陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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IF外伝 境ホラ12

 俺が跳躍から着地するのと同時に、船から跳び下りてくる三征西班牙の生徒―――持っている情報と照合して陸上部だと判断する。戦士団が武蔵へと乗り込んでくる。表示枠を確認する限り二代は部下を纏めている。そしてネシンバラは今必死に艦橋へと走っている。ネシンバラの役割りは今の三征西班牙戦ではなく、この後確実にやってくる英国に対する備えの方だ。

「ッお!」

 投擲するのは符だ。だがただの符ではなく、神社でマルグリットに予め流体を注いでもらったものだ。ナイフを投擲するかのような精確さを持って飛翔した符は戦士団の付近へと移動し、

「爆ぜろ炎獣!」

 爆発を起こす。符に詰められた拝気が術に反応し遠距離でありながら熱気を感じるような大爆発を起こし、飛び移ろうとしていた戦士団を吹き飛ばす。横に表示枠が出現する。そこに顔を見せるのは後輩を後ろに引き連れたマルゴットの姿だった。風に揺れる髪が、彼女が今出している速度を表している。

『ナイスヒット!』

 そう言ってくる彼女に対して目で礼を言い、第二陣の戦士団に対して符を複数投げつけ爆発を起こす。爆風と炎に押され戦士団の大半が武蔵への着陸コースから外れるが、全てではない。攻撃するには距離が開きすぎているうえに威力が低すぎる。


「あんまし術の方は得意じゃねぇんだから後は頼んだぜ」

『Jud.!』

 マルゴットが迎撃に空を飛ぶのが見える。空は彼女に任せる事とする。さて、ここで自分がするべき事は、

「二代!」

『何で御座ろうか』

 表示枠で彼女を呼び出す。蜻蛉切を手に、隊員たちと駆ける姿が表示枠に映されている。

「正純の護衛を頼む。俺はトーリとホライゾンに回る! できたらこっちと合流してくれ」

『部隊の指揮は―――』

「ネイト、犬臭いのが潜ってるから小物共の面倒よろしく! お前こういう状況結構暇だろ!」

 表示枠に怒りのネイトの表情が浮かぶ。今にも突き破って此方に出てきそうな様子だが、怒りを飲み込んで銀鎖を振るう姿が見える。ネイトは足の遅い戦車タイプのキャラで、こういう防衛戦では一か所に止まって戦っている―――つまり比較的暇な方だ。

『人が気にしている所をズケズケと……!』

「なら直そうぜ。俺は手伝わねェけど。マジガンバ。特務だし問題ないだろ」

『あぁ、もう! 終わったら覚悟してなさい! あることない事マリィに言いますから!』

「外道がぁあああ!!!」

 今頃マルグリットは浅間や喜美と共に安全な場所にいるだろう。その事実に安心しつつ、再び短い跳躍を始める。目指すべき場所はトーリとホライゾンのいる―――多摩。奥多摩からはそう遠く離れている場所ではない。だが近いわけでもない。体に力を込め、一気に数百メートルの距離を跳躍で飛ぶ。全身で風を受け止めながら跳躍を繰り返し、奥多摩からまずは武蔵野へと向かう。着地の衝撃を膝を曲げて逃す事で和らげながら、再び跳躍に入る。長距離の移動はこれの繰り返しだ。

 何度も何度も跳躍と疾走を重ね、障害物を飛び越えながら最短ルート、つまりは一直線に青雷亭のある多摩へと向かう。武蔵アリアダスト教導院の校庭に一旦着地し、再び多摩へと向おうとして―――

「―――形成!」

 自分に向かった放たれた斬撃を叩き落とす。一撃ではなく、一合の間に数十発の斬撃交ぜられている。この技術は見た事がある以前に、体験している。

「またお前か……!」

 多摩へと流れる様に体の動きを調整しながら、背後から飛んできた攻撃の主を見る。

 武蔵アリアダスト教導院、その校舎の上に一人の女武者の姿が見える。刃を鞘の中にしまった緑髪の女―――先の一戦で刃を交えた林崎・甚助の名を襲名している女だ。長ったらしい髪の間で笑みを浮かべて、それを此方へと向けているのが解る。

「どうやら私以外に抑え込める人材がいないらしいので、すみませんが―――死んでもらいます」

 今度は百を超える斬撃が風に乗って運ばれてくる。前回放った斬撃が線と点に絞って高威力型の斬撃であれば、今回のこれは面を意識した制圧型の斬撃。居合一つで千差万別の戦闘方法―――伊達に居合の祖の名を襲名しているというわけではないらしい。

