陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

2012年11月 | ARCHIVE-SELECT | 2013年01月

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プロローグ ―――エンディング・デイズ

推奨BGM:Burlesque


 もはや慣れた道を全力でバイクで疾走させる。通り道は既に暗記している。目を瞑ってても、とは言わないが、それでも完全に道を覚えている。おかげで脳内では小さいが地図が出来上がっている。休日はそれをもとにショートカット何て探してみてもいいかもしれない―――まあ、休日のほとんどはアルバイトかALOで過ごしているから無理なんだろうが。

 そうやって見慣れた道をバイクで分パシながら、ブレーキをかけてマシンの動きを止める。そうやって到着するのはこれも見慣れた場所、ダイシー・カフェとなる。エギルの虚所でもあるこのカフェは度重なる事に集合や会議として使われており、もはや集合と言えばここに集まるという認識さえ出来上がりつつある。それをエギルは新規の客が入り辛くなると文句を言っているが、そんな事は知った者ではない。バイクを止め、エンジンを切ってから鍵を抜く。少し早足で店の扉を開け、中を覗き込む。

「ギリギリセーフッ」

「残念、ギリギリアウトだ」

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| 断頭の剣鬼 | 14:54 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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プロローグ ―――ウェイクアップ

推奨BGM:Burlesque


 目覚めと共に見たくないものを見てしまった。言われてしまった。あんな野太い声でお兄ちゃんとか呼ばれて吐き気しかしなかった。しかもアレでシングルファーザーとか世の中は狂っている。イザーク君の苦労は想像できる。

 STLへと脳を繋げるヘッドセットを取ると、ベッドから起き上がるのをラインハルトが手を伸ばして助けてくれる。その手を取って、ベッドから降りる。流石というべきか、STLに使われているベッドも中々寝心地がいいもので、一度寝そべったら置きたくなくなる魔力が存在する。だがそれを振り払いつつ起き上がり、軽く体を動かしていると、

「この寂しさを紛らわそうとする心を理解してくれないとは……」

「その心遣いは嬉しいけどその方向性が圧倒的に間違っている」

 なんだ。なんなんだよ、おはようお兄ちゃんって。

「キルヒアイゼンから”ハイドリヒ卿、日本の文化を学ぶにはエロゲからです”等と言われてな」

「あの金髪が黒幕かよ。覚えてろよ」

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| 断頭の剣鬼 | 14:50 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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プロローグ ―――ドリームイング・センサード

推奨BGM:Et in Arcadia ego


 夢を見ている。


                           ◆


 純朴そうな少年は不釣り合いなほどに大きな斧を手にしている。それは金属でできている者ではなく、巨大な骨を削って生み出したような無骨な斧だ。とてもだが少年が持ち上げるようなものではない。だがそれに構わず、少年は大変そうにだが斧を持ち上げる。それを構えると目の前にある巨大な樹の幹に向かって全力で振り降ろす。少年にしては中々の速度と筋力だと言える。木の幹についている切りこみは二十センチほどある。それが全て少年の手柄であれば良くやったと褒める事も出来ただろう。

 木の幹にある斬りこみの中心点を穿った斧は綺麗な音を森に響かせる。

「なあ、※※※※」

 誰かがそれを言った。若い少年の声だ。だがその声の主が見えない。だから、たぶんこの声の主は自分なのだろうと判断する。自分がこの声の主で、この少年の声の人物なのだ。だが残念なことに自分が逝ったと思われる言葉の公判が聞こえなかった。まるで検閲されたかのようにそこだけ酷い砂嵐でかき消されていた。

「どうしたんだよキリト」

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| 断頭の剣鬼 | 13:45 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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天狗道 ―――ワールド・ジ・エンド

推奨BGM:第六天・畸形嚢腫


 ―――気が付いた時から不快だった。

 何かが俺と繋がっている。何かが俺にへばり付いている。いらない。こんな物いらない。俺に触るな。気持ちが悪い。吐き気がする。俺は俺さえいればそれで満足なんだよ。だから俺に触るな、お前なんかいらない。

 臭い。

 臭い。臭い。

 臭い。

 臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い―――臭い。

 臭いんだよ触るな近寄るな臭うんだよ! 糞見てぇな臭いがするんだよ! 糞が俺に触れるんじゃねぇ! 汚ぇんだよ! 塵が勝手に触れるな! 俺は俺で満ちている。だから俺以外のものは全部塵だ。触るんじゃねえ!

