陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-6

 6日目。

 慎二はアホだ(断定)。

 もうワカメでいいと思う。

 5日目はアリーナへ入れない様にハッキングし、アリーナの入り口を封印するまでは……別によくもなかった。既にトリガーコードは入手済みで、アリーナへはレベルアップや戦闘経験を積む以外の理由では、入る必要はなかったからだ。とはいえ経験は必須だからもちろん入るつもりだったのだが―――アリーナの入り口は共通だ。

 そう、全てのマスターにとって共通なのだ。

 慎二は私の邪魔をしたつもりで、セラフでの聖杯戦争の参加者全員の邪魔をしていたのだ。

 すぐさま文句を言われる慎二。

 周りから罵倒される慎二。

 一瞬で普通の状態に戻されてしまう慎二。

 激しく落ち込んでライダーに慰められるワカメ。

 あのワカメは何をしたかったのだろうと悩みながら5日目は終了した。


 そうやって迎えた6日目。決勝戦は次の日で―――マトリクスはそろっている。あとはこれを整理するだけだが、セイバーが言うにはそれは決勝の前にやるのがベストらしい。変に決めつけておいて後で重要そうな新たな情報が入った場合、それで混乱してしまう可能性が高いとの事。歴戦の英雄がそう言うのであればそうに違いないのだろう。だからまだ決めつけず、こうやって6日目、アリーナの入り口へと来ている。

 そこで見るのはライダーと慎二の姿だ。

「シンジ、もう少し払いが良くならないのかい? アタシは財宝がなきゃやる気がでないんだけどねぇ」

「解ってる! だからこうやって今ハッキングして財宝のデータを作ってるんだろ?」

 角に隠れてライダーと慎二を窺う。何やらライダーと慎二がいつも通りコントをやっているが、さて……。

「聞いたかマスター? あのライダーは財宝を手に入れた方がやる気が出るみたいだぞ」

 うん。聞いた。つまり?

「横から奪おうぜ」

「いい根性してるよね。セイバー」

 だが採用。

 セイバーと共に角から出現し、

「慎二!」

「ッ、お前は岸波……まさかまた盗み聞きか!?」

 大抵の場合は君が自爆してるだけだ、と言いたくなるのは堪える。その代りに慎二に近づき、目の前で大きく手をばん、と叩き合わせる。少し手がひりひりするが、その代わりに慎二が驚き、尻もちをつく。

「ううわあ!? な、何をするんだよ!」

 答えるまでもなくアリーナへと突撃する。嗤ってみていたライダーだが、目的がその瞬間理解できたのか、急いで慌てた様子に変わる。

「立て慎二! アイツらはアタシらの財宝を奪う気だよ!」

「ま、待て!」

 待つわけもなく、アリーナの中へと突撃する。


                           ◆


 このアリーナはまるで深海にいるような気分にさせる。壁の外側は水で満ちていて、魚が泳いでいるのが見える。見た事はないが、おそらく深海魚だと思う。遠くには沈没船も見えて、セイバーに言わせれば”中々楽しげな場所”らしい。先日来た時よりもアリーナに配置されているアイテムが多かったり開けたはずの宝箱が何個か復活している。おそらくそこに慎二が財宝をロードしたのだろう。

「待てよ! それは俺達のだ!」

「待てつって待つ馬鹿がいるかよ馬鹿ばぁーか!」

「僕を本気にさせたな! ライダー!」

「海賊から財宝をかすめ取ろうとは見上げた根性だよ! 本当に!! それ相応の覚悟はできているんだろうねぇ!?」

 ライダーの背後に大砲らしきものが四つ浮かぶのが見える。先行してアリーナに入った此方へと向けられている。そのコースは間違いなくセイバーだけじゃなくて自分も狙っている。

 って、ちょっと待った。

「私も!?」

「主犯が何を言ってるんだよ、俺よりノリノリじゃね? っと」

「ッキャ」

 セイバーに腰を掴まれ、持ち上げられる。そのまま軽くジャンプをして大砲をセイバーが回避する。その動きにライダーが軽く舌打ちを打つ。

「魂の改竄したね?」

「Yes why ofcourse」

「舐めてくれるね……!」

 このセラフの中に存在する教会には魂の改竄という事をしてくれる姉妹がいる。本当の目的のついでにやっている事らしいが、私が強くなったらその分セイバーを強化できるというシステムで、強化する度にセイバーが本来の霊格を取り戻す事が出来る。最初戦った時はオールEだったセイバーも、レベルアップで強化できる繋がりを持って、真っ先に筋力と敏捷を強化した。だから今のセイバーは前よりも少しだけ強くなっている。

