陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-7

 ―――決戦の日。

 マイルームから出ながら自分の状態を確認する。体操服に着替えたし、鳳凰のマフラーも装備した。うむ。体操服にマフラーとモノクル、そして刀とは中々変態的なルックだが礼装としては今、自分が持っているもので一番いいものだから仕方がない。セイバーも両手でサムズアップをしてきた格好だ。後で顔を殴ってやろう。もちろんマウントでだ。

『マスターもだいぶ野蛮になってきたな……』

 大体セイバーのせいでしょ。


 礼装、アイテム、そして魂の改竄も確認した。今日の対戦に向けて、セイバーの注文通りに魂の改竄を行った。セイバーの話では前よりも少しだけ本来の力を取り戻したが、それでもまだ”ノリが弱い”らしい。つまりまだまだ本来の霊格には遠いという事だ。セイバーがどれだけ強かったのか気になるが、どんな英霊だったのかも気になる。

 スキルに処刑何て物騒なものが存在する時点で、まともな可能性はゼロなんだろうけど。

 この日ばかりは校舎にはほとんど人の気配がない。今までは廊下を歩くたびにどっかの魔術師とすれ違っていたものだが、ここまで人の気配がないと寂しく感じられる。ともあれ、寂しい校舎とは昔から怪談のネタにされてきた。

「怪人マーボー」

「君は私を見てそう言うか―――光栄だな」

 脳味噌までマーボーが詰まっているらしいこの神父。駄目だこいつ。だがそれでもこの聖杯戦争の運営NPCだ。本当は凄いのだろう。しかし絶対にこいつの設定間違えていると思う。

「ではマスターよ。この先は決戦場となっている。準備はいいかね?」

「うん」

「宜しい。では扉にアリーナで見つけた二つのコードトリガーをつけるといい。聖杯戦争の第一試合だ。存分に殺し合いたまえ」

 そう告げて言峰神父が扉の前から退く。端末の中に保存されていたコードトリガーを二つとも具現化し、それを扉にはめ込む。次の瞬間には扉を縛っていた鎖が外れ、中に進入する事を許していた。

 自分にはセイバーがいる。

 勝利を信じている。

 だから迷わず、決戦場へと続くエレベーターに乗る。


                           ◆


「―――へぇ、君も不幸だよね。まさか最初の相手が僕だったとかさ」

 エレベーターの中には慎二がいた。ライダーを横に置き、挑発するような口調で此方に話しかけている。既にん実体化したセイバーもいるが、興味なさそう人エレベーターの壁に背中を預けている。私も正直興味ないが、この先ライダーとどんなコントをしてくれるのか期待して話を聞いている。

「ふふふ、しかしホント、君もあきらめてリタイアすればいいのにさ。悲しいよね。まさか君も努力とか友情とか、そんなもので勝てると思っているタイプ? 可哀想にねぇ、生まれ持った才能の差はどうにもならないのに。なのに本気で勝てると思っちゃってるの?」

 今日も頭のワカメが元気に揺れている。

「なあ、此処だけの話、僕に従って負けないか? 前言っただろ? リタイアすれば聖杯を分けてやるって。お前は他の奴らと違って見どころがあるからな。今でも遅くないぜ」

「セイバー、なにしてるの?」

「いやぁ、やっぱライダーの服装エロいなぁ、って」

「金出すのなら好きなだけ味あわせてやるよ」

「お前ら僕の話を聞けぇ―――!! ライダー! お前も一体どっちの味方なんだよ!?」

 それはもちろん、とライダーが笑みを浮かべて言う。

「アタシはアンタの副官だよシンジ。人生は儚いから美しいのさ。花も、金も、弾も、命も。全部ぱぁっと使うから楽しい、それが人生ってやつさね。アタシは貰った金の分は働くさ。安心しなシンジ―――アタシが勝たせてやるよ」