 消えない。

 放れない。

 切れない。

 ならどうすりゃあいいんだよ。俺は俺一人で十分なのに。俺一人だけになりたいのに。誰にも触れられたくない。誰にも関わりたくない。俺は一人で満たされていてそれだけで十分だから。だったらどうすりゃあいいんだよお。

 あぁ、

 なら―――。

 そうか―――。

 ―――消しちまえばいいんだ。

                           滅

                           尽

                           滅

                           相


                           ◆

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| 断頭の剣鬼 | 10:15 | comments:12 | trackbacks:0 | TOP↑

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もうすぐ怒りのクルシミマス

 クルシミマァース! 俺らの心がクルシミマァース!! クソッ! 世の中は理不尽で溢れてやがる!! ここで生地かくだけの為に誤変換が6回ぐらいおきたぞ! 俺のPCは誤変換機能でもついてるのかよ! 調教されすぎじゃねえ!?

 っと、まあ、お前こんな雑記書いてて断頭どうしたのだよって言いたそうだなぁ?

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| 雑記 | 17:16 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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更新だとおもった?

 残念! てんぞーちゃんの雑記でした!

 まあ、マザーズロザリオ編も終了したので一息、って感じで今日明日の更新はたぶんないです。1章終わるごとに入れている休憩タイムです。大体この間にプロットの見直しとかやってるんですけどね。まあ、今回は純粋に次のパート、というか次の話の準備と言いますか……

 アリシゼーション編を開始するための最後の話の準備と言いますか。

 まあ、水銀の発言や今間dネオ行動を見てればこの次には何が来るのか解るかも……?

 ┏(┏≖‿ゝ○)┓……

 ┏(┏ ∴)┓……

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| 雑記 | 11:37 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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鎮魂 ―――マザーズ・ロザリオ

推奨BGM:AHIH ASHR AHIH
*1推奨BGM:Unus Mundus


「なんで? なんであの子は死ななきゃいけなかったの?」

「それが命というものだから。それがどうしようもなく美しいもので、誰かが触れてはいけないものだから。俺はその禁を破った冒涜者だけど、やっぱり俺も……どうしようもない存在だからさ。死んだ人間は蘇らないし蘇るべきではない」

「あの子は戦ったんだよ? 抱きしめる事が出来たのに、冷たくなって―――硬くなって―――動かなくなって―――ねえ、なんでなの? どうしていけないの? だって―――」

「マリィ、俺達はそれを超越してしまったからこそ触れてはならないんだ。好きなだけ恨んで罵って憎んでほしい。だけどマリィ、死体を抱きしめる事は出来ないんだ。命は美しく、そして儚い。故にその人生はやはり、美しい。俺ができるのはその短い刹那を見守るだけで―――俺にはそれができない。俺が抱きしめる者は壊れてしまうから。そう、今回みたいに。君の様な存在じゃないと俺は抱きしめる事が出来ない。抱きしめたらその者の人生を冒涜しちゃうから」

「ねえ、私は……私はどうしたらいいの?」

「―――俺に流される事無く、自分で考えろ。大丈夫。俺は信じてるから―――お前が一つの答えへと至ってくれるのを。だから待ってるよ。その願いをかなえる為に、俺も、メルクリウスも、全力でやるさ。ほら、もう解ってるんだろ? マリィ、お前は俺を愛しているし、抱きしめたがっている。だけど抱きしめたがっているのは俺だけじゃなくて―――あぁ、なんだろう、この気持ち。複雑だなぁ」

