陳情の先を行く部屋

基本的に二次創作を公開しているブログです。楽しく読んでいただければ幸いです。

2012年09月 | ARCHIVE-SELECT | 2012年11月

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雑記ぃ

 ちっす、てんぞーです。毎日断頭更新してるけど誤字修正で来てなくてごめんね。土曜日には遅れている分全部やる予定なので。たまには雑記でもどうかと思って。

 そんなわけで大学の中間がやっと終わってよかったと思ったらテストを出してくる鬼畜教授ども。お前らそんなにテストが好きか。レポートも好きか。俺だ死ぬほど嫌い。助けて。

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| 雑記 | 10:38 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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悪魔に涙はない ―――マリオネッタ

推奨BGM:Dumme Marionette
*1推奨BGM:Ewige Wiederkunft


「デジャヴるんだよ……!」

「あぁ、そうかい!」

 響くのは銃声。吹き荒れるのは魔弾。そこは到底人間が生き残る事が出来る様な戦場ではなかった。弾丸という弾丸が嵐の様に吹き荒れてその範囲内に入り込んだすべてを撃ち抜き、溶かし、そして殺す死の暴風域となっている。隙間という隙間が計算によって全てが埋められ、そしてカバーされているこの戦場では奇妙な出来事が発生している。それは司狼の存在だ。戦う度に司狼の動きは小さく、だが早くなっている。それは一種の適応臣下に近く、そしてジューダスとの戦闘で乳母役学習してると言っても過言ではない事だ。弾幕と弾幕の間の隙間を生み出し、そこに体を通しながら確実に致命の一撃を回避する。だからと言って全くの無傷ではない。司狼の体は度重なるジューダスの魔弾の回避によって少しずつだが傷つき、そして血を流している。

 それが千単位を超え、万単位の弾丸へと到達すると司狼の体お真っ赤に染め上げる。

 そう、赤だ。司狼の全身はジューダスとの戦いで真っ赤に染まっている。その姿はどう見ても大量出血で死亡寸前の姿だ。しかし常に現れるとも解らないデジャヴ―――いや、既知感の瞬間を司狼は掴みとり、”無敵”モードでジューダスの攻撃を全て紙一重で回避していた。紙一重で回避しながら反撃に弾丸を撃ち込んでいた。その姿はどこからどう見ても無様で、そして勝機の見えない姿だ。それだけではなく勝利の可能性、生存の可能性すら見えない。ジューダスと司狼の力の差は歴然であり、そして司狼は既知感が消えた瞬間に死ぬのが普通なのだろう。

 だが、それを発生しない。

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| 断頭の剣鬼 | 09:43 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑

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悪魔に涙はない ―――カメラード

推奨BGM:Unus Mundus
*1推奨BGM:Einherjar Nigredo


 血の赤も。骨の白も。弾丸の銀ももういらない。そんなものはいらない。

 そんなものはもう、いらない。

 過去の記憶をさかのぼって思い出してみろ。そう言われて一番最初に、いや、一番昔の、古い記憶。最古の記憶として蘇るのは戦火だ。戦争によって焼ける祖国。廃染色が濃厚であっても指揮官は突撃を命令する。どこもかしこも血と硝煙と肉の焼ける匂いしかしない。世界は焔に包まれて赤く染まっている。これもまた赤だ。だが血の赤とは違って此方は瞼を閉じていても見えてしまう。どんなに逃れようとしても命令の一つで自分は戦場に帰る。

 それが兵士の運命だ。

 血も、骨も、硝煙の匂いももうどれもいらない。

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| 断頭の剣鬼 | 09:25 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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悪魔に涙はない ―――ストレングス

推奨BGM:Thrud Walkure


 ザザが吹き飛ぶ。

 Pohの首に一撃が直撃する。

 が、それでは落ちない。

「カ」

「Ha! Thats more like it!」(そう、そうこなくちゃあな!)

 ザザのガスマスクに亀裂が入るが砕けはしない。体力もわずかにしか減らない。そしてPohも斬首の剣を首で受け止めている。そう、首を刎ね飛ばすはずの剣を首という急所で受け止めているのだ。ありえない現象の前にキリトの思考が一瞬だけ停止する。その状況にザザとPoh替わり声をあげる。

「なんだ、この程度で終わりか英雄さんよぉ」

 Pohが首筋にあてがわれた刃に触れ、それを強く握る。それを握った瞬間、キリトの全身―――いや、体の芯が悲鳴を上げる。傷ついてはいけないところが締め上げられ、破壊されようとしている。それを体現するために体は傷を生んでいる。魂が、今、Pohの手によって強く砕かれようと握りしめられている。

「なんだ、お前まさか勘違いしていないか」

「ぁ……?」

「―――お前が使ってるソイツは魂を込めて使うもんだぞ? ―――お前が使ってるって事はお前がアイツから寝取ったんだよ」

「その表現はなんだよ……!」

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| 断頭の剣鬼 | 10:25 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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悪魔に涙はない ―――ダンスマカブル

推奨BGM:Fallen Angels(Paradis Lost)


