陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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Neun

推奨BGM:Ω Ewigkeit


 誰よりも敏感に反応したのはチェリー・ルーク―――いや、クロム・ディザスターだった。

 寄生する鎧、≪災禍の鎧≫は受け継がれるのと同時にその前の所有者の情報を記憶する。故に災禍の鎧、クロム・ディザスターは受け継がれる度に凶悪に進化する最悪の強化外装であり、アバターでもある。しかし、それにも制限がある。

 適正だ。

 クロム・ディザスターには適性がある。敵性の高いものはその呪いのアバターに秘められた情報を、歴史を、記憶を、記録を―――能力を引き出せる。だが今代のクロム・ディザスター、チェリー・ルークはそこまで高い適性を持っていない。わずかに残る理性が完全にクロム・ディザスターとの適合を果たさなかった。故に、

 災禍の獣はそれを飲み込んだ。完全に。

 体から溢れ出すのは黒い光。チェリー・ルークだった存在の理性などもう残っていない。そこには恨みと憎しみを叫ぶだけの獣が存在した。もはやリアルでのチェリー・ルークも完全に死んだことだろう。いや、食われたのだろう。故にそこには敵しか存在せず、

「あばよ―――」


 赤の王が全弾幕を放つ。断罪の一撃とは近距離の一撃。故に強化外装を捨て、そして生身でクロム・ディザスターへとスカーレット・レインは接近する必要がある。が、それは不可能だ。そのためのシルバー・クロウであり、銀翼のアビリティだった。だがこの状況では何も言えない。故に、

 赤の王は覚悟を決める。

 そしてクロム・ディザスターも容赦しない。

「グルゥゥゥ―――」

 一瞬でクロム・ディザスターの姿が消える。閃光となって消えたクロム・ディザスターは刹那の瞬間で赤の王の前に立つ。圧倒的弾幕に触れる事はなく、完全な無傷だった。初代クロム・ディザスターが使用した必殺技≪フラッシュ・ブリンク≫。それは直線状であれば閃光の様に動く事をゆるし、なおかつその間は無敵になるという破格の能力。適性の低い今代の災禍の獣には不可能なはずの事を、獣は本来の持ち主、その精神を完全に食い殺し自らが主とすることで解決した。

 赤の王は近接攻撃手段に乏しい、故に接近は死を意味するが―――赤の王の強化外装、その巨大な砲身が動く。

 接近したクロム・ディザスターに対して巨大な砲身をぶつけようとする。が、空中を足場にする事で獣は逃れる。

「なるほど、それがクロム・ディザスターの異常機動力のタネですか」

 その動きをみた黄の王が一瞬でその正体を看破する。

 ワイヤーだ。

「ワイヤーを引っかけ、それにより三次元的な動きを可能にしているわけですか。なるほど、これは手が付けられない訳ですね。ですが―――」

 空中で飛行アビリティもなく、フックショットによる三次元的な軌道を見せるクロム・ディザスターは再び赤の王へと向かい、その腕と巨大な赤の王の砲身と衝突を繰り返す。徐々に加速しだすその動きは赤の王も本気であることを見せている。隙があればそのまま断罪の一撃を撃ち込む、それを確信できながらも、

「―――好機だと思わせていただきますよ」

 強化外装であるバトンを握り、黄の王から圧倒的覇気があふれる。少し前までは卑怯な手段を使用し赤と黒の王を倒そうとした存在には見えないほどの覇気であった。それはまさしくこの道化師が王と呼ばれるにふさわしい存在であり、普通のプレイヤーには想像もできないほどの年月を加速世界で過ごしたことを表している。初速から全速に入ったイエロー・レディオの狙いは一つ、

 レベル9、王の撃破。

 故に強化外装に全力を込めて赤の王を攻撃する瞬間、

「あぁ、いかんな」

 横から現れた重力球に反応し、バトンを持って重力を切断する。

「私を無視してもらっては困る。確かに私も道化を自称しているが別に感情のない生き物でもないのだよ。ああ、そうだ。今の私は愚を犯している。身を晒している。怒りに燃えている。我が女神の心を凌辱した貴様を今、血で赤く染め上げたいと心からそう感じている。故に滅びろ―――貴様に明日はない」

「吠えましたね水銀の王―――!」

 続けて放たれるのは重力波動。先ほどまで放っていた”じゃれあい”とは全く違う次元、触れたものを圧殺する本当の重力波。触れれば万人が一瞬で命を喪失するしかない波動は一瞬で黄の王に到達し、