「ふ、ふん! 解ってるのならいいさ!」

 セラフにおける聖杯戦争で召喚されるサーヴァントはマスターと最も相性のいい存在らしいが、こう見るとライダーと慎二はいいコンビなのかもしれない。そう思ったところでエレベーターの動きが止まり、決戦場へと辿り着く。

「見てろよ岸波! 僕とエル・ドラゴの艦隊で粉々にしてやる。もう頼んだって許さないからな」

「うん……」

 そう言われると急速にこれから戦うという事実が脳に刻まれる。今日、私か慎二、そのどちらかが死ぬのだ。それは決定された事実で、覆せない事なのだ。そう考えると―――

 ぽん、と頭に手を置かれて軽く撫でられる。

「さ、行こうぜ相棒。汚い事は全部俺に任せて後ろで踏ん反り返っていてくれ」

 言葉は乱暴だが、その言葉からは此方を心配してくれている様子が見えている。戦いの前だと言うのにセイバーに気を遣わせてしまったのはマスターとして失敗かもしれないが、その心遣いが嬉しい。だから顔を上げて、エレベーターの出口へと向かう。

「行こう!」

「ヤヴォール・マインヘル」


                           ◆


 そこは二つ目のアリーナで見た海の底、その一角だった。周りには沈没船が存在し、魚が泳いでる事も見える。まるで海の底、僅かな場所に設けられた特設ステージの様に感じる。ここが決戦場だ。ライダーと慎二と向き合う様にして立つ。セイバーが完全武装状態で前に立ち、ライダーも二丁拳銃を取り出している。

「っは! 思い知らせてやれよエル・ドラゴ!」

 もはや慎二に真名を隠す気はなかった。だがライダーも気にするような様子はない。

「あぁ、持ってるもん全部ぶち込むよ、宵い越しの弾は持たない主義なのさ! 所詮は処刑人、首を落とすしか能のない一本馬鹿にゃあ負けない。死から逃れ続ける海賊の作法を見せてやるさ!」

 その言葉にセイバーが笑う。ライダーの方はどうやらセイバーを特定しているようだった。それでもセイバーは笑い、

「言ってくれるじゃねぇかドレイク艦長! ここには仲良しのエリザベス女王もホーキンスもいねぇぜ? おらぁ、うれし涙流せよ! これからお友達と同じ所へ首落として送ってやるよ!」

「お友達に逢いたいのはそちらじゃないのかい? ほらほら、命も財宝も全部置いて天国へ戻りな!」

 口汚く互いを罵りあいながら、セイバーとライダーは英霊にしか通じ合わない何かを持って微笑みあい、

「ッハ!」

「ハハ!」

 ライダーが引き金を引き、セイバーが一気に前進する。前に出るのと同時に私も後ろへと下がり、

「hack(16)!」

 持っていた礼装、守り刀を端末から取り出し手に持つ。礼装の能力が発動し、ライダーに軽い衝撃が走る。それは威力が低いが、

「やるね……!」

 ライダーが強制的なスタンを受ける。hack(16)は威力が低いが、それでもマスターがサーヴァントに対して攻撃力を得る方法だ。相手の対魔力のランクが高ければ通じないのが弱点だが、ライダー―――エル・ドラゴ……フランシス・ドレイクの対魔力のランクは低い。だから通じる。

「首を貰った―――!」

 スタンし、動けなくなったライダーの首に刃が迫る。それは刺さりさえすれば必殺で、即終了なのだが―――。

「ライダー!」

「ナイスだシンジ!」

 ギリギリで首への一撃をライダーが回避する。シンジがライダーのスタンを回復させたのだ。同時にシンジが攻撃プログラムを発動させる。が、それがセイバーに弾かれる。

「ック、対魔力が高い、僕からの攻撃は通じないか!」

「セイバー! 切り替えて!」

「ヤヴォール!」

「ライダー、全力でそいつを潰せ!」

 セイバーの動きが必殺を狙う動きから素早く、小刻みにダメージを刻む動きに変化し、ライダーの背後に十門のカルバリン砲が出現する。戦闘中に既に後ろに下がり、攻撃圏外へと自分は避難し―――セイバーは加速する。その動きは直線にではなく、ジグザグに短く移動し、大砲を回避する動きだ。その速度は前ライダーと相対した時より早い。