 銃声が響く。

 弾丸が連弾として吐き出され弾丸が弾丸と衝突する。GOOの使用上弾丸同士の衝突はありえない現象なのに、それでも弾丸と弾丸は衝突を果たす。ありえなくとも、その現象は確かに発生している。弾丸と弾丸がぶつかり合い、火花が散り、そして反射して角度を変える弾丸は再び襲りかかる。それは鏡合せの様な展開でだが、同時に一方的な姿を見せる戦場でもある。二人の赤い服装の男達―――ジューダスと司狼の戦いには、ジューダスにはあって司狼にはないものがある。

 つまりは異常性。つまりは秘術。つまりは業。

 ジューダスはその存在自体が超越しているのに対して、司狼はない。死なないという事実しか存在しない。故に司狼二は決定打が存在しえない。本当に死なないのか、それも怪しい。だがジューダスの放つ異形の銃からの超連射はハンドガンという形をしながらマシンガン以上の連射力を持ち、そしてライフル並の精密性を持つ、異常な能力の銃だ。司狼がデザートイーグルの二丁で応戦しようとも弾丸の量、阻止江速度にはかなわない。一発一発が強力なデザートイーグルでも、数発合わせてジューダスの一撃を弾いているのだ。大砲の様な威力を持つ銃に対抗するにはそれしか方法がない。それ故に司狼は相手の攻撃を弾く度に何発かを通している。

 そしてそれが大地に着弾する度に大地がさく裂し、巨大なクレーターを穿つ。結局のところ司狼とジューダスは似ているが、その存在はここに至って全く別の存在となっている。威力においても、精神状態においても。この二人は似ているようで違う。いうなれば、同じ起源をもつ存在が成長するにつれて分化してゆく―――そういう違いは二人を持っている。

 それは”誰か”と非常に似ているようで、全く違う結果を生んでいる。

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| 断頭の剣鬼 | 16:04 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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悪魔に涙はない ―――ワット・イズ・ジス

推奨BGM:Thrud Walkure


 ISLラグナロクを包む戦場は全部で四か所に分かれる。三つ巴の戦場、鏡合せの戦場、因縁の戦場―――そして処刑の戦場。この四つの内、一番注目が集められるのは因縁の戦場、つまりはキリトとPoh、そしてザザの戦いだ。三人の誰もが因縁を抱き、そしてカメラを通してチートとしか見えない技術が最大限に発揮されていた。通常であればそこにGMへと報告するか罵ったりして、誰もがその戦いから目を逸らすだろう。

 ズルをして得た戦いに何があるのだろう、と。

 だが一歩目の踏み込み。たった一歩。Pohっも、キリトも、ザザも、全員が銃を捨てて近接武装を手に一歩だけ前に踏み出た。自然すぎるその動作に観客の誰もが目を奪われるほかなかった。その動きがチート疑惑を吹き飛ばすほどの衝撃として心を突き抜ける。ただの一歩なのに、その動きには経験と技術の全てが積み込まれていた。同じVrゲーマーだからこそ、それがチートによるものではなく鍛錬から、経験から、何千何万も反復して身に着け、習得した動きだと理解してしまう。

 動きの一つ一つに偽りが存在しない。

 それは完成された芸術に近かった。

「―――心意」

「Icarnate」

「Its show time」

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| 断頭の剣鬼 | 10:30 | comments:16 | trackbacks:0 | TOP↑

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悪魔に涙はない ―――ビギン・ジ・エンド

推奨BGM:Mors Certa
*1推奨BGM:Fallen Angels (Paradise Lost)


 誰かが、灰色の体を担いでいる。

 灰色。つまり色が抜けている。この荒野では生命の証とも言える色が抜かれた体はつまり死体、体力を無くしたプレイヤー達の姿だ。今では動かぬ躯となっている彼らだが、それでも色が残っていた時は元気に銃を振り回す姿を見る事が出来た。それももうない。本当の意味で死を迎えてはいないが、それでもこの世界における擬似的な死を経験している。戦闘に敗北した彼らは蘇生されない限り動けないし、蘇生アイテムなんてものは存在しない。死んだらリスポーン地点へと戻されるだけだが―――この決勝戦の間は誰も蘇る事は出来ない。死者は死んだままだ。

 故に、その死体は自由に扱える。

 灰色の体を四つほど抱える女がいる。

 左肩の上に一人。

 右肩の上に一人。

 左腕で抱えるように一人。

 右腕で抱えるように一人。

 珍妙な姿をしているように見えるが、女はそうやって死体を運んでいた。唯一動く目を動かし、死体となっているプレイヤー達は視線を女に浴びせてくる。しかし女はそれに怯むことも気にすることもなく運び、そしてISLラグナロク北部―――砂漠の端に到着する。

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| 断頭の剣鬼 | 09:16 | comments:10 | trackbacks:0 | TOP↑

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犯罪者の宴 ―――トランスペアレント

推奨BGM:Bottommless Pit
*1推奨BGM:Schutz Staffe


 洞窟の中へと転がり込んできた司狼の姿を見て、シノンは一瞬で威嚇ではなく、射殺の為に銃を構える。が、引き金を引ける前に司狼が銃を取り出しシノンのサイドアームのみを撃ち弾く。銃を抜き、そして構える動作はシノンよりも後に行われていたのに、何故か司狼のその動きはシノンのを超える速度で行われていた。明らかにシステム外の動きであり、同時に司狼が逸脱者であることを示しているが―――まずはシノンを抑える事から始める。