「デシート・ファイアクラッカー!」

 大爆発を起こし、黄の王以外に爆発を食らわせる。一瞬でクレーター内部が炎が満たされる。デコイを爆破させた黄の王は既に離れた場所で着地に入るが、

「ふんっ」

「温ぃ」

「グルゥ……!」

 誰もそれには触れない。

 王、少なくともそのレベルに立つものであればその程度の攻撃は通じない。獣は再び閃光となり、赤の王は地面に火砲を撃ち込み巨体を吹き飛ばし、水銀は不動のまま重力で爆発を押しつぶす。

「ぶっ散れ―――!」

 巨体が吹き飛びながらも攻撃用のハッチ全開になり、持っているミサイルを全て放ちながら巨大なレーザーを砲塔から放つ。一瞬で大地を融解するだけの熱量を持った砲はクロム・ディザスターへと放たれる。しかし。

「グォオオオオオオ―――!!」

 叫び声と共にクロム・ディザスターの手に一本の剣が現れる。それもまた、クロム・ディザスターによって浸食を受けた呪いの剣。だがそれ自体が問題ではなく、問題はそれが纏うエフェクトだった。

「ッチ」

「使ってきますか」

「来るがいい。愛でてやろう獣よ」

 心意の光を纏った刃は普通の必殺技を使うのとはまた違う次元の力を見せる。だが暗く、人の闇を表す様な負の光は見ているものをそれだけで発狂させるだけの恐怖を持っている。それを見ながらも王の態度は変わらない。

「グルァオ―――!」

 巨大なレーザーをクロム・ディザスターは斬撃で切り飛ばす。侵食属性を持たせた心意を纏った剣は触れただけでありとあらゆる物質をむしばみ、取り込み、そして自らの修復と強化に回される。それは赤の王の必殺技を食らってもそうだ。砲を切り払ったクロム・ディザスターはもう枷が存在しない。理性も、元の人格も存在しないのだ。

 故に、

 獣は咆哮し、憎しみの剣を大地に叩きつける。

 元の、心意を纏わない状態ですらビルを砕く剣の威力は瞬間的に大地を破壊する事で現れる。大地が割れ、周りのビルが一瞬で崩れ、そして侵食の光が地割れから吹き出す。触れてしまえばそこで食われてしまう光に王たちの反応は単純に、

「なら遠慮はいりませんね―――」

 心意を纏う。

 体を守る様にそれぞれの色の心意を纏う。黄の王は黄色を、赤の王は赤を、そして水銀の王は青を―――そうやって自らを防護する心意を纏った三人に間接的な心意、侵食の光を弾く。

 そして、

「Ira furor brevis est」
怒りは短い狂気である


 イメージとは、力である。故にイメージが強ければ強い程心意はその威力を増す。心意に強い存在とはそのイメージ力が、心が強い存在を言う。故に本能に狂っているクロム・ディザスターは強い、その真意は凄まじい。そして悠久の年月を過ごしてきた王達も―――その心は化け物と呼んでもおかしくないレベルに強い。

「Sequere naturam」
自然に従え


 詠唱、技名の発動を馬鹿にする存在はこの世界にいない。それはなぜなら心意という事に関しては何よりも必要な動作であり、儀式だからだ。技名を叫ぶだけで発動までのラグは消失するケースは多い。故に、

 水銀の放つ必殺はここで全てを飲み込む劫火として発展を遂げる。

 片手に凝縮された熱はとても生物が耐えきれるものではない。クロム・ディザスターへと向けられたそれはそれは空中で破裂し、その進路上にあるものを扇状に広がりつつ飲み込んで行く。それは触れた大地をマグマへと変化させ、建造物やアバターを触れることなく一瞬で蒸発させるだけの超新星爆破。背後へと運ばれた女神を考慮してか、その破壊は本来の威力を失っている。それでもそれは街一つ滅ぼすには十分すぎる劫火。一瞬でクロム・ディザスター、そしてその背後の街を飲み込む。跡形もなくなる街が再生するのはしばしかかるだろうが、

「グルルルルル―――!」

 フラッシュ・ブリンクを発動させたクロム・ディザスターが存在した。心意による強化を受けた加速は直線のみの移動という弱点を打消し、マグマに変化した大地の上を止まることなく連続で、それも複雑な軌道を持って動くと事を許していた。心意による使用で必殺技ゲージは減らない。故にフラッシュ・ブリンク発動中のクロム・ディザスターは常時無敵、その体に傷をつける事は不可能。