 追い迫る斬撃を、形成し、召喚した刃で切り殺す。幸い面を意識しているためにまだ威力は低い。いや、まだ戦いに”熱”が入り切ってないだけかもしれない。しかしエース級に武蔵野にまで入り込まれたのは痛い。

「つーわけでごめん、二代、馬鹿とセメント姫をよろしく!」

『Jud.任されたで御座る』

 表示枠に短く護衛の方をよろしくと伝え、後悔通りの中に着地する。一瞬だけ戦地をどこにするか悩む。このまま左舷、浅草の方に向かうべきか否か。だがそれに悩むのも一瞬だけだ。頭上から襲いかかってくる斬撃を切り払い、

「くどい!」

 右舷一番艦、品川を目指す事とする。前へと向かって再び跳躍しながら背後を向き、斬撃の主が追いかけてくるのをしっかり認識する。此方が迎撃の体勢に入ったのを確認し、動きを加速させた甚助が一気に跳躍し、接近してくる。

「かーえーれっ!」

 接近と同時に放ってきた斬撃を切り払い、衝撃に乗る様にして更に飛距離を伸ばす。

「すみません、恋煩いの様なものでして―――」

『……』

『ッヒィ!?』

 無言で威圧するマルグリットの姿が表示枠に出現している。こうやって嫉妬されているという事は少なからず俺を独占したいという気持ちがあるからだ。そしてその感情は非常に好ましい。なぜなら俺が愛されているという事だからだ。そう、つまり、

「マリィの嫉妬がかわいすぎて生きているのが辛い。もっと! もっとその可愛い顔を! あ、頬を膨らませてくれると萌え死にます」

『アイツ、心配する必要なさそうだよな』

 後ろ向きに着地し、バックステップを取る感じで大きく跳躍する。もうそろそろ武蔵野の先端にまで到着する。その先端と言えば初めて悲嘆の怠惰が放たれた場所としてちょっとした名所になっている。あの事件の後すぐに名所として確立させて売り込むシロジロのバイタリティは凄い。

 だが、さて、

「いい加減鬱陶しくなってきたな」

 ニンマリ、と笑みを浮かべる。どんなに平和が好きだとはいえ、もう体に染み付いてしまった業はどうにもならない。

 空を蹴り、追いすがる敵へと向かって一気に接近する。

「立花・宗茂の行った大気蹴り!」

「奴は大気中の埃とかを足場にしてたが、こっちは純粋に空気を蹴ってるだけだよ!」

 一気に加速し空中でぶつかり合う。振るう処刑刃が刃を見せぬ刀とぶつかり合い、派手な火花と大量の金属音を発生させる。発生を見切る事の出来ない斬撃だが、三河で見せた最終的な状態にまで技が移行していない。もうすでに奥義を見せた相手にそれを使用しないのは―――

「時間稼ぎか」

「Tes.今回は何か目的があるそうでして」

「その目的を教えろよ」

「すみません。ブリーフィング中は刃研いでました」

「こわっ!」

『気をつけて最上君! 僕の予想が当たっていればその人ヤン―――』

 ネシンバラが何かを言っていたが、言い切るよりも早く余裕のあった左足で表示枠を踏み潰し、処刑刃を振るう。この敵が時間稼ぎに来ていると解った時点で戦闘が生温くなったと感じられる。甚助が放ってくる斬撃は殺傷を狙ったような圧倒的なものではなく、明らかに牽制や封じ込めを狙った斬撃が多い。

 武蔵野の先端に着地し、思考する。

 ……どうするべきだ。

 こういう状況で自分がネシンバラの様に頭のいいキャラじゃない事が悔やまれる。戦場での立ち回りにはある程度理解はあるし、読むこともできるが、基本的には指揮官よりも戦士タイプの人間だ。命令されて動いた方が楽だし実力を発揮できる。それだけで済む世の中であればどんなに楽なのだろう―――が、状況と立場がそれを許さない。常に変わる状況を理解し、判断し、命令を下す側の人間に俺を押し込む。

 そういうしがらみも、悪くはないと思う。

 だから、

 武蔵野から跳び下りる。


                           ◆


「なっ―――」

 一瞬驚愕する甚助だったが、次の瞬間空を飛んでやってくる姿を見つけ、刀の柄に手をかける。

「副長!」

「ナイスタイミング!」

 下から回収するように魔女部隊の少女の一人がやってくる。表示枠で状況を見ていたマルゴットが送ってくれた後輩だ。一気に量を増した斬撃に対し、此方も威力を上げる事で応戦しつつ、魔女の箒の先端に着地する。