「不本意ながらそれ、俺のバイト先のオーナー」

「不本意ながらそれ、ウチの将来有望なバイト」

 司狼と俺の茶番に毒気を抜かれたのか、銃を弾かれた腕を所在なさげにぶらぶらと振ったあと、それをひらひらとさせてから自分のライフバーを確認していた。

「……友達、選んだ方がいいんじゃないかしら」

 シノンが隠す気もない溜息を盛大にはくと、司狼に撃ち弾かれた銃の回収に向かう。が、シノンが拾い上げようとしたそれは触れた瞬間、砕けてスクラップと化す。今の司狼の一撃はシノンの銃を破壊したのだ。シノンが即座に司狼へと向けて睨み付ける様な視線を向け、司狼は何時の間にか口にタバコを咥えていた。

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| 断頭の剣鬼 | 09:32 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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DAY30

 たった一日だけの休暇はレオンミシェリの宣戦布告により終わりを告げた。レオンミシェリはその最終目標、ビスコッティの保有する宝剣を賭けて戦争を申し込んだ。その殊に民衆は驚愕を隠せずにいたが―――その大半がこれもまた演出の一つだろうと、そう信じて疑わなかった。誰もが今、本当にビスコッティの危機であるとは思わなかった。それはこのフロニャルドの人間として生まれ―――フロニャ力の加護によって平和に暮らしてきた人の思考だ。危機に対する判断能力が低下しているのだ。そのため、今が本当に国家存亡の危機であることに気づかない。

 ビスコッティとガレットの未来を決めるこの一戦は今まで戦争に使用してきた戦場を繋げた感じに行い、今までが局地戦が多かったのに対して、今度は多くの砦などを巻き込んだ大きな戦争となっている。ガレットもビスコッティも、どちらも全ての兵士を導入した、超大型の戦争となる。過去最高の興奮を得られると民衆も兵士達もこの一戦を心待ちにしている。ビスコッティもガレットも、どちらもマンの兵士を用意して、互いの本陣の前に布陣している。

 一日だけの休暇は終わった。

 ここからは仕事の時間だ。

 ―――俺の姿は本陣の天幕に会った。

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| 短編 | 11:47 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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犯罪者の宴 ―――パスト・クライム

推奨BGM:Noli me Tangere
*1推奨BGM:Sol lucet omnibus


「……はぁ、はぁ」

「大丈夫?」

「だ、大丈夫じゃないかも……」

「ちょっと!」

「悪い、まだ余裕だ」

「余裕があるのならそう言ってよ! ……もう」

 少し冗談めかしたが、シノンを無駄に心配させてしまったようだ。いや、実際に体はほとんど引きずるような形で動かしていて、シノンの支えがなければ倒れている所だ。それだけ、今の体の状態は酷い。鉄橋のあった、先ほどまでいた場所、つまりはISLラグナロク南側からシノンに支えられながら何とかラフィン・コフィンの二人組から逃げてきたのだが、正直状況は良くない。

「もう少し我慢してて。あと少しで農園エリア……そこには洞窟があったはずだから」

「こっちの、エリアも、……発掘されている訳か」

「BoBは一回目じゃないからね……って、喋ってて大丈夫なの?」

 そう言って心配そうに見てくるシノンの顔を見て、少しだけおかしくなって苦笑してしまう。少し前まではあんなに噛みついてきていたのに、こうやって共有できる敵や状況を持った瞬間こんな風に振る舞うのは―――この少女が根の部分では優しいからだろう。今更な話だが、少しだけ利用した事を申し訳なく思う。あぁ、本当に少しだけだ。必要な事だったし、シノンを騙さなければうまく大会に参加できなかっただろう。あぁ、この少女に出会ってよかったと今だから言える。

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| 断頭の剣鬼 | 09:36 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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犯罪者の宴 ―――ブラック・アンド・ワイト

推奨BGM:Einherjar Nigredo


 ―――時間をさかのぼる事十数分前の話し。

 まだキリトがザザと衝突する直前の話し。

 それは奇跡か、もしくは意図された出来事なのか、その二人は樹海の中で出会ってしまった。黒と白、対照的な色を持つ二つの存在は劇物にも近い存在だ。それは人間としての観点からだけではなく、”世界”その者から見ても劇物の内に入る。世界にとってもこの存在は許容の上限に迫る異常な存在だった。特に白の女―――アストの存在は逸脱しすぎている。逸脱者が皮を被って無理やりレベルを落としている様な、そういう感覚がこの存在にはある。格で言えば明らかに黒円卓の男―――ミハエルよりも高い位置に存在する。

 堕天使と英雄では格が違うのだ。

「ミハエル、ヴィットマン」

 少女に見間違うような体躯の女がニグレドを確かめる様に名前を口にする。それに応える様にニグレドが口を開く。しかし、その口から零れるのは名前ではなく、

「―――アスタロス」

 アスタロス、悪魔の名でアストを呼んだ。いや、名を呼んだのではない。アストを表す神号を呼んだのだ。彼女が一体何を象徴するのか、それを一瞬で見抜き、そしてそれを呼んだ。彼女を中小者(クリミナトレス)と、ミハエルはそう呼んだ。その事実にアストは眉一つ動かさず、が、しかし口を開く。

「見つけました。私の相手には貴方が最適でしょう」

「……ふむ」

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| 断頭の剣鬼 | 09:18 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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DAY29 ※R-18

