陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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EXTRA-4

 アリーナに再び踏み込む。そこは変わらぬ第一層のアリーナ。敵は昨日セイバーと一緒に戦ったためにある程度動きを把握できている。だが踏み込んだ瞬間素人で記憶のない私でもわかる。誰かに今、見られていると。粘りつくような、少し厭味ったらしい視線だ。たしか言峰によればこのアリーナに入れるのは自分と対戦相手だけだ。だからこの視線の主は……

「ふむ、どうやら見られているようだな相棒よ」

 アリーナに踏み込むのと同時に完全武装したセイバーが現れる。昨日の夜セイバーが話したことが本当なら、セイバーに無理して戦わせるべきではないのだが、自分の力不足を補うために今は一つでも多く経験を積む必要がある。今日のアリーナの探索もまた世話になる。

 本日は二日目。

 発表された対戦相手は―――

「間桐慎二……」

「確か予選期間ではクラスメートだったんだっけ? 正直あの手のウザイタイプは無視するのが人生の先輩としてのアドバイスだけどね。下手に関わって調子コカせると後々面倒になるタイプだ。相棒もそこそこ可愛いんだから付き合う男は選ぶべきだよ」

「そこそこ?」

「うん。そこそこ」

「そこは素直に可愛いと言って褒めてくれる場所じゃないの?」

「惚れた女の方が比較するのも失礼なほど可愛いので」

「地味に傷つく」

「相棒よ、記憶はないのに女としての尊厳はある程度あるんだな」

 一応女性ですから。


 しかしセイバーと居ると絶望的な状況なはずなのにそう思えなくなってくる。この聖杯戦争はもっとも相性のいいサーヴァントが召喚されるシステムらしいから、今の自分に必要なパートナーだという事が再認識できる。ここで足を止めていても仕方がない。

「軽く運動しながらとりあえず進もうか」

「ヤヴォール」

 頼もしいセイバーの返答を聞き、前へと進む。


                           ◆


 それは昨日、セイバーが明日に回すべきだと言った蜂型のエネミーがいた場所だった。先へ進むには通らなくてはいけない場所をふさぐように慎二、そしてもう一人、女が立っていた。コートの様な服装に腰から下げる銃、顔には大きな傷があり、流れるような赤い髪をしている女から感じられるのは普通の人間にはない”凄み”だ。間違いない、彼女が慎二のサーヴァントだ。

「へぇ、才能ないのにのこのここんなところまでやってきたんだ。嗤えるよね。どうせ予選もギリギリだったんだろ? おこぼれで合格したようなもんなのに初戦の相手が僕だなんて、ホント運がないよ」

「うわぁ……」

 セイバーと声を合わせてそんな事を呟く。やはりセイバーのおかげか少し心に余裕がある。セイバーも言っていた。笑っているべきだと。それはつまり常に心に余裕を持っておくべきだと言う事……だと思う。セイバーもこっそりとサムズアップを向けてくる。これでリアクションは正しいらしい。

「そうだ、いいことを思いついたよ。おい、岸波、お前今回の対戦棄権しないか? どうせ僕に負ける事は確定しているんだからここらでリタイアしなよ。勝ったら聖杯を少しだけ使わせてやるからよ、おい、どうなんだよ」

 その言葉にセイバーが肩を揺らす。その動きに沿って首に巻いたマフラーが右へ左へと軽く揺れる。

「相棒聞いたか? あのワカメ自分が優勝できると思ってるぜ―――いい感じに頭がお目出度いよな? アレちょっと女装全裸と同じ部屋にぶっこんでおけば自分がどれだけ狂っているかたぶん認識できるぜ」

「セイバー、女装全裸ってジャンル初めて聞いたんだけど……」

「そのまま一生聞かないのが幸せなんじゃないかなぁ」

 セイバーの真名や生前は一体どんな人物たちとどんな人生を送ったかが気になる。が、セイバーは情報が漏れないようにと言って教えてくれないので、教えてくれるその日までは我慢すると、納得しておく。

