陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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IF外伝 境ホラ8

推奨BGM:尸解狂宴必堕欲界


 機竜とはそのすべてが鋼で作り出されている鋼鉄の竜だ。その硬度は重圧の中でも動けるようにできており、またいきなり気流にも乗って飛べるようにしなやかであり、まさに竜の名を冠するにふさわしいだけの力を持っている。騎乗可能な兵器の中で機竜は数が少ないが、それでも武神を超える戦力として重宝されている。

『武蔵副長―――』

 それは表示枠を通して聞こえる教皇総長の声だ。

『俺は決して貴様を過小評価しない―――貴様は全力で叩き潰すに値する敵だ……!』

 機竜を二機、K.P.A.Italiaの拠点の防衛から抜き取るほどに、それまでに俺の事を評価してくれている。その事を喜び、

「誓う―――この拳に恥じぬ一撃を繰り出すと―――」

 二機の機竜。そのどちらかが動き出す前に、尻尾の先すらも動かす間を与えずに滑るような動きで接近し、

 音速を超える拳を機竜に叩き込む。


 しかし、その拳は機竜の体に触れる数ミリ前で動きを停止している。大罪武装”淫蕩の御身”。その効果は武器に映される範囲内でのすべての力を遊ばせ、武器を骨抜きにすること。永劫破壊ならあるいは打ち破れるかと打算をしたが、

「やっぱり無理でしたぁ!」

「おめぇさっきの宣言はなんだったんだよ!」

「だって攻撃通じねぇんだもん! あ、良い空気吸ってて指揮忘れてた。メガネー! 指揮よろしくなー!」

『ブルイユ君後ろー! 後ろー!』

「後ろが危ないで御座るよぉー!」

「はぁ?」

 振り向くのと同時に俺が打撃に失敗した機竜から反撃に尻尾の薙ぎ払いを食らい、一気に吹き飛ばされる。

「死んだぁ―――! アデーレ並みの貧乳防御なきゃ死んだぁー!」

「え、私のこれって貧乳防御なんですか!? ガッデム格差社会!」

『新しい副長は二代かぁ……まぁ、仕事しないブルイユよりはマシだなぁ』

「葬式代は幾らぐらいで済むか今から計算しておくか」

「てめぇら勝手に人を殺してんじゃねぇよ!?」

 死んでいない。尻尾の衝撃を受けるのと同時に全身から力を抜き、ありとあらゆる衝撃を体を通して逆側から放出する。土地に神が宿り、信仰が存在し、霊が存在し、神秘的存在が君臨するこの世界で霊的防護と言うのはほとんど意味がない。純粋な格闘か普通の武具相手でなければその効力は発揮されない。だからこそ防御の術は磨かれ、

「お前らほっとくと勝手に話を進めるよなぁ……!」

 最小限のダメージで済ませ、再び体に力を通して回転しつつ着地する。大地を踏み砕きながら前足を振り降ろす機竜の姿が既に目前にまで迫っている。振り下ろされる脅威に対して素早く後ろへ飛ぶことで回避した瞬間、

『来るよ!』

 動きを止めていた二機目の機竜の口が開く。青白く光るその口の中には流体が溜められ、凝縮されている。戦艦の主砲にさえ劣らぬ破壊力を持つそれは機竜の竜砲だ。

 素早く自分の立位置を把握する―――敵と自分を繋いだ直線上には武蔵の学生がいる。

「避けられねぇよ……!」

 自分が避ければ確実に竜砲は仲間を蹂躙する。だから避ける事は出来ず、仲間の竜砲の射線確保のため空へと浮かび上がる一機目の機竜を無視し両腕を交差させ、防御の構えに入り、

 竜の咆哮が放たれた。


                           ◆


 竜砲こそが竜を最強の種族として君臨させる一つの理由である。その戦闘に特化された体を合わせ、相対するだけでも難しい。たとえどんな未熟者が乗ったとしても、絶対に一定以上の戦果は得られる。だからこそ怖い。数さえそろえる事が出来れば圧倒的暴力で敵を蹂躙することができるのだ。

 真正面から竜砲を受けて生きていられるのは何らかの神格武装か、神による加護が働いた場合であり―――

「危ねぇなぁ」

 この場合、必然ともいえる形だった。

 少々特殊な構えを取り、真正面から竜砲を受け、数秒間の砲撃を受け切って現れたのは、その皮膚を完全に赤銅色に染め上げている明広だった。構えは特殊で、左半身を前に突き出しつつ肘を前に、拳を内側に向けている、見慣れない構えだった。その構えにどんな意図があるのか掴み難いが、