「ふふふ……」

「あ……?」

 なんだろうこの状況は。

 ゆっくり整理しよう。今、俺は自分の部屋にいる。そしてベッドの上に倒れている自分の上にサイアスが馬乗りしている。

 なるほど。

 よく解らん。

 いや、よく考えろよ俺。

 そう、思い出せ。なぜこんな状況になったかを。

 記憶を十分前まで遡る。そう、今朝サイアスが持ち込んできた書類テロを何とか終わらせようとしていたのだ。昼になったら昼を食べるといった逃げ出したジェノワーズが帰ってこなかったため、それからずっと一人で書類と格闘していたはずだ。そしてそれがひと段落した段階で、サイアスが来て、

 そしてなんかベッドに押し倒された。

 なるほど。

 よく解らん。

 いや、理解しろよ俺。

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| 短編 | 22:06 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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犯罪者の宴 ―――エスケイピング

推奨BGM:Juggerunaut


 体から命が抜けてゆく。油断したという言葉は言い訳にはならない。結果こそがすべてであり、やはり、俺が敗北したという事実は覆らない。腹から突き出ているメイトチョッパーの刃と、そして背後から感じる凶悪な気配がそれを何よりも物語っている。そう、俺は今、必殺の一撃を受けて死にかけている。この一撃は敗北した。

 そう、この一撃だけは。

 馬鹿が。

 間抜けが。

 あぁ、あの二人ならこんな状態でもこう言ってくれるだろう。

「―――この程度でで俺が死ぬわけないだろぉ―――!?」

「ハハッ!」

 腹を貫通する刃から強引に体を引く抜くのと同時に腰からグレネードを抜き、それを足元に叩きつけながら全力で地を蹴る。グレネードが地面にたたきつけられるのと同時にプラズマの爆発が発生する。その先がどうなるかを確認する余裕が俺にはない。故に前へ逃れるように必死に跳躍し、大地で前転を知りながら地に墜ちた光剣を回収する。土煙が舞い上がり、周りが一時的に見えなくなる。が、それも限定的な範囲だ。頼るべきなのは視界ではなく、第六感だ。現実でも、VR現象でもなく、そこから外れた、オカルトの領域に近いものを心の目で捉えるのだ。

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| 断頭の剣鬼 | 08:27 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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DAY28

 寝覚めは何時もの様に、はっきりと始まった。目を覚ませば目の前にはレオンミシェリの顔がある。穏やかに寝息を漏らし、ここ数日分の睡眠を一気にとっているようで全く目を覚ます気配がない。気持ちよさそうに寝ている姿は此方まで眠気を誘ってくるものがある。このまま惰眠をむさぼる事も素晴らしいのかもしれないが、朝は朝でやる事がある。一日の自由はまずしっかりと朝の仕事、つまり書類テロをバナードとガウルに投下してからが条件だ。昨夜のまま、手を繋いでこうやって眠っているのは悪くないが、それも長く続けているわけにはいかない。

 ゆっくりと、眠りが深いとはいえ、それでもレオンミシェリを起こさない様に気を付けながら指をゆっくり解いて行く。指を一本ずつ、ゆっくりと開けて、それを解放しようとしたところで、

「ん……」

「……」

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| 短編 | 19:41 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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犯罪者の宴 ―――デス・バイ・フィーリング

推奨BGM:Deus Vult
*1推奨BGM:Krieg


 胸の内を満たしているのは怒りだ。

 そう、怒り。

 理不尽に対する絶対的怒りだ。許さない。許せない。自分が守ろうとしている日常を、笑顔を、自分が愛する者お片っ端から壊そうとするこの男は生かしておけない。そう、生きていてはいけないのだ。ここまでの劇場を感じたのは初めてかもしれない。あのオベイロン相手でさえ怒りはあったが、憐みをも感じていた。そう、俺はオベイロンの末路に対して憐みを感じていた。だが今、俺が相対するラフィン・コフィンの、終わらない悪夢に関してはそんな憐みは存在しない。どうしてこいつらを憐れむことができようか。オベイロンは一種の”被害者”に感じれたが―――これは違う。こいつらは望んで手に死、そして強くなった。悪夢は夢での狩人から現実世界での狩人となった。こいつらの存在は許せない

 絶対に生かしておけない。

 出て行け。

 俺の日常から。

 出て行かないのなら―――

「殺してやる!」

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| 断頭の剣鬼 | 11:05 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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犯罪者の宴 ―――キリング・フィールド

推奨BGM:Schutz Staffe
*1推奨BGM:Juggernaut


 スコープを通してみる光景の中では二人のプレイヤーが戦闘をしていた。鉄橋の上を舞台とする銃撃戦は自分から見てもかなりハイレベルな戦いだと解る。減じあのGGOの風潮がAGI優先型な事もあって鉄橋上の戦闘はハイスピードで動き回りながら如何に命中率の高い、短機関銃系列の銃の弾丸を相手に当てるか、その勝負となっている。見える男は二人で、その両者がともに高速で動き回りつつ銃を当てようと大きく動き回っている。そう、大きい動きなのだ。大きく、跳ぶような勢いで動き回り絶対に照準を合わさせない。細かく動けば銃口を合わせられる可能性が増える。それを考慮しての動きだろう。それができるだけ、レベルが高い。

