陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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Sechs

 たとえ気絶していても慣れ親しんだ感覚が体を包むのと同時に意識は一気に覚醒する。自分の体が自分の意志とは反して加速している事実に意識を取り戻し、即座に自分の状態を確認する。マルチスロットのケーブルを使い、二人と直結しているのが見える。

 それが見え、下位加速世界に入るのと同時に、

 女神の足元で跪く。

「あぁ、すまない我が女神よ。私はどうやら貴女の前で醜態をさらしてしまったようだ。私としたことが何ともどうしたものか。この身の未熟を思うと恥ずかしいばかりだ。しかし、真に罪なのは貴女の美しさだ女神よ。あぁ、その美しさがいけない。私を狂わす。どうか許されよ、私は決して責めているのではなく、我が身の矮小さを嘆いているのだ」

「終わったか?」

 跪く視線の先では女神が―――黒雪姫が呆れた様子で此方を見下ろしている。この恋心が報われる事はないだろうし、それを望んではいない。だが報われぬ愛であれ、それは間違いなく愛の一つの形であると信じている。だから尽くせる、それだけで自分は幸福だ。

 そしてもう一人、女神の横に驚いた様子で立つピンク色の豚を見る。その姿を見つけ、立ち上がる。


「あぁ、この世界では初めましてというべきかな銀翼の鴉よ。貴殿の活躍は我が耳にもしかと届いている。友との戦い、女神への誓い―――その魂からの叫び声は実に青々しく美しいと思える。このまま研鑽をつめば間違いなく大成するであろうと私は確信しているよ」

 ピンク色の豚のアバターはビックリした様子で、横の女神を見上げる。

「せ、先輩、これ、別人なんじゃ……」

「いや、違う。目の前にいるこの胡散臭いアバターが君の知っている瑞星銀二であり―――加速世界最大の賞金首、マーキュリ・メイガスだ」

 女神の紹介を受け、大仰に頭を下げる。

「よろしくと言っておこう鴉殿。既に知っている通りに私は現実世界では瑞星銀二という名の変哲もない少年だ。現実で使うペルソナとはまた別のペルソナをこの世界では被らせてもらっている。気軽にメルクリウスと呼んでくれたまえ。貴殿が女神の思い人とあれば私にとっても貴殿は意味のある存在だ」

 あぁ、そうだ。

 頑張ってくれたまえ、鴉殿。

 どうか私の願いを叶えてくれたまえ―――。

「おい、マーキュリの話を長々と聞く必要はないぞ」

 女神が割り込む。

「こいつは大体の場合で無駄に言葉を使う事でペースをつかもうとしているからな。基本的に話半分で聞いているのが丁度いいぐらいだ。真面目にこいつの話を聞こうとすればたちまち利用されて人生を狂わせられるぞ」

「えぇっと……」

 春雪が少々困惑した様子で此方を見てくる。短い時間だが、春雪とは面識がある。それなのにいきなりこのような口調、行動、そしてバースト・リンカー、そんな情報を与えられれば困る事だろう。そこで、

「鴉殿」

「は、ハイ!」

「どうやら困った様子であるようだが、何やら私に聞きたい事はないかね。全知全能からほど遠い身ではあるがこの”水銀の王”、我が女神の著愛を受ける鴉殿の為であればいかなる疑問も答えて進ぜよう。さぁ、質問なされよ」

「で、では……」

 春雪が豚の手を持ち上げ、

「それ……キャラづくりですか?」

 何よりも先にそれを聞いてきた。軽く苦笑しつつも春雪の疑問に答える。

「これを演技とするのであれば私は是と答えるだろう。だが鴉殿、貴殿はこの世の誰もがその姿を晒して生きていると思っているのかね? 誰もが仮面をかぶり、他人に見せる姿と、自分の身が真実と理解できる姿を持っているのだよ。だがしかし人とは興味深い生き物か、仮面をかぶり続けた結果その仮面が顔として外れなくなってしまう。その事を考慮するのであれば私は否、そこに一切の偽りがないと答えよう」

「え、え、え?」

「解っただろ春雪君。こいつはこういうやつだ」

「あ、はぁ……」

「嘘は言わない。しかし真実は隠すから自分で見つけろ、という話だ。無駄にウザい口調は真実をけむ撒くためのものだ。こいつと話しているとどんな者と会話しても解りやすく感じるから嫌だな。ちなみにだ、春雪君。こいつの事は二重人格として覚えておけばいい。それが一番楽で割り切りやすい」

「ふふふふ、ただ答えを伝えるだけでは猿でもできる。これもまた少々の遊び心というものだよ。人間、特に加速世界で長く生きていると普通なだけでは飽きるものだ。それはいけない。飽きは神をも殺す毒である、女神よ」