「お、お前ら……!」

 慎二が顔を真っ赤にして怒りを見せるが、それと変わって女の方は大声で笑っていた。

「ははは! こりゃあ面白い事を言うやつらだね!」

「おい、この馬鹿女! お前は一体どっちの味方なんだよ!」

「もちろん上官のあんただよ。金を貰っているうちはアタシはあんたの副官だよ」

 なら、と言って慎二が構える。同時にセイバーが前に踏み出て武器を構える。

「こいつらを倒して力を見せろ! この程度のザコにかまってる暇はないんだよ」

「いい啖呵だシンジ―――悪党の流儀ってやつを見せてやろうじゃないさ!」

「下がってろ相棒―――これが初陣だ」

「う、うん」

 セイバーと敵のサーヴァントが構え、対峙する。敵は二丁の銃を構え、セイバーは二刀の刃を構える。どちらも英霊らしく、堂々とした、その構え一つからして凄まじい修羅場をくぐりぬけたことが解る威圧感を放っている。今、目の前にしているのは今までの様なクリーチャー達ではなく、人の形をして―――命を持った存在だ。セイバーに命令するという事は命を奪―――

「恐れるな相棒、生きたいという意志は誰にだってある。罪なのは恐れる事ではない。忘れてしまう事だ。”死を想え”、さあ、相棒」

 そう、迷っている暇などない。

 迷って死ぬのは自分だけじゃない。

 セイバーもそうなんだ。

「勝ってセイバー!」

「無理!」

「せ、セイバー!」

「はははは! 面白い英霊を引いたもんだね! これも聖杯戦争の楽しみってやつかね!」

「真面目に戦えよ!」

「もちろんさね!」

 女が引き金を引くのと同時にセイバーが刃を振るう。放たれた弾丸が刃に弾かれ、どこかへと飛んでいく。その結果を最初から予想していたのか、女はトリガーを何度も引き弾丸を連続で撃ち出し続ける。セイバーはその場所に釘付けにされ動けない。

 その時、

『―――アリーナ内での戦闘は禁止されています。ただちに戦闘行動を終了してください。アリーナでの―――』

 システム側からの警告が入る。確か戦闘を長く続ければペナルティを受ける事となるはずだ。それは慎二も承知しているはず―――

「さっさと決めろよ!?」

「アイサー!」

「―――見えた」

 会話の一瞬にセイバーが接近する。弾丸を最小限の動きで弾きながら接近し、敵の首元目掛けて攻撃を繰り出す。その動きを回避しながら近距離での射撃を繰り出す女。それを再び刃で弾きながら、蹴りを足元へと目掛けてセイバーが放った。

「おっとぉ!」

 それを飛び上がる様なバク転で回避しながら、そのまま頭上から雨の様に弾丸を女が撃つ。

「ッチ、っぐ」

「セイバー!」

 全てをガードできずにセイバーの体に弾丸が当たる。データとして見えるセイバーのライフが今ので一割削れた。昨日、セイバーが確か能力を英霊ギリギリのレベルまで落とされていると言った。ならさっき無理と言ったのは―――

「ッ」

 ならば、

「避けてセイバー!」

「ヤヴォール!」

 連続で発射される弾丸に対してセイバーが体を地面を這うように低くする。そのまま、まるで蛇の様な動きで高速で女の攻撃を回避し始める。体への空気抵抗が少なくなった分、セイバーの動きの速さは上がっている。

『―――アリーナ内での戦闘は禁止されています。ただちに戦闘行動を終了してください。アリーナでの―――』

 再び鳴らされ、視界を赤く染め上げる警告音。それを聞いて慎二の顔に焦りが浮かぶ。

「おい、ライダー! そいつワザと時間を稼いでいるぞ!」

「間抜けめ―――」

 セイバーがニヤリとした笑みを浮かべるのが解る。

 今、慎二は”ライダー”と言った。つまり慎二のサーヴァントは二丁拳銃を武器に戦ったライダーの英霊……!