『馬鹿なっ……!』

 傷一つない明広の体に機竜の操縦者から驚愕の声が漏れる。その声を無視して明広が前へと飛び込む。動きは素早く、右拳を引き、

「我が道は鉄風雷火の修羅道―――砕け散れぇ……!」

 拝気を、流体を消費しない、純粋な生命力を込めて極大の威力の拳撃を機竜に放つ。拳が放たれるのと同時に爆発する衝撃波は機竜に傷を与えないも、その周辺の大地を砕き、岩塊を空へと巻き上げる。

『無駄だ、猊下の大罪武装は破けない……!』

 機竜の口が開き、小さいが素早く放てる竜砲が口から吐き出される。たとえ竜砲を耐えられたとしても、明広は淫蕩の御身の効力を破ることに成功していない。故に戦闘での圧倒的優位性は敗れていない。そんな状況下で明広は竜砲を飛び上がり回避すると、

「なら証明して見せよう、武蔵副長の本当の実力ってやつをな」

 飛び上がり、巻き上げられた岩塊に飛び乗る。そのまま更に上へと、高く舞い上がった埃や岩を足場に空へと登って行く。音速を超える速さでの動きは本来踏むことが困難な物体でさえ動き出す前に踏むため、ほとんど固定されたような感触を足の裏に与える。そうやって明広が空へと登りあがる。

『そこなら巻き込まないと見たか』

『だが、そこは我らの戦場だ……!』

 追う様に機竜が二機飛び上がり、明広の周りを旋回するようにして―――加速する。最初は高速、次に超高速、加速機の出力をそこから一気に上昇させ武蔵の副長を落とすために超音速にまで機竜の速度を上昇させる。質量をもった超重量の竜が突進するだけで凄まじい破壊が発生する。ここまでの加速が入ればその純粋な威力は竜砲さえも上回る。

「究極は陳腐、か。なるほど。面白い話ではあるが―――」

 明広から先ほどまであった遊びは消えるが、笑みは張り付いたままだった。超音速で動き命を狙いに来る機竜に対して次の岩へと飛び移る事で回避とする。そして、直前まで足場にしていた岩が機竜によって砕かれる。

『逃げるだけか武蔵副長!』

「冗談!」

 そう言って、明広は一本の短刀を取り出し、

「我は征服の王、雷鳴を持って森羅万象平定せし蹂躙の王―――」

 短刀に熱と紫電が集まり、雷の刃が形成される。迫る竜砲と突進を回避しつつ、更に高い位置へと一息に飛び上がり―――浮かび上がる戦艦よりも少し低い高さで短刀を振り上げる。

「平伏せよ―――秘剣建御雷―――」

 雷剣となった短刀が振り下ろされるのと同時に、短刀に集められた神威が放たれる。普通の術を使った一撃ではなく、一時的に神を、その権能を一部借りて放つ雷鳴の剣。振り下ろされたそれは少しだけまっすぐ進み、そこで別たれ網目のように広がってから機竜を捉えようと動く。

 超音速に対抗するための雷速の剣。速度であれば十分に捉えられる領域だが―――

『ぉお……!』

 機竜の装甲にすら触れられず、弾かれる。距離を生んで、速度を超越しても、大罪武装はその力を発揮し、見方を守り敵を倒す。

『貴様が砕け散れ!』

 短刀を手放した明広の体に機竜が正面から衝突する。空へと、足場のない場所へと移動したために明広は動けず、まともに直撃を受けて更に高く空へと打ち上げられる。神秘と科学の融合ともいえる存在である機竜の攻撃を受け、明広の体から軽く血が流れる。それは微々たるものだが、それでも体を傷つける事に成功した。故に、

『勝つぞ……!』

『Tes.!』

 機竜がさらに加速する。空中では身動きの取れない明広へ限界の加速を生み出しつつ何度も何度も突進を繰り返す。横から、上から、下から、後ろから、前から。一撃ごとに体に裂傷を生み出し、少しずつだが確かに傷を刻む。何度も攻撃を受けて吹き飛ぶ明広の体は戦場から離れ、傷つきながら大きく吹き飛んで行き―――

「―――砕けぬ星よ閃光となって輝け」

 笑みをさらに深くしつつ、呟いた明広の手に現れたのは処刑刃だった。長く、重く、分厚く、歪で、到底戦闘用の武器ではない。それが”二本”現れる。アインクラッドで戦友に託したもう一本の愛刀の代わりに、全く同じ外見の刃が二本出現する。首を刎ねる為だけの処刑道具、

「形成―――罪姫・正義の柱」

『それが神格武装、罪姫・正義の柱―――』

『だが……!』

 無意味だ。大罪武装の効果内では意味がない。そう言おうとして、致命的な事実に気づかされる。そう、大罪武装の効果内であれば意味はない。

 今はどこだ。

「淫蕩の御身の射程距離は三キロだったな」

 既に機竜も明広もその体は上空十キロにまで到達していた。

 故に、

『動け……!』

 処刑刃から感じる本能的な恐怖に逆らわず、攻撃し撃破する事よりも淫蕩の御身の射程範囲内に戻ることを優先し、加速機の限界出力を持って戻ろうとする。それを愚策と呼ぶことはだれにもできない。副長という存在は理不尽だ。どの国、どの教導院であっても副長という存在がエースであることに疑いはなく、一瞬の勝機さえあればそこから勝利することはたやすい。

