陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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殉教 ―――ニグレド

推奨BGM:Unus Mundus
*1推奨BGM:Einherjar Nigredo


 ―――では。

 自滅因子とは、さて、なんでございましょうか。

 ”貴女”はその意味を解っていらっしゃるだろうか。あぁ、解らぬだろう。知らなければ理解する事は出来ない。故に私が僭越ながらお教えして差し上げましょう。

 それは、癌細胞である。

 永遠は存在しない。どんなに不死を、永遠を望もうと、それはありえないのだ。人に与えられた絶対。そして生物として生まれた以上、絶対不可避の唯一の現象なのだと理解していただきたい。どんなに肉体が人を、理を超越しても―――求めてしまうのだよ。終わりを、魂が終焉を願っている。それは肉体的な永遠を得たとしても避けられない必然。えぇ、それこそ私ですら避けられないものなのですよ。

 マルグリットよ。


 貴女は美しい。掛け値なく美しい。どんな汚泥に曝されていようと貴女は美しい。貴女に恋をした。この既知感しかない人生において、私が唯一恋をした既知だ。故にその瞬間だろうか。私が全てを決めたのは。永劫の旅人であり続ける事を定めたのは。あぁ、しかし、見えるかね、マルグリットよ。私にも終わりはある。海の魚が淡水を求めているのだよ。

 ―――なんで―――。

 何故、何故、何故。あぁ、私は懐かしさをその一言に感じるよ。そう、知らなければ解らぬ。それが人類という生き物なのだよ。人は自らを知り、理を知り、そしてそこで初めて選択肢を与えられる。つまりそう言う事だ。

 愛しき癌細胞(アポトーシス)の宇宙は感染し膨れ上がって行く。

 親から子へと。

 子から友へと。

 ゆっくり、しかし確かな終焉としてその毒を体に植え付けている。癌細胞の出現は終焉の合図でもあるのだよ。私はどうやらいささか死にたがりすぎたようだ。そのせいで比類なき化け物をこの世の中に生み出してしまった。そこに後悔がないと言えば嘘ではない。しかしこれは同時に祝福でもあるのだよ。

 ―――わからないよ―――。

 済まぬマルグリットよ、私はどうやら少々脱線してしまったようだ。然り、理解とは難しいものである。ならばマルグリットよ、今、貴女に見えるこの光景とはなんだろうか。私からすれば三流の茶番劇だ。いかに役者がが良かろうが脚本が三流、いや四流とも言うべき程に酷い。アレは少々偽悪的過ぎるが―――その意図は理解できるだろう。

 ―――アキは―――。

 海の魚が淡水を求めている。

 が、それには少々早い。真実の断片に触れてアレは、我々の領域の一歩手前まで来ている。。女神と触れることなくここまで来れた事には、流石だと称賛を送ろう。あぁ、流石だ。流石私の※※だ。

 ―――カリオストロ―――。

 ふふふふ、……安心なされよ、我が女神。

 貴女の望みは叶う。

 貴女の心をつかむ英雄は貴女のすぐそばまで来ている。アレが終焉を求めるのは些か早すぎる。あぁ、安心するがいい。そう簡単に舞台から役者を下ろす事はない。役者が良ければいい劇になる―――しかし、それだけでは立ち行かぬ事もあるのだ。

 故に、

                    「今宵の恐怖劇を始めようか」


                           ◆*1


 ―――短いボディブローを受けて体がくの字に曲がり、衝撃が全身を走り抜ける。もはや喉からは苦悶の声すらでない。今この場に響くのは骨が折れるような、肉が叩き潰されるような、本来人から聞こえてはいけないような音だった。ミハエルの戦闘力は圧倒的だった。

 察知能力と技量。

 ほぼそれだけで俺と司狼を圧倒していた。圧倒的過ぎる。振るわれる拳はブレがないどころではない。その拳の精密さは一センチどころか一ミリもズレず、正確に狙った場所へ攻撃を叩き込んでいる。攻撃を受けながらカウンターに斬撃を繰り出すも、そのすべてが回避、防御、そして受け流される。動きからミハエルの拳は戦闘によって削りだされた、戦場の拳だというのは解る。俺と同じく度重なる戦闘を経て自分に合った最適な動きを、余分なところを削って生み出したのだ。