「岸波! お前改竄したな!」

 セイバーが魂の改竄で頼んだことは二つ。

 筋力、そして敏捷力の早期回復。だから、

 魂の改竄にて、私は総てのポイントを―――敏捷に回した。

 それでもセイバーの敏捷力はD+止まりだ。レベルを10まで上げてそれを全て敏捷へと回した私判断も大概かもしれないが、これしかない。

 攻撃は全て牽制に回す。

 殺す一撃は首への、断頭の一撃だけだ。

 だから筋力は次に回す。今はセイバーの技量を信じて、敏捷に全てをつぎ込んだこと、それが最良の結果であったことを祈って、

「heal(16)!」

「そんなゴテゴテの礼装装備状態できたからまさかと思ったけど、ガチだったのかよコイツ……!」

 えぇ、結構ガチです。ガチでヤケクソです。言峰神父絶対心の中で笑てっただろうなぁ……。

「ハッハァー!」

「掃射ァ―――!!」

 カルバリン砲が一斉に連続で火を噴き、ライダー自身も二丁拳銃で弾幕を張る。弾丸が大砲の弾に跳弾してセイバーを狙い、体を掠り傷を生み出す。それをヒールで治療しつつもセイバーは削れる。だが倒れない。HPにまだ余裕はあり、そして―――

「血、血、血、血が欲しい……!」

「処刑人が抗うねぇ……!」

 高速の弾幕をかいくぐりつつセイバーが攻撃をライダーに叩き込む。弱い、威力に低い斬撃だが、前に戦った事でセイバーはライダーの攻撃方法、その特徴を把握し覚えている。六発に二発程であれば確実にどこへ来るかわかる程度には、セイバーはライダーの動きを見切っている。セイバーの傷は増えるが―――ライダーの傷も増えている。

「heal(16)!」

 鳳凰のマフラーの効果を使用し再びセイバーの体力を回復させる。同時に、

「何をやってるんだライダー!」

「そう言ってもねぇ、こいつは手強いよ! いやぁ、生きている間に出会わなくて良かった……!」

「だったら―――宝具使って終わらせるぞライダー!」

「了解だシンジ!」

「ッ!」

 来る。

 シンジが大量の魔力を消費し、ライダーの宝具を発動させる。それと同時にカルバリン砲が消え、セイバーがその一瞬を狙って一気に前進する。だが切りかかった瞬間にライダーと慎二の姿が消え、入れ替わりで、

「これが黄金鹿号! さあ―――」

 巨大な船、そして火砲を積んだ小型船が大量にその空間に現れる。ライダーの宝具、黄金鹿と嵐の夜。ライダーの乗る船を中心に小型船が艦隊を組み砲撃を食らわす超高密度の砲撃―――食らえばひとたまりもない。一瞬でHPが蒸発するのは解っている。

 だからこそ、手札を切るチャンスがここにはある。

「セイバー!」

 黄金鹿号と向かい合うセイバーに向けて命令する!

「勝って―――!!」

 まだ未熟なマスターで適切な指示は送れないが、それだけでセイバーには十分だった。前に踏み出しながら、

「ジーク・ハイル・ヴィクトーリア」

 そう呟いた。そして、

「全艦砲撃用意―――撃てぇ―――!!」

 回避のできない宝具の一撃が来る。その前にセイバーは前へと走り出しながら刃を構え、その刃に文様を浮かべる。そして、

「―――時を刻め罪姫・正義の柱―――!」

 霊格の復活と共に蘇ったスキルの一つをセイバーが発動させる。同時に戦場が制止した。砲弾も、空気も、全てが停止したような世界の中で、まるでコマ送りの様にセイバーが動く。最初は前に踏み出し、次は小型船の上、砲弾を足場にして―――黄金鹿号の上に乗る。文字通り時間という概念がセイバーによって刻まれ、コマ送りにセイバーを動かしていた。スキルの発動が完了するのと同時に大量の魔力が体から抜けるのが感じられ、思わず決戦場に膝をつく。