 故に、

「時を”削ぎ殺せ”、罪姫・正義の柱―――」

 逆手持ちで両手に処刑刃を構えた明広は、

 あっさりと機竜の加速を超えてその首を切り落とす。


                           ◆


『なっ―――』

『貴様……今まで手を抜いていたな!?』

「アウフ・ヴィーダーゼン、勝ったつもりでいたお前らはいい道化だったぜ。ふふふふ、ははははは、ふははは―――ははははははははは!」

 首を失い機竜は死に、その中のパイロットが脱出機能によって排出される。その姿を落下しながら笑う。

『おい、何だよあのラスボスっぽいの。つか構図、アイツが完全に悪役だろ』

『解っているのなら言わなくていい』

『今までの鬱憤を晴らすかのような感じで御座ったなぁ……』

『ねえねえブルイユ君! もう一段残ってるよね変身? 残ってるよね!? あとでその変身っぽいの取材させてよねぇ!』

『メガネは場所を選ばねぇなぁ……』

『……どこへ行っても平常運転だよなぁ……私は教皇総長に相対を申し込んだって言うのに……』

 眼下で相対を申し込まれた教皇総長が淫蕩の御身を解除しているのが見える。相対は一対一の勝負で、それ以外への攻撃はルール違反だ。故に淫蕩の御身は一度解除しなければいけない―――

『敵将立花・宗茂、討ち取ったり―――!』

 別の表示枠から二代の勝利の声が聞こえる。流れが再び武蔵へと向かってきているのが解る。いい流れだと判断する。この流れに乗って、

 ……派手に行こうか!

 空を蹴る。

 無を、風を、大気の壁を高速で蹴り、体を前へと飛ばす。方向は処刑場前の護衛艦へ。第一これを潰さない限りは武蔵が無事に三河から脱出できない。だから破壊する必要性がある。故に空を蹴り、体を加速させる。

「退艦するなら今のうちだぜ―――!」

 艦の砲塔や、その上に乗っている学生達の銃口が此方へと向く。その装備を見て豪華なものだと思う。武蔵は非武装だけではなく、歴史再現を名目に輸入制限もされている。使っている装備も戦闘用ではなく、日常生活で使ったり、作業用のものが多かったりする。そう考えると完全に戦争用の装備を人数分用意できる聖連所属国の姿は副長としては羨ましい。

「よし、落とそう」

 艦からの銃撃や砲撃を切り裂きながら接近し、甲板を踏み砕きながら着地する。一斉に向けられる銃口から弾丸が放たれ、体に傷を生む。普通の銃ではなく、対亜竜や、巨大な霊的生物に対する装備を向けられていることを喜ぶべきかと考え、

「そんじゃこの首も置いてって貰うぜ……!」

 斬撃で艦首を切り落とす。

 だが攻撃はそこでやめず、さらなる斬撃を生み出し艦全体をなんども切断し、完全に使い物にならない様にする。爆発と避難を開始する学生を見ながら、次の獲物に狙いを定めるべく、砲塔を向けてくる横の艦をにらむ。

『もう全部アイツ一人でいいんじゃないかな』

「俺もいつでも無双できるわけじゃねぇんだよ……」

 実際結構ガチガチに規則とかがあって、こういう野戦の時しか活躍できないし。何よりも手札はあってもそれをなるべく見せたくないところがある。

「さて―――」

 爆発を繰り返し落下する艦上で、再び刃を構え直し、

「殺るか」

 武蔵の敵を消し去るために撤退前の最後の一働きを始める。




本当は糞に名前を付けちゃう人を出そうかと思ったけど、
ちょっと書きすぎて出すタイミング見失った件。
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| 断頭の剣鬼 | 10:38 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

妖怪ヒャッハー。ぶっ飛び具合が凄い。

| nao | 2012/08/29 11:05 | URL | ≫ EDIT

機竜に轢かれたと思ったら首飛ばして
船の解体までこなすとか多芸すぐる

| ぜんら | 2012/08/29 11:26 | URL |

凄いというか酷いな妖怪閣下w

まさか妖怪⇒魔王にクラスチェンジするとは

| tom | 2012/08/29 12:09 | URL |

(∴)「めつじんめっそー」
こいつ登場する時期って1巻の最後とかそんな感じっすよねwwwwwステルス航空艦みやぶってるよー的なアピールもこめて

| 水無月 | 2012/08/29 12:42 | URL |

糞に名前……TON☆JI☆CHI?←

| 空 | 2012/08/29 17:08 | URL |















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