「大丈夫だよ」

「マリィ?」

「アキが教えてくれた言葉の意味を間違えないよ。解ったよ―――私のしたい事」

「ありがとう、流石俺の女だ。だからこそ……あぁ、―――司狼、茅場、ミハエル……木綿季。あと少しだ。あと少しだけ……あと少しだけ待っててくれ。それで―――勝てる」


                           ◆

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| 断頭の剣鬼 | 15:42 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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重みと意味 ―――ア・ショート・バット・ビューティフル・ライフ

推奨BGM:Shade And Darkness(マリィルート最終決戦にて使用された曲)


 ―――ゼロ。

 カウントがゼロになった瞬間ユウキとキリトを縛っていた保護が消える。この二人を拘束していたシステム的保護はこの二人においてのみ、通用しなくなる。初撃決着モード故に、先に攻撃を決めた方がこの戦いに勝利する。定石であれば先に前に出て、相手よりも早く攻撃を叩き込むのが一番の手段だ。だが既にキリトという剣士ユウキという剣士は邂逅を果たし、勝負に至っている。その結果、キリトとユウキは攻撃を加えずに加速するという手段をとった。それはキリト、そしてユウキが速度を重視したスタイルだからに他ならない。故に加速から速度を乗せた必殺の一撃で押し切る。これが一対一の戦闘におけるスタイルのはずだ、

 そう、”はず”なのだ。

 だがユウキもキリトも一歩目で完全にトップスピードに乗った。加速したのではなく、一歩目が最高速度だったのだ。もうそれ以上加速は出来ない程に踏み込んだ足に力を込めて、持てる力の全てを持って足に力を込める。キリトは二刀の剣を、そしてユウキは長剣を構え、一気に疾走する。正面から、小細工など使わず、ただ正面から打ち砕く。

 そして、衝突した。

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| 断頭の剣鬼 | 13:18 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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重みと意味 ―――ハイ・スピリッツ

推奨BGM:AHIH ASHR AHIH


「暇だなあ」

 数日前からかなり体がだるい。このバーチャル空間の中でさえ重いのだ。間違いなく自分の人生は終わりへと近づいている。だが、もうこれ以上の幸福は無理だ。自分の人生は美しく、輝いていた。これ以上は体が言う事を聞かない。だから諦めよう。諦めて静かに死のう。それがいい―――。

「本当に? ……本当にそれで……いや、もう自答したもんね、けほけほ」

 答えは一緒だ。

 あきらめた。

 僕の人生は周りからすれば不幸の連続だったかもしれない。だけど僕から言わせれば―――僕は幸せだった。こうやって体が言う事を聞かなくなるその瞬間まで、僕は自分を心配してくれる人に会えた。メールのやり取りを仲間としている。自分の証が永遠に消えないように刻み込んだ。ユウキ、そして紺野木綿季という存在が永遠であると証明できた。最後の最後で僕の人生は幸福で満たされていた。もう、経験できない家族との団らんまで味わえた。

 僕は間違いなく幸せだ。

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| 断頭の剣鬼 | 14:13 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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重みと意味 ―――アイ・アム・ベリー・セルフィッシュ

推奨BGM:Nacht der langen Messer


 嫁の目が死んでる。

 アインクラッドの二十二層、自分の家、暖炉の前のロッキングチェアの上で何時もの様に昼寝でもしようかと思って座っていると、ユウキに会いに行っていた嫁が、アスナが帰ってきた。だが帰ってきたアスナは目元を赤く腫らして、明らかに泣いた跡を見せていた。だから無言でベッドへと運んで、寝かしつけたのだが、予想外にすんなり寝てしまった事から、やはりアスナは疲れていたのだろう。

 まあ、ルサルカ……アンナからユウキの居場所を聞き出してもしや、と思ったがやはり嫌な予感というものは良く当たる。本当に運命というものがあるのであれば、その創造者を一回ぶん殴ってやらなければ到底納得する事も満足する事も出来ないだろう。だが現にそれが不可能なことぐらいは解っている。いや、やりそうな人物は二人ぐらいいるが、たぶん彼らでも無理だろう。一応人間だし。たぶん。