「焦りは禁物ってやつだなぁ、ライダーさんよ」

「未熟な上官ですまないけど、悪党としての見込みはあるんだよ!」

「お前はそれ褒めてるのか!?」

「この場に慎二の味方っていないんだね」

「黙ってろよ岸波!」

 回避だけに専念したとしてもセイバーの敏捷力はEのままだが、その特異な動きは見た事のないものが見れば捕捉しづらい、攻撃のし辛い動きだ。しかしライダーの動きに焦りは見えない。慎二と違ってこっちはその程度では心を乱されないらしい。

 セイバーは言っていた。

 戦争とは情報であり、どれだけ情報を得られるかで優位性が違うと。

 ライダーとは宝具を多く持つクラス。なら警戒すべきなのは今のこの単純な戦闘力ではなく、未だに出していない宝具なのだが―――

『―――最終警告です。アリーナ内での戦闘は禁止されています。ただちに戦闘行動を終了してください。最終警告です。アリーナでの―――』

「クソォ!! 引き上げだライダー!」

「あいよ! ウチの上官に付き合ってくれて感謝するよ。なんかこいつ人付き合いが下手でねー」

「うるさい! 退くぞ!」

 慎二の命令を受けて一気に距離を取ったライダーが言葉を残しながら慎二と共にアリーナから脱出する。攻撃してくる相手がいなくなり、セイバーが立ち上がって戻ってくる。戦闘が終わったって気づいた途端ぺたり、とアリーナの床に尻もちをつく。その様子にセイバーが慌てて駆け寄ってくる。

「ど、どうした? 流れ弾が当たったか?」

「こ」

「こ?」

「怖かったぁ……」

 命のやり取りがここまで殺気立っているものだとは思わなかった。ライダーとセイバーはまだまだ軽い様子だったが、それでも互いに殺気を向けて殺す気だったのは間違いない。少しでも隙を見せていればどちらかが死んでいた。正直見ているだけで怖かった。

 ちょっとだけ目じり溜まった涙を袖で拭う。

「まぁ……初陣だもんな。最後までよく頑張ったよ」

 笑顔で認めてくれるセイバーの姿に嫌われていないとホっとして、立ち上がろうとして困る。

「相棒?」

「えーと……」

 ちょっとだけ言葉を濁して、

「……腰、抜けちゃった……」

「情けねぇ……」

「せ、セイバー!」

「おんぶしてやろうか? それともお姫様抱っこがいいか? それともコアラみたいに前から抱きつくか!? あとはそう―――肩車とかか!? 怪異、肩車しながら戦うサーヴァント……!」

「少し待てば回復するよ! そんな事しなくていいよ!」

 この怖い思いを拭おうとワザと道化を演じるセイバーに感謝しつつ、今日はとりあえずトリガーキーを手に入れるまでは頑張ろうと思う。




 何時このセイバーが断頭の剣鬼のあの妖怪のセイバーだと言った。英霊の座と言えば時間軸を超えているんだぞぞ!?

 ちなみに番外編の妖怪ってわけでもありません。
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| 短編 | 20:30 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

まさか、番外編の妖怪殿とは。

| 名状し難きナニカ | 2012/09/13 21:45 | URL |

首首って言うから自然と「なろう」のサイアスだと……
そういえばFateZeroクロスのヤツと似てるような

| 羽屯十一 | 2012/09/13 22:08 | URL |

お初です!
2丁拳銃を武器に戦った… そして呼び名がライダーって…
某小説で過去に永久退場させれた王に思えてしまうのは俺だけだろうか…

| 黒鷹 | 2012/09/13 22:11 | URL |

奴はワカメの中でも最弱・・・
ワカメの面汚しよ!

| おk | 2012/09/13 22:13 | URL |

女装全裸とかどこの総長だ

| ゼろ | 2012/09/13 22:54 | URL |

ふむ、シンジとライダーはゲーム通りなのですな

境ホラ終了後のアスかなーとか思ったけど番外編でもないと・・・うむむ

| 志垣 | 2012/09/14 00:28 | URL | ≫ EDIT

>牛出し
胸部射撃か・・・

extraって英霊本体って聞いてたけど違うんだ

| 読者 | 2012/09/14 01:51 | URL |

>腰から下げる銃、顔には大きな傷があり、流れるような赤い髪
ここだけ見るとザミエル卿にしか見えない件

| | 2012/09/14 06:40 | URL |















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