陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

IF外伝 境ホラ13

 重力航行に入り、加速を得て一気に三征西班牙を引きはがした武蔵だが、まだ安息はない。英国領空内に入り込んでから、海賊船から飛び降りる幾つかの姿があった。英国領空でそんな真似ができるのはもちろん英国に属するもの以外になく、彼らが名乗ったのは―――”女王の盾符 ”(オクスフォードトランプス)。他の教導院で言う、総長連合生徒会だ。明らかに戦闘員であり、役職者、特務クラスの実力者が武蔵の上に現れていた。

 ―――予測できた事態だ。

 大体現れる場所は予想が付く。そこらへんは自動人形が計算する仕事だが―――品川に現れると解れば、それで移動しない理由はない。そして待ち伏せていたら狙ったように現れた。現れたのは四人の男女だ・

「お、オクスフォード教導院所属、と、トランプの十―――」

 そのうち、痩せ細った、血色の悪い女が口を開く。今にも風に吹かれ、倒れそうな姿だ。力を込めれば簡単に折れてしまいそうな女で、足には枷につながる鉄球がついている。だがそれよりもやるべきことがある。故に完全に相手の名乗りを無視しながら懐に手を伸ばし、常備している攻撃用の符を取り出し、

「む、武蔵に言うわ―――むぶっ!?」

 取り出した符を顔面に投げつけておいた。


「Mate!?」

 インナースーツを着用する黒人が軽く動揺し、風船の様な肥満体型の女がうろたえている。ただ一人だけ、長寿族の少女だけは現状に興味を持つ様子はなく、本を読み続けて完全に無視を決め込んでいる。どの人物たちも聖連発行の役職者図鑑に顔が乗っているのを知っている。ロバート・ダッドリー。ウィリアム・セシル、ベン・ジョンソンに―――トマス・シェイクスピア。

 こいつらキャラが濃い。

「ひ、ひどいのー!」

 一気に英国側が慌てだす。そして後ろの方で見ていた、少ない此方側の隊員たちも一斉にビビる。あぁ、そうだ。ビビれ。俺は副長様だ。最近出番を奪われているからって寂しくなんかないぞ。全然寂しくないぞ。

「アンタ何やってんのよ!?」

「お、マルガ」

「お、じゃないわよ! もうちょっと考えて攻撃しなさいよ!」

「こ、これが、む、武蔵なのね!」

 顔に符を張り付けた女が何か戦慄するような声で言う。牽制というか、此方に退く意志はないという事を証明する一撃でもある。威力はないので耐えるのは当たり前だ。

「あ、改めて名乗るわ! 英国、オクスフォード教導院所属―――」

「てい」

 もう一回符を投げつける。流石に今度は避けられたが、

「さ、さささ最後まで言わせなさいよ!!」

「ごめん、俺無駄にかっこつけようとしてるの見ると妨害したくなるんだよ。なんかそんな感じ。ほら、変身モノってあの変身中にどうしても殴りたくなるじゃん? 大体そんな感じ。俺ご都合主義とか大っ嫌いだし」

『うわぁ……』

 この場のほぼ全員が同時に零したその言葉に反応して、何枚もの表示枠が出現する。それを瞬時に手刀で割りながら符をもう数枚取り出し、手の中で握る。

「所属何て制服みりゃあ解るよ!」

「Youは様式美ってものを知らないのかい!?」

 知ってる。けど敵にまでそのルールを押し付るのは正直どうかと思う。いや、世界共通の認識か。だとしたら、

「あ、うん、どうぞ。俺ちょっと今から通神すっから」

「こここっこっちのは、はは、話を聞きなさいよおおお―――!!!」

「マルガー、相手よろしくー」

「アンタ何のために来たのよ」

 見てわからないのか?

