陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

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IF外伝 境ホラ7

推奨BGM:唯我変生魔羅之理


 一閃。

 振るわれるのは刃ではない。が、その赤銅色の腕は冷たい鋼鉄の感触を持ち、そしてそれ自体が刃としての特性を持ち合わせていた。故に手刀を繰り出そうが、拳で殴ろうが、”活動”していればすべての攻撃は斬撃へと変換され、

 触れた相手の首を跳ね飛ばす。

 故にまた首が飛び、

 血の雨が降る。

「―――参るぜ」

 その声はいつもの調子、いつもの軽さを含んだ声だが、

 ……ははっ。

「勝利を王に」


 高速で腕を振るう。素早い腕の動きは確実に首だけを狙い、それを削ぎ落とす勢いで放つ。。拳術でも体術ではなく、これは―――処刑術。一撃必殺で相手を殺す事しか考えていない、一種のキチガイ染みた発想。殺す事だけに特化したその技は戦闘技術と呼べるものではなく、正しく処刑術だ。拳の一撃はもとより、体の動きの全てが必殺。故にそこに細かい動きは不要、ただ当てさえすればいい。

 現実として考えれば、本来それはありえない。

 だが触れれば首が飛ぶ。その現象が今、引き起こされている。

「活動―――」

 活性化。聖遺物の特性を引き出す事。魂が創造位階レベルに達しているため、力を引き出せば今まで以上の強さで特性が現れる。状態で言えば形成一歩前の活動。故に形成の片鱗が変色という形で腕に現れている。腕を振るい斬首する。その過程に戸惑いや迷いは一切なく、三征西班牙の形成するテルシオを中央から引き裂くように進軍し、単騎破壊する。

「進ませるな!」

「猊下の威光を知らしめろ……!」

 開いた隙間を埋めるように一斉に兵士が襲いかかってくる。飛び込んだ刹那で斬首できたのはテルシオを組む九百人の内、精々二十人ほどだ。一撃で人を殺す事が出来るが、だからといって複数を一気に始末できるとは言い難い。。処刑に特化するという事は戦いではない。故に殲滅する速度は体を動かせる速度に依存する。

 だからこそ、

「弓を―――」

 最大の効率を叩きだすために命令を下す。

「―――放て」

 自分をまきこむように命令し、放たれた弓は武蔵の学生による攻撃だ。銃のほとんどが三河警護隊へと回され使用されている現在、武蔵で射撃といえば弓となっている。そして放たれた数百の矢の雨は、

 頭上から降り注ぎ、集まった学生達に突き刺さる。

 だがその矢は一本たりとも此方の体に刺さりはしない。単純に存在としての密度が違いすぎる。兵器クラスか、神格武装クラスであれば通るだろうが、術で強化された武器程度で体が傷つく事はありえない。だから、凶行とも思える命令を迷いもせずに指示し、それを知っているから迷わず学生たちは命令を勝利の為に実行する。

 空からやってくる姿があるそして次の手を打とうとした時、空から近づく影が目に入る。

「来たか!」

 空からやってくるという事はつまり―――制空権が確保できたという事だ。

「ネイト、直政! 派手に飛ばせぇ!」

「言われずとも」

「解っていますわ!」

 空から落ちてくるのは重りを付けた朱の武神、地摺朱雀だ。全長十メートルほどの重武神がその身に重りを纏い、肩に直政とネイトを乗せ、空からテルシオの中心へと落ちてくる。俺が飛び上がり地摺朱雀の上に乗るのと、地摺朱雀が大地に着地するのは同時だった。

「行きますわよ!」

「久々に大暴れするさね!」

 ネイトの両肩のハードポイントに接続されたオベリスクから銀鎖が伸び、意志のある銀鎖が地摺朱雀に巻きつき固定する。ネイトは大地を強く踏みしめ力を銀鎖に込める。

「る、が、るぉ……!」

 狼の咆哮と共に地摺朱雀を銀鎖で振り回す。

「防御―――」

 言葉を言い終わる前に円の動きで振り回される地摺朱雀が中心からテルシオを崩し始める。中央に打撃を受けてテルシオがその陣形を崩壊し始める。あくまでテルシオとは交代による防壁維持の戦術だ。だから一番有効なのは中央からの破壊だ。ここまで破壊すれば、前線を維持できるはずもない。

 故に、

 地摺朱雀から飛び降りつつ指示を飛ばす。

「総員術式を起動させろ! 死亡フラグは立てたか? 神へのお祈りは? 恋人はいるか? 生存フラグの為にも乱立させたか!? うっしゃあ、てめぇら、全力でここ突破して馬鹿の告白成功させるぞぉ―――!」

「Jud.!」

「勝負に出るか極東!」

 今まで温存していた拝気を消費し、武蔵の学生たちが一気に攻勢へと移る。破壊されて解れの出たテルシオに術で強化された学生たちの素早い攻撃が入り、続いて後方にいる役職者達による攻撃が入る。それを受けてテルシオの前線が崩壊し、戦いは一気に乱戦へと突入する。そんな中ネイトが一直線にトーリへと行くのを見て、

