陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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DAY3

「サイアス」

「はい?」

 家の中、定位置である座布団の上でブラシを使い尻尾の手入れをする。ファッションが江戸時代のこの街の中では、こういった小さなおしゃれが元現代人としての嗜みだと把握している。最初はぼさぼさの尻尾を見ていてそれが気に入らなくて始めたものだが、こうやって毎日綺麗にブラッシングしているとクセになる。

 まぁ、それもけものだまになる度に台無しにされるのだが。

 あのワルガキ共、俺を引っ張れないとなるとすぐに襲い掛かるからなぁ……。

 最近、あそびに誘うときは俺をけものだまにしてからそれを拉致ればいいという考えが広まりつつあるらしい。というか広まった。そのため最近、けものだまにされる回数が劇的に増えた気がする。遊ぶのは別に構わないが、時間と場所があると思うのだ。とりあえず読み書きの時間に押しかけるのはやめるべきだと思うが。

 さて、


「なんでございましょうか?」

「最近子供の視線が冷たいよ……」

「それ、俺がけものだまにされる光景笑ってみてるからだろ」

「僕が君ぐらいの年の時は毎日外を走り回っていたんだけどなぁ……」

 母の話によれば毎日母に引きずりまわされていたそうですが。しかもぼろぼろになるまで。時間とは無残な事をしてくれるものだ……。父の頭はもう……。

「うん、何か嫌な予感するから何も聞かないけど……そろそろ話を進めていいかな?」

「どうぞどうぞ」

 じゃ、と声を出してから父が目の前に座布団を置き、そこに座る。改めて見ると線が細く、頼りにならなそうな父親だ。最近実子を笑って売り飛ばす様な外道性を見せるこの父だが、一応父親なので敬意を払わねばならない。

 と、

「それでは」

 と言って、父の隣に母が座る。今までにない真剣な様子に、何があったのだろうかと少し不安になってくる。自分がまさか何かやらかしたか、と考えてみるが、やらかしたことと言えば近所の子供にワイヤー使ったトラップを教えた程度だ。一時期街が歩き難かったのはいい思い出だが、さて。

「いいかい、サイアス。良く聞いてほしいんだ」

 たっぷり溜めた父の代わりに、

「私達貴方を王都の幼年学校に送る事にしたの」

「あ、僕のセリフ……」

 ―――王都の幼年学校へ送るという事はこのガレットにおける最高の教育を受けさせるという事であり、ゆくゆくは騎士か、学者、もしくは文官への道を開くという事だ。つまり少し前に騎士になりたい、何て発言を本気にしたのだろう、この気のいい両親は。しかし夢へと向かってまっしぐら、それもいいだろうが、それよりも心配すべき事がある。

「サイアス」

 父の両手が肩にかかり、

「ウチはそんなにお金ないから、奨学金を絶対に取るんだぞ?」

「五歳児に何を言っているんだ」

「サイアスちゃんは頭がいいから大丈夫よ」

「この両親実にいい性格をしている」

 だが、まあ、高いレベルの教育を受けられることは悪くない。学力も個人的には悪くないと思う。その気になれば何にだってなれると思う。だけど、腑に落ちない事がある。

「なんで?」

 うーん、とその言葉に首をかしげるが答えない父。そしてその横でにっこりと微笑む母。

 これが、数ヶ月ほど前の光景だ。


                           ◆


 そんな出来事を思い出しつつ、横に大きなカバンを置いて、馬車の中から外の風景を見る。馬車といっても高級なそれではなく、定期的に東洋街に行商に来ている商人の馬車の荷台に乗せてもらっているだけだ。気性の穏やかなフロニャルドの住民らしく、馬車はセルクルというダチョウの様な動物に引っ張られ、ゆっくりと道路を進んでいる。王都までは半日以上かかるらしく、遠くに目を向けてもまだ王都の姿は見えてこない。

「おい、坊主」

 セルクルの手綱を握る行商人が顔を向けてくる。読んでいた参考書から顔を上げ、行商人の方に顔を向ける。

「なんですか?」

「お前、王都の学校へ行くんだってな? 親御さん、自慢してたぜ」

「もう合格した気だよ……」

 近所の人間と合わせての盛大な見送りは死ぬほど恥ずかしかった。もっとこう、砂粒の様に大人しいけど、ある程度には刺激的な人生が欲しいのだ。まるでこれから世紀の大英雄が出陣するような見送りはやめてほしい。色々とトラウマを残す。

「ははは、いやいや、見てりゃあ解るよ。坊主は頭がいい。将来は大物になるよ」

「だとしたら嬉しいよ」

 こちとらこうなった手前、最後までやるしかない。

 主席入学を目指して奨学金を取って、その上で騎士になる……理想としては王族の親衛隊関係。そこまで有名になれば戦場に出る回数は増えるし、テレビに顔が映る回数が増える筈だ。となれば、だ。

 マルグリットを見つけられる可能性が上がる。

「……ふむ?」

 なんだかたっぷり含むところがありそうな声を行商人が漏らしていた。頭の猫耳をピクピクさせ、再び正面を見る。その様子が気になり、

「なんですか」

「いや、な。坊主が本当に幼年学校に入る必要あるのかどうかと思っちまってな」

「はぁ……」

「ま、なんでもねぇや。邪魔したな。王都まではまだまだ時間がかかるぜ。ゆっくり時間を潰してな」

「そりゃあどうも」

 荷台に寝っころがり、本を顔をかぶせる。マルグリットを探すための第一歩が、予想外な形で始まった。あとは自分の努力と、彼女が存在する可能性に全てを賭けるしかない。しかし、

「どこへ行ってもこの愉快な気配は変わらなさそうだなぁ……」

 その予想は決して間違っていない。

 基本的に、

 フロニャルドの人間は、

 祭り好きだ。




え、今回は詰まらない?
大丈夫。次回辺りからキャラ増えるから。多分。
DOGDAYSはヘイワデスネェー
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| 短編 | 18:59 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

 平、和……?
 生死てきな意味では非常に平和だけど、現代の常人の精神だとヒャッハーについていけず、気疲れしそうな……まぁ、その点サイアスさんは司狼と友人だとかそこらへんのあからさまな辺りからヒャッハーな人種だから馴染んでますが。

| サツキ | 2012/09/17 19:16 | URL |

平、和……
平和とは、なんぞや……?
水銀辞典には対義語で「さいあす」って載ってたような……

| 羽屯十一 | 2012/09/17 20:07 | URL |

平、和・・・・・・平和?
まぁ死にはしないか

| 雑食性 | 2012/09/18 21:37 | URL |















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