「―――もちろん時間稼ぎ」

 最後の言葉だけはマルガに聞こえる様に小さくつぶやく。そして背中を敵に向け、しゃがんで体を丸めながら目の前に表示枠を小さく複数浮かべる。何やら背後で名乗りを上げて武蔵への上陸に対する言い訳を言っている気がするが、今更そんなもん聞かなくたって大体理由は分かる。

 英国は今三征西班牙との戦いを控えているだけではなく、メアリ・スチュアートの処刑も控えている。仮にも王族の処刑と、三征西班牙に大敗を与える事の出来る機会だ。できるのであれば慎重に進めたい所だろう。そんな時に大罪武装を欲しがって状況をかき乱す武蔵の存在は、歓迎できるものではない。

 つまり、英国からすれば武蔵に出て行けと言いたいのだろう。

「おい、副会長様よ、どうすんだよ。お帰り頂く?」

 表示枠に向かって声を放つ。表示枠の中には全裸の首につながっているロープを握っている正純の姿が見える。その光景を見ているだけで正純がどれだけ武蔵に馴染んできているか解る。俺でさえ数年かかったというのにたった一年……いや、交わりだしたのが三河の件からだとしたら恐ろしいスピードで染まってきている。

 しかし正純の父がかなり”アレ”なので将来は約束されているようなものだったな、とどこか納得する。

『できるのか?』

 おぉ。

 その言葉が少しだけ、挑発的に思えた。正純はまだ正確に俺の戦闘力を測れていないのだろうか。いや、三河でも暴れはしたが結局一人に抑え込まれてしまっていた。となると、ほとんど活躍してない事を思い出す。

 いやはや、情けない。

「よし、―――正純」

『なんだ?』

 名前で呼ぶとすかさず正純が反応する。

「理想は?」

『なるべく無傷でお帰り頂く事だな。無駄に争いの火種を残しておきたくない。私たちはこの先、英国に挑む必要があるからな。交渉のテーブルに着くとき不利になる材料は欲しくない』

「Jud.ちょっと見てろよ……武蔵の副長とはどんな存在か見せてやっからさ。あ、決してそろそろ働かなきゃ存在意義が危ないとかそんな考えはないからな! ないからな!」

『本当に大丈夫かよ……』

 立ち上がり、表示枠が消えたところで、

「み、見せてもらう必要ははははないわよ!」

 味方の、後方で状況を見守っていた仲間の矢が此方へと向けられていた。ついでに何時の間にか足元にはマルガの生み出したペットボトル爆弾が置いてあった。

「おい。おい。おい」

「区切って言わないでよ! 解ってるわよ!」

 解っているのならいいのだ。自分の手の中にある符からも全く反応を感じられない。つまりこれは―――

「―――"巨きなる正義・旧代" 、その効果は武装を遠隔操作する事よ。さ、降伏してもらおうかしら」

 武器の遠隔操作という能力自体はそう厄介ではない。だがその能力を発動させているのが聖譜顕装(テスタメントアルマ)だという所が良くない。普通の術や武装に比べて聖譜顕装は圧倒的に使いづらい。まず聖譜が届く範囲、即ち自国領内でしか使えない。つまり防衛でしか使用のできない兵器なのだ。しかも所有者を”武装”側が選ぶという枷まである。

 しかし、その出力は圧倒的だ。

 範囲内の武装であれば”なんでも”遠隔操作が可能。それは敵も味方も問わない。それが、この聖譜顕装の恐ろしい所だ。

 だがしかし、

「マルガ、痛かったら悪い」

「貸し一よ」

「はぁ? 借りじゃねぇの?」

「貸しよ。―――男が何をしようとも女の前では借りになるのよ」

「なんだその横暴は」

 短く、素早く、唇の端で会話する。会話の内容は漏れていないが、それが聖譜顕装の担い手、ロバート・ダッドリーに見つかる。

「なにを―――」

「そらよ」

 マルガを蹴り飛ばした。一瞬でマルガの姿が吹き飛び、巨きなる正義・旧代の攻撃範囲から吹き飛ばされる。同時に手に握っていた符を落とす。

「ならば躊躇し、しないわよ!」

 ダッドリーが腕を振るうのと同時に弓が放たれる。それを限界まで抑え込んでいた学生たちが自分の握る弓から矢が放たれるのと同時に、

「あの嫁持ち男に死を!」

 そんな事を叫びつつ一気に退避する。マルガが吹き飛ばされたことからそこに自分たちが介入する余裕はないと理解したのだろう。私怨の籠った矢はダッドリーに操られ、加速しながら此方に迫ってくる。