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| 断頭の剣鬼 | 15:07 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

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重みと意味 ―――ライフ・イズ・ア・クラップ

推奨BGM:Sol lucet omnibus


 明広から話を聞き終わった私は椅子から立ち上がる事が出来なかった。なんということはない世間話風に語られた紺野木綿季の半生は重すぎた。あまりにも重すぎた。とてもだが一人の少女に課していいような所業ではない。これでは、あまりにも報われなさすぎる。人生に救いが全く見当たらないのだ。

 話を聞いたからこそアインクラッドの本当の意味を理解した。ユウキはただアインクラッドに名前を残したいのではなく、死んでも忘れられない様に、自分が生きていたという証をアインクラッドに残したかったんだ。

 ―――紺野木綿季という少女は間違いなく不幸と試練の人生を味わってきた。

 出産時の輸血においてHIVに感染、その時からユウキの人生は全てが決まっていたのだろう。成長しながらもHIVに感染しているため免疫力がなく、様々な症状に体を狂わせながらもユウキは普通で居たい為に学校へ通った。そしてユウキは優秀だった。優秀でクラスで何時も一番の成績を取っていた。しかし、ある日、彼女がHIVに感染している事が知れ渡ってしまう。ステレオタイプだ。性行以外にも感染する方法はあるのに、誰もそれに目を向けようとせず、ただただユウキを汚らわしい存在としてコミュニティから排除した。そうやって学校へ通えなくなったユウキは―――親を失い、そして姉を失い、孤独に生きてきたのだ。

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| 断頭の剣鬼 | 16:24 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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重みと意味 ―――シャタード・リアリティ

推奨BGM:Burlesque
*1推奨BGM:Sol lucet omnibus


 家にまではアンナが迎えに来てくれた。曰く、キリト君は彼女に会うべきではないと言って来なかったらしい。その理由は解らないが、キリト君は妙に勘が鋭い。だから、常人では感じ取れないものも感じ取れる。それで、何かを感じ取ってしまったのだろう。キリト君は少しだけ、何かを考える様にそう言った。だから家の前まで来たアンナに案内され、都内のバスに乗ってアンナの言う目的地へと向かった。

 狭いバスの中、アンナと二人、並んで席に座りながら、揺られる。今見る彼女の姿はALOで見たような軍服ではなく、赤いコート姿だった。所々しろいファーで飾られているそれは実に暖かそうで、少々羨ましい。一月末のこの季節、まだまだ冬の寒気は体に襲い掛かってくる。バスの中でヒーターがついていても、少々肌寒さを感じる。だが、今はそれよりも、

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| 断頭の剣鬼 | 10:54 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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重みと意味 ―――オン・ツォート

推奨BGM:Burlesque


 あの攻略も、スリーピング・ナイツも、まるで短い夢のように消えた。そう、まさしく夢のようだった。彼らがアインクラッドに存在していたという証拠は片っ端から探した。そして、確かに黒鉄宮に彼らの名前は刻まれていた。だがそれだけだ。プレイヤーに聞けば名前は出るし話題にも上るが、でもそれだけで―――本人たちとは連絡がつかないし、みつからない。見つからない。どこへ消えたのかも解らない。まるで突然ALOを引退したかのように彼らは姿を現さなくなった。まるで自分だけがのけ者にされているようで激しく傷ついた。いや、最初から分かっていた。自分一人だけが何か共有のしていない情報があったんだと。そして多分、原因か元凶は、あのユウキの咳だ。

 後日改めて調べ直したところ、VR世界の中では現実世界の現象はプログラムされない限りは発生しないという。そしてALOでは汗や涙を抜いて、一部の現象は発生しない。もちろん咳もそうだ。どんなに死にかけていても、どんな重病にかかっていても、ALOでは現実の体調が反映される事はないはずなのだ。なのに、ユウキはその法則を逸脱していた。それがスリーピング・ナイツが消えた理由であり、それ以外にないと確信している。