 再びポカーンと硬直する春雪だったがすぐさま復帰し、

「え、えーと、それではその……先輩?」

「なるべくであればメルクリウス、叶わないのであればマーキュリで頼む」

「あ、では、メルクリウス」

 一瞬躊躇い、

「クロムディザスターって知っていますか?」

 ―――あぁ、なるほど。目は芽吹いたか。

 女神が鴉を連れてきたのは赤の王と接触し、

「なるほど。クロムディザスター化したチェリルークの討伐をスカーレット・レインに頼まれたのかね」

「んなっ!?」

「気にするな春雪君。こいつが加速世界で知らない事はない」

 それは大いなる誤解だ、我が女神よ。

「私は私が知る事しか知らぬよ。私はかの神聖四文字の様な全知の存在ではない。それに無限の舞台からも遠ざかっている。私に聞くよりは情報屋へと話を通す方がまだ意味があると思うのがね」

 どの口が言うか、と女神が呟き鴉が驚愕の視線を送ってくる。その視線には一種のあこがれの様なものがあるが、さてはて、

「あ、あの!」

 春雪が勇気を振り絞り、

「僕達―――」

「―――だが断る」

「と協力し……え?」

 春雪の言葉を遮り。結論をだし、女神はやはり、と言葉を吐く。

「我が女神には非常に申し訳ないが私はこう見えて多くに狙われる存在であるのだよ。グローバル接続をしないのもそれが理由であり、未だに私を狙う者は多いのだ。それだけであればまだ問題なかろうがこう見えて私は争いごとの類は苦手でね。できたら舞台裏で糸を引く者として終始平穏に過ごしたいのだよ。あぁ、私の胸は痛みで引き裂かれそうだが―――鴉殿、この件において私は介入できない。実に申し訳ない」

「あ、いや、そんな悲しまなくても……」

「春雪君、それはただの演技だ。気にする必要はない。それよりもおい、マーキュリ」

 泣き真似をやめ、女神へと向き直り、女神は睨んでくる。

「貴様―――今回はどこまで糸を引いている」

 その言葉に笑みを浮かべ、

「さて、なにをおっしゃるのか、この道化師にはよく解らないのですが―――」

「マーキュリ」

「―――だが、赤の王に鴉殿と女神の居場所を伝えたのは私ではあるよ」

 春雪が驚愕の表情を浮かべる。身内と思えるような人物に既に売られていた事実はかなりショッキングだ。しかもそれを何も思ってないかのように、あっさりとバラしている。

「先輩!」

 春雪が何か言おうとするが、女神がそれを遮り、

「……これも―――」

「えぇ、全ては貴女の為ですよ。貴女と鴉殿―――先へ進むために必要な縁だ。この出会いは決して悪いものではないとここに約束しよう。特に鴉殿」

 視線を向けられ、春雪がビク、っと体を震わせ、

「貴殿は将来必ず女神の手が届かない場所で窮地に陥る。その時にこそ、この縁は貴殿を未来へとつなげる架け橋となるであろう。あぁ、約束しよう。何せ私は嘘をつけない。そして嘘もつかない。私の言葉は予言であり必然―――故にこの縁が絶対の力になると約束しよう」

「……行こう春雪君。ここにもう意味はない。覚えておきたまえ……世の中には関わってはいけない存在、そして関わってはいけなくとも関わらなくてはいけない存在がある。これは後者だ。リアルならチワワのようなやつでも絶対加速世界で逢うな」

 チワワという評価は中々嬉しい。女神の観賞用ペットに慣れるのだったらチワワでもいい。加速世界から去って行く女神と鴉の姿を見送り。

「……ふむ」

 真剣に女神の触れていた大気をどうやってか保存できないか思考を巡らせてみる。




シリアス? 馬鹿めやつは死んだわ!
原作メルクリウスとの違いはこっちの方が外道指数低め、
そしてついでに言えばこっちは表舞台に出る事には原作水銀ほど抵抗感はない事。
あともちろん原作水銀ほど全てを見通す目もない。
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| 短編 | 18:54 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

>>真剣に女神の触れていた大気をどうやってか保存できないか思考を巡らせてみる。

おいwwwwwwwwwwwwwww
ニートさすがニートうざい。

| ろくぞー | 2012/09/07 19:10 | URL |

それでもギャグなら・・・
ギャグならきっとシリアスの敵をとってくれる

| アカガネ | 2012/09/07 19:29 | URL |

リアルはチワワ!!加速世界ではニート!!
別人格すぎだろ・・・

| | 2012/09/07 22:32 | URL |

ギャップ萌え・・・なのかな?

| モグラ | 2012/09/07 23:26 | URL | ≫ EDIT

次元を切り取って隔離しろよww
お前予約特典DVDでやってたんだからできるだろ

| おk | 2012/09/08 05:15 | URL |

 >>真剣に女神の触れていた大気をどうやってか保存できないか思考を巡らせてみる。

なんだかんだでこいつも変態じゃないですかぁーッ!?

| 断章の接合者 | 2012/09/08 07:38 | URL | ≫ EDIT

>>真剣に女神の触れていた大気をどうやってか保存できないか思考を巡らせてみる。

ニートなら、ニートならきっと実現できる・・・っ

| 雑食性 | 2012/09/08 12:47 | URL |















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