陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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Vier

 マーキュリ・メイガスは滅多に対戦をしない。

 対戦をするにしてもそれは確実にアキハバラ・バトル・グラウンドであり、主に大会に参加のみである。それはマーキュリ・メイガスが自分の存在が憎まれている事と、そして同時にそれがある程度のガス抜きにもなると理解しているからだ。完全に姿を消せばその分フラストレーションがたまる。が、明確に憎まれていてそれが溜まるのであれば定期的に発散する方法を与えればいい。そうすれば強硬手段にまでは出ないと、それを理解しているのだ。

 そもそも、そんな手段を取らせない様にいくつも手を回しているのだが。

 だから、この状況は非常に不本意ともいえる状況だった。ありえないとも言う。

「よぉ、見つけたぞマーキュリ・メイガス」


 巨大な、戦艦の様な姿のアバターだ。いや、それは強化外装堕。こんな巨大なアバターは存在しない。何門もの砲門にミサイル砲台、射撃に全てを特化させた超火力構成のアバターだ。そのコアとなる部分に存在するのは―――小柄な赤いアバターだ。

「―――初めましてというべきなのだろうか、赤の王よ」

 マーキュリ・メイガスはこの時、その姿を王の一人に捕捉され、対戦を申し込まれていた。いや、違う。

 マーキュリ・メイガスが赤の王を捕捉し、そして対戦を申し込んだのだ。

「まさかお前の方から見つけてくれるとは予想外だったぜ」

 そう言う赤の王の強化外装、その砲門は全てマーキュリ・メイガスへと向けられている。素のステータスではレベル1のアバターにさえ劣るマーキュリが戦闘、それも圧倒的密度の弾幕を放てるスカーレットレインに勝てる道理は存在しない。存在しないはずなのだが、

 スカーレットレインは絶対に攻撃をはじめない。故に、マーキュリの必殺ゲージは溜まらない。

「あぁ」

 スカーレットレインの言葉に応える。

「貴殿の探し物は目と鼻先だからね。私としてはこのまま嗅ぎまわれて我が女神や銀翼の真実の姿を割られては困る……と言えば納得してくれるかね」

 スカーレットレインはあることを成すために飛行アビリティを必要とし、そのために黒の王、ブラック・ロータスとシルバー・クロウのリアルをもうすでに八割方確定として割っている。が、レギオンを纏める王である限りは二割も不確定要素が残っている分には行動できない。その二割の確率で違う人物を捕まえ、自分のリアルが割れてしまえばまた別の問題となる。マーキュリ・メイガスの登場で梅郷中学の学生であることは判明したが―――誰までかは確定できていない。

「納得できるとでも思ってるのか?」

「であろうな。もとより私は諸君ら王だけではなく我が女神から信用されていないのだ。個の様な道化の言葉に耳を貸すほど愚かではない事を私は把握しているよ赤の王、―――上月由仁子よ」

 反射的に砲撃が発射された。赤のレギオン最強の火力、最高の弾幕量を誇る強化外装による一斉射撃。ミサイルがはなたれ空中で分裂しさらに細かい弾幕となって面の生圧力を見せる。それが一撃でも当たりさえすれば硬直を受け残りの攻撃を全て受け、一瞬にライフを蒸発させることだろう。

 そんな未来が確定して見えるのに、

 マーキュリ・メイガスは避けず、その攻撃の全てを受け止める。

 弾丸は体を貫通し、

 爆風は頭を吹き飛ばし、

 弾幕は体を抉り取る。

 痛みが発生するこの世界の対戦では全身を吹き飛ばされ、絶え間なく殺されr続けるのは激痛でしかない。だがその中でもマーキュリ・メイガスは一歩も動かず、余裕のある声で話す。

「あぁ、無作法をすまない。王であるのならもう少々堪え性を持っているものだと思っていたが、どうやらまだまだ若いようだ。その様子では他の王には随分と嫌みを言われているのではないかね? 常に優雅であれとは言わぬが、心に余裕を持つことは必要であるぞ赤の王よ。短慮はいけない。ここで私を敗北したら名前を知った真実も、我が女神の姿が誰であるか。それを知る術がないではないか」

「てめぇ……」

 砲撃を受け、ミサイルをを食らい、即死レベルの集中攻撃を食らって敗北が確定するはずなのに、マーキュリのライフは欠片も減っていない。それどころか貫通し穴の開いた体は影によって急速に埋められている。痛みを感じる様子もない。完全人無傷の状態で水銀の王は再び赤の王の前に立つ。

「あぁ、未熟だな赤の王。中々に滑稽だぞ。その程度の実力で本当に自分が対等な王だと思っているのか。愉快だな。嗤わせるな。私ほどではないが道化の思考だよそれは。”大戦”を乗り越えた程度で同等の怪物になれるとでも思うのか? それには足りんな。圧倒的に時が足りぬよ」

 怒りに震えているはずのスカーレットレインは特別怒りらしき感情を一切見せずも、砲をマーキュリへと向けたまま、

「お前の狙いはなんだ」

「なに」

 楽しそうな声がマーキュリの口から洩れる。

「銀翼の顔を教えよう」

「……」

 スカーレットレインが強化外装を解除し、背の低い少女のアバター姿に戻る。まだスカーレットレインの中には確かな殺意が存在する。だがそれは他の王がこの影法師に向けるものと比べればあまりに小さすぎる。あの大戦、スカーレットレインは被害者ではなく”勝者”なのだ。あの大戦が存在したからこそスカーレットレインは赤の王になる事が出来た。そして、何よりも、この影法師が嘘をつかない事はあまりにも有名だ。だから、

「何が狙いだてめぇ」

「狙いとはまた奇異な事をおっしゃる」

「はぁ?」

「我が狙いは唯一―――我が女神に安息の未来を与える事、それの他にはあり得ぬ事だ」

「……へぇ」

 ならこうやって黒の王の忠臣を赤の王に伝える事こそが最善であり、そしてまた既に水銀の王手の平で動かされているという事実に過ぎない。

「お前は―――いや、いい。どうせ考えても無駄だろうしな。ホワイト並に意味不明だしな。いいぜ、その話乗ってやる。チェリールーク救うのにほかに手段はないしな」

「あぁ、―――時には愚かであることも好ましい」

 シルバー・クロウの苦難はまだ終わらず、全ては始まるばかり。




もうこいつ黒幕でいいんじゃないかなぁ。
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| 短編 | 15:53 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

こいつ研究会並みに黒幕じゃねぇ?

| 雑食性 | 2012/09/02 19:56 | URL |

ついでにゴールデン・ビースト殿も中の人別種のコミュ障でラスボスっぽいのやらせれば完璧ですね!

| 通りすがりの兎(♂)さん | 2012/09/02 22:40 | URL | ≫ EDIT















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