「終わりよ!」

 同時に足元にあった爆弾も中身の液体が沸騰をはじめ、爆発の予兆を見せる。確か爆弾の方がベン・ジョンソンの仕業で、矢がダッドリーの仕業だったな、と再度状況を把握し、

 爆弾を踏みつけ矢を体で受け止める。

 足の下で爆弾は破裂し高温の霧を生み、高速の矢は体に中る。

 しかし、―――そのどちらも神格武装クラスの力はない。巨きなる正義・旧代による遠隔操作も対象が多すぎて効力が分散している。一度に数十の矢を操作すればこんなものだろう。大体わかっていた事だ。体に傷はない。服が破れた程度だ。

「終わったか―――そんじゃあ行くぞ」

「くくく、腐っても副長というわけね……!」

「腐ってなんかいないやい! 仕事してるから腐ってなんかないもん!」

『……仕事回すか?』

 お断りします。

 寸劇を楽しみつつも前に踏み出す。永劫破壊の法は健在で、一定の加護のある武装でなくては体に傷をつけるのは難しい。加護がないのであれば高い威力の攻撃が必要となる。巨きなる正義・旧代がガントレット状であることを考えればそれで打撃すればいいのだろうが、

「その人数で武蔵をどうにかできるとでも?」

 拳を振り上げて、まずはそれをダッドリーへと向ける。英国の中でも今ここにいるメンバーは、シェイクスピア以外は攻撃力が欠けている。武蔵を止めるにしたって、落とすにしたって、全くと言っていいほど足りない。拳をダッドリーに向けて叩きつけながら言葉を放つ。巨きなる正義・旧代の対策は簡単だ。武器を操作されるのなら武器を使わなければいい。

「俺を倒したかったらエクスカリバーでももってこい!」

「Well said!」

 体に負荷がかかるのと同時に拳が重く、遅くなる。そしてウィリアム・セシルの体が浮かび上がり始める。ベン・ジョンソンもどこからかシリンダーを、注射を取り出し、それを首に当ててドーピングを始める。

「富めるものは貧しきにほどこしをー」

「そこまで言ったのだからもちろん全員を相手にfightできるんだね?」

 ベン・ジョンソンの筋肉が異常に盛り上がり、今までも十分にキモかった姿が更にキモくなる。もはや過去のベン・ジョンソン本人が見たら、憤怒してアレは俺じゃないって叫ぶ化け物が出来上がっていた。薬詩人アスリートとか存在自体が斬新過ぎて、過去の常識を持って相対したら確実にフリーズしてた。まあ、もはやそこらへんの常識は投げ捨てたが。

 全身にかかる重力の束縛を感じつつも拳を振るう。速度は一気に落ちてダッドリーに避けられるが、それでも体は十分に動く。すかさず短い動きで二打目をダッドリーに叩き込む。だがその前にベンが接近し、ドーピングによって強化された拳や蹴りを叩き込んでくる。それを片手で応戦しつつ、

「セシル、こ、これに乗せて頂戴!」

 そう言ってダッドリーが見せるのは矢だ。セシルが了解と共に矢に荷重を加え、それを此方へと向けて放ってくる。ベンに対応しながらもう片手で荷重の乗った矢に対応する。片手しか空いていないために全てには対応できず、何本かが体を掠って表層に突き刺さる。