「忠犬だなぁ……」

 踏み込みつつ敵の首を掴み、それを横から襲いかかってくる二人の学生に投げつける。そのまま接近せずに、指をスナップさせ、三者を真っ二つに割断する。

「相変わらずアンタの戦い方はエゲツないさねぇ……」

 地摺朱雀の上にいる直政が、遠方から接近してくる陸戦装備の武神と相対するために構える。衝突の瞬間に直政が全身から力を抜いた。そしてそれに呼応するように地摺朱雀も力を抜き、次の瞬間。素早く相手の手首をつかむと武道の動きを持って軽く体を捻り、武神の巨体を大地へと叩きつける。そのまま、空いた片手で無力化のための拳を地摺朱雀が放つ。

「ま、品のない男なのさ、俺はよっ!」

 取り囲んでくる敵の数が多い。接近し一瞬で首を刈り取り、敵の死体を壁にしながら動きまた一人と敵を斬首する。いい流れだが―――ずっとこうやって持つわけではない。実際問題数とは圧倒的な戦力である。ここで消耗戦を強いられれば確実に武蔵側が押し負ける。それを回避するためには早い段階でこの乱戦の状態を突破する必要がある。

 故に押し込むように前へ、前へと進み戦場を移動する。前へと進む事しか武蔵には選択肢が存在しない。そして止めるしか聖連には選択肢が存在しない。だが此方は相手と違って時間制限がついている。

 素早く動かないと全てが終わってしまう。

 段々と処刑場が見えてきた所で、

 巨大な質量を持った金属の塊が接近する。三征西班牙の学生たちが割れ、迎え入れたそれは、

 ―――機竜だ。

 全身が金属で構成されており、超音速で飛行し、竜砲と呼ばれる砲撃を撃つことができる、この世界における最強とも呼べる存在の一つだ。純粋に人とのスペックが違いすぎる存在だ。それが目の前にいた。

 それだけではない。

『安芸の厳島の防衛に出している機竜を”二機”とも呼び寄せた』

 表示枠が出現しており、そこには教皇総長の顔が映し出されている。栄光丸の甲板の上で立ち、その手に握られているものは―――

「大罪武装”淫蕩の御身”(ステイソス・ポルネイア)―――アレはヤバイで御座る!」

「超過駆動……!」

 二機目の機竜が空より降り立つのと同時に、栄光丸上で淫蕩の御身が発動、その効力が武蔵と三征西班牙の警護部隊を包む。ありとあらゆる武装がその力を失い、分解を始める。刀が、槍が、機動殻が、全てが力を失い、動かなくなる。直政の武神も分解は免れるが、膝をついて動きが停止する。

「淫蕩の御身の超過駆動……すべての力は遊び、骨抜きにされる。つまりは今の様に分解されるという事だ。どうなんだよ、なあ、おい。これでも貴様らはまだ戦えるっていうのか」

 二機の機竜が吠える。この状況、武器が通じない状態で到底戦える相手ではない。それはだれもが理解している事だ。

 ……嫌な流れだ。

 消耗している。いや、消耗を強いられている状態だ。武器や攻撃が通じないのであれば、必然的に防御しかできない。前進しつつ進んでいた乱戦の状況が再び膠着状態へと戻ろうとしている。そしてこのまま膠着を続ければ―――温存していた拝気を消費させられ、やがて潰される。

 ここで勝利するためには―――

「浅間、頼むわ」

 何時の間に追いついたのか、トーリ達が直ぐ傍にいた。そしてトーリが言った、頼むと。

 契約の封印を解除してたから来ることは解ってたが、

『本当にいいんですね?』

「あぁ。俺馬鹿でこれぐらいしかできねぇし―――だからさ、出来る事はやりてぇんだわ」

『……解りました』


                           ◆


 葵・トーリは無能だ。

 運動は出来ない。政治もできない。だが武蔵の総長としてはこれ以上なく最高の人材だ。なぜなら無能のトップは組織全体を引っ張るからだ。ただ、トーリも無能であることに甘んじているつもりはない。今のトーリには前のトーリになかったものがある。

 それは王権。

 王としての権利、武蔵の王としての権利を所持している。そしてトーリが戦闘用に仕える術式は一つ―――トーリの能力を伝播する事。

 故にトーリの王の権利は武蔵の学生、三河警護隊に伝播し、

『武蔵の王の権利を使って流体の供給か!』

 インノケンティウスの声がする。それはどこか面白い敵を見つけたような喜びの響きも感じられる。ここまで馬鹿な敵は中々いないだろうな、等と軽い自虐をしつつ、

「お前らの不可能は俺に預けてくれ。俺にできない事をお前達がやって見せてくれ。俺はそれを全力で応援するから。だから―――お前たちにはなんでも出来るってところを見せてくれよ」