 アンチマテリアルライフルを通してみる光景の中で、トリガーに指を書けたままどちらか一方が落ちるのをひたすら待ち続けながら体を草むらに伏せ、ひたすら戦闘の様子を見続ける。消臭スプレーで体臭を消したし、自分の体も草の中に隠れている。全く問題はない。故に、此処で焦って引き金を引く事だけが問題なのだ。スナイパーは見つかってない場合においてのみ、初撃が見えない様に設定されている。弾道予測線が相手には見られない。

「チッ」

 そう、見えないのだ。見えないはずなのにあの男は非常識な事にも切り払った。まるで頭の裏に目がついている様な動きだった。頭に向けて背後から狙撃したのに、引き金に指を駆けた瞬間反応して、引き金を引く頃には既に武器を構えていた。とてもだが人間の行動の様には思えなかった。

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| 断頭の剣鬼 | 10:44 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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犯罪者の宴 ―――ガン・ローデッド

推奨BGM:Bottomless Pit
*1推奨BGM:Deus Vult
*2推奨BGM:Unus Mundus


 結局。

 大人気なかった……!

 ライフルの弾丸を切り落としてシノンの首を刎ねてしまった。迷う事無く首を刎ねてしまった。相手は女なのに、戸惑う事無く首を刎ねてしまった。これはアレではないのか。明広の首フェチが少しずつアレを媒介に俺に汚染をはじめているのではなかろうか。もう因子の縁は切られたはずなのに剣が残っているのだし可能性はある。つまり何を言おうとしているかというのは、俺は悪くない。俺は絶対に悪くない。綺麗に跳ばしたとか感想を持ったのも俺の聖じゃない。全部は首切り妖怪と言うやつのせいなんだ。

 と、そんなくだらない考えを持てる程度には、余裕がある。

 シノンも驚いた事にかなりの余裕を持っていた。ラフィン・コフィンと相対した姿から少し心配だったがー予選最終戦、つまり四回戦で戦った時には十分元気な姿、そして本線でリベンジをすると宣言されてしまった。まあ、個人的にはそんな展開も悪くはナイト思う。可能であればの話だが。

 そう、可能であれば。

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| 断頭の剣鬼 | 10:07 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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祭り騒ぎ ―――フェアリーズ・ビハインド・ザ・スクリーン

推奨BGM:Mein Kampf


 ―――バレット・オブ・バレッツ第四回戦が始まっていた頃、アルヴヘイム・オンラインは名にも変化を得ていなかった。たとえガンゲイル・オンリアンという一つの世界でこれから歴史を塗り替える様な事件が発生するのだとしても、それはあくまでもガンゲイル・オンラインの話しで、それを知る方法はアルヴヘイムのプレイヤー達にはない。とは、それも全てが真実ではない。しえう方法は存在するし、そしてそうやって情報は拡散してゆく。

 たとえば、

 マルグリット・ブルイユが耐え切れず口を滑らしたとか。

「キリト、ガンゲイル・オンラインでなんか戦うみたいだよ」

「えっ?」

 そんな感じの些細な会話だ。そうやって情報は一人から、二人へと拡散する。

 しかしここで考えよう。このマルグリットが言葉を伝えた状況が、アスナへと言葉を放ったのがプライベートな家の中ではなく、人通りの多い道路や、買い物客の多い露店エリアだった場合を。この場合、贔屓目に見ても非常に優れた、美しいと断言してもいい容姿を持つ二人は注目の的であり、別に集中してなくたって視線で追ってしまうし、会話も聞いてしまう。ごく自然な事だが、そうやって口から洩れてしまった言葉を誰かが拾ってしまったらどうなるか。

 それは情報の拡散の始まりであり。

 情報とは何もAからBへと移る訳ではない。AからBへと伝わる途中でCへと漏れてしまう事だってある。そしてCからDへ、Eへ、Fへ、情報の漏洩とは一度始まれば終わりがない。そうやって情報が全体にいきわたるまで終わりはしない。こうやって、

 ”祭り”は始まるのだ。

 今回、この魔売りの発端はMMOトゥデイというサイトに存在するある掲示板から始まる。


                           ◆

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| 断頭の剣鬼 | 09:02 | comments:8 | trackbacks:0 | TOP↑

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悪夢 ―――ア・ショート・レスト

推奨BGM:Bottomless Pit


 三回戦は沼地がステージだったが、楽しむ余裕がなかったので、対戦相手には申し訳ないがサクっと試合を終わらせた。一瞬で片が付き、敵を沈めて再び会場に戻ってくる。やはり相当なハイペースで俺が倒しているのか会場に戻ってくるとほんの少数しか会場にはいない。そこにはミハエル達の姿も、ナハト達の姿も、ラフィン・コフィンの姿もない。が。俺よりも早く試合を終わらせている人はまばらにいる。これで三回戦目が終了した。三回戦まで来るとBoB本戦の出場は確定らしく、やっとひと段落と言う感じがする。四回戦は予選の最終試合でもあり、話を聞けばどうやら勝敗は全く関係ないらしい。故にそこまで気負う必要はないが、負けるという事に関してはやはりどこか忌避感がある。そりゃあ、自分も男だ。だが、それでも今は”今の勝ち負け”を考えるべき時ではなく、”最後の勝利”だけを念頭に入れて行動すべきなのだ。そうと考えたら四回戦は始まった直後に自分の頭を打ち抜いて、早期に終わらせるって手もある。そうすれば四回戦から本戦までの時間を稼げ―――