 が、

「なっ―――」

「アウフ・ウィーダーゼン」

「死神には勝てなかったかぁ……」

 一瞬で接近の完了したセイバーがライダーの首を刎ね飛ばす。その光景が地上からでも見れたゆっくりと、放物線を描くようにライダーの首が飛び、そして黄金鹿号が消える。落下から着地し、セイバーが帰ってくる。地面に膝をつく此方に対してセイバーが手を伸ばしてくる。

「あ、ありがと」

「おう、相棒のサーヴァントだからな。気が利くのさ」

 この減らず口がなくなればもう少しイケメンだと思う。

「おい……なんだよ、負けちまったじゃねぇかよ!!」

 慎二が怒りをあらわにしながら叫ぶ。ライダーの姿はない。彼女はセイバーに首を斬られた瞬間に消滅した。それがセイバーの、セイバーだけが持ちうる絶死の処刑。そう、首を斬られて生きていられる生物なんていないのだ。

「ま、死者が墓場へと戻っただけだ」

「ふざけるなよ! 僕が勝つはずなんだぞ!? おい、岸波、今からでも遅くないから僕と変われよ! お前がこの先勝てるわけないだろ!? 僕が優勝するから変われよ岸波!!」

 ここまで来ると慎二が哀れに見えてくる。どういう言葉を送るべきか、そう考えていたら、オレンジ色の壁が出てきて慎二と此方側を分ける。それは即座に慎二側の世界を染め上げ、慎二の体を消し始める。

「え、お、おい待てよ……嘘だろ……? ただのゲームなんだろ!?」

 その言葉に何も言い返せない。

 もしかして、もしかして死なないかもしれない。そんな淡い希望は目の前で砕かれている。慎二が消えて行く姿を見ていると、この殺し合いがどうしようもない現実だという事を認識させられる。

「これは戦争だぜ少年? 負けたら死ぬのは当たり前だろ」

「お、おい、マジかよ……嫌だよ、死にたくないよ!!」

 慎二が叫び始め―――

「―――僕まだ8歳なのにぃいいいいい―――!!!!」

「……え……?」

 そんな言葉を残して慎二は死んだ。
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| 短編 | 11:23 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

今気付いたが、前作の方のサイアスか
となると最後はあそこまで行くのかね?

| モグラ | 2012/09/17 13:35 | URL | ≫ EDIT

前作の方サイアスは懐かしいな。

前作・・・


・・・黄金閣下とか出てきたら体操マフラー詰むんでね?

| tom | 2012/09/17 16:43 | URL |

黄金閣下もそうだけど、個人的にはランサーがどっちになるのか気になる。
ドラキュリア公だったらセイバーさんはどんな反応してくれるんでしょう。夜の薔薇が咲くんだろうか?w
ガウェイン変化なしだからキリキリ参戦の線は薄いけど

| 女神は至高、金髪少女は至宝 | 2012/09/17 18:47 | URL | ≫ EDIT

これ、ラスボスが獣殿か水銀ってオチがありそうだなぁ。
セラフも構成原理こそ違えど電子仮想空間だし。

なんにせよ、ランサー戦が気になる。
宝具、つかオリジンがアレである以上は。

| 断章の接合者 | 2012/09/17 21:24 | URL | ≫ EDIT

ラスボスが波旬に思える今日この頃www

| 裸エプロン閣下 | 2012/09/17 22:48 | URL |

別にラストが三つ巴っぽくなってもいいんじゃよ?

| おk | 2012/09/18 04:46 | URL |















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