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| 断頭の剣鬼 | 12:49 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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証明の証明 ―――イズ・ジス・ジ・ハッピー・エンディング

推奨BGM:Thrud Walkure
*1推奨BGM:Walhall


 もはや詠唱する暇は一秒たりともない。目の前の巨大な姿、ボスのライフポイントはもうすでに残り一ゲージという所まで追い込んだ。あとはこのまま押し切ればいい。だがその最後の一歩が厳しい。ライフが残り一本となったボスはまるでバーサーカーのごとくこの広い部屋を動き回る。走ったり突進したりするだけではなく、今まで全く見た事のない攻撃パターン―――とびかかってきたり、壁を蹴って大ジャンプ等という行動にまで出ている。鈍重だった当初の姿はもうどこにもない。そこには荒れ狂う巨人の姿しかなかった。その瞳を見れば傷つけられたことに対しての明確な怒りを感じられる。それはまるで、この巨人が生きている様な錯覚さえ与えられた。

 だが、

 それに怯む道理などない。

 ヒーラーという立場を投げ捨てて前にでる。弓矢は自分の領分ではない為、握る武器はもちろんレイピアになる。回復魔法のスキルを上げるのと同時にレイピアでの戦闘スキルも上昇させているため、このキャラクターは近接戦闘も得意だ。何かおかしいような気もするが、何も問題はない。だから踏み込んでレイピアを振るう。踏み込みから力と速度を乗せた一撃は綺麗な線を空に生み出しながら、衝突と同時にヒットスパークを発生させる。システムエフェクトが乱れ散り、攻撃に怯む様子も気にする様子もなく、開始当初の数倍の速度を見せるオーガは斧を狂ったように振るいながら縦横無尽に広間を駆ける。

 もはや前衛も後衛も関係のない戦闘だった。だがそれでも、懸命に走る。

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| 断頭の剣鬼 | 13:00 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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証明の証明 ―――フェアリーズ・インセイン

推奨BGM:Krieg
*1推奨BGM:Dies irae ”Mephistopheles”
お読みの際は口にお飲み物を含んでからお読みください


 体力の減ったボスの猛攻は凄まじいものとなっていた。一定まで攻撃する事によって解放されるボスのライフバーには相手の体力が既に四分の一まで減っている事を示していた。十あるライフバーをここまでこの少人数で減らした事実には驚愕せざるを得ない。正直スリーピング・ナイツを舐めていたフシが自分にはあったかもしれない。一緒に戦ってみれば誰もが本気で、実力以上の力量をユウキの為に発揮しようとしているのが解る。そして、そのユウキは、

 まるでバーサーカーの様に戦っていた。

「ハァ―――ッ!!!」

 踏み込みからの刺突。サイドステップからの流し切り。バックステップからの払い切り。ユウキの体はボスから離れる事無く、張り付くような動きで常に引っ付いている。全ての動きを攻撃と合わせ、攻撃していない瞬間を削っている。剣という現代社会では必要とする事のない技術をユウキはかなり高いレベルで完成させていた。驚くべき完成度だ。ボスのライフが高すぎて減る速度は遅い。が、それでも一撃叩き込むごとにドットではあるがボスの体力が減るのを見て取れる。

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| 断頭の剣鬼 | 12:24 | comments:11 | trackbacks:0 | TOP↑

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証明の証明 ―――フォー・マイ・ショウ

推奨BGM:Bottomless Pit
*1推奨BGM:Krieg


 二日程ユウキと行動を共にして、改めてユウキが一種のカリスマを保持する人物だと理解した。

 カリスマと言えば自分の中で一番最初に思いつく人物はあの黄金の獣に他ならない。戦闘、真剣な時はどこまでも苛烈で、強烈で、そして魂を掴んで放さないカリスマの保持者。ラインハルトを思い出させる。だがユウキの持っているカリスマはラインハルトのそれとはまた違うタイプだ。どちらかと言えば―――そう、キリト君の様なタイプのカリスマだ。ラインハルトがその存在で周りを引きつけ、魂を放さない黄金の輝きだとすれば、キリト君やユウキは何気なく見せる笑顔や、行動で道を示すリーダー的なカリスマだ。自分が前に出て、まずは道を示す。その背中で後ろから続く者たちの道しるべになる。そうやって見るものを魅了する、刹那の光ともいうタイプのカリスマだ。それはラインハルトの様な”王”タイプのカリスマとはまた違う。