 ―――いや、駄目だろそれは。

 たとえどんな状況であっても自殺だけは狙ってはいけない。それだけはやってはいけない。それが遊びでも、死んで先へ進むなんて発想を持ってはいけないんだ。それは必死に生きる人間に対しての冒涜だ。そして、SAOで必死に戦い続けて来た俺がとっていい手段では決してない。……どうやらPohと会ったり、ジューダスを前にしたりで精神的に疲れてしまっているようだ。まあ、こんな状況になっても精神力が削れないような豪胆な精神力の持ち主にはなりたくない。俺はあくまでも人間で、人間のままでいたい―――と、願うのは無謀なのか。リアルの方でも謎の怪力が発揮されたりで、正直人間を順調にやめている気がしてならない。

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| 断頭の剣鬼 | 10:11 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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誤字修正ががががが

 何時も誤字修正頑張ってるてんぞーです。最近ちょいちょい忘れがちだったり忙しかったりで進んでいませんが、土日の間にまとめて直す予定です。今週来週は中間テスト関係で忙しいんだよ!

 と、まあ、最近絵のもらい物をよく貰うのでそれ専用のページを作ろうかと計画中のてんぞーです。SAOのALO編がついに放送されましたね。皆、直葉のおっぱいに目を飛ばしている辺り欲望に素直だよなぁ、とか思ってたり。あ、自分? 子安さんの演技スゲェと改めて思ってたわ。

 小説様にいつも推奨BGMを提案してるけど、それを聞いてるのってどれぐらいなんだろう?

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| 雑記 | 09:07 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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悪夢 ―――アイ・ドント・ウォント・トゥ・ルーズ

推奨BGM:Bottomless Pit


 空気を求めて深く呼吸しながら肺を酸素で満たす。これがバーチャル世界だという事は認識しているが、今、この瞬間はそうせずにはいられなかった。とにかく肺が酸素を求めている、そんな感覚が体にはあった。体に纏わりつくプレッシャーが転移が終わってようやく消えていくような感じがする。大地に両膝を突き、尻を突き、そこでやっと私はあの異常な空間から抜け出せたことを認識する。あの現実と仮想がごっちゃに混ざって何が真実か解らなくなったような、そんな不思議な空間。あそこに戻る事を体が否定しているのを自覚する。だから心臓を落ち着かせる意味でも深く深呼吸を繰り返す。何度も繰り返した事でようやく落ち着いてきたのを感じる。先ほどはキリトの前で無様を晒してしまった。

 あんなネカマ野郎に。

 いや、キリトのやっている事も今になって見ればその意味は解るのだ。死銃を探しにBoBに参加しに来る。参加の方法が解らないのであれば聞けばいい。政府の雇われにしては少し事前調査が足りない気もするが、手段自体は間違っていない。だからと言って納得できるという話でもない。そこには確かにキリトに”騙された”という結果があり、そして裏切られた気持ちがある。だから事実と気持ちは別の問題だ。

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| 断頭の剣鬼 | 08:32 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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DAY27

 レオンミシェリの介入によってミオン砦の攻防は終わった。何とも不完全燃焼な結果だったが、それでもそれは妥当な判断だった。何よりも兵を動かしたのがガウル殿下だという事が最大の理由だった。今回の戦、その現場責任者がバナードであり、最高責任者はレオンミシェリであるというのに、それを無視して兵を動かしたのがガウル。バナードは地位的にはガウルの下にあり、たとえ今回の戦争興業を仕切っていても逆らえない―――もとより逆らうつもりさえなかった。バナード自身もガウルの行動には少々頭を痛めている所があった。だからこそ、レオンミシェリ本人が出てくるしかなかった。

 故に、この夜の戦闘はレオンミシェリの一喝で幕を引いた。

 当然の烈火の如く、怒りを見せてレオンミシェリはガウルを叱り、戦場を散らせて、そしてミルヒオーレを返した。勇者がコンサートに間に合わせ、ガレットはテレビの中継からその光景を見て、その日は完全に終了した。コンサートの後片付けはビスコッティの担当のため、次の日は完全に休みとなる。

 これで明日は完全な休みになる―――とはいかない。

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| 短編 | 01:00 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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DAY26

推奨BGM:唯我変生魔羅之理


 ミオン砦での攻防は大きく分けて三つに分かれている。

 一つ、ジェノワーズとエクレールの勝負。

 二つ、ガウルとシンクの勝負。

 そして、最後に―――。

「―――陀羅尼孔雀王」

 拳に込めた輝力を爆発させる。目標を外れて城壁に着弾する拳は城壁を砕きながら岩の雨を発生させる。威力が浸透している証拠に砕けた城壁は砂の様にサラサラになって広がる。風に乗り、砦中にばらまかれるそれは視界を奪う。だが視界を奪う砂を一刀の下に武者が振り払う。久々の戦場であることを自覚し、同時に申し分のない相手であることを理解し、武者の口の端が吊り上る。戦意による高揚を受けてこの展開を喜んでいる様にすら見える。