「多摩へよろしく」

「了解しました!」

 箒が空、という飛行能力を持たぬ者に対して絶対的なフィールドへと入り込んできたところで、あの居合の女武者が追ってこれる方法はない。牽引帯を渡って隣接する艦に移動するか、空を飛んで移動するしか手段がない。

「アディオス―――」

 華麗に挨拶を決めようとしたところで、

『そこまでです!』

 表示枠に大罪武装”嫌気の怠惰”を構える三征西班牙の生徒会副会長、フアナの姿が見える。そして表示枠には一緒にホライゾン、そして正純も映っている。超過駆動を発動させた大罪武装”嫌気の怠惰”は、その範囲内の者が自分にとって悪であると理解する箇所を拘束するといった内容の大罪武装だ。大剣型の大罪武装で、ビジュアル的には悲嘆の怠惰よりはいい。

 予想外に時間を食わされていたようだ。

 戦況とは、常に動くものだ。

 発動していた嫌気の怠惰の超過駆動によって、その場にいたホライゾンはその全身を嫌気に拘束されていた。一部の隙もなく、手も足も胸も顔も舌も。全身全てをがんじがらめに拘束されていた。

 ”足りない”、そう感じている自分自身に嫌気を感じている、という事だろう。

「急げ……!」

「Jud.!」

 スピードを上げる魔女の箒の上から甚助の方を窺うと、唇の端を上げてしたやったりと言わんばかりの笑みを浮かべていた。この借りは後に絶対に返す事として、それよりも今は、ホライゾンの救出だ。表示枠を覗き込み、改めて状況を確認しようとしたところで、

 今度はフアナが全裸の馬鹿のチ○コを握っていた。

「……」

「……」

『……』

『……』

『……。―――以上』

 言うまでもなく、この戦いは三征西班牙の名誉挽回の為の追撃戦だ。全世界へと三征西班牙の放送委員を通して放送されている。つまりこの副会長がトーリの息子を握っている事も世界放送。

「Oh……」

「副長、現実から目を背けないでください」

「目標品川!」

「あ、見なかった事にするんですね?」

 表示枠から女性らしい悲鳴が聞こえるが、もはやトーリが現れた時点でまともに話が通るとは思えない。二代達も合流した様子―――もうこの先に問題はないだろうと判断する。品川へと魔女を飛ばしていると、再び表示枠が開きネシンバラが映る。その姿は同じく品川を目指して走り出している。

『これから重力航行で強引に三征西班牙を振り払って英国に突っ込むからよろしく! 掴まってないと危ないよ!』

『”武蔵”より皆様へ伝達です。これより当艦は―――』

 と、そこで品川へと到着する。箒から飛び降りると魔女が飛び去って行く。武器を出したまま体を低く、貨物船である品川へと張り付くようにしながら状況を窺う。三征西班牙も武蔵の重力航行には追いつけない。故に一度加速に入ってしまえば置いて行かれてしまう。急いで三征西班牙が撤収を始める。

 重力航行を作動させる時間を作ったのがトーリチ○コ事件。

 アレには確実に笑いの神が下りている。

「にしても……」

 ……俺、ほとんど何もできていないような……。

 皮肉でもなんでもなく、ガチで用無しになりつつあるような気がするが、

「無職になったらヒモになろうかなぁ……」

『副長がヒモを目指すとか絶対に他国に知られたくないから黙ってろよ? 絶対黙ってろよ?』

『たまにセージュンがフってるのか本気なのか解らなくなるのよねぇ』

 アレは天然だと思いたい。

 そして、

『重力航行はいります―――! ―――以上』

 武蔵が三征西班牙を振り払うように一気に加速を開始する。
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| 短編 | 09:04 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

原作通り、馬鹿がやらかしたww

| 名状し難きナニカ | 2012/10/04 12:30 | URL |

妖怪ェ…変態ぷりがニートになりつつある

| ぜんら | 2012/10/04 19:50 | URL |

総長全裸で副長ヒモって・・・

| 雑食性 | 2012/10/04 20:32 | URL |

あれ?何故か最上ってよんでる奴がいましたよ?うん?

| | 2012/10/05 19:29 | URL |















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