陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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Sieben

「先輩!」

 シルバー・クロウの視界の中でブラック・ロータスが倒れていた。幾ら叫ぼうと反応はない。スカーレット・レインは言った。諦めろと。この加速世界では戦意のない存在は動けない。それが絶対的なルールで戦う意志を持たない者は戦うことどころか動く事すら許さない。それが今のブラック・ロータスの状態だ。どんなに叫んでも声が届かない。

 なのに、

「総軍攻撃せよ! ここで赤の王と黒の王を討ち取りますよ!」

 イエロー・レディオの号令を受けてクリプト・コズミック・サーカスの総攻撃が開始される。

「ッチィ! 気合入れろお前ら!」

「クソッ!」

「ハル!」

「解ってるよタク!」


 スカーレット・レインが迷うことなく強化外装を召喚し、接続を果たした瞬間から最大カリョクを持って攻撃を開始する。各部に格納されているミサイルが、銃が、バーナーが、残弾の事を考えることなく全てを消費するように乱れ撃つ。超弾幕の前にアバターが通れる隙間はない。触れた瞬間から爆発し吹き飛ばされる。

 が、それも長く続かない。

 ミサイルと銃による攻撃の制度が劇的に低下する。イエロー・レディオが連れてきた総勢三十の手勢の内十五が一気に接近する中、残った十五はクレーターの外側で射撃援護―――そしてジャミングを行っていた。

「クソ! おい、シルバー・クロウ! どこかでジャミングしている奴がいる! そいつを見つけて潰せ!」

「む、無茶ですよぉー!」

 接近してきた一体のアバター相手に格闘にて対応する。全上昇ステータスポイントを飛行能力につぎ込んでいるシルバー・クロウの戦場は空であり、地上ではない。地上ではシルバー・クロウ本来の力が発揮されない。発揮できない。故にシルバー・クロウは苦戦し、

「―――ハル!」

 シアン・パイルがシルバー・クロウの名前を叫び、名前を呼ばれた方向へと視線を向ける。シアン・パイル、そしてシルバー・クロウを無視し、一部がブラック・ロータスへと向かっていた。

「先輩に触るなぁあああああ―――!!」

 必殺ゲージは十分に溜まっている。

 翼を広げる鴉はしかし空には飛びあがらない。飛び上がれば恰好の的だ。だから体勢を低く、クラウチングスタートの体勢から矢の様に前へと飛び出す。低く、早く、ブラック・ロータスへと接近していたアバターに対して―――

「おおおお―――っりやああ!」

 必殺ゲージを消費する一撃、ヘッドバットを食らわせる。飛行による加速を得たヘッドバットは凄まじい威力を持ってアバターを吹き飛ばし、

「ライトニング・シアン・スパイク!」

 一瞬だけ振り返り、吹き飛ばした体にシアン・パイルの必殺技が飛び、そのヒットポイントをゼロにする。一体、スカーレット・レインが開幕で散らした数と合わせれば数体倒したことになる。

 が、三十の内のたった数体だ。

「それではそろそろ始めましょうか―――」

 イエロー・レディオの声が追い打ちをかける。

 レベル制MMOではレベルの差は圧倒的で理不尽だ―――しかしそれはレベルアップによる能力が上昇するからだ。ブレイン・バーストは珍しく、分配した箇所以外は成長しないタイプのゲームだ。故に火力にポイントを分配しているのならもちろん装甲強度が上がることはない。故に、

 加速世界において数の暴力は成立する。

「クソ! 退きやがれ!」

「ははは!」

「赤の王もこうなっちまえば型なしだなぁ!」

 スカーレット・レインの強化外装に数体張り付き、無理やり強化外装を剥がす事を始めていた。シルバー・クロウはそちらへと助けに回りたいが、

「っく!」

「ハルはマスターを」

「解ってる!」

「少々荒っぽいですけどお許しください―――スプラッシュ・スティンガー!」

 敵は無尽蔵にいる。同時に数体相手していたシアン・パイルは体力を削りながらもその必殺ゲージを溜めていた。そしてそれを惜しげもなく範囲攻撃としてスカーレット・レインの強化外装に張り付くアバター達に向けて放つ。もくろみ通り攻撃を受けたアバターは剥がれ、

「ウゼェんだよ!」

「ぁ」

 そのまま巨大な姿のスカーレット・レインに踏み潰される。といっても、それでシアン・パイルはゲージを吐き出し終わっている。再びスカーレット・レインの体に群がる敵の姿には何もできなく、

「っぐあぁ!」

「ハル!」

 シルバー・クロウが吹き飛ばされる。期待の新人、加速世界唯一の自由飛行アビリティの持ち主と言えど、その実はまだレベルの低いニュービー、

 近接戦闘に数体で押しかけられれば圧倒的に分が悪い。

 シルバー・クロウが吹き飛ばされるのと同時に、

「黒の王を討つチャンスだ!」

「討て! 討つんだ!」

「勝利を! 勝利を!」

「栄光を! 栄光を!」

「我が王に栄光を捧げろォ―――!」

「うおぉぉぉ―――!!」

 翼を羽ばたかせ、シルバー・クロウが復帰に向かう。

 が、

 遠い。

 そして遅い。

 シルバー・クロウが復帰する時間の間に加速を得た敵の姿は早い。その数は―――六体。クレーターの上から射撃していたアバターが何体か混じっている。本気だ。本気で黒の王、そして赤の王を討ちに来ている。

「卑怯? 結構、私は私のやり方でエンディングを目指させてもらいますよ。さあ、討たれなさい―――レベル10になるのは私です。故に踊りなさい、私の舞台で―――シリー・ゴー・ラウンド!」

 ブラック・ロータスを助けに行こうとしたシルバー・クロウ、そして戦闘中だったスカーレット・レインにシアン・パイルの視界が急速に回転しだす。敵の位置が、自分の位置が、何もかもが回転しだして正確に見えなくなる。ただ理解できるのは、

「先、輩―――!!」

 忠誠を捧げた自らの王が旧知にある事。動けない王が自営する方法は存在しない。

 故に、

「―――私の―――」

                「―――Disce Libens―――」

 必殺が戦場を覆した。

「許せんな。あぁ、許せんなぁ。貴様ら凡夫が我が女神に触れようとは何とも度し難い。その様な汚らわしい手で触れるな。彼女の輝きはそれはその程度で消えぬものだろう、されどそれでも不快なものは不快なのだよ。故に―――」

 水銀の王が”空”に立つ。

「―――滅びろ。もういらんぞ貴様ら。塵も残さず消え去るがいい」

「水銀の王―――えぇ、無用な混乱を撒き散らす貴方も不要です。何よりも―――道化は二人もいりません」

 王の名を関する存在がそこには四人も集結していた。
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| 短編 | 20:53 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

水銀がなんかカッコ良く見える!!

| インカ | 2012/09/08 21:52 | URL | ≫ EDIT

この場面だけ見ると水銀かっけえな・・・・変態だけど!

| モグラ | 2012/09/09 01:42 | URL | ≫ EDIT

水銀がカッコいいだと・・・!?
・・・あぁ、つり橋効果か

| おk | 2012/09/09 02:07 | URL |















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