 その決定的な違いはやはり、存在としての在り方だろう。

 ……ここまで長く話を続けた理由は一つで、

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| 断頭の剣鬼 | 13:08 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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証明の証明 ―――ヘルパーズ・ハイディング

推奨BGM:Dies irae ”Mephistopheles”


 類は友を呼ぶというべきか、ALOの実質的支配者である二人がかなりエキセントリックなためか、ALOにはそれに似た同類とも言えるエキセントリックな人が集まる。そして、いや、だからこそというべきか、彼らは小さいイベントや出来事に対する観察眼は優れており、絶対に変化を見逃さない。それはとても優秀だとも取れるが、

 同時に、どうしようもない人種でもあると言う事だ。


                           ◆

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| 断頭の剣鬼 | 13:02 | comments:13 | trackbacks:0 | TOP↑

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証明の証明 ―――ショート・コンタクト

推奨BGM:Mein Kampf


 ユウキという少女は何というか……凄い不思議な少女だった。ものすごくバイタリティにあふれ、前向きで、そしていて人を引き付ける何らかの魅力を持っていた。だがユウキの笑顔の裏には何か使命感か、焦りの様なものを感じていた。アインクラッドの攻略はただ攻略しているからしているのではなく、そこには何かを成し遂げなくてはいけない理由が存在しているような気がした。それがあの短い会話では何なのかは解らなかった。ただ、私はあの日、ユウキのギルド―――スリーピング・ナイツに加入する事を了承した。それを了承した理由の一つは、私に断る理由がなかったから。確かにアインクラッドには怖い思い出があるが、それは乗り越えてきた。キリト君と共に。そしてもう一つは、

 奇妙な使命感だった。

 何故か、私はこれに参加しないといけない。そんな感じの使命感が私にはあった。それは妙な、と付け加えても良かったな。何故だか解らない、という言葉を多用してもいいほどに私には理解不能な事態だった。だがその感覚はあったのだ。何か、何かをしなくてはならないと。ユウキを見た瞬間から、絶剣を知った時からその感覚に思い、悩まされてきた。確実にキリト君が負けたと聞いた時に初めて知ったのに、何故か妙に胸に残る懐かしさを彼女の存在には感じた。そう、絶剣の話を聞いた時に私は間違いなくまた逢いたいと感じた。

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| 断頭の剣鬼 | 13:41 | comments:7 | trackbacks:0 | TOP↑

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証明の証明 ―――ランブリング・セオリー

推奨BGM:Burlesque
*1推奨BGM:Unus Mundus
*2推奨BGM:Burlesque


「ちょ、ちょっと」

「あははは! 大丈夫大丈夫、こっちこっち!」

 翅を広げて空に飛び上がる。アスナが困惑しているようだが、ガッチリと手をつかんで離さない。もうそろそろハラスメントコードが発動してもいい頃だろうが、それを知らせるブザーや表示が出現する事はない。どうやらギリギリハラスメントコードに引っかかってない様子だ。まあ、引っかからないのであればそれで便利だ。このままアスナを引っ張って行く。

「お姉さんにはお願いがあるんだ! お姉さんの様な人を探して僕はずっとあんな戦いを続けてきたんだ!」

「え……?」

「ほら、お姉さんも翅を広げてよ!」

 世界樹を超えて上昇し、雲を抜けた所で体を手死する。雲海を抜けた所ではユグドラシルシティが見えるだけではなく、空に浮かぶ浮遊城アインクラッドの存在が見えるそこでやっと翅を広げたアスナは横で浮かぶ。そこでアスナから少しだけ離れ、そして両手を広げる。