 だがその練度が違う。

 俺がアインクラッドの二年で対人戦、そして対モンスター戦用のノウハウや動きを生み出したのに対し、この男が繰り出す拳からは長い年月の重みを感じる。それこそ俺の二年なんて霞む。最低でも十年以上はあのデスゲームの様な世界に放り込まれていなくては、到底たどり着けない異常な戦闘力だ。むしろ人間の身でここまでの領域にたどり着けたことの方が驚愕的だった。戒と比べれば華やかさがない。ベイと比べれば凶悪性がない。エレオノーレと比べれば絶望が足りない。だがマキナにはどれも必要はない。

 必要なのは殺傷性で、必殺の拳である事。

「どうした」

 浮かび上がった体に追撃の拳が入る。全身のいたるところが砕けるような痛みと共に吹き飛ばされ、近くにあった邪神モンスターの死体に衝突する。実際はこの世界に骨も内蔵も存在しないから、“砕ける”というその表現は間違っているのは解る。だが痛みに慣れていない人間だったら確実にショック死するだけの痛みを感じた。

 邪神モンスターの死体が衝突と共に砕けると体が大地に落ちる。が、休んでいられる暇はない。すぐに立ち上がり、二刀を構える。全身の痛みを無視して見つめる視線の先にはミハエルと、そして司狼が戦っている。

 避けている。

 驚愕的だった。紙一重、まるで命を削られながらも戦う司狼の姿はどこか別次元めいた異質さが存在する。それもこのデジャヴによる物なのだろう。だが俺にはあそこまでの真似は出来ない。だけど、それでも負ける事は許されない。この男の力は別次元の領域にある。今の時点ではどんな卑怯な手を使っても勝てる気はしない。

 つまり、今の手持ちを発展させなければいけない。

 ならば、

「―――リリース・リコレクション……!」

 解放するのは羅刹ではなく―――もう一本。結晶の渓谷の、龍から得られた宝石の様な素材。それを打って生み出された白い剣。今使っている技術は秘められた概念を、年月の蓄積を解放する奥義で、それを考えるとダークリパルサーに蓄積された年月はあの戦いだけの時間だ。故にそれは引き出すには弱すぎるが―――

「やるっきゃないんだよ」

 できるかできないかの問題ではない。

 やるのだ。


                           ◆


                「―――※※※※※※リト※※※」


                           ◆


 ダークリパルサーに蓄積されたデータが、心意として解放される。

 同時に、

 一気にマキナに接近する。その速度は今までの速度を桁単位で超越し、あっさりと今までの最高速度を超える。それは光だ。

「―――」

 無言でミハエルが迎撃する。その目は何を映しているのか解らない。だが司狼からの攻撃を掴み、その体を片手で大地へと叩きつけながら、此方へと攻撃を叩き込む。完全に、衝突の瞬間を狙って一撃だが、

 それを回避し、

「ォォオオオオオ―――!!」

 ここで初めて、ミハエルの体に二刀を叩き込む。剣を通して感じる感触は硬く、ダメージを与えられているようには感じられない。それでも一撃は一撃、初めて与えられたダメージに少しだけ、気力が湧いてくる。

 ダークリパルサー。

 つまりは闇を押し返す光。光を受けて輝く鉄は闇を押し返す光の剣となって―――今、俺の体を光へと変換させた。螢の戦いを事前に見れてよかった。それを見る事が出来なければここまで明確なイメージを生み出す事は出来なかっただろう。

「パクった事に関しては後で謝る!」

「その調子だぜ―――」

 攻撃を受けたミハエルに追撃するように司狼がナイフを何本も投擲する。刺さればただで済まぬ刃を、

 ミハエルは体で受け止めた。

 拳を構えたままで動きを止め、

「―――ご都合主義だな」

 拳を振るわれる。瞬間、司狼が動いていた。回避するように動きながら攻撃をマキナに叩き込むが、それでマキナは動じない。司狼がデジャヴを感じている姿は非常に解りやすい。その間の司狼は無敵だと、解りやすい結果として見る事が出来る。だが、

「何にも感じていやしねぇぜこいつ」

 そうだ。ミハエルの戦闘力はその攻撃力だけではなく、その防御力の凄まじさにもある。単純に何を食らってもダメージを受けているようには見えない。だから倒すためには―――