 それでも私はまだへっぽこらしい。

「カルバリン砲とは穏やかじゃないなぁ!」

「海賊は縄張りに五月蠅いのさ!」

「だから長く生きられないんだろ、お前ら」

「ははは! 違いないね!」

 カルバリン砲―――それがライダーが今、出した武器の名前らしい。私には言ってないだけで、どうやらセイバーは既に相手の真名を見抜いているようだ。ライダーも砲をしまい、二丁拳銃を取り出して射撃しながら近づいてくる。

「だけどそんな事、処刑人には言われたくないね!」

「そりゃあそうだ」

 言葉からしてライダーにも此方の真名がばれているらしい。これは少し危機感を持った方がいいかもしれない。未だにセイバーの肩に担がれているが、そろそろ―――

「財宝ゲット!」

「あー!」

「慎二、ノロノロしてるんじゃないよ!」

「解ってる! コードキャスト! move_speed!」

「来るぞ相棒」

「うん」

 肩に担がれているから良く見えるよ。後ろが。

 慎二がコードキャストで一気に移動速度を上昇させる。同時にハッキングし、アリーナに限定的だが近道を作り、そこをライダーと慎二が抜ける―――その先には財宝がある。距離からして届かない。その財宝は確実に慎二にとられる、だったら、

「スピード上げるぞ」

「う、うん……ッキャア!」

 担がれたまま、セイバーの走るペースが上がる。というか後ろ向きなままである。アリーナの緩やかなスロープをジャンプして一気に飛び降り、道中現れるエネミーを回避しながら、

「財宝2!」

「ぬぐぐぐぐ!」

「悔しがる暇があるのなら走る!」

「解ってる!!」

 首を捻ればセイバーがアイテムが入っている箱を蹴り開けていたのが見えた。電子データの為に開ければそれは直接こっちが持っている携帯端末の中に記憶される。だから止まることなく、壁を蹴ったりしながら最短ルートでセイバーがアリーナの中を素早く動き回り、

「こっちも財宝二個目だ!」

「ははははー! どうだ? 遅かったなあ!」

 慎二たちが別の財宝を確保している間に、慎二たちから最も離れていて……此方に近い財宝を回収する。セイバーがまた財宝が入っている箱を蹴り開けたところで、ようやく私を下ろしてくれる。

 少しだけ気持ちが悪い。

「これで財宝三個目……そして全部か?」

「え、えーと……」

 ハッキング能力がなくてもアリーナの内部はある程度把握できる。軽いスキャンをした結果……もう残っているアイテムの気配はない。セイバーがとった財宝で最後の1個だ。アリーナの反対側で悔しそうにするライダーと慎二の姿がある。

「糞! 結局負けたんじゃないかよ!」

「慎二、そりゃあアタシの責任だっていうのかい?」

「お前以外の誰が悪いって言うんだよ!」

「はいはい……いい加減敵を認めてあげるのも大事だと思うんだけどねぇ」

「五月蠅い! 岸波程度のやつを僕の敵だって? 冗談じゃない! あんなザコと僕みたいなハッカーを一緒にしないでよ!」

「だから失敗するんだよなぁ……ああいうタイプって……」

 セイバーが失礼な事を言っている様な気がするが、一切フォローする言葉が浮かばないのでそのままにしておく。

「糞! 覚えてろよ岸波! 明日絶対に泣かしてやるからな!」

「言葉だけなら立派な悪党なんだけどねぇ……」

 そんな事を言いつつライダーと慎二がリターンクリスタルでアリーナから脱出する。その姿を見届けながら、アリーナの床に座り込み、そして、

「これ、必要だったのかな?」

「楽しかったからいいんじゃね」

 このサーヴァント、実は適当にやってるんじゃないかという疑問が今更ながら湧いてくる。だが、

 泣いても笑っても明日が最後だ。

 そう、今日が猶予期間の最後で、明日が決戦の日だ。

 明日、私か慎二―――どちらかがこの戦いで消える。
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