「ねえ、お姉さんはこの空は好き?」

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| 断頭の剣鬼 | 10:47 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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証明の証明 ―――ファースト・インプレッション

推奨BGM:Thrud Walkure


「ハァ―――!」

 踏込と同時に長剣を前に突き出す。閃光の様に駆ける長剣はもはやシステムのエフェクトライトとの様に輝き、目でやっと終える速度となっている。かなりの速度が乗っている。故に、威力も乗っている。これを回避する事は至難だ。難しい。避けられない事に自信はある。

 だから、命中する。

 長剣による突きが盾に命中する。盾で防御しつつ敵対するサラマンダーは右手で握る得物、ハルバードを振るう。一見使いにくく人気のないハルバードではあるが、ハルバード程機能に優れた武器はない。突く、薙ぐ、斬る、叩く、引っかける、刺す、等といったアクションをどれも遂行できるハルバードはまさしく戦争の為の武器だ。ただ個人の興味が剣や魔法へと逸れがちなため、優秀ではあるがハルバードという武器は日の目を中々見ない。だから希少とも言えるハルバード使いは優秀だ。彼らは戦い方を熟知し、最も効率的な戦闘方法を取ってくる。

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| 断頭の剣鬼 | 08:37 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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失敗と成功  ―――ラスト・チョイス

推奨BGM:Mein Kampf


「ふぐっ」

「おいおい、乙女らしかぬ声を出してどうしたんだ」

 ソファに倒れ込んで声を漏らすと、それを見ていた明広が呆れたような顔で此方を見てくる。珍しい事に今日は出勤していない。土日も基本的には”ラース”等という職場へ出かけている明広がこうやって平日の午後を家で過ごしているのは結構レアな話だ。といっても数ある休日の一つとか、たぶんそんな感じの話なんだろう。実際レアな話ではあるが初めてというわけではない。前からあった事だ。ソファから顔だけ持ち上げればマグカップを片手に、立ったまま、明広が此方に視線を向けている。ちなみにマルグリットは今、家にはいない。彼女は買い物の為に少々出かけている。なんでも香純や玲愛、螢と一緒に服を見ながらゆっくり買い物するらしい。

 充実してるなぁ、と密かに思っている。

「ねえ」

「あん?」

「何飲んでるの」

「レモネード」

「いいなぁ。僕にもちょうだーい」

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| 断頭の剣鬼 | 08:51 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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失敗と成功  ―――バトリング・ノーバディー

推奨BGM:Thrud Walkure
*1推奨BGM:Burlesque


 かつてない程に神経が尖っている。

 もはや余裕はない。余計な事を思考する暇もない。

 倒せ。倒せ。倒せ。倒せ。倒せ。

 目の前のこれは敵だ。

 ―――倒せ!

「―――!」

「―――!」

 互いにひとことも口から言葉を零す事はない。ただひたすら無言で、敏捷ステータスが許す限りの最大速度で動き回る。もはや空も地上も、関係なくアルンの市内を縦横無尽に駆け廻る。街の道路を走ったと思えば今度は壁を蹴り、壁を足場に走る。そして道が途切れたのであれば瞬間的に翅を動かし体を浮かび上がらせ、飛行して加速する。とにかく加速する。最初に加速する。まだ加速が足りない。

 敵は、加速しているのだから。

 この勝負の行く先、まず最初に速度が来ると言う事は一歩目で理解していた。奇遇な事に相手も全く同じことを考えていた。だからまず最初に刃を交わし合ってから、互いにアルンの市内を駆け巡る。何度も何度も剣をぶつけ合いながら加速し、

 そして最高速に乗った時点でアルンの広場へと戻ってくる。交差する様に剣を交わし合っても速度を殺さず、速度と威力を乗せて反転し再び襲い掛かる。斬撃一つ一つを狙ったところへと寸分の狂いもなく叩きこむ。全損決着モードであるため攻撃を食らってもそれで終わりはしない。だが、それで体力は削られる。

