取り、ベッドの上に腰を掛けながら尻尾を膝の上に乗せ、朝の日課である尻尾のブラッシングを始める。子供の頃から続けているこの”紳士の嗜み”はもはやそのまま淑女の嗜みとなりつつある。肉体が精神へと与える影響は凄まじいと思いつつも、綺麗な耳と尻尾はそれだけで自慢になる。服装に興味はなくても此方だけは、という思いでブラッシングを続ける。

 と、そこで、

「おはようございます、サイアスさん」

 完全に目を覚まして、髪を整えたビオレの姿が洗面所から出てきた。流石本職の女の子というべきか、パチモンの自分とは違い手入れが早い。数分前までは存在していた寝ぼけ姿のビオレはもう存在していなかった。同室だからこそ見れるその姿がもう終わってしまった事に軽く悲しみを感じるも、また明日の朝になれば同じものが見れるのでそれでいいか、と思う。

 ブラッシングしていた手を止め、それをベッドの上に向ける。

「ベッドの上に出しておいたよ」

「何時もありがとう」

「その代わりに―――」

「解っていますよ」

 ベッドの上、もう少し奥に体を動かしながら背中をビオレに向ける。ブラッシングしながらしばらく待つと、黒で出来たガレット獅子団の従騎士の制服に着替え終わったビオレがブラシを片手に乗り出してくる。

「失礼しますね」

「あいよ」

 そうやってビオレがブラシを通すのは髪だ。自分で言うが結構いい髪だと思っている。さらさらとしているし、それなりに綺麗な色の青だ。ただ情熱は耳と尻尾には行っても髪にまではいかない。基本的に寝癖がなければいいという人間で、手入れも面倒だから短くカットしていたのだ。が、それがビオレに見つかってしまったのが運のつきだった。自分は短くカットしているのに勿体ないとか言いだしたのが始まりで、こうやって髪の面倒はビオレに見させる代わりに伸ばす事となっている。今では肩を超えるところまで髪が伸びてしまっている。

 しかし女子のこういう美に対するバイタリティは何時見ても凄まじいものがある。が、多分あと数年もすれば染まってるかもしれない。結局のところ、此処は新たな人生で、それを楽しむ権利が今生の俺には存在するから。そう考えると追々口調の矯正もしなくてはならないな。

「終わり、っと」

「こっちも終わりましたよ」

「ほんじゃまわれ右」

「お願いしますね」

 ビオレが背中を向けてくる。自分の尻尾のブラッシングに使っていたブラシの様子を確認し、毛が挟まってない事を見てから、それをビオレの尻尾のブラッシングに使う。無駄に朝早く起きるのはこういう意味もある。本来起きる時間よりも三十分も余裕を持てば、こうやって身嗜みを整えることだってできる。当初は趣味で始めていた事だが身嗜みの重要性を座学で習ってからは、こうやって早起きして一緒に準備するようになった。

 ブラッシングを終えたところでようやく準備が終わる。だが結局一日の訓練で、今整えた大半はお釈迦になってしまうのだろう。そう思うと、

「美とは何故、こんなにも儚いんだろうなぁ」

「また訳の分からない事を……」

「いやいや、こうやって俺達が整えるけど結局は派手に動き回って台無しになる訳じゃないか。そこら辺どうしようって話なんだよ」

「輝力を使ってみるのはどうでしょう」

「俺はビオレさんの口からそんな発言が出た事に驚きだよ」

 輝力ってそこまでの万能物質だったか。アレは確かフロニャ力と生命力が混ぜ合わさってできたエネルギーなのだ。……いや、戦争で見ている分には色々とやっていたし万能なのかもしれない。

「これは研究室に持ち込んだ方がいいんだろうか……?」

「真面目に受け取らないでくださいよ!」

 もう、等と言いながらも楽しそうにしている。身を整え終わったところで、ようやく従騎士の一日が始まる―――。
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| 短編 | 15:04 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

いつも楽しく読ませていただいております。SAOとは少し違うサイアスの様子がとても興味深いです。
誤字の報告です。

ただ情熱は耳と尻尾にまで言っても『神』にまではいかない。
→ただ情熱は耳と尻尾にまで言っても『髪』にまではいかない。

そう考えると追々口調の『嬌声』もしなくてはならないな。
→そう考えると追々口調の『矯正』もしなくてはならないな。

ではないでしょうか。

| 瞬 | 2012/10/08 17:00 | URL | ≫ EDIT

 TS化してしまったサイアス……とある犬日々の二次作品で男から女に原作二期部分でTSしていた主人公を思い出して、きっとこのサイアスもやってくれるはずだと期待してみる……!(ぇ

| サツキ | 2012/10/08 17:16 | URL |

わーい、TSアスアスだー。
アスアス可愛いよアスアス。ビバ狐耳、狐尻尾。

| ろくぞー | 2012/10/08 18:07 | URL |

TSサイアスの尻尾もふりてぇ・・・
もふもふもふもふしてぇ・・・

| 雑食性 | 2012/10/09 20:10 | URL |















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