陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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Funf

推奨BGM:Ω Ewigkeit


「―――あぁ、友よ。何故だ。何故世はこんなにも繊細なのだ」

 目の前に広がる光景は圧倒的としか言いようがない。たった一人に数百、いや、数千のアバターが殲滅されていた。バースト・リンカーの数を考えるのであればありえない話だ。これだけのバーストリンカーを駆逐することなど、到底人数が足りない。が、その存在はそれをやり遂げていた。頂点に君臨するその男はたった一人で、自分の友を残しそれ以外の全てを殲滅してしまった。

「―――獣殿よ」

 だがそれも可能だ。これが”今”ではなく”一つ前”のブレイン・バーストであれば。

「この世の黄金律の一形態に、ピラミッドというものがありましょう。貴方はその頂点に立つものだ。ならばこそ、貴方の横に立てる存在などおりはしない。貴方は王でありまた頂点に君臨する絶対強者。故にこそ世は脆い。貴方は世界すら足元の置くお方だ」


 ブレイン・バースト―――加速を与えるゲームは終焉とリリースを繰り出して今のブレイン・バーストへ繋がっている。だから今ここに移る光景はまた一つの加速世界の末期だ。世界が終わりを迎えている。ゲームに存在するエンディングを誰も望まなかった。誰もが加速の中の停滞を望んだ。だが、

 黄金がそれを許せなかった。

 愛そう。

 その愚かしさを愛そう。その傲慢さを愛そう。その賢さを愛そう。愛そう。破壊して愛そう。そう、私は愛している。壊す事で愛を示している。この世界の物はだれも愛を示そうとしない。

 なら破壊して私が示すしかない。

 その理論の元、一人の男によって怒りの日が訪れた。全てのプレイヤー、全てのNPC、全てのモンスター―――コスモス・コラプト2040はその終末を最終章へと歩みを進めていた。残されるのは二人のプレイヤーのみ。いや、危機を察知し逃げ出したプレイヤーがいる―――だが”前回”、アクセル・アサルト2038の時もそうだった。アレはそういう役目の存在だ。なら今頃次の世界へ行く運命が動き出す。

「友よ」

 黄金が口を開く。

「私は―――未知が見たい。ここも現実もそうだ。なにをしようと全て私の思い通りになってしまうのだよメルクリウス」

「あぁ、私も未知を見たい。この結末ではなくまた、定められた終末を迎えるこの加速世界が見たいよ―――ラインハルト殿」

 獅子の鬣の様な、黄金の髪を持つ男と、その男の足元で影のように揺らめく影法師。互いに無言でそのまま過ごし―――

 ―――大地が裂ける。

 それは一撃だった。片腕の一撃。たったそれだけで不可能とされるだけの一撃を黄金は繰り出していた。明らかに自分が友と呼ぶ存在へと向けて。それは殺意、そして愛の籠った正真正銘手加減のない本気の一撃だった、が、

「ではそろそろこの世界を終わらせるとしよう」

 空を見上げてそう言葉を出す黄金の視線の先、そこには影法師がいた。その姿に影の衣もぼろマントも存在しない。その身を包むのは―――軍服だった。圧倒的な威圧感、戦意、そして歓喜を全身から発しながらも、悲しげな表情を水銀は浮かべていた。

「私は悲しい獣殿よ。またこうなってしまった」

「私は嬉しいよ友よ。こうやって壊せないものと戦える歓喜は我が生ではありえぬと思っていた事だ。あぁ、そうだ。私お前を壊して愛してやりたいのだよ。口惜しいのが世界がそれに耐えられぬ事か。改めて私は嘆きたい。何故だ。何故この世界はこうも繊細なのか」

「では始めようか」

「あぁ、始めるとしよう」

 コスモス・コラプト2040はその役目をもう果たせない。加速世界は停滞を迎えてしまった。だから仕切り直すために誰かがこの世界を怖し、次の世界を生み出す余地を与えなくてはならない。だからこの世界をまっさらに染め上げる、全てを消し去るためにも、

 黄金と水銀は虚空に立つ。

 両者が睨みあう顔に浮かぶのは―――笑みだ。両者ともにこの状況を心で歓喜し―――悲しんでいる。これは紛れもない終焉であり始まりだ。それを目撃存在はいなく、記録することなど不可能。なまじこの世界に搭載されている心意―――インカーネイトシステムが強力すぎる故にシステムにすらこの戦いは止められない。

 黄金と水銀からそれぞれを象徴する色の波動が溢れ出し、せめぎ合う様に地平を覆う。

「あぁ、それでは今宵の恐怖劇(グランギニョル)を始めようか」

 大地が悲鳴を上げ、空が割れる。それに呼応するように黄金の覇気が高まる。手の中には一本の槍が現れ―――

「―――散るがいい! 今度こそ勝つのは私だ! 私の愛に散る花となれ!


                           ◆


「……おい」

「……ふぁ?」

 誰かに揺らされていたようで、ようやく今まで眠っていたことに気づく。かなり懐かしい夢を見たものだと思う。必要な時以外は合わないからあの黄金も”終焉”まではかなり暇している。ここはひとつ即興劇でも作った上げるべきかもしれない―――

「おい。私は無視するとは中々いい根性だな」

「ふぇ?」

 ここでようやく自分を起こしに来た人物を把握し―――

「め、めめめめめめめめめ、め、めが、めが、女神、……!」

「そうだ。っておい、起きろ! 起きろ瑞星! 気絶するな!」

 リアルで女神を直視したのでそのまま気絶。
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| 短編 | 20:22 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

前半と後半(ラスト)の温度差www
そしてやはり獣殿存在するのか

| 空 | 2012/09/06 21:04 | URL |

リアルの獣殿がどんな人なのか凄く楽しみですね。
そして水銀、リアルで女神に会うと気絶するのか

| 通りすがりの兎(♂)さん | 2012/09/06 22:25 | URL |

うわぁ、なんか水銀が可愛いぞ。これは斬新w
ところで獣殿が何故か女っぽく感じたのは私だけでしょうか

| 羽屯十一 | 2012/09/06 22:42 | URL |

俺の水銀がこんなにかわいいわけがない
ですね
未知すぎて、おらすげえワクワクすんぞ!

| モグラ | 2012/09/07 03:58 | URL | ≫ EDIT

可愛げがあり、簡単に気絶する水銀・・・未知だ。

| 断章の接合者 | 2012/09/07 17:47 | URL | ≫ EDIT















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