「お館様!」

 空を飛び、袋を握る武者、ダルキアンの部下―――ユキカゼが見える。彼女もビスコッティの属する者であり、百歳を超える土地神。前あった時とは大きく変わった姿に少々驚きがあるが―――背中にリコッタを背負い、攻撃の準備に入っている事からアレが敵であることに間違いはない。

「ふん―――!」

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| 短編 | 19:26 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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悪夢 ―――リアリティ

推奨BGM:Dumme Marionette
*1推奨BGM:Nacht der langen Messer


 刃を向けた先、懐かしくも吐き気のする悪夢はマスクの下で笑みを浮かべて、こっちの事を見下していた。そう、確実に見下している。お前など取るに足りない存在であると。しかし、確かな殺意、拒絶、そして嫌気がマスクの穴からは見える。こっちを拒絶し、排除したがる強い意志がそこにはある。それは、明広の渇望に似ているようで違う。アレは守りたい気持ちからくる拒絶だが、この拒絶の形は真逆―――破壊したく、消し去りたいという思いから生まれる排除だ。故に排除の意志は同じでも、渇望の違いは決定的だ。

 向ける刃も、向けられる刃も一切のブレがない。それはいい。それよりもPohに言いたい事は一つで、

「お前―――それをどこで手に入れた……!」

 驚愕よりも、戦慄がそこにはあった。信じられないという感覚が体を貫いている。目の前の男から感じる気配は間違えようもない。それは約十ヶ月ほど前に感じ取ったあの汚泥の様な、心を犯す様な悪寒にも似た、あの感覚だ。それを持っていながら何故こうも正気で居られるかが解らない。あの人一倍執着心と狂気に歪んでいた男でさえ耐え切れずに自壊し続けていたのに。目の前の男はその気配以外には何も変わらず、精神を強固に保っていた。

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| 断頭の剣鬼 | 09:10 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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DAY25

 ジェノワーズは埋まった。

 と、言うのは冗談で、

 ―――ミルヒオーレ姫の誘拐はガウル殿下によるものだった。ジェノワーズに命令をし、そして勇者がまだこの世界のルールに無知であることを利用し、開戦を上手く勇者シンク・イズミに承諾させた。見事というほかにない。ジェノワーズというガウルが一番に信頼を置く少数精鋭の親衛隊にミルヒオーレを拉致させ、そしてそれをシンク・イズミにのみ見せる。自身の周りに勇者の行動や言動をも利用した、素晴らしい作戦だ。

 いったい誰からそれを教わったと言いたいが、それは確実に俺と言うだろうから問い詰めるのはやめた。ガウルの気持ちもわからなくはないし、主の間違いを諌めるのも従僕の役目だが、基本的にガウルの行動に間違いはない。咎める事など一つも存在しない―――まあ、そこには心情的な意味で偏見が入るだろうが、それを間違いだとは思わない。偏見からこそ生まれるものもあり、知りたい事がある。故に、咎めなどしない。

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| 短編 | 18:56 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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悪夢 ―――マーシレス

推奨BGM:Holocaust
*1推奨BGM:Mors Certa


 転移が終わり、バトルフィールドへと到着した俺にはもうGGOを純粋なゲームとして楽しむ余裕がなかった。それはナハト、ジューダス、そしてあの白い少女―――彼らが参加しているという事実が生まれた瞬間から無くなった。彼らの存在を止められるのは最低でも決勝か―――決勝までの間、会場であの三人を殺す事だ。だが後者は不可能だ。そう簡単に殺せる相手ではない。寧ろ一対一の状況でなければこっちが殺られる。そして予選表を見た限り俺とアイツらではブロックが違う。つまり決勝まで戦う機会が存在しないのだ。となれば、

 ―――決勝までの死を許容しなくてはならない。

「クソ……!」

 無力だ。圧倒的に無力だ。

 総務省のバックアップを貰っているが、何の役にもたたない。権力なんて意味はないという話だろうか。あぁ、そうだ。圧倒的暴力の前に信念だとか心だとか―――そんな物は意味をなさないかもしれない。世の中はきれいごとで渡れるほど優しくはなく、そして汚い事ばかりで動くほど汚れてもいない。

 銃声が響く。

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| 断頭の剣鬼 | 10:28 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

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悪夢 ―――リターニング・デビルズ

推奨BGM:Dance Makabule (Paradise Lost)


 ―――死神の姿をスクリーンで見つけた瞬間、背後に気配が現れる。唐突に、まるで無から出現したような現れ方だった。何も感じ取ることができなかった。ただ、今、

「―――レスト・イン・ピース」

 背後を取られ、背中に銃を突きつけられている事実だけがあった。疑う必要なんてない。こんな芸当ができるのも、その言葉を好んで使うのも、この世で一人しか俺は知らない。背中に突き付けられ感じる大口径の銃の感覚も懐かしい。一体何年ぶりだろうか、銃を突きつけられて明確に自分の死がイメージできるのは。

「ッ!」

 横へ体を一気に動かし、腰から光剣を抜き、起動させてその刃を背後の存在へと向ける。そこで背後にいた存在はおどけた表情で両手を上げ、降参のサインを見せていた。とことんふざけている。相手はふざけているのに、生きた心地がしない。今も殺されそうな、そんな錯覚がする。いや、錯覚ではない。この男は脅威だ。今日、此処へ来てよかったのかもしれない。