 それがいけなかった。

『第一層、第二層貫通!! 下層にまで被害が及んでいます! 明広様、今のは危険だと判断します! ―――以上!』

 品川の統括自動人形、”品川”による焦ったような声が表示枠を通じて聞こえる。だがその被害の度合いは敵も把握している。もちろん、

「に、二射目、い、行くわよ!」

「ほこどこしをー」

 再び矢が浮かび上がり、荷重を得る。しかも今度はさらに多くの矢を集め、その量は先ほどの二倍に膨れ上がる。矢の方が優先目標だと判断し、ベンの攻撃に対応していた片手を矢の迎撃に持ってくる。

「Bad deccissionだよ!」

 完全にフリーになったベンが攻撃を叩き込もうとして、

「それはどうであろうな……!」

 新たな姿が―――半竜の姿が戦場に現れる。加速機から流体を放出しながら無手で構えた異端審問官が、一気に接近する。それを見たセシルが矢に込める荷重を減らしつつ荷重を半竜、ウルキアガに込める。

「ふんっ!」

 だがウルキアガは両足で踏ん張る事でそれに耐え、踏み出す。

「そのヤク中任せるぞウッキー!」

「拙僧に任せるがいい……!」

 前に進み、ン・ジョンソンヘの攻撃と牽制を同時に行うために口からブレスを吐き出す。若干鈍い動きではあるが、ベン・ジョンソンを引き離すには十分すぎる攻撃だ。ベン・ジョンソンの追撃は失敗に終わり、

「遅いわ!」

 矢の雨が降り注ぐ。これだけの数が品川へと突き刺されば、矢の形状と重量を考えるにかなりのダメージが品川へと叩き込まれるはずだ。故に、

「吠えろ、罪姫・正義の柱……!」

 形成によって刃を生み出す。だがそれは得物だ。巨きなる正義・旧代という存在に対して明確な操作権を与える存在だ。武器を取り出す判断にダッドリーが微笑み、巨きなる正義・旧代が鼓動する。

 しかし、

 罪姫・正義の柱は支配下に置かれない。

 罪姫・正義の柱に込められているのは俺の魂ではなく―――マルグリット・ブルイユという人類最美の魂だ。

「女神は俺にしか微笑まないんだよ」

 降り注ぐ矢の全てを斬撃にて割断し、それに込められた荷重すらも叩き斬る。荷重を詰め込む矢が消えたために、ウルキアガと俺に対しての荷重が更に増える。

「―――見ろ! 夜明けは近い! 体を縛る重さも忘れそうな達成感が体を包む」


 文章を奉納し、その文の内容を現実化させる文系の術式が起動した。奉納された文章に従いウルキアガと俺の体を縛る荷重がいくらか緩和され、その場に援軍がもう一人現れる。

「遅れてごめん―――待たせたね」

 軽く恰好つけたネシンバラに顔だけを向け、

「はい、みなさん。ここでクエスチョンタイムです! ―――あのメガネ、遅れておきながらあの態度。今のは許されるかどうかを議論しましょうか!」

 即座に”審議中”と書かれた表示枠が出現する。右下にはデフォルメの”武蔵”が描かれているから、”武蔵”達自動人形まで参加しているようだ。愛されているみたいでなによりだ。

 ウルキアガと共に軽く後ろへ下がって距離を作った時、初めてリアクションを見せる存在がいた。

「―――」

 トマス・シェイクスピアだ。

 読んでいた本をしまい、此方に、いや、ネシンバラへと視線を向ける。

「久しぶりだね―――トゥーサン」

「なるほど、ネシンバラはロリ担当であったか」

「守備範囲外何で任せた」

「君たち容赦がないよね。いつもの事だけど」

 そんな事を告げつつ、相手には聞こえない声でネシンバラは作戦を告げた。




今更な話だけど、てんぞーはこれ、原作読破済みですが、
描いている最中は原作手元になしで書いているよ。
やっぱ内容トレースするよりは微妙に脳内でアレンジされた間違った展開の方が楽しいわ。
スポンサーサイト

| 短編 | 09:42 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

それはあると思いますぅぅぅ!!

| 読者 | 2012/10/05 10:04 | URL |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://tenzodogeza.blog.fc2.com/tb.php/203-596e9fb9

TRACKBACK

PREV | PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。