「温い」

 短い言葉と共に打撃される。拳で殴られていた。光の様に動けても、それはミハエルには通じない。

「その程度で何を誇る。勝てぬのであればどんな力も意味がない。誇る暇があれば次を生み出せ、なにをしても宿主を死へと導く死神よ」

 拳が振るわれ、吹き飛ばされる。同時に司狼も殴り飛ばされる。二刀が手から離れ、遠くの大地に突き刺さるのと同時に心意による効果が消える。

「しまっ―――っがぁああ!?」

「あんま、良くねえ状況だな」

 油断なく司狼が構えるが、司狼がダメージを入れられない事は明白であり、同時に俺の攻撃でも一切のダメージは入らない。ベイや戒でならまだ戦いようがあった。だが違う。こいつは、

 ”こいつは倒せる相手を当てなきゃ勝てない”、そんな風に感じる。

 この場に俺達しかいない時点で、この戦いは詰んでいる。

「詰みだ」

 拳を構えるミハエルが告げる。その圧倒的、そして濃密な死の気配はこの場に来て更に勢いを増すばかりで、息苦しさすら感じられる。口を開けて喋る事すら難しい。常人なら既に喉を掻き毟るような空間の中で、

「―――これで確かめさせてもらおう」

 死の気配が更に濃く、深くなる。今までが児戯だったかのようにすら感じられる絶対的死のイメージは、食らう前から自分の死を連想させる。だめだ、

 絶対に食らってはいけない。今すぐこの馬鹿ら逃げなきゃ取り返しのつかない事になる。

 それは理解できているのに、

「―――死よ 死の幕引きこそ唯一の救い」
     Tod! Sterden Einz' ge Gnade!


 発動される死の創造の前に一歩も動けない。

「この 毒に穢れ 蝕まれた心臓が動きを止め 忌まわしき 毒も 傷も 跡形もなく消え去るように
Die schreckliche Wunde, das Gift, ersterde, das es zernagt,erstarredas Herz!

この開いた傷口 癒えぬ病巣を見るがいい
Hier bin ich, die off'ne Wunde hier!

滴り落ちる血の雫を 全身に巡る呪詛の毒を 武器を執れ 剣を突き刺せ 深く 深く 柄まで通れと
Das mich vergiftet, hier fliesst mein Blut: Heraus die Waffe! Taucht eure Schwerte. tief,tief bis ans Heft!

さあ 騎士達よ
Auf! lhr Helden:

罪人に その苦悩もろとも止めを刺せば 至高の光はおのずから その上に照り輝いて降りるだろう 」
Totet den Sunder mit seiner Qual, von selbst dann leuchtet euch wohl der Gral!


 それは終焉にして幕引き。触れた全てに終わりを与える拳。神でさえ屠る幕引きの一撃は、極限までの死への渇望が生み出した最悪の創造。それに触れて生きていられる存在などいない。触れてしまえば絶対に終わってしまう。迎撃する事も防御もできない最強最悪の組み合わせ。

「創造―――
Briah―――

人世界・終焉変生」
Midgardr Volsunga Saga


 完成されたミハエルの拳に宿っているそれは、完全無欠の終焉だった。それを構えたミハエルが口を開く。

「―――俺に見せてみろ。この幕引きにどう抗う、自滅因子―――!!」

 終焉が叩き込まれる。




今回は難産でした。
ぶっちゃけると、
マキナ強すぎて戦闘描写続かない
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| 断頭の剣鬼 | 09:25 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

キリキリとシロー、両御仁とも終始殴られっぱなしでしたもんね。シローさんはぎりぎり避けてたけど……。

| ossann | 2012/09/17 10:25 | URL | ≫ EDIT

ぶっちゃけすぎワロwww

| zane | 2012/09/17 10:34 | URL |

マッキーの戦闘って地味なくせに一撃必殺だからなぁ。

描写が難しいのは分かる気がします。

| 断章の接合者 | 2012/09/17 10:36 | URL | ≫ EDIT

マッキー倒してもまだ白騎士が残ってるとか無理ゲーすぎだろww

| インカ | 2012/09/17 11:12 | URL | ≫ EDIT

まさに順番で負けたという・・・これが赤騎士→白騎士→黒騎士ならまだ救いがあったものの・・・・

| 水無月 | 2012/09/17 13:09 | URL |

マッキーの一撃必殺を打ち破っても次にくるのは絶対回避か。
キリキリサイアスまでたどり着けなくね?

| 神無月 | 2012/09/17 19:34 | URL | ≫ EDIT

まあ当たれば即死の攻撃なんて相手が避けたり攻撃したりしないと文章なんて続かないよなぁwww

ぶっちゃけ敵が絶対即死攻撃とかクソゲーに近い

| おk | 2012/09/18 04:40 | URL |















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