「……ジューダス」

「おぉ、覚えてくれてたのかい? そりゃ嬉しい話だね」

 クルクルと指で銃を回し、それを赤いコートにジューダスがしまう。変わらない。こいつの服装も姿もアインクラッドで見た時と変わらない。それはミハエルにも司狼にも言えた事だが、こいつらは偽る事を良しとしない。常に自分の本質をさらけ出して、それを見せつけている。ごくり、と緊張に耐えかねてつばを飲み込む。

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| 断頭の剣鬼 | 09:44 | comments:1 | trackbacks:0 | TOP↑

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DAY24

「……ん……ぁ……」

 少しずつ意識が覚醒して行くのを認識する。何時もの様に直ぐに意識がはっきりと覚醒をはじめない。軽いだるさが体に絡みつき、肉体が熱を持っているのを自覚する。これは―――疲労だ。基本的に体調管理も立派な職務の内の為、風邪を引いたり疲労でダウンする事はほぼない。というより転生を果たして以来一度もない。だからこの感覚は―――前世以来の経験だ。疲労を感じながらも狂気の精神力で全てを捻じ伏せて行動していたころは、肉体が通常を超越していた。だけどこの肉体は鍛えているだけで、まだ常識の範疇だ。そこに込められた技術や経験は常軌を逸脱していたとしても、疲労は打ち消せない。

 だが、精神構造は肉体よりも正直だ。本来なら精神よりも肉体なのだろうが、そこらへんは鍛え方が違う。意志一つ、持ち方を変えるだけで眠気は一気に拡散し、意識の覚醒を早める。倦怠感や熱を一気に思考回路から追い出し、体を持ち上げる。未だ着ている服がメイド服だという事をそこで認識し、首元のボタンを外し、首のタイも緩める。一気に胸元まで解放し、そこで体を軽く伸ばす。

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| 短編 | 19:09 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑

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銃と弾丸 ―――ガン・パレード

推奨BGM:Deus Vult
*1推奨BGM:Bottomless Pit


 一回戦が始まるのと同時に体が慣れた転送の感覚に引っ張られるようにして、黒い空間に導かれたのを認識する。会場から転送されて到着した場所には何もない。ただ黒い空間だけが広がり、足元には六角形のパネルが存在している。どうやらこの黒い空間にこのパネルが浮かんでおり、その上にいるから立っていられるようだ。そして、目の前に表示が現れる。

『試合開始まで残り―――』

 そうやって表示は六十から開始し、一秒ごとにゼロへと向かって数字を減少させる。つまりこの空間は準備のための場所だ。他のプレイヤーに見られず、邪魔されず、作戦を考えたり装備を整える場所だ。だが既に装備の確認も装備自体も武器屋で済ませてしまっている。だからそこはもう気にすることではない。そこで残りの五十秒、どう過ごすべきか、そんな事を考えていると、別の表示を見つけた。

『ステージ・森林地帯B』

「ん? これはステージか」

 森林地帯B、おそらくこれがこれから転送される先、これから銃撃を行うステージの名前なのだろう。と、なれば、森の中になるのだから色々と気をつけなくてはならない。相手がカモフラージュで隠れている事や、トラップを仕掛けやすい場所ではないかと。だが、GGOに不慣れな時点で既にアドバンテージは能力以外にないのだ。そしてその能力も、フル稼働させてしまえばチートとして扱われ世界から弾かれてしまう。それは困る。だからチート扱いされない程度に派手に暴れ、そして同時に勝利しなくてはならない。

「俺も面倒な事を引き受けたなあ」

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| 断頭の剣鬼 | 10:34 | comments:5 | trackbacks:0 | TOP↑

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DAY23

 ガレットとビスコッティの間の戦争はガレットのか快進撃により突き進んだ。戦争は一に目から既に何日も経過しており、ビスコッティの首都周辺を残すのみとしていた。

 ビスコッティの最終防衛ライン、アスレッチクで有名なフィールドを超えた陣地近くでは壮絶な戦闘が繰り広げられていた。突如ガレットによって始まった侵略戦争は戦争興業の皮を被って行われ、十数日書けてゆっくりと行われた侵攻は完全に防衛に回ったビスコッティをじわじわと侵食し、その領土を確実に奪っていた。認識している国民は少ないかもしれ愛が、ビスコッティはガレットに飲まれかけていた。そして、今、ガレットの最前線、ビスコッティの最終防衛ラインでは三人が全力で武を披露していた。

 まず防御を優先に戦っているのがビスコッティ騎士団、その領主であるミルヒオーレの直属親衛隊の隊長―――エクレール・マルティノッジ。そして、エクレールに防御を任せ、全力で剣を振るうのがビスコッティ騎士団の騎士団長、ビスコッティの騎士団における最高建暦者―――ロラン・マルティノッジ。兄妹にしか成しえない絶妙のコンビネーションを披露しながらも、一人でその二人に相対しているのは一人の女性だ。それも戦闘服とは到底思えない服装―――メイド服に身を包む女性が一人でそんな二人の相手をしていた。圧倒、とまではいかないが油断した隙に一気に持って逝かれるという確実な革新が両陣には存在し、半端な実力者は近づけない戦場になっていた。

 この場所、この瞬間だけはビスコッティに戦争をスポーツとして楽しむ余裕もなく、そして戦っている女―――サイアスの表情にも余裕はなかった。

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| 短編 | 21:40 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

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