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| 断頭の剣鬼 | 10:54 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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失敗と成功  ―――ルッキング・フォー・パートナー

推奨BGM:Burlesque
*1推奨BGM:Krieg


 年が明けて僕らは再びアインクラッドに挑戦した。そして、また敗北した。だけど僕らは敗北から学ぶ。学ぶから次こそは勝利できる。そう信じてアインクラッドのボスに再び挑もうとすると、ボスは僕らが到着する前に倒されてしまっている。そうやって僕らはボスを倒す事が出来無い状態が続いた。悔しい。あと一歩、あと一歩という所で新パターンの追加されたボスには届かない。

 人数が足りない。

 それがスリーピング・ナイツの永遠の弱点。僕たちは名前を刻みたいから。永遠に忘れられない輝きとなって存在したいから。だから人数には限界がある。誰かを勧誘できたとしても、刻まれる名前の事を考えるのなら後一人しか誘う事が出来なかった。これで誰か弱かったりする人物を誘ったら、あまりにもお粗末な結果しか見えない。スリーピング・ナイツには、

 アインクラッドの攻略に長けたベテランが必要だった。

 アインクラッドに出てくるボスは強化されているが、元々の攻撃パターンや姿はそのままだ。なので、SAO時代からのプレイヤーをスリーピング・ナイツに引き込むことができればスリーピング・ナイツの戦闘能力は格段に上昇する。だがただ情報を知っているだけではだめだ。実際に攻略に参加できた程のベテランプレイヤーが必要だった。そして、それを見つけ出す事は簡単ではない。

 だから、

 スリーピング・ナイツに相談する前に、

 父親代わりの人物と話し合ってみた。

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| 断頭の剣鬼 | 12:51 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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失敗と成功  ―――ニュー・イヤー

推奨BGM:Mein Kampf


「あーあ。負けちゃったなあ」

 石階段をのぼりながらそんな事を呟く。全てが自分のせいではないにせよ、あんな攻撃パターンが用意されていた事は驚きだ。というかあの性能は反則だ。たった一撃でタンクを含めた全員が全滅とか話にならない。絶対にあの攻撃は属性防御か予備動作を潰す方法があるはずだ。

 まあ、アークリッチは倒されてしまったので対策を考えてても無駄なのだが。

 あのあと、アークリッチ対策会議を再び開いたのは良かったのだが、その直後別のパーティーによってアークリッチは倒されてしまった。実に残念な事だが、攻略は失敗だ。アークリッチを結構な所まで追い込んだだけにかなり悔しい。あの時予備動作を見逃さずにいられたらどうにかなったかもしれないという後悔が少々自分にはある。自分はスリーピング・ナイツのリーダーであり、指示する立場にいたのだ。だからあの時勝てなかった責任は自分にもある。

 そんな事を言ったら怒られるんだろうけどなぁ……。

「おーい、木綿季ー」

「あ、はーい!」

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失敗と成功  ―――ファースト・チャンス

推奨BGM:Kreig


 新年まであと数日。

 世間ではクリスマスのムードを抜かし、お正月ムードへと入ろうとしている所が多い。商売上の戦略だろう。早い所では既に十一月からおせち料理の看板などを出しているが―――年末のこの時期に、僕らはアインクラッドにいた。

 石の床を踏み、曲がりくねった迷宮区の一番奥、そこには巨大な石の扉がある。ホラーゾーンとして有名な六十台の階層は突破する上ではまるでハロウィンに戻されたような気分になった。半透明のゴーストや、腐った死体の姿をしているグール等、様々なホラー型モンスターが行く手を防いだ。おかげでこの階層の攻略も少々時間がかかったが、こうやってみんなで一番乗りを決めているので今の所は問題ない。

 事前にボスの動きも調べられるところまでは調べた。

 あとは……僕たち次第。

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| 断頭の剣鬼 | 16:15 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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