「Judgment.!!」

「馬鹿が、ここで降参していればいいものを……!」

 流体の供給が始まり、再び武蔵の学生たちが術を最高出力で発動させる。が、同時に二機の機竜が吠える。それは教皇の意にそぐわぬものを排除するための咆哮だ。

 だから、

「おい、こら、ワンちゃん共」

 前に出る。

「てめぇ誰の許しを得て吠えてやがる」

 拳を作り、二、三回振るう。その動きに淫蕩の御身による干渉はない―――つまりはあのガリレオの時同様、相手の体に触れる直前で力が消滅するという事か。ならば、やりようはある。

「おいおい、いい空気吸ってるようじゃねぇかアッキー! お前、今日結構ヒャッハーしてねぇか?」

「おい、誰の為にヒャッハーしてると思ってんだよこの馬ぁ鹿」

「馬鹿はお前だろ?」

 トーリが言う。

「頼んでもいねぇのに勝手にそんな事しやがって。いいか? 俺は王様になるんだ! 俺も、お前も、みんなの夢を叶える国のな。だーかーら! お前ひとりで汚い事をしなくていいんだよ。お前が俺の為に戦うんじゃなくて、俺もお前も皆も、俺達と、自分自身の為に戦うんだよ! なあ、そうだろ? 昔約束したよな? 最強の副長になって俺の、俺達の夢を守ってくれるって。なあ、そうだろ―――ブルイユ・明広。俺はお前の夢も叶えたいんだ。お前ひとりだけ損して最後に潰れちゃ意味がねぇんだ」

 あぁ、やっぱりその名で呼んでくれるのか。

 やっぱり、トーリにとって俺は”ブルイユ”で、それ以上でも、それ以下でも、それ以前の俺すら関係なくて、積み重ねた時間こそが真実だと……そういう事なのだろう。だから、置いて行こう。

 ここで最上とも、サイアスともおさらばだ。さようなら、お前も確かな俺だったけど、この世界で認められたのは今の俺だから―――さようなら。

「その名を……呼んでくれるのか」

「おう」

 なんでもないかのように言うこの男の信―――全霊を持って答えよう。

「誓おう―――この魂に賭けて、俺は勝者であり続ける事を」

 汚れ役は必要だし誰かがやらないといけない。武蔵を守るためには仕方がない話だ。だけど、少しだけ、馬鹿になろう。あぁ、ちょっとだけ。ほんの少しだけ真面目に考えるのを止めよう。そう、この世界の、武蔵の住人だったらそこまで真面目にならず、いつも通り、

「派手にやるぜぇ、なあ、おい、そうだろ本多・二代! 根性見せろや!」

 表示枠を通して、立花・宗茂の一撃を食らい、倒れかける二代の姿が見える。が、倒れる直前で体を回転させ、不格好ながらも着地する。

『Jud.―――少々恥ずかしいところを見せてしまったで御座る』

 その一言と共に表示枠は消える。勝てる勝てないではなく、勝つ。武蔵にはあとがない。そして二代もそれを理解している。だから勝利することを確信し、

 俺も、

「我が輝きの求道に迷いはなし、余さず砕け散れぇ……!」

 強大な力を誇る二機の機竜を前に、恐れず踏み込む。淫蕩の御身の影響下であることなど知ったことではない。目の前の機竜は敵だ。殲滅対象だ。破壊すべき存在だ。故に壊す、殺す、首を刎ねる。そう、首を刎ねるのだ。その一芸にだけ特化した処刑人、それが俺なのだ。こと斬首に関してだけはどんな存在であろうと俺を超える事は出来ない。

 なぜなら俺はそれだけを求め、磨き続けて来たから。

「武蔵アリアダスト教導院所属総長連合副長”用無し”ブルイユ・明広。貴様らのその首、置いてってもらおうか」

 圧倒的不利な中、武蔵の未来を生み出すために動く。




大筋は変わりませんが細かいところで順番とか展開に軽い変化が入っています。
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| 断頭の剣鬼 | 09:18 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

アスアスがヒャッハァァァァァァァァァーーーしてる!

遂に全裸が本気になりましたね、自分はあそこからの流れは境ホラの中では一番好きです。

| 名状し難きナニカ | 2012/08/28 11:53 | URL |

燃えてきたァ! 続きが楽しみすぐる。
いいぞもっとやれ。

| ろくぞー | 2012/08/28 16:06 | URL |

ヤバいヤバいぞ、鳥肌がヤバいぞ…ッ!

アスアスもっとヒャッハ―希望(ぇ

| 暇人 | 2012/08/28 16:52 | URL | ≫ EDIT

妖怪閣下のヒャッハータイム発動

これで勝つる。

私としてはここからの女神さまの出番に期待

| tom | 2012/08/28 19:29 | URL |

首はねフィーバーですな

女神の降臨に期待

| 雑食性 | 2012/08/28 20:00 | URL |















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