 であるはずなのに、

 その体には焼け、溶けた様な跡が存在する。

 答えは単純で、

 水銀の心意(狂気)がクロム・ディザスターの心意(狂気)を凌駕したに過ぎない。

 そう、システムの壁を超越するに程の狂気で超越したにすぎないのだ。

「余所見が過ぎるのはどこの誰でしょうかね」

 クロム・ディザスターが飛び上がり切りかかってくる瞬間に合わせて、黄の王が背後から出現する。心意による超高速、もしくは瞬間移動。完全にクロム・ディザスターと連動した様に見える黄の王は確実に一対一での戦闘を避けている。妨害に特化している地震では勝利は難しい。故にクロム・ディザスターを利用して戦う―――その戦略が見えている。

 だからこそ、

「恨むなよ―――ヒューペリア・カノン」

 三者が集まった瞬間に強化外装を脱ぎ捨てたスカーレット・レインが心意による銃撃を繰り出す。その手に握られているのは強化外装のパーツの一つ、砲だ。それを握る放たれるのは砲と呼べるかどうかすら怪しい超極大の砲撃、一瞬で到達するそれは炸裂しながら半径五キロ圏内を完全に消滅し、蒸発し尽くす。

「この程度で恨むなどとはまた冗談が好きなようだ」

 だが砲撃の中央から黄の王、そしてクロム・ディザスターを片手で抑える水銀の王が現れる。その体は影のように揺らめき、今にも儚く消えてしまうそうに見える―――が、傷は一つもついていない。

「グォオオオオオオオオオオオオ―――!」

 獣が吠え、侵食の剣が水銀の手を侵食し、

「コズミック・コラプション!」

 心意による強化を受けた黄の王の一撃が赤の王の一撃を受け切り、攻撃を受け切る水銀の王の腕に必殺を叩き込む。その腕が黒く変色し、崩壊を始める。

「ふ、ふふふ、―――ははははははは!」

 その状況に水銀は笑い、
「―――Sic itur ad astra」
このようにして星に行く


 更なる破壊を生み出す心意を発動させる。

「Dura lex sed lex」
厳しい法ではあるが、それでも法である


 宇宙における異常重力が再現され、大地に生まれる。それはたとえ数キロ、数十キロ先に離れた対象でさえ容赦なく引き込み挽肉に変えてしまうだけの破壊力を持った戦場の召喚。イエロー・レディオとクロム・ディザスターがマーキュリ・メイガスから剥がされ、そして赤の王も急速な落下を開始する。そのまま、

「Spem metus sequitur.」
恐れは望みの後ろからついてくる


「Disce libens」
喜んで学べ


 結果を見るまでもなく最大最悪の一撃を大地に落とす。




女神がハルユキらといるので巻き込まない様に自重してます。
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| 短編 | 13:01 | comments:11 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

自重……? 自重ってなんだっけ?

| とろつき | 2012/09/10 13:21 | URL |

自重・・・これが自重とか他の王が水銀に勝てないじゃないですかやだーだがそれがイイw

誤字報告を
豪華→業火

| 水無月 | 2012/09/10 13:27 | URL |

やっぱりか。
まだまだ足りていないと思っていたところだよ。
で、いつ自重やめるの?

|   | 2012/09/10 14:19 | URL | ≫ EDIT

水銀さん最低ラインたかいよw
それが納得できるあたり、水銀はやっぱり水銀だった。

| 羽屯十一 | 2012/09/10 15:03 | URL |

閣下ぐらいしか無理じゃないですかw

| とっつき | 2012/09/10 16:42 | URL |

誤字報告

受け継がれる度に凶悪に進化する最悪のバターでもある
バター→アバター
ここは、どちらかといえば強化外装じゃないでしょうか?

| tuyuri | 2012/09/10 17:39 | URL |

分かってたことだけどやっぱ獣殿以外は水銀に勝てんなww

| インカ | 2012/09/10 17:59 | URL | ≫ EDIT

水銀の自重なしを見てみたいww

| 練炭 | 2012/09/10 20:39 | URL |

自重とはいったい・・・うごごごごご

| おk | 2012/09/11 00:25 | URL |

自重ってなんだっけ・・・?

| 雑食性 | 2012/09/11 20:26 | URL |

私の知っている自重と違う・・・。
獣殿と戦うと一つの加速世界が滅ぶのも納得できる。

| 断章の接合者 | 2012/09/12 08:12 | URL | ≫ EDIT















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